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観月祭
観月祭①
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観月祭は夕方から始まった。
まず楠神社で童舞と巫女舞が奉納される。
この儀式は誰でも見ることができるので、神社は町の人で賑わっていた。
俺はS高の連中に楠ノ瀬とのことで何か言われやしないかとヒヤヒヤしていたが、幸い誰にも話しかけられずに済んだ。
そもそも中高生ぐらいの人間はあまり来ていない。
みんな子供の頃は親や祖父母に連れられてやって来るが、大きくなるにつれて参加者は減っていく。格式ばった町の伝統行事に参加する十代が少ないのは仕方ないのかもしれないけど……。
俺は少しの寂しさを感じながら、神社の境内に設えられた舞台へと目を移した。
巫女舞の舞人はあやちゃんだった。
大ぶりな鈴を両手に持ってしずしずと舞うおしとやかな姿は、いつもの勝気なあやちゃんからは想像もつかない。
観客のざわめきも静まって、みんな、あやちゃんの舞姿に見入っているみたいだった。
静かな山の神社に、シャンシャンという清冷な鈴の音が響く。
鈴に沈みかけた夕陽が反射して、あやちゃんの姿がまばゆい金色の光に包まれていた。
やがて夜が更けて、空に白々とした大きな満月が昇ると――。
神社では町の人たちによる酒盛りが始まる。
そして限られた人間だけが残りの神事を執り行うために「聖域」へと向かうのだ。
限られた人間というのは、つまり楠ノ瀬家と高遠家の直系の人間ということである。
楠ノ瀬家と高遠家――昔は同じ氏族だったという二つの家が協力し、秋の満月の下で神様をもてなすのが祭の目的だ。
俺は慣れない装束と草履に苦労しながら、祖父さんと父さんの後について「あの場所」へと歩いていった。
もちろん楠ノ瀬も一緒だ。
緊張のためか、唇を固く引き結んでいる。
緋袴に千早を纏ったその姿は神々しくさえあり、声をかけるのも憚られた。
十一月の山頂は、清澄な冷気に包まれてひんやりと寒い。
俺は祖父さんの指示に従って薪をくべ、火を焚く手伝いをした。
甘い芳香を放つ泉の畔でパチパチと火が爆ぜる。焚き火の明かりが、翡翠色の泉を浮かび上がらせた。泉の真ん中には空に浮かぶ大きな月がゆらゆらと映りこんでいる。
俺たちは焚き火を取り囲むように胡坐を組んで座った。
火から少し距離を取る男衆を横目に、楠ノ瀬の婆さんが一歩前へ出る。
婆さんが腰を下ろし横笛を構えたのを合図に、儀式が始まった。
「あ…………っ」
笛の音に合わせて姿を現した楠ノ瀬の姿に、思わず声が漏れる。
――楠ノ瀬は、ほとんど何も身につけていなかった。
肌も透けるような薄い羽織をかろうじて一枚身に纏っているだけで、やわらかな体の線が丸わかりだ。
寒さのせいか、緊張のためか……楠ノ瀬の胸の先端はすでに固く尖っていた。
楠ノ瀬は月の光と焚き火の明かりに照らされながら、緩やかに動き始める。
素朴な笛の音に合わせて、まるで神を誘き出すかのように、くびれた腰と豊満な尻を淫らにくねらせた。
だんだんと笛の音のテンポが速くなるにつれて、楠ノ瀬の動きも激しさを増してゆく。後ろで束ねた長い黒髪が体の動きに合わせて左右に振れる。
恍惚の表情を浮かべて、ふるふると胸を揺らす楠ノ瀬の様子は、俺の上で乱れる時と全く同じで……。
俺は、自分の体が熱くなるのを感じた。
まず楠神社で童舞と巫女舞が奉納される。
この儀式は誰でも見ることができるので、神社は町の人で賑わっていた。
俺はS高の連中に楠ノ瀬とのことで何か言われやしないかとヒヤヒヤしていたが、幸い誰にも話しかけられずに済んだ。
そもそも中高生ぐらいの人間はあまり来ていない。
みんな子供の頃は親や祖父母に連れられてやって来るが、大きくなるにつれて参加者は減っていく。格式ばった町の伝統行事に参加する十代が少ないのは仕方ないのかもしれないけど……。
俺は少しの寂しさを感じながら、神社の境内に設えられた舞台へと目を移した。
巫女舞の舞人はあやちゃんだった。
大ぶりな鈴を両手に持ってしずしずと舞うおしとやかな姿は、いつもの勝気なあやちゃんからは想像もつかない。
観客のざわめきも静まって、みんな、あやちゃんの舞姿に見入っているみたいだった。
静かな山の神社に、シャンシャンという清冷な鈴の音が響く。
鈴に沈みかけた夕陽が反射して、あやちゃんの姿がまばゆい金色の光に包まれていた。
やがて夜が更けて、空に白々とした大きな満月が昇ると――。
神社では町の人たちによる酒盛りが始まる。
そして限られた人間だけが残りの神事を執り行うために「聖域」へと向かうのだ。
限られた人間というのは、つまり楠ノ瀬家と高遠家の直系の人間ということである。
楠ノ瀬家と高遠家――昔は同じ氏族だったという二つの家が協力し、秋の満月の下で神様をもてなすのが祭の目的だ。
俺は慣れない装束と草履に苦労しながら、祖父さんと父さんの後について「あの場所」へと歩いていった。
もちろん楠ノ瀬も一緒だ。
緊張のためか、唇を固く引き結んでいる。
緋袴に千早を纏ったその姿は神々しくさえあり、声をかけるのも憚られた。
十一月の山頂は、清澄な冷気に包まれてひんやりと寒い。
俺は祖父さんの指示に従って薪をくべ、火を焚く手伝いをした。
甘い芳香を放つ泉の畔でパチパチと火が爆ぜる。焚き火の明かりが、翡翠色の泉を浮かび上がらせた。泉の真ん中には空に浮かぶ大きな月がゆらゆらと映りこんでいる。
俺たちは焚き火を取り囲むように胡坐を組んで座った。
火から少し距離を取る男衆を横目に、楠ノ瀬の婆さんが一歩前へ出る。
婆さんが腰を下ろし横笛を構えたのを合図に、儀式が始まった。
「あ…………っ」
笛の音に合わせて姿を現した楠ノ瀬の姿に、思わず声が漏れる。
――楠ノ瀬は、ほとんど何も身につけていなかった。
肌も透けるような薄い羽織をかろうじて一枚身に纏っているだけで、やわらかな体の線が丸わかりだ。
寒さのせいか、緊張のためか……楠ノ瀬の胸の先端はすでに固く尖っていた。
楠ノ瀬は月の光と焚き火の明かりに照らされながら、緩やかに動き始める。
素朴な笛の音に合わせて、まるで神を誘き出すかのように、くびれた腰と豊満な尻を淫らにくねらせた。
だんだんと笛の音のテンポが速くなるにつれて、楠ノ瀬の動きも激しさを増してゆく。後ろで束ねた長い黒髪が体の動きに合わせて左右に振れる。
恍惚の表情を浮かべて、ふるふると胸を揺らす楠ノ瀬の様子は、俺の上で乱れる時と全く同じで……。
俺は、自分の体が熱くなるのを感じた。
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