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お披露目
お披露目④
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人々が一斉に声のした方へと注意を向けた。そこは神社の奥――あの泉へと繋がる細い裏道の入口だった。
――その声には聞き覚えがある。
俺は恐る恐る顔を上げて、声の主を見やった。
「どうして、彼奴がここに……」
その声の正体に気付いた祖父さんが動揺したように言葉を震わせている。
俺たちが視線を向けた先には、一人の少年の姿があった。
――藍原朔夜だった。
下を向いているせいで長めの前髪が顔にかかっていて、奴の表情は伺えない。
――あいつは、何をしに来たんだ……?
大事な行事に横槍を入れた藍原の意図がわからなくて、俺と祖父さんは顔を見合わせた。祖父さんの目にも狼狽の色が浮かんでいる。
「高遠くんっ……!」
「楠ノ瀬……?」
藍原の背後から千早と緋袴に身を包んだ楠ノ瀬が姿を現した。
ずっと探していた彼女の無事を確認できたことに安堵すると同時に、疑問が頭をもたげる。
――なんで、楠ノ瀬があいつと一緒にいるんだ?
「っ……藍原! お前、まさか楠ノ瀬に……!?」
観月祭の夜、あいつが楠ノ瀬に襲い掛かったことが頭を過ぎって……俺は居ても立っても居られなくなった。
「理森っ……! 落ち着きなさい!」
俺は祖父さんが止めるのも聞かず、舞台を下りて、藍原の元へと走り寄った。
突然現れた闖入者に、町の人たちも再び不審の声を上げる。人々の好奇に満ちた視線が俺と藍原にまじまじと向けられていた。
「お前……ふざけんなっ! 楠ノ瀬に何かしてたら……許さねぇぞ!!」
藍原の両肩を強く掴んで、力の限り指を食い込ませる。
俺の問いかけに反応しない藍原にイラついて、奴の体を激しく揺さぶる。
「……ふっ、ハハ……ハ…………」
奴は俺を見ることもなく下を向いたまま、不気味な声を漏らした。
不自然に歪められた唇が血に染まったように紅い。
「っ……なに、笑ってんだよ……!」
俺が何を言っても、藍原はただ壊れた人形のように気味の悪い笑みを浮かべるだけだった。
「おい……何とか言えよ! お前、何しにここへ……」
藍原の胸倉を掴んで強引に顔を上向かせると、顔を隠していた前髪がはらりと左右に流れて、奴の目が露わになった。
「……嘘だろ…………なんで、お前が……」
俺が打ちのめされたように呟くと――。
その声を耳にした藍原は大きく目を見開きながら、長い舌を出してぺろりと唇を舐めた。唾液に塗れた唇がますます紅く濡れそぼる。
その禍々しい笑顔を直視できなくて、俺は思わず顔を背けた。
「理森、やめなさい!」
俺の後を追いかけてきた祖父さんが、俺と藍原の間に割って入る。
「君も何故ここにいる……」
藍原に顔を向けた祖父さんが言いかけた言葉を途中で飲み込んだ。
「…………そんな、」
言葉をなくした俺たちを――
藍原の青く光る二つの眼が面白そうに見つめていた。
――その声には聞き覚えがある。
俺は恐る恐る顔を上げて、声の主を見やった。
「どうして、彼奴がここに……」
その声の正体に気付いた祖父さんが動揺したように言葉を震わせている。
俺たちが視線を向けた先には、一人の少年の姿があった。
――藍原朔夜だった。
下を向いているせいで長めの前髪が顔にかかっていて、奴の表情は伺えない。
――あいつは、何をしに来たんだ……?
大事な行事に横槍を入れた藍原の意図がわからなくて、俺と祖父さんは顔を見合わせた。祖父さんの目にも狼狽の色が浮かんでいる。
「高遠くんっ……!」
「楠ノ瀬……?」
藍原の背後から千早と緋袴に身を包んだ楠ノ瀬が姿を現した。
ずっと探していた彼女の無事を確認できたことに安堵すると同時に、疑問が頭をもたげる。
――なんで、楠ノ瀬があいつと一緒にいるんだ?
「っ……藍原! お前、まさか楠ノ瀬に……!?」
観月祭の夜、あいつが楠ノ瀬に襲い掛かったことが頭を過ぎって……俺は居ても立っても居られなくなった。
「理森っ……! 落ち着きなさい!」
俺は祖父さんが止めるのも聞かず、舞台を下りて、藍原の元へと走り寄った。
突然現れた闖入者に、町の人たちも再び不審の声を上げる。人々の好奇に満ちた視線が俺と藍原にまじまじと向けられていた。
「お前……ふざけんなっ! 楠ノ瀬に何かしてたら……許さねぇぞ!!」
藍原の両肩を強く掴んで、力の限り指を食い込ませる。
俺の問いかけに反応しない藍原にイラついて、奴の体を激しく揺さぶる。
「……ふっ、ハハ……ハ…………」
奴は俺を見ることもなく下を向いたまま、不気味な声を漏らした。
不自然に歪められた唇が血に染まったように紅い。
「っ……なに、笑ってんだよ……!」
俺が何を言っても、藍原はただ壊れた人形のように気味の悪い笑みを浮かべるだけだった。
「おい……何とか言えよ! お前、何しにここへ……」
藍原の胸倉を掴んで強引に顔を上向かせると、顔を隠していた前髪がはらりと左右に流れて、奴の目が露わになった。
「……嘘だろ…………なんで、お前が……」
俺が打ちのめされたように呟くと――。
その声を耳にした藍原は大きく目を見開きながら、長い舌を出してぺろりと唇を舐めた。唾液に塗れた唇がますます紅く濡れそぼる。
その禍々しい笑顔を直視できなくて、俺は思わず顔を背けた。
「理森、やめなさい!」
俺の後を追いかけてきた祖父さんが、俺と藍原の間に割って入る。
「君も何故ここにいる……」
藍原に顔を向けた祖父さんが言いかけた言葉を途中で飲み込んだ。
「…………そんな、」
言葉をなくした俺たちを――
藍原の青く光る二つの眼が面白そうに見つめていた。
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