媚薬を盛られた私をいろんな意味で救けてくれたのは、大嫌いなアイツでした

スケキヨ

文字の大きさ
4 / 7

4. 何をする気だ?

しおりを挟む
*****

 リアムがシモンとその仲間たちに遭遇したのは昨日の夜だった。
 外交視察の打合せで遅くなってしまったリアムが自部署の執務室へと戻ると、男が四人ばかり居残っている。こんな時間まで残業していたのか、と驚いたリアムが労いの言葉をかけようと近づいてみると、男たちのコソコソとした会話が耳に入ってきた。

「そもそも、あの女は生意気なんだよ」
「まったくだ。成り上がりの商人のくせに」
「俺たちのような由緒正しい貴族に楯突こうなんて」
「一度、思い知らせてやらないとな」

 誰の話をしているかなんて、すぐにわかった。
 聞き覚えのある声はリアムたちの同期に違いない。
 リアムは物陰に隠れて、男たちの会話に耳をそばだてた。

「それにしても、シモンはあんな高飛車な女のどこがいいんだよ?」

 仲間から話を振られたシモンはフフンと鼻で笑ってから口を開いた。

「ああいう自信満々でお高くとまった女を泣かせるのが気持ちいいんじゃないか。それに、みんな気づいてないかもしれないけど、ミアって結構スタイルも良いんだよな。腰は折れそうなくらい細いのに胸は大きいし。普段はゆったりとした服を着ているからわかりにくいけど、馬術の授業のときなんか気になって仕方なかったんだ」

 たしかに馬術の授業では身体の輪郭に沿ったぴっちりとした服を着るから、ミアのくびれた腰やはちきれんばかりの胸元を確認することができた。
 それについては実のところリアムも気づいていたのだが、あらためて他の男の口から聞かされると、腹立たしいことこの上ない。

 ――どこを見てるんだよ!
 ――ミアが隠れ巨乳なことに気づいているのは俺だけでいいんだ!
 ――なんでお前まで気づいてんだよ!?

 シモンを罵る言葉が次から次へとリアムの脳裏に浮かんできたが、口に出すのはなんとか堪えた。

「まぁたしかに見た目は悪くないな」
「そういえばさぁ、この前、うちの御用聞きの貿易商が面白いクスリを売り込みに来たんだけど……」
「クスリ?」
「そうそう。なんでも異国の媚薬だとかで、すごい効果があるらしいんだよ」
「おい、まさかそれをミアに試そうっていうんじゃ……」

 物騒な話になってきたぞ、とリアムが息を呑むと、

「いいねぇ! 面白そうだ。ヤろうよ、みんなで」

 会話の内容にはあまりにも不釣り合いなくらい明るい声で、シモンが提案した。

「明日でいいんじゃない? ちょうど生誕祭だし。ミアのことだから、どうせ休みの日でもここに出てくるんだろうし。そうだな、場所は……」

 どんどん進んで行く計画話に、リアムは焦った。

 媚薬だって!?
 ミアに飲ませて何をする気だ?
 何って……そんなの決まってるじゃないか!

 リアムは気が気でなかった。ミアがこいつらに襲われるなんて考えただけでも胸糞が悪い。なんとしてでも、阻止しなければ……!

 そうして、リアムは生誕祭の日、休みだというのに朝早くから出勤して、ミアの安否を探っていたのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます

刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。

最強魔術師の歪んだ初恋

黒瀬るい
恋愛
伯爵家の養子であるアリスは親戚のおじさまが大好きだ。 けれどアリスに妹が産まれ、アリスは虐げれるようになる。そのまま成長したアリスは、男爵家のおじさんの元に嫁ぐことになるが、初夜で破瓜の血が流れず……?

出戻り令嬢は馭者台で愛される

柿崎まつる
恋愛
子どもが出来ないことを理由に離縁された伯爵令嬢ソフィ。やけ酒して馭者台に乗り込んだ彼女は、幼馴染のイケメン馭者セレスタンに抱きとめられる。狭い馭者台に重なり合う二人。多くの婿養子の誘いを断ってなお伯爵家で働き続けるセレスタンの抑えきれない想いが、ソフィを甘く翻弄してーー。

歳の差を気にして去ろうとした私は夫の本気を思い知らされる

紬あおい
恋愛
政略結婚の私達は、白い結婚から離縁に至ると思っていた。 しかし、そんな私にお怒りモードの歳下の夫は、本気で私を籠絡する。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。

汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。 元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。 与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。 本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。 人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。 そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。 「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」 戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。 誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。 やわらかな人肌と、眠れない心。 静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。 [こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

処理中です...