魔力で繋がる新世界!邪神にチートと寝取り魔法を与えられた俺は異世界でのんびりとスローライフを送ることにします

第三世界(うたかたとわ)

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第1章

第2話 巻き込まれ転移



 俺の目の前が真っ白に染まった直後に、荘厳なインテリアに彩られたどこかの大広間へと視界が切り替わる。


 そして俺は、複雑な召喚陣のような模様の上に30人ほどの学生服を来た集団と一緒になって、その場にたたずむことになった。多分、彼らが、異世界から召喚された勇者たちだろう。


 そして俺は邪神によって、それにこっそりと紛れ込まされたと……。


「勇者諸君!よくぞ、まいった!」


 白髪に白いヒゲモジャのいかにもRPG序盤に出てくる王様みたいな格好をした男が、羽織った赤いマントと両手を広げて俺達に鷹揚な挨拶を始める。そしてその王様の言葉に紛れて「異世界転移キタ!」「やべー」などの小さな声が、俺たちの集団に響き渡っていた。


「でもさ、あいつ誰?」


 異世界に召喚された者は全員が同じ学校のクラスメイトで制服姿のはずなのに、ただ一人、俺だけが部屋着の汚いスウェット姿だった。そして俺の姿を見た学生集団の中には「誰、あいつ?」「クラスメイトにあんな奴いた?」「もしかして、不登校の引きこもりじゃね?」などの小声も、ボソボソと行き交っている。


(邪神様。もう少し、ばれないように細工をしてくれませんかね。いきなり、不信感マックスですよ……)


 俺は無表情を装いながらそんなことを考えるが、周りの反応を見る限り、どうやら誰も俺のことをおっさんだと言う者はいないようだ。むしろ俺は、彼らと同い年のように扱われている。しっかりと若返りを果たしていることが確認できた俺は、ひとまずは安堵をすることにした。


「それでは勇者の諸君。ステータス鑑定の儀を執り行う!」


 さて、何やらこれから召喚された者たちのステータス鑑定が執り行われるらしい。どうやら、俺が生き残るための最初の関門が来たようだ。俺はこの状況を、どうやって切り抜けるかを考えることにする。


 そして、ステータス鑑定の儀を執り行うと称された俺達はぞろぞろと、別室ヘと移動させられることとなった。俺達が連れて行かれた広間の奥には、手のひらに乗るくらいの大きさの水晶玉が設置されているのが見える。きっとあれがステータスを鑑定する道具なのだろう。


 さらには、その水晶玉を見下ろすようにして、部屋の最奥には女神像が設置されていた。王様達の口ぶりから、どうやらあの石像が創造神らしい。この世界の創造神は女神のようだ。


 とりあえず俺はステータス鑑定の儀を受ける前に、自分のステータスを確認してみることにした。頭の中で念じてみると、目の前にステータスボードが現れる。他の人には見えない、便利仕様のようだ。


 俺の目の前に現れたステータス画面には、以下のようなステータスとスキルが表示されていた。


 ステータス

 ナナシ
 種族:魔王

 HP 100
 MP 100
 力 5
 体力 5
 器用さ 5
 素早さ 5
 魔力 5
 精神 5

 所持スキル

 異世界言語
 異世界の言葉が理解できる

 アイテムボックス時間停止機能付き
 アイテムを異空間に保存できる。異空間内では時間が進まない

 異世界辞典
 異世界のことを何でも調べられる

 寝取りスキル

 創造魔法


 どうやら俺の名前は、邪神によってこの世から抹消されたようだ。これは、邪神の使徒になったことを実感させられる。さらには、俺の種族や所持スキル一覧がとんでもないことになっていた。邪神が色々とサービスをしてくれたらしい。しかし、このステータスを周りの人間に見られるのはまずいな。目立ってしまう。


 とりあえずは俺は、ステータスを鑑定される前に創造魔法を使って自分のステータスに隠蔽をかけてみることにする。幸いなことに、俺が使いたいスキルを思い浮かべると、勝手に使い方が頭の中に浮かんでくるようであった。これは、まさにチートスキルだ。


 俺は周りの様子をうかがいながらも、自分のステータスに隠蔽を掛けていく。


 アマネ・テンゴク
 種族:人間

 HP 100
 MP 100
 力 5
 体力 5
 器用さ 5
 素早さ 5
 魔力 5
 精神 5

 所持スキル

 なし


 俺は、この世界ではアマネと名乗ることにしよう。ステータス欄に自分に名前をつけて一通り俺のスキルを隠し終わると手持ち無沙汰になった俺は、やたらと巨乳が強調されるように美しいポーズを象った女神像の目の前に設置されている、大きな水晶玉に向かって異世界辞典のスキルを使ってみることにする。


 異世界辞典の効果はいわゆる鑑定スキルだ。俺のステータスを鑑定される前に、あの水晶がどのような装置かを理解しておきたいからな。


 ステータス鑑定の水晶

 ステータスを鑑定し、周囲に公開するための魔道具。粗悪品のため創造の女神によるスキルにのみ対応。邪神が作ったスキルには非対応である


 俺が異世界辞典のスキルを水晶玉に向かって使うと、目の前に水晶玉に関する簡易的な説明文が出てくる。どうやら、この文字が見えるのも俺だけのようだ。俺の周りにいる学生の様子に変化はない。みんな思い思いに、異世界転移についての夢を熱く語り合っていた。俺は周りの観察もほどほどに、さっそく目の前にある水晶玉に関する情報を読んでいく。


 どうやら異世界辞典の説明によると、この魔道具は邪神に与えられたスキルに対しては非対応らしい。でもこの説明では、俺のステータス鑑定がどういった結果になるか分からないな。


 非対応故のバグで、メチャクチャになった文字が表示されるという展開もありえる。そうなれば俺は周りに変な注目を受けかねないし、文字化けした何かが表示されたら、それは邪神の使徒だなんて言い伝えがこの城にあるかもしれない。


 だから念には念を入れて、俺は創造魔法でステータスの隠蔽をして正解だったようだ。そう考えた俺は静かに、ステータス鑑定の儀とやらが始まるのを待つことにする。


「おお!これは!」


 俺がそうこうしている内に、最初のステータス鑑定の儀が執り行われることになった。黒髪でほんわりとした雰囲気の女の子が恐る恐るといった様子で水晶玉に触れると、水晶玉が光り輝いた後に、本人のステータス一覧が空中に浮かび上がってくる。どうやらあれが、ステータス鑑定の儀によって周りに公表される能力値のようだ。


 ステータスが書いてある文字はこの世界の文字らしく、俺が見たこともない文字であったが、異世界言語のスキルのおかげかスラスラと読むことができる。


 そして空中に浮かび上がった異世界の文字には、以下のようなことが書いてあった。


 ルナ・イチノセ
 種族:ハイヒューマン

 ステータス
 HP 100000
 MP 50000
 力 80000
 体力 80000
 器用さ 30000
 素早さ 20000
 魔力 30000
 精神 80000

 所持スキル
 破壊サレヌ者
 一定時間、無敵の防御力を手に入れる能力

 破壊スル者
 一定時間、無敵の破壊力を手に入れる能力

 雷影ヲ纏イシ者
 一定時間時、無敵の素早さを手に入れる能力
 雷電系魔法の極意を覚える
 影魔法の極意を覚える

 アイテムボックス
 異世界言語


(は……?)


 ステータス鑑定の儀によって浮かび上がった、ルナ・イチノセさんのステータスを見て、俺は唖然とすることになる。HP10万って何?俺のHP100しかないんだけど。


(やだ……俺のステータス、低すぎ……)


 俺のステータスはRPGの序盤みたいにオール5なのに、ルナ・イチノセさんのステータスは全部の数値はなんか五桁を超えてる。何あれ、バグってない?


(何すか。体力80000って!?……邪神さん……聞いてた話と違うんですけど!)


 俺の悲しみをよそに、無情にも次々と高校生たちへのステータス鑑定は行われていく。そしてそのどれもが、驚愕に値するものばかりであった。


 ソラ・イチノセ
 種族:ハイヒューマン

 HP 80000
 MP 50000
 力 80000
 体力 75000
 器用さ 60000
 素早さ 60000
 魔力 50000
 精神 80000

 スキル
 我ニ貫ヌケヌモノナシ
 すべてを次元ごと切り裂く能力
 魔力により刀を作り出すことが出来る

 時空ヲ抜ク者
 時空系魔法の極意を手に入れる

 免許皆伝
 刀術の極意を手に入れる

 アイテムボックス
 異世界言語


 アヤノ・ミチミネ
 種族:ハイヒューマン

 HP 50000
 MP 80000
 力 20000
 体力 25000
 器用さ 100000
 素早さ 100000
 魔力 80000
 精神 60000

 スキル
 盗賊ノ右腕
 罠解除、斥候、探索スキルの極意を手に入れる

 女神ノ左腕
 全てのケガ、病気を一瞬で癒す

 忍術マスター
 忍術の極意を手に入れる

 アイテムボックス
 異世界言語


 なんか高校生のみんな、すっごい強いんですけど。てか、創造神からもらったスキルって、全部ああいうのなの?邪神さんはチャチなスキルとか言ってたけど、全部、中二病系のやばいスキルばっかだし。


(てか、俺と勇者のみんなのステータスの差がひどすぎる。邪神さん、そんなの聞いてませんよ!)


「次、最後!そこの汚い身なりの少年。君だ!」


 俺が焦りながら心の中で邪神に文句を言っている間に、俺以外の全員のステータス鑑定が終わってしまう。どうやら俺のステータスを、スキルによって偽造し直す時間はもうないらしい。


 勇者召喚をされた高校生は、余すことなく全員チート能力を持っていた。戦闘が苦手そうな子はありがたいことに、皆が生産系チート能力者という徹底ぶりですらある。


 そして、ステータス鑑定を行っていないのは俺だけだ。


「結局、誰なのあいつ?」


「さあ?近所の引きこもりじゃね?コンビニに行く途中に、巻き込まれ召喚されたみたいなやつ?」


「巻き込まれってことは、あいつが一番チートかもな!」


 ただ一人クラスメイトの集団に紛れ込んだ見知らぬ俺を、制服姿の高校生全員が好奇の目で見つめている。俺はいたたまれない気持ちになりながらも、意を決してステータス鑑定の儀に参加するのであった。



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