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第2章
第24話 新たな国
俺は今、街道を真っすぐと進み、シュネーゼルの街があるイスタリア王国を抜け、その隣にあるドルドル獣王国にまでやってきていた。
ドルドル獣王国は獣王によって統治がされている、主に獣人が住む国だ。
シュネーゼルの街でも獣人は割と見かけたが、やはり本場の獣人の国を旅してみないとな。
獣と人の性質を併せ持つ獣人には、強い者を尊敬するという風習がある。だからドルドル獣王国には、強い戦士が集うという評判があった。
ドルドル獣王国の王都には有名なコロシアムがあり、そこでは毎日のように闘技会が開かれている。風のうわさでその話を聞いた俺は、旅の最初の目的地として獣王国の王都を目指してみることにした。この世界の実力者がどういうものなのかを、知るにはもってこいだ。
異世界でダンジョンを経営する予定の俺には、こういうリサーチも欠かせない。
というわけで、無事に国境を超えることができた俺は、ドルドル獣王国の街道を馬車で進んでいく。
「こんにちはー」
「人族か。どうした?」
さっそく俺は、第一ドルドル獣王国民と街道で出会うことになった。
彼女の名前はネネムゥというらしく、きれいな白色の髪に白色の瞳をしていて、頭の上にケモミミが生えている。身長は150センチメートルくらい。彼女はシュネーゼルの街で幾度も見かけたことのある獣人とは違い、珍しい毛色をしていた。
そのことが気になった俺は、ネネムゥに質問をしてみる。すると、面白いことを知ることができた。彼女は先祖返りをした幻獣種という、すごく珍しい存在らしい。
ネネムゥの毛並みが白いのは、彼女に古代フェンリルの血が混じっているからなんだそうだ。
また、俺がネネムゥに今何をしているのかを聞くと、彼女は近くに住む狼人族の村に住んでいて、最近村の畑を荒らしているモンスターを退治しに向かう途中だと俺に教えてくれる。
俺はせっかくだし、ネネムゥにモンスター退治の助力を買って出ることにした。フェンリルの獣人である彼女の実力が、どんなものなのかを見てみたい。
それにネネムゥが住んでいる村では近々祭りが開かれるらしく、行きがけの駄賃に、俺もその村祭りに参加してみたいと思ったからだ。
よそ者が村祭りに参加させてもらうための手みやげには、村を困らせているモンスター退治がぴったりだろう。
見知らぬ俺が急に助力を買って出たことに疑いの目を向けてきたネネムゥであったが、彼女の戦いを邪魔しないということを条件に、俺は同行を許可されることになる。
「グオオオオオオオオオオ!」
森を少し進み出くわしたのは、俺の身長よりもデカイ図体を持つ、体長3メートルほどのイノシシのようなモンスターであった。フォレストボアーという名前らしい。
フォレストボアーは口の両端から長い牙が生えていて、それを振り回すことで獲物に攻撃をしてくる。また、フォレストボアーの鼻は硬く丈夫で、その鼻と巨体を利用した突進攻撃にも要注意だ。
――バキバキバキ!
「すごい威力だな!」
「アマネ!絶対にアレは食らうなよ!」
俺たちを獲物と見たフォレストボアーの突進攻撃をかわすと、モンスターの進路上にあった木々が数本簡単になぎ倒されることになる。すごい破壊力だ。あれを食らったら、ひとたまりも無いだろう。
俺とネネムゥは二人まとめて攻撃のマトにならないようにと、散開をしてターゲットを分散しながらフォレストボアーに攻撃をしていくことにした。
今回の俺の攻撃方法は、ロックバレットを利用した牽制と目くらましに専念をしている。ここでいきなり、とんでも兵器を披露することもないだろう。そんな破壊力抜群な武器を持っていたら、逆に警戒をされてしまうからな。それに今回の戦いの主役は、獣人の幻獣種であるネネムゥだ。
ネネムゥの戦い方を観察すると、彼女は野性的でダイナミックな攻撃を繰り返している。ものすごくかっこいい。彼女は本当に、素晴らしい戦士のようだ。
ネネムゥがフォレストボアーに飛びかかったと思ったら、剣で斬りつけると同時に一瞬で飛び退き、敵の牙攻撃を難なくかわして地面に着地する。多分、ネネムゥ一人でもモンスターを退治することができただろう。
俺はネネムゥが攻撃しやすいようにと、ロックバレットを使って、フォレストボアーの集中力を削る牽制をチマチマと続けていった。
そしてしばらくすると、ネネムゥがフォレストボアーにとどめを刺すことになる。
「ありがとう。助かったよ、アマネ」
「こちらこそ。ネネムゥはすごい戦士なんだな」
戦いを終えた俺たちは、お互いに握手を交わす。倒したフォレストボアーであるが、俺のアイテムボックスに入れて、ネネムゥが住んでいる村へと運ぶことになった。
アイテムボックスのスキルはレアスキルではあるが、この世界ではものすごく珍しいスキルというものでもないので、特に驚かれるわけでもなく、俺はネネムゥの先導で彼女が住んでいる狼人族の村へと向かうことになる。
村にたどり着き、俺がアイテムボックスにしまったフォレストボアーを広場で披露すると、村は興奮に湧くことになった。
フォレストボア-は普段はもっと森の奥に住んでいるモンスターで、今回のように村の近くになど出現モンスターではないらしい。
しかも警戒心も強く、フォレストボア-の痕跡を見つけて追いかけるのにも一苦労だと知った。俺は今回、過去に作ったマップスキルを使ってお手軽にフォレストボアーを索敵したが、本来ならば奴を探して森の中をたくさん歩き回らなければならないそうだ。
ネネムゥと一緒に森を歩き、簡単にフォレストボアーを見つけてしまった俺は村人から探し方のコツを教えてほしいとお願いをされたが、マップスキルを使ったなんて言えるわけもなく、たまたま運が良かっただけと言ってごまかしておいた。
さらには、フォレストボア-は警戒心が強いくせに戦闘力も高く、獣人の強い戦士でも正面から戦うにはものすごく手こずるほどのモンスターだと村の人から教えてもらう。
そのフォレストボアーが最近村の畑を荒らすようになり、狼人族の村人は困り果てていたと。
ネネムゥは今回正面から戦って簡単に倒していたが、今まではフォレストボアーを見つけることができずにいたため、村人の間ではどうやってフォレストボアーを退治するかが悩みのタネだったそうだ。
結果、ネネムゥと協力をすることでフォレストボアーを退治した俺は、村人から歓迎をされることになった。
そして、狼人族の村の村長から村の外れにある来客用の小屋を自由に使っていいと言われた俺は、村祭りまでの期間滞在の許可をもらうことになる。
フォレストボアーのお肉も今から加工して、村祭りでみんなに振る舞われることに決まったようだ。
主に俺はサポートだけで戦ったのはネネムゥだし、戦利品はすべて彼女に譲ることにしていた。そしてネネムゥは元々、村人全員にフォレストボアーのお肉を振る舞うつもりだったらしい。
「さて、村祭りまでの数日間、何をして過ごそうかな?」
こうして俺の異世界生活に、新たな国で、新たな出会いが始まったのである。
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