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第2章
第26話 ネネムゥ寝取り計画
「――てめえ。色々と嗅ぎ回ってるみたいだな?」
生贄の儀式について村の中を調べていると、俺は変な獣人に絡まれることになる。茶色い髪に狼の耳を生やした、チャラチャラとした雰囲気の男だ。
なにやら彼は、生贄の儀式について調査する俺のことが気に入らないらしい。村人の皆はあくせくと祭りの準備をしている中、不良獣人のような輩が、よそ者の俺に対してヘラヘラと笑いながら近づいてきていた。トラブルの発生だ。さて、どうしよう。
「やめるんだ!ギャギン」
しかし、俺が身構えていたところに、たまたま近くを通ったネネムゥが割り込んできてくれる。よかった。ちょうど、ネネムゥを探していたところだ。
さらに、彼女が割り込んできてくれたことで、俺は変な村人とも余計なトラブルを起こさずに済む。
どうやら俺は、ネネムゥに助けてもらえたようだ。
「ネネムゥか。……村長の息子である、俺に歯向かっていいのか~?」
俺に絡んできたギャギンという男が、得意げな顔でネネムゥ相手にいきり立っている。どうやらギャギンは、村長の息子という立場を利用して普段から悪さを働いている人物のようだ。そして、色々と生贄の儀式について村人に聞いて回っている俺に、彼は絡んできたと。
普段から村の人たちとトラブルを起こす村長の息子と関わりたくないのか、周りにいる獣人たちは、俺たちと目を合わさないように避けている。
「お前が生贄になって死んだあとに、ワンタをボコボコにしてやってもいいんだぞ?」
「……くっ」
なにやら、俺の知らない話題がまた出てくる。とりあえず聞きたいことはたくさんあるが、俺は情報を整理するために、そのまま二人の成り行きを見守ることにした。
「お前が生贄になったあとじゃ、俺がワンタに何してもネネムゥは何もできないもんな!」
「やめてくれ!」
二人の会話を聞いたところ、どうやらワンタというのはネネムゥと仲の良い幼なじみで、ネネムゥが生贄になったあとに彼を傷つけると脅すことで、ギャギンは彼女を言いなりにしようとしているらしい。
「そうだ。どうせ死んじまうんだし、ネネムゥの体を好きにさせてくれるなら、お前が生贄になったあとに、俺が弱っちいワンタを守ってやってもいいぜ!」
「……本当か?」
ついには村長の息子が舌なめずりをしながら、下衆なことを言い始める。ギャギンはネネムゥの体をどうするかで興奮しきっており、完全に俺はこの場で蚊帳の外になってしまっていた。あと、ネネムゥ。悪いけど、ギャギンの言ってることは絶対に嘘だぞ。
どうやらネネムゥにとって、幼なじみのワンタは余程に大切な存在らしい。ギャギンにこうやって、脅しの材料にされてしまうくらいだしな。
しかし、俺がそんな考察をしていると、俺の頭の中に寝取りスキルの警告が鳴り響くことになった。
(――寝取りチャンスです。寝取りますか?)
「へへ。付いてこいよ」
「……わかった」
寝取りスキルが発動しているということは、ネネムゥの幼なじみのワンタにも何か裏があるのかもしれない。これは、調べてみる必要がありそうだ。
でもその前に、ネネムゥのことを助けてあげなくては。気がつくと二人は、ひと気がない場所に移動をするために、俺から離れ歩きだしてしまっていた。
俺が立っている位置から少し離れた場所に、すっかりギャギンに騙されてしまったネネムゥがおとなしく彼の後ろをついて歩いている姿が見える。さすがに、あれは止めないとまずいだろう。
せっかくだし、俺は無傷での制圧用にと開発していたスタンピストルをアイテムボックスからこっそりと取り出すと、ギャギンを実験台ついでに無力化してみることにした。
……プシュ!
「ぐわあああ!」
――バリバリバリ!
スタンピストルは雷の魔法陣を刻んだ特殊弾を発射する、命中精度を重視した小口径の銃だ。スタンピストルに込められた電撃弾が対象の体に着弾すると、中枢神経を傷つけない程度に強烈な電流を流す魔法が発動する。その攻撃によって、対象を無力化するのだ。
スタンピストルは、暴漢をなるべく傷つけずに拘束するための銃として開発した。よそ者の俺が、村長の息子を怪我させたら正当防衛であっても確執が生まれるからな。すでに俺は、この村の村長を敵として扱うことにしている。
俺が構えたスタンピストルから発射された特殊弾が水平に飛んでいき、見事に、俺の存在など忘れてネネムゥを連れて歩いていたギャギンの背中に命中することになる。
結果、俺のスタンピストルを背後からくらったギャギンが、わけが分からないといった様子で地面に倒れ伏した。俺はその隙に、ネネムゥをその場から遠くに連れ出す。
「……私が生贄になれば、みんなが助かる」
落ち着いた場所に移動したあと、俺はネネムゥに生贄を要求するような魔物など近くにいないことを伝えてみる。だがしかし、彼女は俺の言葉をまったく聞き入れてくれない。
まあ、言葉で単純にそんな魔物はいないと説明しただけでは、納得も何もないよな。それで魔物はいないんだと安心するようでは、危機管理がザルすぎる。
どうやら俺は嘘をつくことで、これから生贄になるネネムゥを助けようとしていると、彼女から思われているようだ。
「それに、もし本当にアマネの言うとおりに魔物がいないなら、私が生贄の儀式に差し出されても無事に帰ってこれる」
たしかに、ネネムゥの言うとおりに魔物がいないのなら、生贄の儀式に参加しても彼女は無事に帰ってこれるだろう。この狂言を仕込んだ黒幕がいなければの話だが。
しかし、ネネムゥにそう言われてしまっては、俺にはどうにもできない。彼女は村の人々を救う使命感にかられて、すでに自ら犠牲になろうと覚悟を決めてしまっていた。いくらよそ者の俺が説得をしても、ネネムゥは行動を変えないだろう。
「村の中で一番強い私なら、デスマーダーウルフを倒せるかもしれない。だから、私が生贄になるのが一番いいんだ」
出会ったばかりであるが、俺はネネムゥの性格や人となりに惹かれていた。だから俺はどうしても、計略に巻き込まれて自らを不必要に犠牲にしようとしてしまっている彼女を助けたい。
でも言葉だけでは、ネネムゥを救うことはできない。俺が彼女を助けるためには、寝取りスキルを使うしかなかった。
相手の体に快感を与えると、こちらへの好感度が上がるという寝取りスキルの効果を使い、俺がネネムゥの体に快楽を与えることで俺の言葉を信頼してもらうしかない。生贄の儀式は、数日後に迫っている。
(さて、どうやってネネムゥを堕とそうか……)
俺はネネムゥを生贄にするという計画を阻止するべく、彼女を堕とすための行動を開始するのであった。
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