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第3章
第49話 高校生たちの変化
ソラ視点
私たちが部屋に戻ると、シズネが火照った顔をしてベッドにぐったりと寝転んでいることに気づく。そしてなぜか部屋の中は窓が全開になっており、換気をして室内の空気を入れ替えている途中だった。
「……ちょっと♡……運動したら♡……疲れちゃって♡」
私たちが彼女に何があったのかを質問すると、シズネは甘い声でモジモジとしながらベッドに寝転んだまま私たちに理由を教えてくれる。
そして彼女がなにを思い出してしまったのかは知らないが、突然私たちの質問に答えたあとに恥ずかしそうに顔をまくらにぎゅっと押し付けると、そのままうつ伏せの状態で足をバタバタと動かしていた。
なんだかよくわからないが、今日のシズネはめちゃくちゃにかわいい。
彼女が寝転んでいるベッドの、取り替えられたばかりの真新しいシーツが清潔で気持ちよさそうだ。
シズネの体をよく見ると、まだ運動をしたばかりなのかしっとりとした汗をかいており、運動後に残った熱でホワホワと蒸れて火照っていた。
さらに彼女は疲れ果ててしまったかのように、全身をぐったりと脱力させながらベッドに寝転んでる。どうやら、シズネはよほどに激しい運動をしたようだ。
がんばり屋さんの彼女は、きっとなにかの運動をハリキリすぎてしまったのだろう。そう思った私は、シズネをねぎらうことにした。
「シズネ、おつかれ!今度は私も、その運動に付き合うわ!」
「……えーっとね♡……ソラ♡……それはちょっと♡……恥ずかしいかも♡」
しかしなぜか、私は一緒に運動することを彼女に断られてしまう。みんなに隠れておこなう、秘密の特訓ということなのだろうか。
まあ、どんな運動をしたのかはわからないが、シズネがしあわせそうだからそれで良し。
きっと彼女は激しい運動をして体が熱くなってしまったから、窓を開けて部屋の換気をしていたのね。
「あれ?シズネ。首のところに、赤いシミができてるよ。虫さされかな?」
「――ひゃぁ♡――そ、そうかもぉ♡」
そして近くで話したときにシズネの白くてきれいな首もとに赤くて丸いシミができていることに気づいた私は、そのことを彼女に指摘してみる。
すると私の言葉を聞いたシズネは、すごくびっくりして飛び起きたあとに鏡で自分の姿を確認していた。
右の鎖骨のあたりにできた赤くて丸いシミを鏡で確認した彼女は困ったような顔をしつつも、なにかを思い出したのか急に表情をうっとりと火照らせている。
そんなシズネの様子をポッーっと観察していると、私の目の前でニコニコ顔のルナが彼女に近づき何やら耳打ちを始めた。あら、なんの内緒話かしら。
「シズネ。ふとももに、白いのが濡れてるよ?」
「――えっ!――えっ!――うそっ!?――やばい!」
私に聞こえないくらいに小さな声で、ルナがシズネになにかを伝えている。するとルナの耳打ちを聞いたシズネは、すごくあわてながらスカートを両手で押さえて必死になにかを隠していた。
「ごめんね~。見間違いだった~。どうしたの?そんなに慌てて」
「……そ、そうか~♡……えへへ♡……何でもない♡」
謝りながらなにかを勘違いしたと伝えるルナの言葉に、シズネが顔を真っ赤にして照れたように返事をしている。
(……シズネはすごいあわてようだったけど、ルナから服に虫がついているとでも言われたのかしら?)
ルナの勘違いだったという言葉を聞いて安心するシズネの姿を見て、私はそんなことを思った。
「シズネ~。気持ちよかった~?」
「……え?……な、なにかなぁ♡……なんのことぉ♡」
ルナがいつものようにほわほわと笑いながら、シズネにまた小さな声で話しかけている。なにやら、彼女たちは楽しそうだ。
ルナとシズネが漫才するように話す光景を微笑ましく見守りながら、私はのんびりとベッドに腰掛けることにした。
(そういえばアヤノの姿が見えないけれど、ジュースでも飲みに行ったのかしら?)
私はふとダンジョンから帰ってきてすぐなのに、いつのまにかアヤノの姿が部屋の中から消えてしまっていることに気づく。なんだか昨日から、彼女の様子が変だ。
「……ごめんね♡……ちょっと♡……えへへ♡……外に出てた♡」
そしてしばらく時間が経つと、アヤノがやたらとスッキリした顔になって私たちのもとに戻ってくる。
なんだかおかしなことが続くけど、こうして私たちの一日が過ぎていった。
そして夜になり、今日はルナと相部屋になった私は一日の疲れを取るためにフワフワのベッドに潜り込む。
(……あれ、ルナ?)
しかし夜遅くになって、ルナがこっそりと部屋の中から抜け出していくことに私は気づいた。どうやら彼女は、すでに私が眠ったと思っているようだ。
そーっと物音を立てないように準備をすると、そのままルナは部屋を出ていってしまう。
(夜食でも、食べに行ったのかしら?)
きっとルナは小腹がすいて夜食でも食べにいったのだろうと思った私は、彼女の行動を特に気にすることなくそのまま眠りにつくことにした。
でもそれは、大きな間違いだった。
「――ちょっとルナ!――あんたそれ、どうしたのよ!」
次の日になって私は、ルナの衝撃的な変化に出くわしたからだ。
白く透き通った美肌をしているルナの小顔が、今日の朝はいつもよりさらにツヤツヤとしていてみずみずしい。朝から彼女のもちもちな素肌が、とてもうるわしくなってきれいに整っていた。
そしてなにやらおかしいのが、ルナがやたらとご機嫌なことだ。きっと彼女が昨日食べた夜食が、よほどに美味しくて美肌によい食べ物だったに違いない。
だってルナの笑顔が、普段の何倍もニコニコと光り輝いているもの。
「……うふふ♡……なんでもないよ~♡」
必死に何があったのかを問いつめる私に向かってふわふわと笑いながら、昨日よりも美肌になったルナがとぼけている。もう、何があったっていうの!?
しかも私がいくら昨日の夜になにをしていたのか聞いても、彼女はごまかして絶対に教えてくれない。
そのことが悔しかった私は、なんとか秘密を聞き出そうとして彼女に質問を続けていく。
私もルナが実践した美肌ケアの方法について、ぜひとも知りたい。だって双子の姉なんだから、私にも絶対に効果があるもの。
「ぐぬぬ。ルナ!昨日の夜食に、なに食べたの!教えなさいよ!」
「……えへへ♡……硬くて♡……それと♡……ヌルヌルしてるやつ~♡」
「……うーん。なんだろ?」
ルナが少しだけ教えてくれた夜食の秘密を聞いて、よくわからなかった私は結局うやむやにされてしまう。硬くてヌルヌルしてる美肌にいい食べ物って、オクラかしら。
なぜかわからないが双子の姉としても乙女としても、私は妹になにか決定的な差をつけられてしまったようだ。なんとなく、そう感じた。
まあ、この謎はおいおい調べるとして、気持ちを切り替えて今日もダンジョンに潜ることにしよう。
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そして私たちは準備を終えると、ダンジョンを探索するために宿屋を出発する。
「よーし!今日も、和風迷路ダンジョンにいくわよ!」
「……ちょっとルナ。あんたも結局、アマネとしちゃったの?」
「……えへへ~♡……すごかった♡」
「……あの♡……その♡……実は私も♡……昨日しちゃった♡」
「それは知ってる」
「――えっ!?」
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