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第4章
第61話 フリードニヒ8世ちゃん
「どうしたのかしらん♪」
椅子から立ち上がり、あ然としたまま動かない俺に向かって侵入者が陽気な声をかけてくる。
俺の目の前には、ピンク色のフリフリした魔法少女のドレス姿に、白いハイソックスを膝上まで持ち上げた、身長二メートルを超える筋骨隆々の大男が立っていた。
彼?彼女?、いや、フリードニヒ8世ちゃんと呼ぼう。
フリードニヒ8世ちゃんはピンク色のショートパーマな髪にピンク色の瞳をしていて、魔法少女の服姿でかわいいスカートをヒラヒラとなびかせている。
そんなフリードニヒ8世ちゃんが着ているドレスの胸元には、バルクアップされた大胸筋がはち切れんばかりにその存在を露骨に主張していた。
さらには白いハイソックスによって強調されたフリードニヒ8世ちゃんの絶対領域には、ガゼル並みの瞬発力を発揮しそうな大腿四頭筋がバキバキに力強く隆起している。
「同じダンジョンマスター同士♪あなたとは、一度、お話してみたいと思っていたの♪」
真に恐ろしいのは、彼女の戦闘能力だ。俺がいままで出会った人物の中でぶっちぎりに強いレーネが人化を解いて古龍の姿になっても、フリードニヒ8世ちゃんはワンパンで倒すだろう。
おぞましいほどに濃く狂気的な魔力を身にまとったフリードニヒ8世ちゃんを前に、俺はまったく身動きが取れなくなってしまっていた。
「あの、これ、どうぞ……」
苦しすぎる威圧感に耐えきれなかった俺はアイテムボックスからTSポーションを取り出すと、フリードニヒ8世ちゃんにプレゼントする。
俺がフリードニヒ8世ちゃんに渡したこのTSポーションは完成品で、これを飲むと完全に性別を変えることができる逸品だ。
「あら♪話が早いわね♪」
そして、俺から手渡されたポーションの中身を確認することもなく、フリードニヒ8世ちゃんはポーション瓶の中身を一気に飲み干した。
すると全身からまばゆい光を放ちながら、フリードニヒ8世ちゃんが魔法少女の変身シーンのようにクネクネと軽快に踊りだす。
そして強烈な白い光が収まった宿屋の室内には、身長140センチメートルほどの少女がひとりポツンと立っていた。
ピンク色の髪をツインテールにして、ピンク色の魔法少女ドレスをフリフリと揺らす、ピンク色のかわいい瞳をクリクリとさせた、真のフリードニヒ8世ちゃんがそこには存在した。
どういう仕組みかわからないが、彼女が身につけていた魔法少女のドレスがいまの小さいフリードニヒ8世ちゃんの姿のサイズにピッタリと変形していて、彼女の体を美しく着飾っている。
フリードニヒ8世ちゃんが足に装着した白のハイソックスの隙間から見える絶対領域が、素晴らしくスベスベしてそうで瞳に心地いい。
さらには彼女が着ているピンク色のドレスの胸元をやわらかく強調する、Gカップなお胸が素晴らしくセクシーである。
「……悪夢が……終わった」
突如、魔法少女の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちる。
かわいい魔法少女に生まれ変わった自分の姿を確認し終わったフリードニヒ8世ちゃんが天井を見上げると、感極まりながら言葉をつぶやいていた。
……
……
……
その後、一緒に食事をしながら魔法少女に生まれ変わったフリードニヒ8世ちゃんの話を詳しく聞くと、彼女は創造神によってこの世界に転生させてもらった元アラサーでOLの女の子らしい。
この世界に転生するときの条件として、彼女が遊んでいるMMORPGのキャラにしてほしいと創造神にお願いをしたところ、なにかの手違いで、彼女はかわいい魔法少女のメインキャラではなく、筋骨隆々のサブキャラにされてしまったようだ。
しかも、ネタキャラとして運用していたサブキャラの最強装備である魔法少女服姿でこの世界に転生させられたことで、フリードニヒ8世ちゃんは一時期、荒れに荒れていたそうだ。
そして気晴らしにモンスターを駆逐しまくっていたところを邪神さんに声をかけられたことをきっかけに、彼女は現在ダンジョンマスターとして生計を立てることになった。
フリードニヒ8世ちゃんのダンジョンはカマーランドという名でこの世界の正式な国として独立しており、滞在型ダンジョンの製作を目指す俺にとって理想的なモデルケースであることを教えてもらう。
そんなカマーランドの最大の産業として世界中に知られているのは、カマーフェスティバルという名称で年に数度開かれる、自主制作本の即売会だ。
カマーランドに本部がある即売会ギルドに登録した各国のサークルが、年に数度のカマーフェスティバルに参加して、各々が自主制作した薄い本の販売をこぞっておこなっていた。
ちなみに、次回開催されるカマーフェスティバルの参加サークルによる見本カタログがすでにできあがっているらしく、俺はフリードニヒ8世ちゃんにそれをプレゼントしてもらうことになる。
これはぜひ、全力で参加せねば。
特に規制もなく、自由な表現と愛を描き込むことができるカマーフェスティバルは、毎回必ず即売会に参加する熱心なファンが各国に大量に存在している大きな祭りだ。
そして各国の紳士淑女たちが薄い本を大量に、カマーフェスティバルで買い込んでいく。
しかし、祭りの規模も大きくなってくると、それに首を突っ込んでくるやっかいな存在もでてくるということでもある。
カマーフェスティバルにおいて最も有名な逸話が、ルベルスキア聖王国とのあいだに開かれた戦争だ。自由な表現の本を世界中にばらまくカマーフェスティバルに対して、禁欲と節制を掲げるルベルスキア聖王国がブチギレたのだ。
そして、創造神を奉る宗教の総本山と大教会が聖王国にあるのをいいことに、創造の女神から神託がおりたという大義名分を掲げて、ルベルスキア聖王国がカマーランドに侵攻を開始した。
世界の秩序を守るという大義名分を掲げた戦争に必ず勝利を収めたいルベルスキア聖王国が戦争に送り出したのは、聖騎士ミエーテルと清乙女ローズマリアという、ルベルスキア聖王国の象徴とも言える二枚看板の女性であり、最高戦力だった。
しかし、ルベルスキア聖王国を勝利に導くためにカマーランドに向かったはずのミエーテルとローズマリアが戦地にて突然「真の愛に目覚めた」と宣言すると、そのまま彼女たちはカマーランドに寝返ってしまう。
この世界において列強国であるであるルベルスキア聖国軍を押し返す軍事力と、なぜか敵国の最大戦力を吸収してしまう求心力によって、新興国家であったカマーランドは大国として確固たる影響力を確保したのだ。
その後、各国の貴族にも数多く薄い本の愛好家が出現してきたことで、カマーフェスティバルの地盤は強固なものになる。
いまやカマーフェスティバルは、世界中の貴腐人や変態紳士たちの社交の場であった。
そして、フリードニヒ8世ちゃんいわく、ルベルスキア聖王国の最大戦力であったミエーテルとローズマリアは、彼女に紹介されたとある薄いBL本をいたく気に入り、現在はサークルを立ち上げて自らが薄い本を製作中らしい。
最前線の現場で指揮をとっていたフリードニヒ8世ちゃんが言うのだから、間違いないだろう。
俺はミエーテルとローズマリアのお気に入りとなった本の内容を話したそうにウズウズとしているフリードニヒ8世ちゃんから目をそらすと、それ以上は歴史の闇を暴かないように努めることにする。
「ひさしぶりに女の子の体に戻ったら、少し運動したくなったわね♪」
食事も終えて一段落をしていると、フリードニヒ8世ちゃんが突然そんなことをつぶやいていた。はて、女の子の体になってしたくなる運動とは、何のことだろう。
「男の子の体で遊ぶのも楽しかったけど、やっぱり女の子の体の方が馴染むわね♪」
そして彼女はジリジリと、笑顔のまま俺に詰め寄ってくる。狭い宿屋の一室で、俺はベッドの近くまで、フリードニヒ8世ちゃんに追いつめられてしまっていた。
「ニホンに居たころは、魔法少女の格好で即売会に参加して、そのあと、お持ち帰りされまくってたなぁ♪懐かしい♪」
舌なめずりをしながら嗜虐的な笑みに変わった、かわいい少女姿のフリードニヒ8世ちゃんが、肉食獣の瞳になって俺の体に抱きついてきていた。
彼女の胸にふくらむGカップの二つの丘が、ふにゅりと俺の胸元でやわらかく歪んでいる。
……
……
……
……ニジュぅ♡……グジュぅ♡……グヂュルぅ♡
「……あんっ♡……アマネちゃん♡……上手すぎぃ♡……それに♡……メチャクチャ♡……でかい♡」
俺とフリードニヒ8世ちゃんは、セフレになった。
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