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トワイライト・ラブ(陽炎)
しおりを挟むあとがき
栄一の訃報を聞いたのは、栄一が亡くなって随分経ってからだった。それまでメールの返信が途絶えて、どうしたのかなあと心配していたのだった。
英一の訃報は、スペイン旅行のメール仲間から聞いたのだった。
美紀は英一と一つの約束していた。
「お互いにメールを送って、返信が無い場合は、追加で重ねてたくさんのメールを打つことをしないようにしないとね。」
「年齢的にも、それは重大な何か、あった事だからね」と、言っていた。
美紀は、新幹線で東京駅に着いてから、仕事の会議などの所用を済ませて帰ろうと思ったが、まだ時間があったのでふと英一の事を想い立った。
東京駅から横須賀線に乗って、足を延ばして湘南まで来てみた。少し時間がかかったけど、英一もかつては歩いたであろうこの砂浜に座ってみた。
英一は、
「湘南には、たまに運動をかねて、散歩しながら貝を拾うんですよ。」と、言っていた。
「特に目的は無いのですけど、落ちているゴミの適当なビニール袋に入れて30分ほどでいっぱいになったら散歩は終了です。」
「一時、リタイアしたら貝細工でもしようかと何となく思ったことがあって、家の裏には拾ってきた貝殻がいっぱいあるんですよ」と、笑う笑顔が蘇ってくる。
以前、美紀は英一の写真を見たいと言ってメールで数枚を送ってもらった事がある。若い英一は、とてもハンサムで今より20キロは痩せていて、身長もあり、老いてもその面影があった。
英一が「もうお互いに、あまり時間が無いんですよ。」と、最初の頃に言っていたのを思い出す。
美紀は改めて思った。
今は「孤独」ではなく「自由」であり、「寂しさ」ではなく「自立」したのだ。
英一さんへ
私は、もう誰にも縛られない笑顔を持っている。
終 稿
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