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第四章.救えない
1.ポンコツと子供
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「……と言う訳で、肥沃する褐色の大地の拠点の一つに乗り込む事になった」
「私たちが、ですか?」
朝早くに集合を掛けられて向かったバルバトスの会議室にて、アリシアはガイウス中尉から指令書を渡されながら告げられた内容に、少しだけ驚いてしまう。……しかしながら元々極秘任務の範疇内ではあるのでおかしくはなく、人を人為的に魔物にするなどという研究は必然的に大きな魔法使い組織……奈落の底か肥沃する褐色の大地の二つしか該当はしない。
「安心しろ、今回は安全を期してチームを組むらしい」
「……居ないようですが」
「……」
今の時刻は朝の十時になる少し前であり、定められた集合時間は八時四十五分……本当ならば集合をかけらた人物は全員が揃っていなくてはならない時刻だが……アリシアとガイウス中尉以外には人影すら見当たらない。……もしや大胆にも遅刻なのかと、そうであるならばその人物達は猛者だと、アリシアは慄く……軍隊で遅刻など、怖いもの知らずしかしない。
「……おかしいな、相手も優秀な人材だと──」
「──シーラ・マクマレン特務少尉!! 只今参上!!」
ガイウス中尉が首を捻りながら時計を確認し、何かを発言しようとしている最中に突如として『スパッーン』と盛大に音を立てながら扉が開かれ、頭に特徴的な大きなリボンを付けた深い蒼の髪に金色の瞳が目を惹く、妙齢の女性が大声で自己紹介を始めてしまう。……あまりの突然の出来事にアリシアは目を丸くする。
「歳は十七歳! 好きな食べ物はビーフジャーキー! 得意なものは──」
「──ええい! お前が寝坊したくせに勝手に突っ走って勝手に自己紹介を始めるんじゃない!」
アリシア達が突然の事態に驚きすぎて声も出ないでいると、今度は猛スピードで走ってきた小さな女の子が壁を蹴ってジャンプし、高さを合わせてから思いっ切り……シーラ・マクマレンと名乗った女性の頭を叩く。……小気味よい音が響き、思わずアリシアは目を瞑ってしまう。
「まったく……遅れてすまんな、俺はヴェロニカ・チェレン特務大尉だ。……年齢は聞くな」
そう名乗った灰色の髪を小さいポニーテールに纏め、眼鏡の奥の黒目が眠たげな女の子は言葉遣いが乱暴ながらも、驚いた事にこの場で一番階級が高い……それを認識したアリシアが慌てて自己紹介をする。
「あ、アリシア・スカーレット准尉であります! 歳は今年で十九になります!」
「……ガイウス・マンファン特務中尉です」
「ふーん?」
未だに頭を抑えて蹲るシーラ少尉を放っておいてアリシア達……というよりもガイウス中尉をジロジロと眺めるヴェロニカ大尉だが……見た目完全にお父さんに甘えようとする子どもにしか見えない。……この場で一番偉いというのに違和感が凄く、アリシアは困惑する。
「ガイちゃん先輩はまた昇格を蹴ったのか?」
「……ガイちゃん?」
「……その呼び方は止めてくれ、アリシアも居るんだ」
一瞬誰の事を言っているのかさっぱり判らずにアリシアは硬直してしまう……数瞬の後にそれがガイウス中尉の事だとわかり、即座に振り向けば気まずいとでも言うかのように目を逸らされてしまう。……しかもガイウス中尉の方が先輩ある事も、その驚きに拍車を掛ける……見た目的には正しいのだが。
「ハハハッ、そうだなガイウス中尉と呼ぶ事にしよう!」
「そうしてくれ……それに今の地位の方が色々と──」
「──シーラはお腹が空きました!」
「「「……」」」
ガイウス中尉とヴェロニカ大尉が久しぶりの再開に会話を弾ませかけたところで、シーラ少尉が空気を読まず思いっ切り自身の欲望を高らかに叫ぶ……この少女、自由過ぎる。
「なんと言うか……その、個性的だな?」
「……このポンコツがすまんな」
「あっ! シーラは窓の外に蝶々を発見致し──」
「──いいからお前は黙っとらんかい!」
これを個性的の一言で片付けて良いものなのかと、アリシアが考え込む。……それ以外にあまり言いようないから仕方がないのだろうが、『お腹が空いた』と言ったすぐ後に窓の外の蝶々に気を取られる様を見て、『これから一緒に仕事をするのよね……?』と内心で不安を膨らませる。
「この程度の攻撃など! やる気! 元気! シーラは無敵!」
「はぁ……」
ヴェロニカ大尉が再度頭を叩くがそれを意に介さず、腕を持ち上げて力こぶを作る動作をしてから上半身を横に倒してリズム良く、ニッコリとした笑顔で韻を踏むシーラ少尉に……もはや彼女の相棒も溜め息しか出ない。
「本当に大丈夫なのか……?」
「……こんなのでも一年で特務を拝命するぐらいには強いから安心してくれ」
シーラ特務少尉……実は彼女、こんな状態でも座学以外の成績が過去類を見ないくらいに良く、特に戦闘センスがずば抜けており、正直なところヴェロニカ大尉よりも単純な戦闘なら強い。……人は見かけに寄らないとはよく言ったものである。
「シーラは無敵?」
「え? む、無敵なんじゃないかしら?」
「シーラは無敵!」
「わっ! きゃっ!」
いきなりシーラ少尉に問い掛けられたアリシアが少し反応に遅れながらも、ちゃんとそれに答えてあげれば……大声で叫びながら問い掛けた本人であるシーラ少尉に突然に抱き着かれ、勢いそのままに押し倒されてしまう……アリシアからしてみれば『まぁ大きい子どもと思えばなんとか……』といったところだうろうか?
「ってちょっと?! どこに触って?!」
「おぉ、柔らかい……ヴェロニカには無いもの……」
「あっ、ちょっ! (何この子……力が強い?!)」
押し倒した勢いのまま、シーラ少尉が突然にアリシアの胸をまさぐり感心する……いきなりの予想外な展開に混乱に陥りながら、アリシアは擽ったさに身を捩るしかできない。……振りほどこうにもシーラ少尉の力が強すぎるらしい。
「俺には無くて悪かったな?! 良いから離れろ!!」
「痛い! ……シーラは無敵!」
「それはもういいわ! ……アリシア殿すまんな」
「い、いえ……」
見兼ねたヴェロニカ大尉に助けられ、胸を両腕で隠しながらアリシアが起きがりつつ感謝する……まぁ彼女の相棒が起こした不祥事ではあるのだが。
「そうでした! シーラはお腹が空いた──」
「──これでも食ってろ!」
「モガッ! ……モグモグ」
「お、大人しくなった……」
ヴェロニカ大尉が口にバゲットを突っ込めばそれを黙々とシーラ少尉は食べ始め、静かになるのを見てアリシアとガイウス中尉は一緒に脱力してしまう……本当にこの四人で任務を遂行できるのか、今から不安が尽きないようだ。
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「私たちが、ですか?」
朝早くに集合を掛けられて向かったバルバトスの会議室にて、アリシアはガイウス中尉から指令書を渡されながら告げられた内容に、少しだけ驚いてしまう。……しかしながら元々極秘任務の範疇内ではあるのでおかしくはなく、人を人為的に魔物にするなどという研究は必然的に大きな魔法使い組織……奈落の底か肥沃する褐色の大地の二つしか該当はしない。
「安心しろ、今回は安全を期してチームを組むらしい」
「……居ないようですが」
「……」
今の時刻は朝の十時になる少し前であり、定められた集合時間は八時四十五分……本当ならば集合をかけらた人物は全員が揃っていなくてはならない時刻だが……アリシアとガイウス中尉以外には人影すら見当たらない。……もしや大胆にも遅刻なのかと、そうであるならばその人物達は猛者だと、アリシアは慄く……軍隊で遅刻など、怖いもの知らずしかしない。
「……おかしいな、相手も優秀な人材だと──」
「──シーラ・マクマレン特務少尉!! 只今参上!!」
ガイウス中尉が首を捻りながら時計を確認し、何かを発言しようとしている最中に突如として『スパッーン』と盛大に音を立てながら扉が開かれ、頭に特徴的な大きなリボンを付けた深い蒼の髪に金色の瞳が目を惹く、妙齢の女性が大声で自己紹介を始めてしまう。……あまりの突然の出来事にアリシアは目を丸くする。
「歳は十七歳! 好きな食べ物はビーフジャーキー! 得意なものは──」
「──ええい! お前が寝坊したくせに勝手に突っ走って勝手に自己紹介を始めるんじゃない!」
アリシア達が突然の事態に驚きすぎて声も出ないでいると、今度は猛スピードで走ってきた小さな女の子が壁を蹴ってジャンプし、高さを合わせてから思いっ切り……シーラ・マクマレンと名乗った女性の頭を叩く。……小気味よい音が響き、思わずアリシアは目を瞑ってしまう。
「まったく……遅れてすまんな、俺はヴェロニカ・チェレン特務大尉だ。……年齢は聞くな」
そう名乗った灰色の髪を小さいポニーテールに纏め、眼鏡の奥の黒目が眠たげな女の子は言葉遣いが乱暴ながらも、驚いた事にこの場で一番階級が高い……それを認識したアリシアが慌てて自己紹介をする。
「あ、アリシア・スカーレット准尉であります! 歳は今年で十九になります!」
「……ガイウス・マンファン特務中尉です」
「ふーん?」
未だに頭を抑えて蹲るシーラ少尉を放っておいてアリシア達……というよりもガイウス中尉をジロジロと眺めるヴェロニカ大尉だが……見た目完全にお父さんに甘えようとする子どもにしか見えない。……この場で一番偉いというのに違和感が凄く、アリシアは困惑する。
「ガイちゃん先輩はまた昇格を蹴ったのか?」
「……ガイちゃん?」
「……その呼び方は止めてくれ、アリシアも居るんだ」
一瞬誰の事を言っているのかさっぱり判らずにアリシアは硬直してしまう……数瞬の後にそれがガイウス中尉の事だとわかり、即座に振り向けば気まずいとでも言うかのように目を逸らされてしまう。……しかもガイウス中尉の方が先輩ある事も、その驚きに拍車を掛ける……見た目的には正しいのだが。
「ハハハッ、そうだなガイウス中尉と呼ぶ事にしよう!」
「そうしてくれ……それに今の地位の方が色々と──」
「──シーラはお腹が空きました!」
「「「……」」」
ガイウス中尉とヴェロニカ大尉が久しぶりの再開に会話を弾ませかけたところで、シーラ少尉が空気を読まず思いっ切り自身の欲望を高らかに叫ぶ……この少女、自由過ぎる。
「なんと言うか……その、個性的だな?」
「……このポンコツがすまんな」
「あっ! シーラは窓の外に蝶々を発見致し──」
「──いいからお前は黙っとらんかい!」
これを個性的の一言で片付けて良いものなのかと、アリシアが考え込む。……それ以外にあまり言いようないから仕方がないのだろうが、『お腹が空いた』と言ったすぐ後に窓の外の蝶々に気を取られる様を見て、『これから一緒に仕事をするのよね……?』と内心で不安を膨らませる。
「この程度の攻撃など! やる気! 元気! シーラは無敵!」
「はぁ……」
ヴェロニカ大尉が再度頭を叩くがそれを意に介さず、腕を持ち上げて力こぶを作る動作をしてから上半身を横に倒してリズム良く、ニッコリとした笑顔で韻を踏むシーラ少尉に……もはや彼女の相棒も溜め息しか出ない。
「本当に大丈夫なのか……?」
「……こんなのでも一年で特務を拝命するぐらいには強いから安心してくれ」
シーラ特務少尉……実は彼女、こんな状態でも座学以外の成績が過去類を見ないくらいに良く、特に戦闘センスがずば抜けており、正直なところヴェロニカ大尉よりも単純な戦闘なら強い。……人は見かけに寄らないとはよく言ったものである。
「シーラは無敵?」
「え? む、無敵なんじゃないかしら?」
「シーラは無敵!」
「わっ! きゃっ!」
いきなりシーラ少尉に問い掛けられたアリシアが少し反応に遅れながらも、ちゃんとそれに答えてあげれば……大声で叫びながら問い掛けた本人であるシーラ少尉に突然に抱き着かれ、勢いそのままに押し倒されてしまう……アリシアからしてみれば『まぁ大きい子どもと思えばなんとか……』といったところだうろうか?
「ってちょっと?! どこに触って?!」
「おぉ、柔らかい……ヴェロニカには無いもの……」
「あっ、ちょっ! (何この子……力が強い?!)」
押し倒した勢いのまま、シーラ少尉が突然にアリシアの胸をまさぐり感心する……いきなりの予想外な展開に混乱に陥りながら、アリシアは擽ったさに身を捩るしかできない。……振りほどこうにもシーラ少尉の力が強すぎるらしい。
「俺には無くて悪かったな?! 良いから離れろ!!」
「痛い! ……シーラは無敵!」
「それはもういいわ! ……アリシア殿すまんな」
「い、いえ……」
見兼ねたヴェロニカ大尉に助けられ、胸を両腕で隠しながらアリシアが起きがりつつ感謝する……まぁ彼女の相棒が起こした不祥事ではあるのだが。
「そうでした! シーラはお腹が空いた──」
「──これでも食ってろ!」
「モガッ! ……モグモグ」
「お、大人しくなった……」
ヴェロニカ大尉が口にバゲットを突っ込めばそれを黙々とシーラ少尉は食べ始め、静かになるのを見てアリシアとガイウス中尉は一緒に脱力してしまう……本当にこの四人で任務を遂行できるのか、今から不安が尽きないようだ。
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