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本編
82話 雪原にて その56
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その頃寮である、
「戻ったよー・・・」
とソフィアが階段から食堂へ入ると、
「ソフィー、これー、これー、リシア様の赤ちゃん、見てー」
ダダッとソフィアに駆け寄るミナ、あっ戻ってたのねと柔らかく微笑むソフィア、見ればエルマとミシェレ、ニコリーネが笑顔でソフィアを見上げ、レインはムーとコタツテーブルに並べられた絵を眺めている、北ヘルデルを訪問していたエレイン達が戻ったのはカトカ達から聞いていたが、ミナ達も戻っているとは思わなかったのだ、もうそういう時間であるらしい、
「お疲れ様です」
ニコリと微笑むエルマ、ミシェレとニコリーネもウフフーと微笑む、
「お疲れさまー、あっ、パトリシア様の赤ちゃん?」
疲れた顔でニコーと微笑み返すソフィア、
「そうなのー、見てー、可愛いのー、たぶんちっちゃいのー」
たぶんって・・・もうと苦笑するしかないソフィア、ハナコも興奮してかポンとソフィアの足に前足をかけて立ち上がる、
「ほらー、見てー、見てー」
手にした上質紙をこれでもかとソフィアに向けるミナ、
「はいはい、ゆっくり見るから・・・あらっ、可愛いわね」
腰を下ろそうと思った瞬間、やはりその絵画に目がいくソフィア、思わずそう呟くと、
「そうなのー、可愛いのー、ねー、可愛いよねー」
キャーと叫ぶミナ、ハナコに同意を求めればハナコも大きく尻尾を振る、ハナコに分かるのかなーなどと思いつつ、
「そうねー・・・えっ、こっちが女の子?」
ソフィアが首を傾げると、
「どっちー、どっちがどっちー」
「こっち、右の子?」
「みぎー?」
と手にした絵を自分に向けるミナである、あっ見えなくなったとソフィアは寂しく感じつつまぁいいかとそそくさと腰を下ろした、座る機会は今しかない、そう瞬時に判断したのである、
「わっ、いっぱい描いたのねー」
コタツテーブルを見れば十数枚の上質紙が並び、その全てに赤子が描かれていた、
「エヘヘー、頑張っちゃいました」
ムフンと微笑むニコリーネ、
「可愛いー・・・ですよねー」
ミシェレがニコニコと微笑み、
「そうねー・・・これとか良い絵だなーって思います」
エルマが手元の一枚をソフィアに向ける、
「あらっ、そっか、こういうのもあるか」
「ムフフー、自信作です」
「そなのー?」
とミナがソフィアの背中越しに覗き込む、その一枚はパトリシアが二人の赤子を抱いた構図となっている、布に包まれた赤子の一人がパトリシアの顔に手を伸ばし、もう一人はあらぬ方向を見つめている、その二人を優しく慈愛に満ちた瞳で見つめるパトリシア、確かに良い絵だし、なによりパトリシアの愛情が伝わってくるようであった、惜しむらくはどうやら全ての絵が素描であった事であろうか、これだけの数を描いたとなればそれも当然で、石墨の濃淡のみで描かれたそれらは若干味気ないと感じてしまう、しかしその下書きと言える絵であっても赤子の可愛らしさは伝わり、なるほど、流石ニコリーネさんは違うなーと感心するソフィア、すると、
「こっちー、ミナ、こっちのが好きー」
手にした一枚を放り出し、ソフィアに覆いかぶさるように手を伸ばすミナ、こらこらとエルマが放りだした一枚を並べ直し、ソフィアは、
「こら、重いからー」
ミナに押しつぶされ頭を下げざるを得なかった、
「重くないー、見てー、これー、ホーって顔してるのー、ホーってー」
そのままバタバタと暴れるミナ、
「わかったからー、ちゃんと見るからー」
もうと何とか頭を上げるソフィア、ズイッとどかされたミナがこれこれーと騒ぎ立てる、
「あらっ、ホントだ可愛いわね」
ヤレヤレと笑顔になるソフィアである、その絵は赤子の一人を描いたもので、斜め上を見上げ、口元を丸くしている、確かにホーって感じの顔であった、
「そうなんですよー、なんかもう、表情とかもよくてー」
「・・・早くない?」
ハテ?と首を傾げるソフィア、経験がある訳では無いので何とも言えないが、昨日生まれたばかりの子供にしては表情豊かに感じる、いや、そんなものなのかなとも思うが、
「確かにそうですねー、少し早い気はしますけど、まぁ、そういう事もありますよ」
エルマが余裕の笑みである、
「そういうもの?」
「そういうものじゃないですか?だって、ね、もうほら、実際に見て描かれてますからね」
「そっか・・・まっ、いっか、リシア様とクロノスの子供だからねー、そういう事もあるでしょ」
何とも適当な理由で納得するソフィア、そうなのかなと首を傾げてしまうミシェレ、ウフフーと嬉しそうなニコリーネである、
「でね、でね、こっち、こっちが男の子ー、で、こっちが女の子ー」
ミナがさらに二枚を手にする、
「こら、大事に扱いなさい」
メッと叱りつけるソフィア、
「えー、ニコがいいって言ったー」
「こら、ニコ先生でしょ」
「むー、今はいいのー、これー、こっちが男の子ー」
なんでもいいとばかりに叫ぶミナ、もうとソフィアは眉を顰め、楽しそうに微笑む他三人、レインもまったくと眉を顰め、ハナコはヨイショとばかりにコタツテーブルに前足を乗せピョコンと鼻面を覗かせる、
「で、こっち?」
「そう、これ、男の子ー」
「あら・・・もしかしてリシア様に似てる?」
むーと見つめるソフィア、
「ですね、ですね、皆さん言ってました、男の子だからお母さん似で、だから、女の子はお父さん似なんです」
へーとミナの手にするもう一枚を見てみれば、確かにクロノスに似たような感じの赤子が描かれている、そちらが女の子らしい、
「・・・ほんとだ、なんか目元と鼻の感じがクロノス?」
「はい、男の子のほう、パウダーちゃんなんですけど、そっちはほら、口元とかパトリシア様そっくりでー」
「ホントだ・・・へー・・・って、パウダー?」
ん?と顔を上げるソフィア、
「そうなのー、えっとね、えっとね、女の子がベビーちゃん?」
ミナがピョンと飛び跳ねるも不安そうにニコリーネをうかがう、
「はい、女の子がベビーちゃんで、男の子がパウダーちゃんです」
エッとソフィアは眉根を寄せ、
「それって・・・」
「はい、ベビーバウダーの説明したら、それ可愛い感じねって言って、そう呼ぶことになりましたです」
ニコニコと微笑むニコリーネ、確かに可愛らしい名前だよねーとエルマとミシェレも微笑む、
「いや、エッ、だって・・・いいの?」
その意味を知っているソフィアとしては違和感しかない、ベビーは赤子の意味であり、パウダーは粉末の意味である、タロウからはそう聞いていた、
「いいんじゃないですか?なんか変です?」
キョトンと首を傾げるニコリーネ、
「いや・・・だって・・・」
「こっちー、こっちがベビーちゃん、こっちがパウダーちゃん」
ミナが我関せずと叫び出す、わかったわかったと諫めるレイン、
「フフッ、大丈夫ですよ、どうせあれです、正式な名付けまでの渾名っていうか呼び名ですから」
ソフィアの懸念を察して微笑むエルマ、
「あっ、そうよね」
「はい、ほら、命名は暫く先でしょうし」
「そうなの?」
「そうなると思いますよ、陛下もクロノス殿下もお忙しいでしょうから、それにほら、王家ともなれば御先祖様との兼ね合いとかもありますし、10日以上はかかるみたいですよ名前が決まるまで」
「あらま・・・まぁ、そうか、そういうもんか・・・」
「王家ってやっぱり大変なんですねー」
ミシェレがホヘーと感嘆する、
「そうですね、それにね、上級貴族様の中で同じ名前になると駄目とかもあるみたいだし、確かに大変よねー」
「それはまた・・・」
「名前・・・無くなっちゃう?」
「そこまでは大丈夫・・・でもないのかな?」
「あっ、ベビーバウダーはどう?使ってくれた?」
ハッと話題を変えるソフィア、しかしその瞬間、名前を気に入ってくれた程だから使ってくれたのだろうと察するも、
「はい、大好評でした、乳母さん達もこれは良いって、大絶賛で、早速あれです、おしめを変えてサラサラにしてました、あかちゃんも大喜びだったみたいです、すんごい可愛くてー、これです、これ、これがおしめを替えた後のお顔ですー」
ニコリーネが数枚の絵を指し示す、エッそんなのまで描いたのと?逆にちょっと引いてしまったソフィア、大人になってからおしめを替えた後の顔とか言われたら赤面しそうだなと思うも、確かにその絵は満面の笑みである、それも二人揃って良い笑顔であった、
「・・・そっか、ならまぁいいか・・・」
「はい、パトリシア様ももっと早く持って来なさいって」
「あー・・・そっちはあれね、いつも通りね」
「はい、いつも通りです」
ウフフーと微笑むニコリーネ、しかしすぐに、
「なんですけど、もー、すっかりお母さんのお顔でした」
「エッ・・・あっ、そっか、そうよねー」
「そうなんです、すんごい優しいお顔になっててー、二人を抱いた姿が本当にもう、お母さんでー」
「なるほどねー、それがこれ?」
先程の絵を見つめるソフィア、
「はい、乳母さん達がやりますからーって言っても、いいの私がやるのって、怒ってました」
「あら、らしいと言えばらしいかしら?」
「ですね、なんか、想像できます」
エルマが優しく微笑む、
「そうよねー・・・そっか、あのパトリシア様がお母さんか・・・あの・・・なんて言ったら怒られちゃうけど・・・」
「そうですよねー、あのリシアちゃんがねー・・・」
ウフフと微笑むエルマ、そっか、エルマさんは子供の頃のパトリシア様を知っているんだなと今更ながらに思い出す他三人、
「昔からあんな感じ?」
ソフィアがニヤリと微笑む、
「ですねー、なんか・・・うん、男兄弟よりも活発っていうか・・・いじめてたっていうか・・・」
「あー、ありそー」
「なんですよ、クサンドラ様がよくお叱りになってて・・・あれですね、今の・・・ウルジュラ様を暴力的にした感じ?」
「・・・それは・・・言い過ぎじゃない?」
流石にと苦笑するソフィア、ニコリーネはそうなんだーと素直に受け止めたらしく、ミシェレはウルジュラ様?と今一つピンときていない様子である、
「いやいや、クサンドラ様にはあなたからも厳しく言いなさいって言われてましたから・・・フフッ」
懐かしそうに微笑むエルマ、クサンドラ様って亡くなられた王妃様だったかなとソフィアは思い出す、今一つピンとこない、やはり他人の家の事でもあるし、なにより王家の事となるとそれほど詳しくは無い、挙句さして興味も無かったりする、しかし漏れ聞くところによるとそれなりに騒がしくまた、悲劇とされる事件もあったようで、王家といえど、いや、王家だからこそ大変そうだなーと完全に他人事となるソフィアであった、
「まぁ・・・でも、そっか、元気そうで良かったわ」
改めて絵画を見つめるソフィア、
「ですねー・・・」
エルマもしっとりと呟く、
「あっ、そうだ、エレインさんは?」
ソフィアがフッと思い出す、
「はい、事務所です、気合入ってます」
ニコリーネがパンと叫ぶ、
「気合?」
「はい、お褒め頂いたので、おくるみをもう一着と、あと、ヒガサ?も改良するって言ってました、あと、あれです、ネマキももっと作らないとってなって」
「あら・・・えっ、ヒガサも出来てたの?」
「みたいです、やっとイイ感じのが一本できて、お持ちしてました、あと、パトリシア様のネマキ?」
「あー・・・そっか、ミナのと同じやつ?」
「そうです、タオル生地の、早速着てました、パトリシア様」
「あら・・・せっかちねー、フフッ、そっか、エレイン様もやる事やってたのねー」
「はい、で、王妃様達も欲しいって仰られてー、ウルジュラ様がそれ頂戴ってパトリシア様にねだってました」
「あら、あっ、そっか、御家族で集まってた?」
「はい、なので、あっ、ベビーパウダーももっと持て来てって・・・すいません、忘れてました・・・」
エヘヘと肩を竦めるニコリーネ、
「もっとって・・・そっか、そうなるか」
「はい、そうなりました」
「気持ちは分かるかなー」
フフッと微笑むエルマ、ですねーとミシェレも微笑む、何気に二人も今日の入浴後にベビーパウダーを使ってみたいと思っていたところで、恐らく他の生徒達も同様であろう、なにせその効能を聞く限り、実に気持ちよさそうなのである、
「でも・・・だって、あれはあれよ、やっぱり赤ちゃん向けなんだし・・・」
「なので、エレイン会長がいっぱい作らないとってなってました、あっ、ちゃんと作りたいから教えて欲しいって言ってましたけど・・・」
と事務所の方へ顔を向けるニコリーネ、
「そうねー・・・そこはタロウの方がいいんだけど・・・まぁ、今日戻ったら聞いてみればいいわ」
「ですね」
ニコリと微笑むニコリーネ、そこへ、
「あっ、ソフィアさんお疲れ様です」
厨房からヒョッコリと顔を出すティル、
「お疲れ様ー」
ソフィアが振り向くと、
「アツリョク鍋、使い方教えて下さい」
すぐに用向きを口にするティル、
「ちょ・・・もう、ハイハイ、あっ、今日は何?」
「はい、カツを仕込んでました」
「カツ?」
ピョンと飛び跳ねるミナ、オッと他の三人にレインも顔を上げる、
「カツはだって、アツリョク鍋は駄目よ」
やれやれと腰を上げるソフィア、
「はい、それはそれ、これはこれです」
ムフンと微笑むティル、どうやらティルも何やら気合が入っているらしい、北ヘルデルで何やらあったのであろう、ティルはオリビアの代わりにエレインの従者として北ヘルデルへ向かっており、となればエレインとニコリーネ同様、あれこれと巻き込まれたものと思われる、
「はいはい、それはそれね」
さて、こっちの仕事かしらと切り替えるソフィア、カツだーと叫ぶミナ、ハナコがワフンと飛び跳ねた。
「戻ったよー・・・」
とソフィアが階段から食堂へ入ると、
「ソフィー、これー、これー、リシア様の赤ちゃん、見てー」
ダダッとソフィアに駆け寄るミナ、あっ戻ってたのねと柔らかく微笑むソフィア、見ればエルマとミシェレ、ニコリーネが笑顔でソフィアを見上げ、レインはムーとコタツテーブルに並べられた絵を眺めている、北ヘルデルを訪問していたエレイン達が戻ったのはカトカ達から聞いていたが、ミナ達も戻っているとは思わなかったのだ、もうそういう時間であるらしい、
「お疲れ様です」
ニコリと微笑むエルマ、ミシェレとニコリーネもウフフーと微笑む、
「お疲れさまー、あっ、パトリシア様の赤ちゃん?」
疲れた顔でニコーと微笑み返すソフィア、
「そうなのー、見てー、可愛いのー、たぶんちっちゃいのー」
たぶんって・・・もうと苦笑するしかないソフィア、ハナコも興奮してかポンとソフィアの足に前足をかけて立ち上がる、
「ほらー、見てー、見てー」
手にした上質紙をこれでもかとソフィアに向けるミナ、
「はいはい、ゆっくり見るから・・・あらっ、可愛いわね」
腰を下ろそうと思った瞬間、やはりその絵画に目がいくソフィア、思わずそう呟くと、
「そうなのー、可愛いのー、ねー、可愛いよねー」
キャーと叫ぶミナ、ハナコに同意を求めればハナコも大きく尻尾を振る、ハナコに分かるのかなーなどと思いつつ、
「そうねー・・・えっ、こっちが女の子?」
ソフィアが首を傾げると、
「どっちー、どっちがどっちー」
「こっち、右の子?」
「みぎー?」
と手にした絵を自分に向けるミナである、あっ見えなくなったとソフィアは寂しく感じつつまぁいいかとそそくさと腰を下ろした、座る機会は今しかない、そう瞬時に判断したのである、
「わっ、いっぱい描いたのねー」
コタツテーブルを見れば十数枚の上質紙が並び、その全てに赤子が描かれていた、
「エヘヘー、頑張っちゃいました」
ムフンと微笑むニコリーネ、
「可愛いー・・・ですよねー」
ミシェレがニコニコと微笑み、
「そうねー・・・これとか良い絵だなーって思います」
エルマが手元の一枚をソフィアに向ける、
「あらっ、そっか、こういうのもあるか」
「ムフフー、自信作です」
「そなのー?」
とミナがソフィアの背中越しに覗き込む、その一枚はパトリシアが二人の赤子を抱いた構図となっている、布に包まれた赤子の一人がパトリシアの顔に手を伸ばし、もう一人はあらぬ方向を見つめている、その二人を優しく慈愛に満ちた瞳で見つめるパトリシア、確かに良い絵だし、なによりパトリシアの愛情が伝わってくるようであった、惜しむらくはどうやら全ての絵が素描であった事であろうか、これだけの数を描いたとなればそれも当然で、石墨の濃淡のみで描かれたそれらは若干味気ないと感じてしまう、しかしその下書きと言える絵であっても赤子の可愛らしさは伝わり、なるほど、流石ニコリーネさんは違うなーと感心するソフィア、すると、
「こっちー、ミナ、こっちのが好きー」
手にした一枚を放り出し、ソフィアに覆いかぶさるように手を伸ばすミナ、こらこらとエルマが放りだした一枚を並べ直し、ソフィアは、
「こら、重いからー」
ミナに押しつぶされ頭を下げざるを得なかった、
「重くないー、見てー、これー、ホーって顔してるのー、ホーってー」
そのままバタバタと暴れるミナ、
「わかったからー、ちゃんと見るからー」
もうと何とか頭を上げるソフィア、ズイッとどかされたミナがこれこれーと騒ぎ立てる、
「あらっ、ホントだ可愛いわね」
ヤレヤレと笑顔になるソフィアである、その絵は赤子の一人を描いたもので、斜め上を見上げ、口元を丸くしている、確かにホーって感じの顔であった、
「そうなんですよー、なんかもう、表情とかもよくてー」
「・・・早くない?」
ハテ?と首を傾げるソフィア、経験がある訳では無いので何とも言えないが、昨日生まれたばかりの子供にしては表情豊かに感じる、いや、そんなものなのかなとも思うが、
「確かにそうですねー、少し早い気はしますけど、まぁ、そういう事もありますよ」
エルマが余裕の笑みである、
「そういうもの?」
「そういうものじゃないですか?だって、ね、もうほら、実際に見て描かれてますからね」
「そっか・・・まっ、いっか、リシア様とクロノスの子供だからねー、そういう事もあるでしょ」
何とも適当な理由で納得するソフィア、そうなのかなと首を傾げてしまうミシェレ、ウフフーと嬉しそうなニコリーネである、
「でね、でね、こっち、こっちが男の子ー、で、こっちが女の子ー」
ミナがさらに二枚を手にする、
「こら、大事に扱いなさい」
メッと叱りつけるソフィア、
「えー、ニコがいいって言ったー」
「こら、ニコ先生でしょ」
「むー、今はいいのー、これー、こっちが男の子ー」
なんでもいいとばかりに叫ぶミナ、もうとソフィアは眉を顰め、楽しそうに微笑む他三人、レインもまったくと眉を顰め、ハナコはヨイショとばかりにコタツテーブルに前足を乗せピョコンと鼻面を覗かせる、
「で、こっち?」
「そう、これ、男の子ー」
「あら・・・もしかしてリシア様に似てる?」
むーと見つめるソフィア、
「ですね、ですね、皆さん言ってました、男の子だからお母さん似で、だから、女の子はお父さん似なんです」
へーとミナの手にするもう一枚を見てみれば、確かにクロノスに似たような感じの赤子が描かれている、そちらが女の子らしい、
「・・・ほんとだ、なんか目元と鼻の感じがクロノス?」
「はい、男の子のほう、パウダーちゃんなんですけど、そっちはほら、口元とかパトリシア様そっくりでー」
「ホントだ・・・へー・・・って、パウダー?」
ん?と顔を上げるソフィア、
「そうなのー、えっとね、えっとね、女の子がベビーちゃん?」
ミナがピョンと飛び跳ねるも不安そうにニコリーネをうかがう、
「はい、女の子がベビーちゃんで、男の子がパウダーちゃんです」
エッとソフィアは眉根を寄せ、
「それって・・・」
「はい、ベビーバウダーの説明したら、それ可愛い感じねって言って、そう呼ぶことになりましたです」
ニコニコと微笑むニコリーネ、確かに可愛らしい名前だよねーとエルマとミシェレも微笑む、
「いや、エッ、だって・・・いいの?」
その意味を知っているソフィアとしては違和感しかない、ベビーは赤子の意味であり、パウダーは粉末の意味である、タロウからはそう聞いていた、
「いいんじゃないですか?なんか変です?」
キョトンと首を傾げるニコリーネ、
「いや・・・だって・・・」
「こっちー、こっちがベビーちゃん、こっちがパウダーちゃん」
ミナが我関せずと叫び出す、わかったわかったと諫めるレイン、
「フフッ、大丈夫ですよ、どうせあれです、正式な名付けまでの渾名っていうか呼び名ですから」
ソフィアの懸念を察して微笑むエルマ、
「あっ、そうよね」
「はい、ほら、命名は暫く先でしょうし」
「そうなの?」
「そうなると思いますよ、陛下もクロノス殿下もお忙しいでしょうから、それにほら、王家ともなれば御先祖様との兼ね合いとかもありますし、10日以上はかかるみたいですよ名前が決まるまで」
「あらま・・・まぁ、そうか、そういうもんか・・・」
「王家ってやっぱり大変なんですねー」
ミシェレがホヘーと感嘆する、
「そうですね、それにね、上級貴族様の中で同じ名前になると駄目とかもあるみたいだし、確かに大変よねー」
「それはまた・・・」
「名前・・・無くなっちゃう?」
「そこまでは大丈夫・・・でもないのかな?」
「あっ、ベビーバウダーはどう?使ってくれた?」
ハッと話題を変えるソフィア、しかしその瞬間、名前を気に入ってくれた程だから使ってくれたのだろうと察するも、
「はい、大好評でした、乳母さん達もこれは良いって、大絶賛で、早速あれです、おしめを変えてサラサラにしてました、あかちゃんも大喜びだったみたいです、すんごい可愛くてー、これです、これ、これがおしめを替えた後のお顔ですー」
ニコリーネが数枚の絵を指し示す、エッそんなのまで描いたのと?逆にちょっと引いてしまったソフィア、大人になってからおしめを替えた後の顔とか言われたら赤面しそうだなと思うも、確かにその絵は満面の笑みである、それも二人揃って良い笑顔であった、
「・・・そっか、ならまぁいいか・・・」
「はい、パトリシア様ももっと早く持って来なさいって」
「あー・・・そっちはあれね、いつも通りね」
「はい、いつも通りです」
ウフフーと微笑むニコリーネ、しかしすぐに、
「なんですけど、もー、すっかりお母さんのお顔でした」
「エッ・・・あっ、そっか、そうよねー」
「そうなんです、すんごい優しいお顔になっててー、二人を抱いた姿が本当にもう、お母さんでー」
「なるほどねー、それがこれ?」
先程の絵を見つめるソフィア、
「はい、乳母さん達がやりますからーって言っても、いいの私がやるのって、怒ってました」
「あら、らしいと言えばらしいかしら?」
「ですね、なんか、想像できます」
エルマが優しく微笑む、
「そうよねー・・・そっか、あのパトリシア様がお母さんか・・・あの・・・なんて言ったら怒られちゃうけど・・・」
「そうですよねー、あのリシアちゃんがねー・・・」
ウフフと微笑むエルマ、そっか、エルマさんは子供の頃のパトリシア様を知っているんだなと今更ながらに思い出す他三人、
「昔からあんな感じ?」
ソフィアがニヤリと微笑む、
「ですねー、なんか・・・うん、男兄弟よりも活発っていうか・・・いじめてたっていうか・・・」
「あー、ありそー」
「なんですよ、クサンドラ様がよくお叱りになってて・・・あれですね、今の・・・ウルジュラ様を暴力的にした感じ?」
「・・・それは・・・言い過ぎじゃない?」
流石にと苦笑するソフィア、ニコリーネはそうなんだーと素直に受け止めたらしく、ミシェレはウルジュラ様?と今一つピンときていない様子である、
「いやいや、クサンドラ様にはあなたからも厳しく言いなさいって言われてましたから・・・フフッ」
懐かしそうに微笑むエルマ、クサンドラ様って亡くなられた王妃様だったかなとソフィアは思い出す、今一つピンとこない、やはり他人の家の事でもあるし、なにより王家の事となるとそれほど詳しくは無い、挙句さして興味も無かったりする、しかし漏れ聞くところによるとそれなりに騒がしくまた、悲劇とされる事件もあったようで、王家といえど、いや、王家だからこそ大変そうだなーと完全に他人事となるソフィアであった、
「まぁ・・・でも、そっか、元気そうで良かったわ」
改めて絵画を見つめるソフィア、
「ですねー・・・」
エルマもしっとりと呟く、
「あっ、そうだ、エレインさんは?」
ソフィアがフッと思い出す、
「はい、事務所です、気合入ってます」
ニコリーネがパンと叫ぶ、
「気合?」
「はい、お褒め頂いたので、おくるみをもう一着と、あと、ヒガサ?も改良するって言ってました、あと、あれです、ネマキももっと作らないとってなって」
「あら・・・えっ、ヒガサも出来てたの?」
「みたいです、やっとイイ感じのが一本できて、お持ちしてました、あと、パトリシア様のネマキ?」
「あー・・・そっか、ミナのと同じやつ?」
「そうです、タオル生地の、早速着てました、パトリシア様」
「あら・・・せっかちねー、フフッ、そっか、エレイン様もやる事やってたのねー」
「はい、で、王妃様達も欲しいって仰られてー、ウルジュラ様がそれ頂戴ってパトリシア様にねだってました」
「あら、あっ、そっか、御家族で集まってた?」
「はい、なので、あっ、ベビーパウダーももっと持て来てって・・・すいません、忘れてました・・・」
エヘヘと肩を竦めるニコリーネ、
「もっとって・・・そっか、そうなるか」
「はい、そうなりました」
「気持ちは分かるかなー」
フフッと微笑むエルマ、ですねーとミシェレも微笑む、何気に二人も今日の入浴後にベビーパウダーを使ってみたいと思っていたところで、恐らく他の生徒達も同様であろう、なにせその効能を聞く限り、実に気持ちよさそうなのである、
「でも・・・だって、あれはあれよ、やっぱり赤ちゃん向けなんだし・・・」
「なので、エレイン会長がいっぱい作らないとってなってました、あっ、ちゃんと作りたいから教えて欲しいって言ってましたけど・・・」
と事務所の方へ顔を向けるニコリーネ、
「そうねー・・・そこはタロウの方がいいんだけど・・・まぁ、今日戻ったら聞いてみればいいわ」
「ですね」
ニコリと微笑むニコリーネ、そこへ、
「あっ、ソフィアさんお疲れ様です」
厨房からヒョッコリと顔を出すティル、
「お疲れ様ー」
ソフィアが振り向くと、
「アツリョク鍋、使い方教えて下さい」
すぐに用向きを口にするティル、
「ちょ・・・もう、ハイハイ、あっ、今日は何?」
「はい、カツを仕込んでました」
「カツ?」
ピョンと飛び跳ねるミナ、オッと他の三人にレインも顔を上げる、
「カツはだって、アツリョク鍋は駄目よ」
やれやれと腰を上げるソフィア、
「はい、それはそれ、これはこれです」
ムフンと微笑むティル、どうやらティルも何やら気合が入っているらしい、北ヘルデルで何やらあったのであろう、ティルはオリビアの代わりにエレインの従者として北ヘルデルへ向かっており、となればエレインとニコリーネ同様、あれこれと巻き込まれたものと思われる、
「はいはい、それはそれね」
さて、こっちの仕事かしらと切り替えるソフィア、カツだーと叫ぶミナ、ハナコがワフンと飛び跳ねた。
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不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
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アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
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⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
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追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
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【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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