セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

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82話 貴人の虜囚 その6

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それから暫くして、タロウは昨日同様物見櫓で戦場を見つめていた、既に王国軍の布陣は完了しており、帝国軍も何とか布陣を終えたらしい、想定通りに帝国軍の動きは悪かった、昨日迄であれば統制が取れた見事な集団行動を見せていたのであるが、今日はそれが全く見られず、しかしいざ王国軍が動き出したとなれば抗しなければやられるだけである、故に指令による布陣というよりも身の守りを優先した、生存本能に依拠した布陣のようにタロウには見えた、そしてそれは階下の軍団長らもそのように感じたようで、さらには前線に立つイフナースにクンラート、メインデルトからも同様の見解が寄せられていた、

「さて、じゃ、やるか・・・」

んーと右に左に首を傾けるタロウ、なんとも肩が凝っている、やはりそれなりに緊張していたものと思う、先程の歴史に残るべき王国と帝国の君主による初会談はタロウが想定していたような内容にはならなかった、ボニファースはタロウは勿論、他の軍団長らとも打合せを持ちそれなりに準備していたのであるが、しかし実際に会ってみれば向こうはあまりにも乗り気では無い様子で、まぁそうだろうなとボニファースは会談を終えて軽く愚痴りつつ笑っていた、そりゃそうかもなーとタロウも同意しつつ、向こうの事はまるで考えていなかったなと反省してしまう、もう少し時間を置き、現状を認識しなければ皇帝としても何とも話しようがないであろう、とりあえず今日明日に関しては皇帝とその側近に対して出来る事は少ない、いや、上手い事利用するだけであり、それを終えてある程度落ち着かなければこちらの要望を伝える事もままならない、少しばかり性急に過ぎたかなとタロウは思うも、取り合えず取りうる手段は取り、話すべき事は話してある、皇帝とその取り巻き以外の虜囚の対応もある、強引にでも進ませるのが、今は、重要であった、

「おう」

ルーツがゆっくりと腰を上げた、

「文句は確認してもらったこれでいいんだよな」

手にした黒板をザッと見つめるタロウ、

「直してあるだろ?」

クロノスがヌッと首を伸ばす、

「あぁ」

「ならそれだ」

「了解」

タロウが右手を天に翳す、いよいよかとルーツの部下達も顔を上げた、そして昨日と同じ結界魔法を天空に仕掛けるタロウ、球形の結界魔法の中に灯りの魔法を閉じこめ、派手な外観のわりには眩しくない、こんなもんかとタロウはルーツに目配せすると、ルーツは小さく頷きタロウの背に手を当てる、これも昨日と同じ動き、同じ魔法となる、タロウは少し待ってくれと口に手を当て喉の調子を整える、めんどくせーなーとタロウを睨むルーツ、そして、

「帝国軍に告ぐ」

ゆっくりと確認するように口を開いた、結界魔法もルーツのそれもしっかりと動いているらしい、荒野の焼け跡にタロウの帝国語が響き渡る、

「帝国軍に告ぐ」

同じ言葉を繰り返し帝国軍を見つめるタロウ、特に大きな動きは無い、昨日と全く同じ魔法である、もう驚く事も無いのであろう、

「貴国の元首である皇帝ジウス・アンドロイス・シェザーレ・ミドレンシア5世閣下の身柄は王国が預かっている」

いきなりの犯行声明である、これがこの場、この状況でなければ身代金でも要求する完全な犯罪行為である、しかし戦場に於いて犯罪というのは実は少ない、勝つ為にはなんでもやる、それが戦争であり、なんでもやるとなれば犯罪行為、またはそれに類する行為こそが有効な手段となる、しかしタロウの内にある常識と正義感は、こりゃどう考えてもこっちが悪玉だよなーとなんとも腑抜けた感慨を齎してしまう、

「さらには、提督であるバルフレード・ジルタ・ベリアヌス閣下、及び騎士団長、侍従長、軍団長の数名も我が陣にて虜囚となっている、彼らの名誉の為に申し上げるが、決して投降したのではない、我らの作戦によって捕縛されたものである」

タロウはどうかなと一旦言葉を区切る、しかし遠方に見える帝国軍に大きな動きは見えない、どんなもん?とルーツの部下に視線で問うと、

「ハッ・・・動揺している模様です、騎士と軍団長らが駆け回って虚言であると叫んでおりますね・・・」

スッとタロウを見つめて答えるその部下、そうなるよなーとクロノスとルーツ、他の部下達も目を細めた、ボーっとしているのはゲインだけである、タロウはそっかならいいかと安堵した、これでなんの反応も無いとなればそちらの方が問題である、折角誘拐した首脳陣になんの意味も価値も無いとなると、帝国軍は一体何者の指示でここまで来て殺し合いをやっているのか理解できないし、もし帝国兵一人一人がまったく同じ意志を持って行動しているとなればそれはもう機械仕掛けのなにかであるか、蟻か蜂のような高度な小動物のそれである、それであればそれで面白いかなとも思うも、取り合えず今は妄想で遊んでいる暇は無い、

「その証拠をお見せする、刮目せよ」

タロウが一際声を張り上げ、結界魔法が僅かに震えた様に感じる、タロウは振り返り目配せすると、クロノスが頷き木板に指令を出した、そして王国軍がゆっくりと動く、今日の布陣も昨日と同様、第六軍団を中央にし、両脇にクンラートの混成軍団と第二軍団を配置していた、その中央の第六軍団の真ん中がゆっくりと割れ、そこを赤く輝く旗がゆっくりと雪原に進みでる、皇帝旗であった、さらにその後ろには鉄の檻が二つ、それぞれが荷車に積まれガタガタと続く、皇帝と提督の檻である、タロウはルーツの腕に手を添えた、一旦中止との意志表示で、ルーツは素直に手を離した、

「フー・・・さて、どうでるかねー」

大きく吐息をつくタロウ、

「だなー、まぁ、確かにあれだな、あの旗でなければ見えないだろうなー・・・」

クロノスが腕を組んで自軍を見つめる、

「全くだ、檻の中が猪でも仔馬でも判別できんな」

ルーツが鼻で笑う、ゲインがヌソリと首を伸ばすも特に意見は無いようだ、いや、あったとしても口を開かないのであるが、

「そうなんだよねー、あっ、向こうはどう?」

監視中のルーツの部下に確認するタロウ、

「ハッ、動揺しております、兵達が・・・浮足立っておる様子、騎士に重装歩兵・・・それに部隊長らもこちらを見つめて固まっておりますね・・・少しお待ちを・・・」

ムーと魔力を練っている様子のその男、大丈夫かなとタロウが眉を顰めるも、

「あっ、向こうからも旗は視認できます、赤い布時に金色と銀色の蛇・・・これはまたハッキリ見えますね」

エッと目を丸くするタロウ、ルーツがニヤリと微笑み、

「兵士の目を奪ったんだよ、器用なもんだろ」

フフンと得意そうである、

「エッ・・・お前そんな事まで出来るようになったのか?」

「俺じゃねぇよ、あいつの特技だ、俺にも真似できん」

「チョ・・・マジで?」

「マジよ」

「スゲー・・・」

素直な賞賛を口にするタロウである、どうやらそのルーツの部下はルーツにすら出来ない事をやってのけているらしい、対象の視覚を奪うのか、はたまた同一のものを視覚できるだけなのか、詳細は聞き取らないと判然としないが、タロウも完全に初耳であった、

「まぁいい、で、どうするよ・・・」

ルーツがほれと顎で戦場を指す、見れば皇帝旗と二つの檻は王国軍を少しばかり離れて歩を止めたようだ、その荷車を操るのはリンドと近衛達であった、リンドが是非にと志願すると、イザークが活躍の場は若者に譲るべきと半笑いで志願していた、クロノスは老兵の頼みを聞こうとこちらも半笑いでリンドにやらせることにしたらしい、まぁ、大した役ではない、リンドも今回の戦争はこのまま終わりそうだと若干残念そうであった、

「あっ・・・うん、頼む」

フーと一呼吸置くタロウ、ルーツがそっとその背に手を当てる、

「皇帝旗である、さらには皇帝の鎧と提督の鎧、貴軍にあって、知らぬ者は無いと思われる、そして檻には皇帝その人と提督その人が捕らわれている」

朗々と続け黒板を確認するタロウ、ここからが重要だなと顔を上げると、

「改めて帝国軍、全帝国兵に告げる、この戦争の結末はもう見えている、司令官が不在となり、さらには帝国の象徴たる皇帝を捕えられた君達に勝利は無い、君達にはこれ以上戦う理由が無いのである、そして我々も同じである、この地に侵攻し、王国の財産を奪い取ろうとした大犯罪者、その首魁たる皇帝と提督は我が手にある、そしてその取り巻きも同様である、責を問われるのは彼らであって、君達ではない、故に即刻、この地、この場より撤退するよう通告するものである、王国軍は王国の名誉を持って君達を追撃する事は無い、速やかにこの荒野から退き、温かい故郷に帰還するべきである、貴君らの家族も待っていよう、この戦争は終わったのだ、貴君らの守るべき土地、守るべき者を守れ、それが帝国軍の存在意義であろう」

大犯罪者は言い過ぎかもなーと感じるタロウ、しかしここはボニファースらがタロウの草案を添削し付け加えた部分であった、実に楽しそうなその時の様子を思い出すタロウ、学園長かラインズがいればより劇的になったのであろうかと思うも、それはそれでやり過ぎになったとも思う、そして、

「直ちに武器を置き、陣地から食料を持ち出すべきである、ここから要塞までも遠い、そして要塞から帝国までもまた遠い、貴君らにとってはこの地の昼も夜も厳しいであろう、この地から脱出する、それだけでも貴君らにとっては試練である、今すぐに剣を置き、槍を捨て、大蛇の眠る通路へと向かうべきである、陽があるうちに出来るだけ距離を稼ぐことだ、この地の夜は厳しい、賢い貴君らであれば既に理解し経験していよう」

どうかなと帝国軍を見つめるタロウ、しかし大きな動きはないようで、しかし、

「後方、数人の兵士が離脱しております、騎士が何やら叫んでおります・・・離脱者・・・増えております・・・」

ルーツの部下が叫んだ、オォッと歓声が上がる物見櫓、

「では・・・これより30を数える、数え終えてもいまだその場にいる者は王国に仇なす真の敵と認知する、その者らには王国の誇る英雄とこの世ならざる魔法が引導を渡すであろう」

タロウがゆっくりと厳かに続けた、そして、

「30」

帝国語の数字を読み上げ始める、タロウはここが重要とじっくりと時間をかける事としていた、大きく鼻息を吐き出し、帝国軍を見つめ、心の中で一分程度はかけてやろうと考える、そして、

「29」

それでも恐らく30秒くらいで次の数字を口にしてしまうタロウ、

「離脱者増加しております・・・同士討ちも・・・始まっておりますね・・・」

ルーツの部下が寂しそうに告げる、

「そうか・・・」

「まぁ、そうなるだろうな・・・」

クロノスとルーツが同時に眉を顰める、

「28」

タロウもそれは想定通りだなーと思いつつ声を張り上げた、クロノスが木板に指示を出したようで、皇帝旗がユラリと方向転換する、

「27」

そうしてタロウのカウントダウンがゆっくりと時を刻む、10を数える頃には帝国軍は目に見えて瓦解し、陣地に戻る集団、そのまま東方へ向かう集団が確認出来た、取り合えず良かったかなとタロウは安堵する、しかしやはりと言うべきか、残る兵士もまた多かった、特に騎士や重装歩兵は隊列すら乱れていない、広い荒野にあって、その部隊だけがぽつぽつと散見され、なんとも侘しく感じられる、

「3」

タロウはどうするよとクロノスへ無言で問いかける、

「・・・俺が行ってもいいが・・・まぁ、この程度であれば何とでもなるさ、現場の連中に任せる・・・いや、下で確認するか・・・」

クロノスがスッと踵を返す、

「2」

向き直りつつ続けるタロウ、そして、カウントダウンが終わる、

「以上である、この場に残った貴殿らは帝国の誉れである、最前線において皇帝と提督も貴殿らの雄姿と死を目にするであろう」

タロウは最後の文言を読み上げ、帝国軍を見つめる、恐らく2千程度は残っていた、騎士団に重装歩兵、そして一般兵もいる、帝国と皇帝に命を賭けた男達であった、

「終わりだな」

ルーツが手を離す、

「ん、後は下の仕事」

「だな、おう」

ルーツが振り返った瞬間にその部下が階下へ向かったようである、

「じゃ・・・俺は一仕事してくるよ・・・」

スッと振り返るタロウ、

「一仕事?」

「うん、殿下にねー、サイを捕まえておけって言われてさー」

ニコーと微笑むタロウ、

「何だそりゃ・・・」

呆れたように目を細めるルーツ、

「そのままさ、今の内にって思ってね、あと・・・一応ね、しでかした事の確認だな・・・」

タロウはそそくさと階段へ向かう、まぁいいけどよと見送るルーツ、興味が無さそうに目を眇めるゲイン、ルーツの部下達も不思議そうにその背を見送った。
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