セカンドライフは寮母さん 魔王を討伐した冒険者は魔法学園女子寮の管理人になりました

今卓&

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本編

59話 お披露目会 その2

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そこへ、

「マスター、ギルドであれを購入するべきですよー」

上気して興奮した様子のミースが四人の元へ歩み寄る、

「どれの事です?」

「あれです」

ニコニコと笑顔を浮かべるミースは三面鏡を差している、みれば、三面鏡の前には他のギルド職員である女性達が群がりコッキーとブノワトも加わってそこだけ黄色い声が上がり明るくも姦しい、

「三面鏡でしたか、確かにあれも素晴らしいですが・・・ギルドに置くには壁鏡で充分でしょう」

「そうかもですけどー、今ある一枚では足りないですよー、それにー、あれがあるだけで女性事務員のやる気が確実に上がりますよー」

「そんな事を言って、あなたが欲しいだけでしょう、第一ギルドにあるあの一枚もエレイン会長の御厚意で置いているのです、購入するとなれば予算組から始めないといけないでしょう」

「そうですけどー」

冷静な意見を口にするギルド長と妙に艶めかしく甘えるミースである、エレインはあらあらと微笑み、

「そうですね、不躾ですが、ギルドのホールに壁鏡を正式に設置して貰いたいと考えておりました、ガラス鏡協会が発足したら実際の品として誰もが見れる場所に提供したいと考えておりましたので」

「えっ、本当ですか?」

「それは嬉しい」

ギルド長とミースが同時に歓声を上げ、マレインは随分と太っ腹だなと呆れ顔で、ロブはこういう所だよなとニヤリと微笑む、

「はい、どうしてもこの店は高級な店になってしまいますから、ですが、将来的になのですが、壁鏡や手鏡等は平民でも頑張れば手に入る程度の品になればとも思っております、ですので、より身近な存在になって欲しいと思っているのです」

「それはまた、先の話しになりそうですな」

「しかし、大事な事だろう、市場を広げるという観点でも実に正しい」

「確かに、うん、その通りではあるな」

「ま、あくまであれです高級品には変わりないですし、壊れやすい品ではありますが、大事にして頂ければ一生ものの品でもありますから、一家に一つ、一人に一枚・・・そう考えていますが、まだまだ先ですね」

「・・・そっかー、エレイン会長凄いなー、そうだよねー」

ミースは感心しつつコクコクと頷く、男達もなるほどと頷くしかない、

「さらに、三面鏡なのですが、そうですね、奥様一人一人がお好みの机で寝室に置かれるような品になればとも考えます、女性が美しいと街も華やかになりますでしょう、それは下着の普及によって実感されているのではないですか」

エレインがニヤリと微笑む、ミースは、

「そうです、そうですよ、何だか街中が明るくなった気がします、こう、皆さん堂々とされているようで」

一も二も無く同意の歓声を上げ、男達も再び確かにと頷く、

「まっ、あれです、元気な子供と朗らかな女性達、これが活気の元だと私は思います、それがその街の豊かさの証明であるとも、だって、男性の皆さまも機嫌の良い奥様と素直で可愛いお子様の笑顔、それがご自宅を最も明るくする要因なのではないですか?円満の秘訣と言うのでしょうか?恐らくそれは街も一緒なのですよ」

ニヤリとほくそ笑むエレインに男三人は苦笑いを浮かべるしかなく、ミースは凄まじい勢いでコクコクと頷いている、

「そうですね、今でも手鏡であれば平民でも手の届く金額にはなっております、ですがそれも供給体制しだいなのでもう暫くお時間を頂く事になりますが」

「そうなんですか?」

「はい、詳しくは商談になってしまいますからここでは申し上げられませんが、ゆくゆくは手鏡や合わせ鏡、それと、そうですね、姿見ですね、こちらは事務所の店舗でも取扱えるようにと画策しております」

「ほう・・・姿見もですか?」

「はい、全身鏡は貴族様と業務用と考えております、その他の品に関しては出来るだけ多くの人に活用して欲しいかなと思いまして、無論他の鏡製品も企画しておりますが、それは追々となりますね」

「なるほど、貴族様と業務用・・・平民の家に全身鏡は大きすぎますな」

「はい、あっても良いかと思いますが、壁一面ですからね、仰々しいでしょう」

「楽しみですー、そうなったらすぐに御連絡下さいねー」

「勿論ですよ、広告掲示板を利用しましょう・・・って、あっ、あれの効果は凄まじいものでしたが、服飾のお店の方では如何でした?」

エレインはハッと思い出して話題を変えた、昨日の店舗の惨状が頭をよぎり、下着の掲示板の反響はどうであったかと昨晩寝る前に気になった事を口にした、

「おう、それもありましたな」

「うむ、素晴らしかったようですよ」

ギルド長とマレインはニヤリと微笑み、ロブはあーあの掲示板かと思い出す、ミースは、

「そうですよ、昨日向こうのお店の方覗きましたけど、すんごい行列でしたね」

「来て頂いたんですか?」

「はい、看板設置が終わってから帰りしなに通りかかったのです、そしたらもう、お祭り騒ぎかと思いました」

「確かにそうですね、お祭りの方がまだ静かだった感じです」

エレインの苦笑いに、

「そんなにですか・・・うん、こちらも・・・あー、少しその点でお話しできればと思ったのですが」

マレインは同行している服飾関係者を伺うが、皆、こちらには背を向けてガラス鏡にご執心のようである、

「まったく、仕方ないか、私はほら直接の影響は無い立場ですからな、今朝報告された事、そのままになるのですが、うん、最も反響が大きかった店で5倍程度、それほどでもなかった店でも3倍は売上が増えたそうです、無論それだけ客足が伸びたと・・・これもより正確にまとめようと思っておった所ですが」

「まあっ・・・」

「ほう・・・」

「それは凄い・・・」

「・・・成功とみていいのかな?」

「でしょうね、で、道すがらその点を話しながら来たのですが、やはり女性客が多いのは当然としまして、そうなりますと、昼前後から午後の中程迄に集中する様子でしてね、その時間帯に人員を増やさねばならないとなりました、尤も、昨日だけの効果かもしれませんのでもう暫く経過を見ようとなったらしいのですが・・・うん、エレイン会長、掲示板の効果は素晴らしいと、現時点で言えると思いますぞ」

マレインは若干悩みながらそう締め括った、マレイン自身の店は反物等の卸問屋である、故に平民を相手にする商売ではない為に実感が薄いのであるが、同行する関係者の殆どが下着の掲示板の恩恵に預かったようであった、

「それは良かったです、私共も・・・」

とエレインは昨日の店舗の状況を説明した、そして自身を含めテラもガラス鏡店に意識を取られていた為まったくの無策であった事を反省点としてあげる、実際に昨日来店してくれた客のうち、半数は断らなければならない状況であった、テラが一人一人に謝罪して回る姿をエレインは何とも申し訳なく感じたのである、

「そうだったんですねー、あれですよ、ギルドの前の掲示板も気付けば人だかりになってます」

「うん、そうだな、今日も朝から集まっていたな」

「あら、邪魔にならないでしょうか?」

「その点は気にする事の無い場所だから良いのだが・・・それと他の商会からも早速広告掲示板の問い合わせが入っていたな?」

「あっ、はい、もう何件も来てますね、値段とか広告内容に関する問い合わせが多いようです、飲食でもいいのかとか革製品でもいいのかとか私が受けた問い合わせはそんな感じでした」

「早速ですか・・・」

「早速ですね、でも、お店の反響を知ればさらに増えると思いますよ」

「うむ、ではマレイン会長、下着の掲示板に関する報告を至急まとめてもらいたい、エレイン会長、昨日の売り上げなどの数字を頂く事は可能だろうか?」

「はい、集計は終えてますので・・・但し・・・すいません、本日は動けないので明日・・・こちらの都合で申し訳ないのですが、私は伺えないかもですが、事務員に届けさせます」

「うむ、宜しく頼む、取り敢えず数字が分かれば嬉しいと思う、あっ、広告前の数字も出来れば欲しいですな、比較検討したいですからね、勿論あれです数字をそのまま公表する事はありませんので、ご安心を、しかし、そんなに早急に効果が表れるとは考えもしなかったですな」

「そうですね、いや、恐らくですが、あの掲示板が秀逸だったのですよ、下着に関しては明確に顧客を絞っておりました、こういう人にお薦めであると・・・それが上手い事女性達に刺さったのでしょうな」

「ですよねー、あの広告も素晴らしかったですよ、知っててもまた行きたくなりましたもの」

「そうだ、それだ、広告の宣伝文句な、あれの担当者も決めねばならんのだ」

「あー、そうでしたねー」

「いや、あのような文言を考えらえる人材等中々おらんぞ」

「そこはだって、各商会さんと打ち合わせしながらが良いと思いますよ、どのような品を宣伝するかでまったく異なるんですから、商品ではなくて店の広告かもですし」

「それはそうだが、今の内にだな、ある程度形を作っておかないとギルドとして示しってものがな」

「まぁまぁ、取り敢えずそれは戻ってから」

マレインが珍しくもギルド長とミースを宥め、エレインはユスティーナにも領主にも良い報告が出来るだろうなとホッと一息吐くのであった。
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