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本編
71話 晩餐会、そして その14
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「こう使うのじゃ」
レアンがニコリと周囲を見渡し、まずはおしぼりに手を伸ばす、皆一斉にその所作を見つめ、なるほどと頷いた、レアンは両手を拭うと適当に畳み直して皿に置く、
「気持ちが良いぞ、このタオルという布もまた異国のものなのだ」
フフンとレアンは自慢気に微笑み、来客達はそれは凄いとレアンを真似ておしぼりを手にし、そしていまだ暖かく絶妙な湿り気と柔らかさに驚き、さらには手を拭うというその行為にこれはと目を剥いた、
「で、こちらなのだがな」
とレアンは三角状の布に手を伸ばし、あっさりとその形を崩して端を摘まんで胸元に差し入れ、
「少々あれだ、子供染みていてすかんのだが、しかし、便利だぞ」
とどうかなと?胸を張って見せる、確かに子供染みているなと皆思うが、女性達は確かにこれであれば衣服を汚す心配から解放されるであろうと察し、また男性達も上司である伯爵の御令嬢が実践して見せているのだ、それに倣わなければ失礼に当たると、不承不承と手を伸ばした、そこでハッと気付いた、ユスティーナやマルヘリート、レアンが主催者席ではなく、来客側に座っているのはこの作法とやらの指導が目的であった事にである、背後を確認すればそこではユスティーナが同じように教示しており、ここからは伺えなかったがマルヘリートもまたそうしている様子で、さらに主催者席ではカラミッドがクンラートにこうするのだと見せつけている、クンラートはホウと感心しつつもめんどくさそうにしているが、しかし、カラミッドの顔を潰すのもいかんだろうと素直に従っていた、そうこうするうちに一品目の皿が運ばれてくる、どうやらスープのようである、黄金色に輝くかぐわしい香りが食欲をそそる、しかし具の無いスープのようで、これでは物足りないかもなと誰もが思った、
「でな、スプーンの使い方としては、こちらにあるものを使用し、済ませたら戻して欲しいのだ、あれだぞ、皿を持ち上げるような無粋な真似は許されんぞ」
レアンがニヤリと微笑み率先して食器が並ぶ小皿に手を伸ばす、そして上品にスープを口にした、ウーンと嬉しそうにその頬を綻ばせる、これにもなるほどと客達はスプーンを手にしてスープを口にする、皆一斉に動くものだから傍から見ていると何とも滑稽に見えるが、それに気付く者はいない、メイド達は忙しくしかし優雅に立ち回っており、遊女達も酒の給仕に忙しい、そして、
「これは美味しい・・・」
「ホント・・・初めての味です・・・」
「ですわね、複雑で・・・それでいてあっさりしているし・・・」
「なんでしょう、これは一体何のスープなのかしら?」
その一見簡素なスープに皆ザワザワと感想を口にせざるを得ない、レアンもまた以前の食事会のそれとも違うなと嬉しそうに二口三口と手が止まらなくなっていた、野菜の旨味もさる事ながら、絶妙な塩加減となによりそれらをまとめあげる奇妙な風味がある、一同はこれは旨いと夢中になってしまい、大人数が集まっているというのにただ静かに食器と皿がたてる音とスープを啜る音のみが会場を制した、リシャルトはなんとと驚いて、さて何か発言するべきかと思うが、ここはその静寂を見守るのが正しかろうと沈黙を守り、メイドや遊女達は静観するのが正しいと壁際に静かに控える、そして、
「うむ、美味いな」
クンラートも満足そうに頷いた、どうやらあっという間に飲み干したらしい、
「ですな、いや、これは私も初めてです」
カラミッドが嬉しそうに微笑む、
「そうなのか?」
「えぇ、本日の料理はとある人物に依頼しましてね、その男曰くなにからなにまで新しいものであるとの事」
「それは聞いているが・・・しかし、このスープはどういう代物なのだ?」
「そうですね・・・」
とカラミッドがリシャルトへ視線を向けた、リシャルトはエッと固まってしまう、しかしすぐにメイドがそっと黒板を差し出した、これにもリシャルトはエッと思わず声を上げた、メイドがタロウ様からですと言い添えてニコリと微笑む、ナニッと黒板を見れば、何やら製法が記されていた、さらにメイドがスープの調理法であると囁く、ナッとリシャルトは目を丸くしてメイドを見つめ、すぐに黒板に目を走らせると、
「失礼致しました」
と顔を上げた、皆様と続けそのスープの材料とその調理法を簡単に伝える、ホウと皆一様に感嘆の声を上げた、その弁を信用するしかないが、鳥の骨を煮込み、数種の野菜を溶かし込んだ品との事で、そのような調理法があったのかとザワザワと騒がしくなった、
「鳥の骨・・・」
「なるほど・・・確かに肉の味がするとは思ったが・・・骨か・・・」
「これはまたけったいな・・・」
「しかし良い味ですぞ」
「それはまごう事無き真実よな」
カラミッドとクンラートも目を丸くして空になった皿を見つめる、そして、
「もう一皿もらえるか?」
とクンラートがリシャルトを睨む、
「申し訳ありません、先程もお伝えした通りの段取りとなっております、4品目が終わりましたら追加の皿を承りたいと思いますので、どうか御容赦を」
リシャルトは断るのが正解か否か、何とも難しい判断であったが、段取りを理由にやんわりと断る事とした、この後も恐らく珍しい上に美味なる料理が続く筈で、さらに別の皿が今まさに運び込まれた所であった、ここはクンラートの不興を買うのは覚悟の上でそうするしかない、
「なんだと・・・」
クンラートが眉を顰める、
「まぁまぁ、ほれ、次も来ている、ここはカラミッドの段取りとやらを壊してはならん」
レイナウトがニヤリと微笑む、恐らく次に来るのは野菜であろう、先日の食事会でも一品目のスープは味は良いが量的には物足りないと感じたものである、しかし食事会が終わってみれば大人であれば丁度良い量であった、今回もそのあたりは計算している筈である、
「・・・まぁ、仕方ないな・・・」
クンラートがブスリと顔を歪める、クンラートが肉以外の料理を所望するなど珍しい事であった、腹に溜まればそれでいいと考えているクンラートである、スープの一皿を足りないと感じるのは初めての感覚であった、そしてその不満気な様子を隠そうともせずグラスに手を伸ばす、艶やかな女給に一番旨い酒を持ってこいと伝えたら、なにやら奇妙な品を運んできた、ぱっと見はまるで酒には見えず、氷で冷やされており、さらには小さな泡が沸き立っている、カラミッドからこれはソーダ水と呼ぶものですとだけ伝えられ、何だそれはと文句を言おうとした瞬間にスープの皿が供されている、ここはこのどう見ても酒には見えない酒にケチでもつけるかとグラスを口に運んだ、
「ムゥ・・・」
しかしクンラートは一口舐めて言葉を失った、確かに酒である、酒独特の風味を感じ、しかし、その泡によるものか口中は大変にサッパリとしている、さらにはなにやら果物の苦味と酸味が心地良い、そして初めて嗅いだ清涼感溢れるその香りにも度肝を抜かれる、
「これは良いですな」
カラミッドも同じ酒を口にし、レイナウトも、
「ほう・・・うん、旨い・・・」
とグラスを見つめている、
「これもあれか、異国の酒なのか?」
クンラートは目を見開いてカラミッドに問い質す、
「あー・・・リシャルト」
カラミッドがリシャルトを伺うと、
「はい、本日、王国に於いては恐らく初めて提供される飲み方となります、故にその名前もまだ決まっていない品になりまして・・・」
とリシャルトはこれはすぐに答えられると若干早口になってしまった、そしてウィスキーとソーダ水、レモンについての講釈を垂れる、その間にスープの皿は下げられ、野菜の煮物と焼き物の皿が供された、なるほど、こういう仕掛けなのかと客達は納得する、普段であればテーブルに所狭しと並べられた料理を好き勝手に口に入れるのであるが、リシャルトの説明によれば一品ずつ提供されるとの事で、それが一体どういう事なのかと思っていたのだがやっと理解出来た、さらに大皿でもって白く丸々とした恐らくパンであろう品も提供された、蒸しパンである、
「なるほど・・・しかし、美味いな」
クンラートがあっという間にグラスを空け、女給がそれに気付いて代わりの一杯を供する、
「失礼いたします、飲み過ぎにはご注意を、思った以上に強い酒でございます」
女給がそっと言い添えた、ナニッ?とクンラートは女給を睨むが、女給は慣れたものなのかニコリと微笑み優美に距離を置く、
「・・・この香りはなんだ?」
そこでやっとクンラートが気付いた、女給であると紹介された女どもが通りすぎると何とも甘い香りが漂い残る、
「香箱とか」
「かおりばこ?」
「はい、ユスティーナが関わったとか、花の香りを漂わせる、これも新しい仕掛けでございます」
「なんと・・・それもあれか趣向の一つか」
「はい、そのようにお考え下さい」
カラミッドはニンマリと微笑む、料理についてはタロウに任せてしまった為、答えようがなかったがそれ以外については打合せ済みである、
「むぅ・・・香りとは・・・」
「はい、さっ、次の皿も素晴らしいですぞ、こちらはこの四本フォークをお使い下さい」
「それは分かる、これは良い品だな」
「ありがとうございます」
と二皿目に手を伸ばすクンラートである、こうして晩餐会は上品に且つ興味深く進んだ、リシャルトはメイドによって運ばれる黒板を元に解説を加え、その度になるほどと納得され、その一皿を話題として和やかな会話が繰り返された、タロウ曰く恐らく食事中はその料理が話題の中心となる筈だとの事で、見事にその思惑通りとなっている、そして、豚を使った肉料理、牛を使った肉料理と続く、無論それらは好評であり、これは旨いと絶賛された、さらには蒸しパンも見事に花を添える、二本の光柱と卓上に並ぶステンドグラスの照明によって昼よりも明るく輝く会場内は落ち着いた実に上品な雰囲気の中、食事に集中し且つ楽しめる状況で、しかし、その中で、
「もう一杯」
エレインはグラスを飲み干して振り返る、エレインを知る遊女は大丈夫かしらと首を傾げるが、拒否する事も出来ずに作り置きのグラスを差し出した、
「エレイン嬢、そのへんにしておけ」
イフナースがこれはまずいかなと諫めるも、
「なんですかー、飲んじゃ駄目なんですかー」
エレインはグラスをグイッと傾けてジットリとイフナースを睨みつける、
「・・・駄目だろ、飲み過ぎだ」
これはやばいかもなとイフナースは額に汗を感じる、対面に座る学園長も事務長もどうしたものかと困り顔であった、
「えー・・・殿下がー、飲めって言ったんですー、楽しくなるぞーってーー」
エレインは肩肘をついてイフナースを睨みつけた、イフナースは目が座るとはこの事か言い得て妙だな、などと思ってしまう、
「そうだがさ、だから、止めているんだよ」
「むー、嫌ですー、やっと楽しくなってきたんですー、お酒は楽しいですーーー、ウフフー」
エレインは再びグラスをグイッと空けた、アチャーと言葉を無くす三人である、四人が座る席はその立場もあって末席であった、故に徒に目立つことは無かったが、流石にこれはエレインを知らぬ者には見せられない姿である、
「あー・・・おい、酒は入れるな、ソーダ水だけにしろ」
イフナースが振り返り、女給は確かにそうだとカウンターに走る、バーカウンターはフィロメナとヒセラが担当していた、二人ともに出番は後である為、今は裏方作業に集中している、
「デンカー、でねー、さっきなんですけどー、あれですかー、公爵様とは仲が良いんですかー」
エレインはウフフフと妖艶な笑みを浮かべてイフナースにしな垂れかかった、
「ん?急になんだ?」
「だってー、ほらー、私でも知ってるんですからー、仲悪いのー」
おいおいと学園長と事務長は顔を顰め、隣りの招待客も流石にそれはどういう事かと振り向いた、殿下とは殿下の事であろうし、そう呼ばれているのは基本王族だけである、先程の騒動もあり、なにやら訳ありである事は察しているが、ここは変に関わるのはややこしい事になりそうだと静観を決め込んでいたのである、
「まぁ・・・な、俺にだって色々あるんだよ」
イフナースはめんどくさそうに微笑む、しかし、
「そのー、色々が大事なんですー」
エレインはムーと呻きつつイフナースの身体に抱き着いた、さらにアチャーと顔を顰める学園長と事務長、なにをやっているのやらと睨みつける近場に座る客達である、そこへ、
「エレインさん、どうしたの?」
とタロウが優しく声を掛けた、その傍には心配そうな顔のメイドが寄り添っている、どうやらエレインの異変を察してタロウを呼んで来たらしい、
「あー、タロさんだー、あのねー、このお酒美味しいのー、お家でも作ってー、ねー、タロさんならできるでしょー」
と今度はタロウに絡みだすエレインである、見事に呂律が回っていない、挙句顔は真っ赤でその目はトロンと呆けている、
「あー・・・飲み過ぎましたか?」
タロウが三人に確認すると、恐らくなと三人は同時に頷いた、
「なるほど、ほら、エレインさん、少し向こうで休もうか、騒がせちゃ駄目だからね」
「うー、えー、でもー、殿下の側にいないと駄目なのよー、だって、今日はそういうお仕事ー、リシア様にお願いされたのー、だってー、あの子はー、エレインさんがいないと駄目なんだからーって、言われてー、だからー」
「はいはい、そうだね、ほら、イース様は大丈夫だから、ね」
「でもでもー、だって、殿下は私がいないと駄目なのー」
おいおいと眉を顰めるイフナースである、
「そっか、駄目か、ならしっかりしないとだから、ごめんね、そっち支えて」
タロウはこれは本格的に難しいなと判断し、その手を取ると強引に立ち上がらせ、メイドにエレインの肩を任せる、
「ん、じゃ、少し休ませますね、ほら、エレインさんは多忙な方ですから、疲れが溜まっていたのでしょう」
タロウは心配そうに見つめる他の客ににこやかに微笑む、皆そういう事もあろうなと小さな会釈で答えに代えた、最近貴族社会でも高名なガラス鏡の商会となれば気苦労も多かろう、先程の騒動も気になる為食事を終えたら話したいとも思っていたが、それは難しそうだなと諦めた、
「頼む」
イフナースはやれやれと溜息を吐いた、まさかエレインがこれほど酒に弱いとは思わず、また、飲ませた酒もやたらと飲みやすい、遊女からはその点を注意されてもいた為、イフナースは控え目に楽しんでいたのであるが、エレインはクイクイと調子良く空けていた、そんなに酒が好きだったのかとイフナースは横目で見ていたが、どうやらそういう問題では無かったらしい、
「はい、失礼致します」
タロウは慇懃に一礼する、今日は完全に裏方と思っていた為呼び出されることも無かろうと高を括っていたのであるが、不測の事態は往々にして起こるもので、この程度であればまぁそのうち笑い話になるであろうと内心でニヤリとほくそ笑む、
「うー、だからー、殿下のー、がー、うー、やだー」
とエレインはメイドによって引きづられるように退室し、タロウはそそくさと後を追う、大丈夫かしらとフィロメナとヒセラも心配そうに首を伸ばすが、酒を造るその手が止まらないのは流石その道の熟練者であった。
レアンがニコリと周囲を見渡し、まずはおしぼりに手を伸ばす、皆一斉にその所作を見つめ、なるほどと頷いた、レアンは両手を拭うと適当に畳み直して皿に置く、
「気持ちが良いぞ、このタオルという布もまた異国のものなのだ」
フフンとレアンは自慢気に微笑み、来客達はそれは凄いとレアンを真似ておしぼりを手にし、そしていまだ暖かく絶妙な湿り気と柔らかさに驚き、さらには手を拭うというその行為にこれはと目を剥いた、
「で、こちらなのだがな」
とレアンは三角状の布に手を伸ばし、あっさりとその形を崩して端を摘まんで胸元に差し入れ、
「少々あれだ、子供染みていてすかんのだが、しかし、便利だぞ」
とどうかなと?胸を張って見せる、確かに子供染みているなと皆思うが、女性達は確かにこれであれば衣服を汚す心配から解放されるであろうと察し、また男性達も上司である伯爵の御令嬢が実践して見せているのだ、それに倣わなければ失礼に当たると、不承不承と手を伸ばした、そこでハッと気付いた、ユスティーナやマルヘリート、レアンが主催者席ではなく、来客側に座っているのはこの作法とやらの指導が目的であった事にである、背後を確認すればそこではユスティーナが同じように教示しており、ここからは伺えなかったがマルヘリートもまたそうしている様子で、さらに主催者席ではカラミッドがクンラートにこうするのだと見せつけている、クンラートはホウと感心しつつもめんどくさそうにしているが、しかし、カラミッドの顔を潰すのもいかんだろうと素直に従っていた、そうこうするうちに一品目の皿が運ばれてくる、どうやらスープのようである、黄金色に輝くかぐわしい香りが食欲をそそる、しかし具の無いスープのようで、これでは物足りないかもなと誰もが思った、
「でな、スプーンの使い方としては、こちらにあるものを使用し、済ませたら戻して欲しいのだ、あれだぞ、皿を持ち上げるような無粋な真似は許されんぞ」
レアンがニヤリと微笑み率先して食器が並ぶ小皿に手を伸ばす、そして上品にスープを口にした、ウーンと嬉しそうにその頬を綻ばせる、これにもなるほどと客達はスプーンを手にしてスープを口にする、皆一斉に動くものだから傍から見ていると何とも滑稽に見えるが、それに気付く者はいない、メイド達は忙しくしかし優雅に立ち回っており、遊女達も酒の給仕に忙しい、そして、
「これは美味しい・・・」
「ホント・・・初めての味です・・・」
「ですわね、複雑で・・・それでいてあっさりしているし・・・」
「なんでしょう、これは一体何のスープなのかしら?」
その一見簡素なスープに皆ザワザワと感想を口にせざるを得ない、レアンもまた以前の食事会のそれとも違うなと嬉しそうに二口三口と手が止まらなくなっていた、野菜の旨味もさる事ながら、絶妙な塩加減となによりそれらをまとめあげる奇妙な風味がある、一同はこれは旨いと夢中になってしまい、大人数が集まっているというのにただ静かに食器と皿がたてる音とスープを啜る音のみが会場を制した、リシャルトはなんとと驚いて、さて何か発言するべきかと思うが、ここはその静寂を見守るのが正しかろうと沈黙を守り、メイドや遊女達は静観するのが正しいと壁際に静かに控える、そして、
「うむ、美味いな」
クンラートも満足そうに頷いた、どうやらあっという間に飲み干したらしい、
「ですな、いや、これは私も初めてです」
カラミッドが嬉しそうに微笑む、
「そうなのか?」
「えぇ、本日の料理はとある人物に依頼しましてね、その男曰くなにからなにまで新しいものであるとの事」
「それは聞いているが・・・しかし、このスープはどういう代物なのだ?」
「そうですね・・・」
とカラミッドがリシャルトへ視線を向けた、リシャルトはエッと固まってしまう、しかしすぐにメイドがそっと黒板を差し出した、これにもリシャルトはエッと思わず声を上げた、メイドがタロウ様からですと言い添えてニコリと微笑む、ナニッと黒板を見れば、何やら製法が記されていた、さらにメイドがスープの調理法であると囁く、ナッとリシャルトは目を丸くしてメイドを見つめ、すぐに黒板に目を走らせると、
「失礼致しました」
と顔を上げた、皆様と続けそのスープの材料とその調理法を簡単に伝える、ホウと皆一様に感嘆の声を上げた、その弁を信用するしかないが、鳥の骨を煮込み、数種の野菜を溶かし込んだ品との事で、そのような調理法があったのかとザワザワと騒がしくなった、
「鳥の骨・・・」
「なるほど・・・確かに肉の味がするとは思ったが・・・骨か・・・」
「これはまたけったいな・・・」
「しかし良い味ですぞ」
「それはまごう事無き真実よな」
カラミッドとクンラートも目を丸くして空になった皿を見つめる、そして、
「もう一皿もらえるか?」
とクンラートがリシャルトを睨む、
「申し訳ありません、先程もお伝えした通りの段取りとなっております、4品目が終わりましたら追加の皿を承りたいと思いますので、どうか御容赦を」
リシャルトは断るのが正解か否か、何とも難しい判断であったが、段取りを理由にやんわりと断る事とした、この後も恐らく珍しい上に美味なる料理が続く筈で、さらに別の皿が今まさに運び込まれた所であった、ここはクンラートの不興を買うのは覚悟の上でそうするしかない、
「なんだと・・・」
クンラートが眉を顰める、
「まぁまぁ、ほれ、次も来ている、ここはカラミッドの段取りとやらを壊してはならん」
レイナウトがニヤリと微笑む、恐らく次に来るのは野菜であろう、先日の食事会でも一品目のスープは味は良いが量的には物足りないと感じたものである、しかし食事会が終わってみれば大人であれば丁度良い量であった、今回もそのあたりは計算している筈である、
「・・・まぁ、仕方ないな・・・」
クンラートがブスリと顔を歪める、クンラートが肉以外の料理を所望するなど珍しい事であった、腹に溜まればそれでいいと考えているクンラートである、スープの一皿を足りないと感じるのは初めての感覚であった、そしてその不満気な様子を隠そうともせずグラスに手を伸ばす、艶やかな女給に一番旨い酒を持ってこいと伝えたら、なにやら奇妙な品を運んできた、ぱっと見はまるで酒には見えず、氷で冷やされており、さらには小さな泡が沸き立っている、カラミッドからこれはソーダ水と呼ぶものですとだけ伝えられ、何だそれはと文句を言おうとした瞬間にスープの皿が供されている、ここはこのどう見ても酒には見えない酒にケチでもつけるかとグラスを口に運んだ、
「ムゥ・・・」
しかしクンラートは一口舐めて言葉を失った、確かに酒である、酒独特の風味を感じ、しかし、その泡によるものか口中は大変にサッパリとしている、さらにはなにやら果物の苦味と酸味が心地良い、そして初めて嗅いだ清涼感溢れるその香りにも度肝を抜かれる、
「これは良いですな」
カラミッドも同じ酒を口にし、レイナウトも、
「ほう・・・うん、旨い・・・」
とグラスを見つめている、
「これもあれか、異国の酒なのか?」
クンラートは目を見開いてカラミッドに問い質す、
「あー・・・リシャルト」
カラミッドがリシャルトを伺うと、
「はい、本日、王国に於いては恐らく初めて提供される飲み方となります、故にその名前もまだ決まっていない品になりまして・・・」
とリシャルトはこれはすぐに答えられると若干早口になってしまった、そしてウィスキーとソーダ水、レモンについての講釈を垂れる、その間にスープの皿は下げられ、野菜の煮物と焼き物の皿が供された、なるほど、こういう仕掛けなのかと客達は納得する、普段であればテーブルに所狭しと並べられた料理を好き勝手に口に入れるのであるが、リシャルトの説明によれば一品ずつ提供されるとの事で、それが一体どういう事なのかと思っていたのだがやっと理解出来た、さらに大皿でもって白く丸々とした恐らくパンであろう品も提供された、蒸しパンである、
「なるほど・・・しかし、美味いな」
クンラートがあっという間にグラスを空け、女給がそれに気付いて代わりの一杯を供する、
「失礼いたします、飲み過ぎにはご注意を、思った以上に強い酒でございます」
女給がそっと言い添えた、ナニッ?とクンラートは女給を睨むが、女給は慣れたものなのかニコリと微笑み優美に距離を置く、
「・・・この香りはなんだ?」
そこでやっとクンラートが気付いた、女給であると紹介された女どもが通りすぎると何とも甘い香りが漂い残る、
「香箱とか」
「かおりばこ?」
「はい、ユスティーナが関わったとか、花の香りを漂わせる、これも新しい仕掛けでございます」
「なんと・・・それもあれか趣向の一つか」
「はい、そのようにお考え下さい」
カラミッドはニンマリと微笑む、料理についてはタロウに任せてしまった為、答えようがなかったがそれ以外については打合せ済みである、
「むぅ・・・香りとは・・・」
「はい、さっ、次の皿も素晴らしいですぞ、こちらはこの四本フォークをお使い下さい」
「それは分かる、これは良い品だな」
「ありがとうございます」
と二皿目に手を伸ばすクンラートである、こうして晩餐会は上品に且つ興味深く進んだ、リシャルトはメイドによって運ばれる黒板を元に解説を加え、その度になるほどと納得され、その一皿を話題として和やかな会話が繰り返された、タロウ曰く恐らく食事中はその料理が話題の中心となる筈だとの事で、見事にその思惑通りとなっている、そして、豚を使った肉料理、牛を使った肉料理と続く、無論それらは好評であり、これは旨いと絶賛された、さらには蒸しパンも見事に花を添える、二本の光柱と卓上に並ぶステンドグラスの照明によって昼よりも明るく輝く会場内は落ち着いた実に上品な雰囲気の中、食事に集中し且つ楽しめる状況で、しかし、その中で、
「もう一杯」
エレインはグラスを飲み干して振り返る、エレインを知る遊女は大丈夫かしらと首を傾げるが、拒否する事も出来ずに作り置きのグラスを差し出した、
「エレイン嬢、そのへんにしておけ」
イフナースがこれはまずいかなと諫めるも、
「なんですかー、飲んじゃ駄目なんですかー」
エレインはグラスをグイッと傾けてジットリとイフナースを睨みつける、
「・・・駄目だろ、飲み過ぎだ」
これはやばいかもなとイフナースは額に汗を感じる、対面に座る学園長も事務長もどうしたものかと困り顔であった、
「えー・・・殿下がー、飲めって言ったんですー、楽しくなるぞーってーー」
エレインは肩肘をついてイフナースを睨みつけた、イフナースは目が座るとはこの事か言い得て妙だな、などと思ってしまう、
「そうだがさ、だから、止めているんだよ」
「むー、嫌ですー、やっと楽しくなってきたんですー、お酒は楽しいですーーー、ウフフー」
エレインは再びグラスをグイッと空けた、アチャーと言葉を無くす三人である、四人が座る席はその立場もあって末席であった、故に徒に目立つことは無かったが、流石にこれはエレインを知らぬ者には見せられない姿である、
「あー・・・おい、酒は入れるな、ソーダ水だけにしろ」
イフナースが振り返り、女給は確かにそうだとカウンターに走る、バーカウンターはフィロメナとヒセラが担当していた、二人ともに出番は後である為、今は裏方作業に集中している、
「デンカー、でねー、さっきなんですけどー、あれですかー、公爵様とは仲が良いんですかー」
エレインはウフフフと妖艶な笑みを浮かべてイフナースにしな垂れかかった、
「ん?急になんだ?」
「だってー、ほらー、私でも知ってるんですからー、仲悪いのー」
おいおいと学園長と事務長は顔を顰め、隣りの招待客も流石にそれはどういう事かと振り向いた、殿下とは殿下の事であろうし、そう呼ばれているのは基本王族だけである、先程の騒動もあり、なにやら訳ありである事は察しているが、ここは変に関わるのはややこしい事になりそうだと静観を決め込んでいたのである、
「まぁ・・・な、俺にだって色々あるんだよ」
イフナースはめんどくさそうに微笑む、しかし、
「そのー、色々が大事なんですー」
エレインはムーと呻きつつイフナースの身体に抱き着いた、さらにアチャーと顔を顰める学園長と事務長、なにをやっているのやらと睨みつける近場に座る客達である、そこへ、
「エレインさん、どうしたの?」
とタロウが優しく声を掛けた、その傍には心配そうな顔のメイドが寄り添っている、どうやらエレインの異変を察してタロウを呼んで来たらしい、
「あー、タロさんだー、あのねー、このお酒美味しいのー、お家でも作ってー、ねー、タロさんならできるでしょー」
と今度はタロウに絡みだすエレインである、見事に呂律が回っていない、挙句顔は真っ赤でその目はトロンと呆けている、
「あー・・・飲み過ぎましたか?」
タロウが三人に確認すると、恐らくなと三人は同時に頷いた、
「なるほど、ほら、エレインさん、少し向こうで休もうか、騒がせちゃ駄目だからね」
「うー、えー、でもー、殿下の側にいないと駄目なのよー、だって、今日はそういうお仕事ー、リシア様にお願いされたのー、だってー、あの子はー、エレインさんがいないと駄目なんだからーって、言われてー、だからー」
「はいはい、そうだね、ほら、イース様は大丈夫だから、ね」
「でもでもー、だって、殿下は私がいないと駄目なのー」
おいおいと眉を顰めるイフナースである、
「そっか、駄目か、ならしっかりしないとだから、ごめんね、そっち支えて」
タロウはこれは本格的に難しいなと判断し、その手を取ると強引に立ち上がらせ、メイドにエレインの肩を任せる、
「ん、じゃ、少し休ませますね、ほら、エレインさんは多忙な方ですから、疲れが溜まっていたのでしょう」
タロウは心配そうに見つめる他の客ににこやかに微笑む、皆そういう事もあろうなと小さな会釈で答えに代えた、最近貴族社会でも高名なガラス鏡の商会となれば気苦労も多かろう、先程の騒動も気になる為食事を終えたら話したいとも思っていたが、それは難しそうだなと諦めた、
「頼む」
イフナースはやれやれと溜息を吐いた、まさかエレインがこれほど酒に弱いとは思わず、また、飲ませた酒もやたらと飲みやすい、遊女からはその点を注意されてもいた為、イフナースは控え目に楽しんでいたのであるが、エレインはクイクイと調子良く空けていた、そんなに酒が好きだったのかとイフナースは横目で見ていたが、どうやらそういう問題では無かったらしい、
「はい、失礼致します」
タロウは慇懃に一礼する、今日は完全に裏方と思っていた為呼び出されることも無かろうと高を括っていたのであるが、不測の事態は往々にして起こるもので、この程度であればまぁそのうち笑い話になるであろうと内心でニヤリとほくそ笑む、
「うー、だからー、殿下のー、がー、うー、やだー」
とエレインはメイドによって引きづられるように退室し、タロウはそそくさと後を追う、大丈夫かしらとフィロメナとヒセラも心配そうに首を伸ばすが、酒を造るその手が止まらないのは流石その道の熟練者であった。
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そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
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【あらすじ】
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王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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