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本編
76話 王家と公爵家 その60
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「じゃ、やっぱりあれだよね、魔力の測定になるよね、問題点としては・・・」
ムーと黒板を見つめるタロウ、
「そうなりますね」
とカトカが大きく頷き、他の三人も無言で頷いた、
「なんか算段ある?」
ユーリがすっかり研究者の顔になって視線を上げる、
「・・・無い」
あっさり答えるタロウ、こいつは・・・とユーリが睨むも、確かにそうなんだよなと顔を顰める、
「やっぱりですか?」
「うん、前も言ったけどね、正直どうしたもんだかって感じでさ・・・俺やユーリであればまぁなんとなく分かるけど、それだって・・・なぁ・・・あくまでなんとなくだし・・・魔法石を使ってとも思ったけど、それじゃ本末転倒な感じがするし・・・」
俺の知る物理法則ではもう通じない感じがするんだよなと黙して首を傾げるタロウ、まずもってその物理法則を歪ませまくっているのは自分である事は棚に上げていたりする、
「微量でいいんですよ、人のそれじゃなくて」
「それは理解しているさ・・・でもこういうのはやっぱり俺の知らない何かがあると思うんだよなー・・・多分だけど・・・何て言うか・・・やっぱり魔力に関連した・・・それに影響された物質とか植物とか試験薬とか・・・」
タロウはウーンと腕を組んで天井を見上げる、測定とは実に化学的な手法である、この世界に於いての化学は今だ錬金術と呼称される域を脱していない、タロウの故郷にあっても一時期それは同一のものであり、錬金術の発展の結果、化学が成立し、物質そのものの理解が進む事となっている、それはやがて大枠で科学とされ、様々な学問がその名の下に糾合される事になるが、まずもって化学と言う分野も科学と言う概念も未発達なこの世界に於いて、測定技術そのものがまた未熟に過ぎた、温度計さえままならないのであるからそう表現すればいかに未発達かが分かると思われる、
「あんたでも知らないもの?」
「うん、何て言うか・・・一例を上げるとすればだけど・・・俺の国だとね、ある苔をね、染料として使ってたんだけど、それをね、紙に擦りつけて乾かすんだな、で、それを液体に付けると色が変わるんだ」
「・・・何それ?」
「リトマス試験紙って言う名前なんだけど、酸性とかアルカリ性が分かるんだが、あれも面白くてね・・・だから、もしかしたらそういう苔のようなものが探せばあるんじゃないかってなんとなく考えてはいるんだが・・・魔力を感知できる・・・そんな感じのヤツだね・・・でも、そうなるとそれこそ・・・何百って人の力が必要なんだよなー・・・調査だけでも膨大になるし・・・無駄の積み重ね・・・いや、それこそ錬金術のあるべき姿なんだろうけど・・・まぁ・・・錬金術かー・・・」
タロウがボケーッと考えながら口にする、次の瞬間、
「リトマス?ですか?」
「サンセイ、アルカリセイ?」
「何よそれ」
「色が変わって何が分かるんですか?」
矢継ぎ早に叩き付けられた疑問にアッとタロウは目を開いた、見れば女性四人の瞳が怪しく輝いている、それはテーブルを照らす小皿の光柱を受けてギラギラと怪しく揺らめき、大変に恐ろしい、
「あー・・・」
タロウはまたいらん事を言ってしまったと背筋を震わせた、思いついたことを口にする事は自重しているつもりであるが、どうしてもポロリと呟いてしまう、
「・・・まぁ、例えだよ、例え、そういうのがあるって事でね、だから、そんな感じで、魔力に反応するなにがしかがあるんじゃないかなって事、だから、それが俺の知らない何かかもしれないし、知ってる何かであったとしても使い方が違うとか加工が必要とか・・・そんな感じでね、正に探求と研究が必要・・・」
タロウは早口で誤魔化そうと試みるも尻すぼみとなってしまう、ギラギラと突き刺さる視線があまりに強く、単純に気圧されてしまった、
「・・・フーン、苔っていった?」
「ですね、苔を染料にするんですか?」
「あっ、学園長のあれにありますね」
「ホント?」
「はい、持って来ます」
サビナがバッと腰を上げ、あーそっか、学園長の知識もあるよなーとタロウは思うも、
「で、サンセイってなによ」
ユーリの視線がタロウを逃がさない、
「・・・まぁ、簡単に言えば、酸っぱいもの」
「ヘッ?」
と女性三人が目を剥いた、
「で、どうなんだろう・・・金を溶かす液体はもう開発できてる?」
タロウがカトカに問うと、
「なんですかそれ・・・金って金ですよね」
「そうだね、金貨とかの金」
「そんな事できるんですか?」
ジッとタロウを睨むカトカ、そこへサビナが書物を持ってバタバタと戻ってくる、
「できるというか、そういう液体が生成できるんだけど、他に物体を溶かす液体は発見されてる?」
「・・・すいません、聞いた事がないです」
カトカがどうかしらとゾーイに問いかけ、ゾーイは首を大きく横に振った、
「だよねー、まぁ、どれもこれも簡単には生成できないものばかりだけど、まぁ、簡単に言うとね、その酸っぱいものを突き詰めていくとそんな感じに金属とか金をも溶かす液体になる、で、逆にアルカリ、こちらは一般的に言えば・・・苦いものかな、それと石鹸か、そんな感じ」
「・・・待って、それってどういう事・・・」
「どういうも何も・・・そういう性質って事なんだけどさ、これも面白くてね、日常的に周りにあって、君らが普通に使っている液体?それに関連してる、水の実験の延長と考えればね、考えやすいかもしれないんだけど、例えば・・・うん、酢とか酸っぱい果物は酸性を示して、一番強い酸性となると・・・実は俺らの腹の中かな?」
「腹って」
「お腹ですか?」
「そう、そのお腹、胃の中でね食べたものを溶かしている液体がすんごい強い酸性、で、その逆になるのが、アルカリ性になって、こちらとなると・・・あれだ、ソーダ粉末?それと石鹸かな、で、水、水はねその丁度中間と考えていい、正し純水ってやつだね、少しでもほら、石鹸が混ぜったらアルカリになるし、酢を溶かしても酸性になる、面白いよねー」
アッハッハとタロウは笑い、さてどう誤魔化すかと頭を回転させる、正直何の資料も実験も無しで水素イオン指数の説明は難しかった、タロウ自身もフワフワとした知識で話している為、確実性も無かったりする、
「・・・それって何にどう使われるんですか?」
カトカがムーと眉を顰めた、そりゃそんな顔になるよなーとタロウは思いつつ、
「まぁ、そうだよねー、ただまぁ・・・うん、物質をね、探求していくにあたっての一つの指標にはなっているのかな、それこそ日常生活には何の支障も無いんだけどね・・・そういうもんだって・・・認識でしかないのかも・・・でも、物質に関して突き詰めようと考えると結構、どころかすんげー重要・・・だと思う・・・」
タロウも大きく首を捻る、
「・・・何よそれ・・・」
「・・・お前、今日そればっかだな・・・」
タロウがニヤリと微笑むと、アンと目を吊り上げるユーリ、確かにそうだと微笑むカトカにゾーイにサビナである、
「だから、あくまで指標なの、魔力に関してもそう、話を戻せば、ほら、どうやって魔力を検知するのかって事なんだから、あくまで一例、気にしなくてよし」
ムンとタロウが踏ん反り返って誤魔化そうとするも、それにつられる女性達ではない、サビナがこれかなと自著を開き、どれどれと覗き込むカトカとゾーイ、
「あっ、リトマス苔・・・」
カトカが呟き、エッとタロウも覗き込む、確かにそこにはリトマス苔の名があった、しかしそれはあくまでタロウから見てそう読めるだけとなる、タロウはエーと驚き軽く混乱してしまう、タロウのこの自動翻訳とも呼べる能力は時折エラーを起こすもので、そこに記されたそれがタロウの知るそれと同一のものかどうか、もしくは便宜上そう解釈したのかをタロウは精査する必要があったりする、まぁ、大概の事物はタロウの知るそれとほぼ同一で、それ故にこの混乱も今までに数度しか経験が無かったが、それでもリトマスの名がはたしてタロウの認知するそれと同一のものか、はたまた外来語を使った時の通じなさを能力側が補正したものか、まるで判別できなかった、
「・・・確かに、これを染料にするとあります」
「紫色ですか・・・」
「あれ、それって禁止されてる色?」
「それはほら、貝のあれでしょ」
「違う紫?」
「そうみたいよ、っていうか、これも量がとれないから一般的じゃないって書いてあるね」
「そうみたいですね・・・」
「へー・・・で、これの事?」
ユーリの素直な疑問に、
「・・・多分そうだと思うけど・・・あるんだね・・・」
タロウは混乱しながらもそう答えるしかない、
「そうなんだ・・・」
「これ取り寄せられないですかね」
「んー、南方の品ってある、あっ・・・」
「うん、マリアさんに頼んでみますか」
「そうね、面白そう」
「ですね・・・」
と書を覗き込んで真剣な顔の研究所員、まいったなーと呟くも、まぁ、好きにしてくれればいいかなと背を丸めてしまうタロウであった。
そうして一旦リトマス苔の話題は棚上げとなるも、今度はその書の中で何か足がかりになるものは無いかと白熱してしまう、ユーリにしろカトカにしろそのリトマス苔は面白そうだが、その前に魔力の検知が重要で、その書をまとめたサビナとしてもこれは改めて精査する必要があると躍起になってしまう、
「・・・こうなると、あれね、片っ端から試料を集めたくなるわね」
「学園に少しありますよ」
「そうなの?」
「はい、学園長の植物園と生活科にも」
「あれもあったわね・・・」
「ですね、何気にあそこは宝庫なのかなって・・・思い直しました」
「確かに」
「じゃ、今度ゆっくり見て回ろうかしら」
「ですね、でも、魔力となると・・・ですよ」
「それはほら、杖の先に魔力を溜めて歩き回ればどうにかならないかしら」
「どうにかってなんですか?」
「どうにかはどうにかよ」
「反応すればいいけどねー」
タロウがのほほんと口を挟む、すっかり熱を上げる女性達に置いてけぼりにされていた、このまま静かに腰を上げても気付かれなさそうで、それはそれで寂しいな等と思ってしまう、
「何よその言い草は」
「言い草も何も・・・でも、それがいいのかもな、まずはほら、魔力に反応する何らかの物質の発見が必要だからね」
「でしょう、なら有効よ」
「ですねー、となると、明日にも?」
「明日は駄目、私が」
「あっ、ですよね」
「ついでに言うけど明日から休みよ、アンタらも」
アッと呟きユーリを見つめる三人、
「そりゃそうでしょ、明日から五日間のお休み、今日は仕事納め」
「でしたね・・・」
「・・・暇なんだよなー・・・」
「そうなんですか?」
カトカとサビナがボーっと天井を見上げ、ゾーイが寂しげに問いかける、
「だって・・・ね?」
「うん、休みって言われてもな・・・」
「する事無いし・・・」
ありゃまと顔を顰めるタロウ、王国には休日という概念が無い、あるとすればそれは祭日とイコールであり、祭りをするから仕事を休むという意識なのである、となると仕事をしない日にゆっくり休むという概念がどうしても薄くなるのであろう、農耕を基礎とする社会としてはそれが当然であった、
「んー・・・じゃ、明日明後日はお祭りで、年明けもあのパッとしないお祭り・・・ですか・・・」
「そうしたいけど、明日のは混みそうでねー・・・年明けのは別にーって感じだし・・・」
「ですねー、あっ、三日の行事ってどうなります?年始の祭りの二日目の?」
「あれは別にいいわよ、学園長と事務長でしょ、私は呼ばれてないわ」
「それ確認した方がいいですよ、昨日今日の事もあるし」
アッとサビナを見つめるユーリ、年始の祭りは二日間、一月の二日と三日に執り行われるが、それは祭事であるが妙に慎ましいもので、唯一派手なのが街の中央広場に屹立する主神の像の飾り付けだけとなる、それはそれだけでも十分な見ものとなっており、主神であり、全知の神とされるウィレムクルミルドを祀る神殿がここぞとばかりに飾り付けるもので、しかし祭事特有の屋台の類は殆ど出ない祭りとなっている、これは単にこの季節は雪が深い為で、特にモニケンダムでは年始となると大雪となる事が多く、どうやらそれが影響して祭りそのものは地味なものとなるらしい、そして、三日の行事とは年の始まりを祈念し、領主と神殿が執り行うちょっとした式典となっている、宗教的な色合いよりも政治的な意味あいが強いまさに式典なのであった、となれば無論の事学園からも責任者が出席する事となっており、昨年まではユーリが呼ばれる事は無かったが、今年はどうなるか分かったものでは無かった、なによりすっかりユスティーナにもカラミッドにも神殿関係者にもユーリの名前は知れ渡っている、呼ばれても不思議はないどころか呼ばれないのが不思議と思われる立場となっていたりする、
「・・・まぁ・・・大丈夫でしょ、事務長も何も言ってなかったし」
「なら大丈夫ですね、事務長先生ならしっかりしてますから」
「ねー・・・そう願うわー」
ユーリがそうは言ってもなとボーっと考えていると、
「オワッ」
とタロウが奇声を上げた、なんじゃと振り返る4人、
「あっ、なんだよ、お前か・・・」
タロウが足元を見つめてニコリと微笑んでおり、何だろうと首を伸ばして覗き込む四人、そこには子犬がチョコンと座って尻尾を振りつつヘッヘッと舌を出していた、
「ありゃ・・・」
「まぁ・・・」
「どうしたのー」
思わず微笑むカトカとサビナ、ゾーイは幼児言葉で問いかける、
「ゴハンー、ゴハンだよーって」
階段から囁くような声が届く、そういう事かと顔を上げる四人、タロウもエッと振り向いた、
「ほら、ゴハンって言ってー」
見ればミナが手すりの脇から顔を半分だけ出して囁いており、なるほどねとタロウも微笑む、
「流石にまだ一人じゃ来れないか、あっ、一匹か」
「階段上れないですよ、たぶん」
「小さいもんねー」
やれやれと腰を上げる女性達、
「そっかー、偉いぞー、呼びに来たんだねー」
タロウは優しく子犬を抱き上げる、
「そうなのー、偉いでしょー」
ミナが隠れたままニマニマと囁いた、
「うん、偉い偉い、いい子だなー、君はー」
タロウが子犬の頭を優しく撫で付けると、
「そうなの、良い子なのー」
ミナが満足そうに微笑んでサッと階下へ消え、バタバタと足音が響く、
「ありゃま置いていっちゃった」
「あー、駄目な飼い主だなー」
タロウが子犬に同意を求めると、ヘフッと小さく吠える子犬、そして、
「ソフィー、タローもいたー」
と嬉しそうなミナの叫び声が階段を通して三階にも響くのであった。
ムーと黒板を見つめるタロウ、
「そうなりますね」
とカトカが大きく頷き、他の三人も無言で頷いた、
「なんか算段ある?」
ユーリがすっかり研究者の顔になって視線を上げる、
「・・・無い」
あっさり答えるタロウ、こいつは・・・とユーリが睨むも、確かにそうなんだよなと顔を顰める、
「やっぱりですか?」
「うん、前も言ったけどね、正直どうしたもんだかって感じでさ・・・俺やユーリであればまぁなんとなく分かるけど、それだって・・・なぁ・・・あくまでなんとなくだし・・・魔法石を使ってとも思ったけど、それじゃ本末転倒な感じがするし・・・」
俺の知る物理法則ではもう通じない感じがするんだよなと黙して首を傾げるタロウ、まずもってその物理法則を歪ませまくっているのは自分である事は棚に上げていたりする、
「微量でいいんですよ、人のそれじゃなくて」
「それは理解しているさ・・・でもこういうのはやっぱり俺の知らない何かがあると思うんだよなー・・・多分だけど・・・何て言うか・・・やっぱり魔力に関連した・・・それに影響された物質とか植物とか試験薬とか・・・」
タロウはウーンと腕を組んで天井を見上げる、測定とは実に化学的な手法である、この世界に於いての化学は今だ錬金術と呼称される域を脱していない、タロウの故郷にあっても一時期それは同一のものであり、錬金術の発展の結果、化学が成立し、物質そのものの理解が進む事となっている、それはやがて大枠で科学とされ、様々な学問がその名の下に糾合される事になるが、まずもって化学と言う分野も科学と言う概念も未発達なこの世界に於いて、測定技術そのものがまた未熟に過ぎた、温度計さえままならないのであるからそう表現すればいかに未発達かが分かると思われる、
「あんたでも知らないもの?」
「うん、何て言うか・・・一例を上げるとすればだけど・・・俺の国だとね、ある苔をね、染料として使ってたんだけど、それをね、紙に擦りつけて乾かすんだな、で、それを液体に付けると色が変わるんだ」
「・・・何それ?」
「リトマス試験紙って言う名前なんだけど、酸性とかアルカリ性が分かるんだが、あれも面白くてね・・・だから、もしかしたらそういう苔のようなものが探せばあるんじゃないかってなんとなく考えてはいるんだが・・・魔力を感知できる・・・そんな感じのヤツだね・・・でも、そうなるとそれこそ・・・何百って人の力が必要なんだよなー・・・調査だけでも膨大になるし・・・無駄の積み重ね・・・いや、それこそ錬金術のあるべき姿なんだろうけど・・・まぁ・・・錬金術かー・・・」
タロウがボケーッと考えながら口にする、次の瞬間、
「リトマス?ですか?」
「サンセイ、アルカリセイ?」
「何よそれ」
「色が変わって何が分かるんですか?」
矢継ぎ早に叩き付けられた疑問にアッとタロウは目を開いた、見れば女性四人の瞳が怪しく輝いている、それはテーブルを照らす小皿の光柱を受けてギラギラと怪しく揺らめき、大変に恐ろしい、
「あー・・・」
タロウはまたいらん事を言ってしまったと背筋を震わせた、思いついたことを口にする事は自重しているつもりであるが、どうしてもポロリと呟いてしまう、
「・・・まぁ、例えだよ、例え、そういうのがあるって事でね、だから、そんな感じで、魔力に反応するなにがしかがあるんじゃないかなって事、だから、それが俺の知らない何かかもしれないし、知ってる何かであったとしても使い方が違うとか加工が必要とか・・・そんな感じでね、正に探求と研究が必要・・・」
タロウは早口で誤魔化そうと試みるも尻すぼみとなってしまう、ギラギラと突き刺さる視線があまりに強く、単純に気圧されてしまった、
「・・・フーン、苔っていった?」
「ですね、苔を染料にするんですか?」
「あっ、学園長のあれにありますね」
「ホント?」
「はい、持って来ます」
サビナがバッと腰を上げ、あーそっか、学園長の知識もあるよなーとタロウは思うも、
「で、サンセイってなによ」
ユーリの視線がタロウを逃がさない、
「・・・まぁ、簡単に言えば、酸っぱいもの」
「ヘッ?」
と女性三人が目を剥いた、
「で、どうなんだろう・・・金を溶かす液体はもう開発できてる?」
タロウがカトカに問うと、
「なんですかそれ・・・金って金ですよね」
「そうだね、金貨とかの金」
「そんな事できるんですか?」
ジッとタロウを睨むカトカ、そこへサビナが書物を持ってバタバタと戻ってくる、
「できるというか、そういう液体が生成できるんだけど、他に物体を溶かす液体は発見されてる?」
「・・・すいません、聞いた事がないです」
カトカがどうかしらとゾーイに問いかけ、ゾーイは首を大きく横に振った、
「だよねー、まぁ、どれもこれも簡単には生成できないものばかりだけど、まぁ、簡単に言うとね、その酸っぱいものを突き詰めていくとそんな感じに金属とか金をも溶かす液体になる、で、逆にアルカリ、こちらは一般的に言えば・・・苦いものかな、それと石鹸か、そんな感じ」
「・・・待って、それってどういう事・・・」
「どういうも何も・・・そういう性質って事なんだけどさ、これも面白くてね、日常的に周りにあって、君らが普通に使っている液体?それに関連してる、水の実験の延長と考えればね、考えやすいかもしれないんだけど、例えば・・・うん、酢とか酸っぱい果物は酸性を示して、一番強い酸性となると・・・実は俺らの腹の中かな?」
「腹って」
「お腹ですか?」
「そう、そのお腹、胃の中でね食べたものを溶かしている液体がすんごい強い酸性、で、その逆になるのが、アルカリ性になって、こちらとなると・・・あれだ、ソーダ粉末?それと石鹸かな、で、水、水はねその丁度中間と考えていい、正し純水ってやつだね、少しでもほら、石鹸が混ぜったらアルカリになるし、酢を溶かしても酸性になる、面白いよねー」
アッハッハとタロウは笑い、さてどう誤魔化すかと頭を回転させる、正直何の資料も実験も無しで水素イオン指数の説明は難しかった、タロウ自身もフワフワとした知識で話している為、確実性も無かったりする、
「・・・それって何にどう使われるんですか?」
カトカがムーと眉を顰めた、そりゃそんな顔になるよなーとタロウは思いつつ、
「まぁ、そうだよねー、ただまぁ・・・うん、物質をね、探求していくにあたっての一つの指標にはなっているのかな、それこそ日常生活には何の支障も無いんだけどね・・・そういうもんだって・・・認識でしかないのかも・・・でも、物質に関して突き詰めようと考えると結構、どころかすんげー重要・・・だと思う・・・」
タロウも大きく首を捻る、
「・・・何よそれ・・・」
「・・・お前、今日そればっかだな・・・」
タロウがニヤリと微笑むと、アンと目を吊り上げるユーリ、確かにそうだと微笑むカトカにゾーイにサビナである、
「だから、あくまで指標なの、魔力に関してもそう、話を戻せば、ほら、どうやって魔力を検知するのかって事なんだから、あくまで一例、気にしなくてよし」
ムンとタロウが踏ん反り返って誤魔化そうとするも、それにつられる女性達ではない、サビナがこれかなと自著を開き、どれどれと覗き込むカトカとゾーイ、
「あっ、リトマス苔・・・」
カトカが呟き、エッとタロウも覗き込む、確かにそこにはリトマス苔の名があった、しかしそれはあくまでタロウから見てそう読めるだけとなる、タロウはエーと驚き軽く混乱してしまう、タロウのこの自動翻訳とも呼べる能力は時折エラーを起こすもので、そこに記されたそれがタロウの知るそれと同一のものかどうか、もしくは便宜上そう解釈したのかをタロウは精査する必要があったりする、まぁ、大概の事物はタロウの知るそれとほぼ同一で、それ故にこの混乱も今までに数度しか経験が無かったが、それでもリトマスの名がはたしてタロウの認知するそれと同一のものか、はたまた外来語を使った時の通じなさを能力側が補正したものか、まるで判別できなかった、
「・・・確かに、これを染料にするとあります」
「紫色ですか・・・」
「あれ、それって禁止されてる色?」
「それはほら、貝のあれでしょ」
「違う紫?」
「そうみたいよ、っていうか、これも量がとれないから一般的じゃないって書いてあるね」
「そうみたいですね・・・」
「へー・・・で、これの事?」
ユーリの素直な疑問に、
「・・・多分そうだと思うけど・・・あるんだね・・・」
タロウは混乱しながらもそう答えるしかない、
「そうなんだ・・・」
「これ取り寄せられないですかね」
「んー、南方の品ってある、あっ・・・」
「うん、マリアさんに頼んでみますか」
「そうね、面白そう」
「ですね・・・」
と書を覗き込んで真剣な顔の研究所員、まいったなーと呟くも、まぁ、好きにしてくれればいいかなと背を丸めてしまうタロウであった。
そうして一旦リトマス苔の話題は棚上げとなるも、今度はその書の中で何か足がかりになるものは無いかと白熱してしまう、ユーリにしろカトカにしろそのリトマス苔は面白そうだが、その前に魔力の検知が重要で、その書をまとめたサビナとしてもこれは改めて精査する必要があると躍起になってしまう、
「・・・こうなると、あれね、片っ端から試料を集めたくなるわね」
「学園に少しありますよ」
「そうなの?」
「はい、学園長の植物園と生活科にも」
「あれもあったわね・・・」
「ですね、何気にあそこは宝庫なのかなって・・・思い直しました」
「確かに」
「じゃ、今度ゆっくり見て回ろうかしら」
「ですね、でも、魔力となると・・・ですよ」
「それはほら、杖の先に魔力を溜めて歩き回ればどうにかならないかしら」
「どうにかってなんですか?」
「どうにかはどうにかよ」
「反応すればいいけどねー」
タロウがのほほんと口を挟む、すっかり熱を上げる女性達に置いてけぼりにされていた、このまま静かに腰を上げても気付かれなさそうで、それはそれで寂しいな等と思ってしまう、
「何よその言い草は」
「言い草も何も・・・でも、それがいいのかもな、まずはほら、魔力に反応する何らかの物質の発見が必要だからね」
「でしょう、なら有効よ」
「ですねー、となると、明日にも?」
「明日は駄目、私が」
「あっ、ですよね」
「ついでに言うけど明日から休みよ、アンタらも」
アッと呟きユーリを見つめる三人、
「そりゃそうでしょ、明日から五日間のお休み、今日は仕事納め」
「でしたね・・・」
「・・・暇なんだよなー・・・」
「そうなんですか?」
カトカとサビナがボーっと天井を見上げ、ゾーイが寂しげに問いかける、
「だって・・・ね?」
「うん、休みって言われてもな・・・」
「する事無いし・・・」
ありゃまと顔を顰めるタロウ、王国には休日という概念が無い、あるとすればそれは祭日とイコールであり、祭りをするから仕事を休むという意識なのである、となると仕事をしない日にゆっくり休むという概念がどうしても薄くなるのであろう、農耕を基礎とする社会としてはそれが当然であった、
「んー・・・じゃ、明日明後日はお祭りで、年明けもあのパッとしないお祭り・・・ですか・・・」
「そうしたいけど、明日のは混みそうでねー・・・年明けのは別にーって感じだし・・・」
「ですねー、あっ、三日の行事ってどうなります?年始の祭りの二日目の?」
「あれは別にいいわよ、学園長と事務長でしょ、私は呼ばれてないわ」
「それ確認した方がいいですよ、昨日今日の事もあるし」
アッとサビナを見つめるユーリ、年始の祭りは二日間、一月の二日と三日に執り行われるが、それは祭事であるが妙に慎ましいもので、唯一派手なのが街の中央広場に屹立する主神の像の飾り付けだけとなる、それはそれだけでも十分な見ものとなっており、主神であり、全知の神とされるウィレムクルミルドを祀る神殿がここぞとばかりに飾り付けるもので、しかし祭事特有の屋台の類は殆ど出ない祭りとなっている、これは単にこの季節は雪が深い為で、特にモニケンダムでは年始となると大雪となる事が多く、どうやらそれが影響して祭りそのものは地味なものとなるらしい、そして、三日の行事とは年の始まりを祈念し、領主と神殿が執り行うちょっとした式典となっている、宗教的な色合いよりも政治的な意味あいが強いまさに式典なのであった、となれば無論の事学園からも責任者が出席する事となっており、昨年まではユーリが呼ばれる事は無かったが、今年はどうなるか分かったものでは無かった、なによりすっかりユスティーナにもカラミッドにも神殿関係者にもユーリの名前は知れ渡っている、呼ばれても不思議はないどころか呼ばれないのが不思議と思われる立場となっていたりする、
「・・・まぁ・・・大丈夫でしょ、事務長も何も言ってなかったし」
「なら大丈夫ですね、事務長先生ならしっかりしてますから」
「ねー・・・そう願うわー」
ユーリがそうは言ってもなとボーっと考えていると、
「オワッ」
とタロウが奇声を上げた、なんじゃと振り返る4人、
「あっ、なんだよ、お前か・・・」
タロウが足元を見つめてニコリと微笑んでおり、何だろうと首を伸ばして覗き込む四人、そこには子犬がチョコンと座って尻尾を振りつつヘッヘッと舌を出していた、
「ありゃ・・・」
「まぁ・・・」
「どうしたのー」
思わず微笑むカトカとサビナ、ゾーイは幼児言葉で問いかける、
「ゴハンー、ゴハンだよーって」
階段から囁くような声が届く、そういう事かと顔を上げる四人、タロウもエッと振り向いた、
「ほら、ゴハンって言ってー」
見ればミナが手すりの脇から顔を半分だけ出して囁いており、なるほどねとタロウも微笑む、
「流石にまだ一人じゃ来れないか、あっ、一匹か」
「階段上れないですよ、たぶん」
「小さいもんねー」
やれやれと腰を上げる女性達、
「そっかー、偉いぞー、呼びに来たんだねー」
タロウは優しく子犬を抱き上げる、
「そうなのー、偉いでしょー」
ミナが隠れたままニマニマと囁いた、
「うん、偉い偉い、いい子だなー、君はー」
タロウが子犬の頭を優しく撫で付けると、
「そうなの、良い子なのー」
ミナが満足そうに微笑んでサッと階下へ消え、バタバタと足音が響く、
「ありゃま置いていっちゃった」
「あー、駄目な飼い主だなー」
タロウが子犬に同意を求めると、ヘフッと小さく吠える子犬、そして、
「ソフィー、タローもいたー」
と嬉しそうなミナの叫び声が階段を通して三階にも響くのであった。
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これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。
<前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです>
注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。
(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
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「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
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不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
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アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
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『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
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追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
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【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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