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本編
79話 兄貴達 その20
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それからさらに細かい点が話し合われた、特に軍団の使い方になる、街道を敷設するとなれば軍団が担うのが常識であり、さらに水路、宿場町の建設となるとどう考えても一個軍団では足りない様子で、かといって二個軍団三個軍団と投入するのも考えにくかった、なにせ新たに帝国という名の敵が発生しており、となると南の都市国家、西の蛮族、北の魔族と四方を敵に囲まれている状況となる、王国の戦略としては要所に二個軍団を置き、前線と支援を交互に担当する戦略を用いており、敵に動きが無い時に街道敷設を進める事としている、故に実は北ヘルデルとヘルデルを結ぶ街道も第六軍団が担っていたのであるが、それが中断されている状況であったりする、まぁ、それだけを見れば冬場という事もあり中断される事は織り込み済みではあったが、それであっても計画通りとはならないし、こうなるとは誰も考えていなかったりした、軍事行動と建設事業その二つを比べればどうしても軍事行動が優先される、命と経済を天秤に掛け命を優先しない政治などあり得ないのだ、タロウはまぁこんなに一気に領土が拡張したらそれもそうだよなと考える、ましてその地は人が住んでいないまったくの無人の地で、他国を攻めてその開発された領地と人を奪うのとはまるで訳が違うのである、すべてがゼロどころかマイナスからの出立となっており、まして王国は奴隷制を毛嫌いしている風潮がある、それはそれで実に正しいとタロウは思うが、この時代、この文化にあって労働力という点を考えるとどうしても非効率ではあった、だからといって帝国の兵や市民を捕らえ鞭打って働かせろ等とは口が裂けても言えない、そう言った瞬間にタロウへの信頼は霧消するであろうし、タロウ自身もそういう思考はあるが嫌悪している点では同じであった、それだけこの場にいる者達、そして王国民は気高い矜持を携えていたりする、タロウが王国民を気に入った最も大きな要因でもあった、
「まぁ・・・取り合えずはこんな所かな・・・」
イフナースがやれやれと溜息交じりとなり、
「ですな」
「うむ、取り合えずだがな」
カラミッドとクンラートも思う所もあるのだろうが納得する他無い、ブレフトも諸々を書き付けた黒板を見つめ、次の段取りを考えている様子であった、この会合で決定した事は少なかった、急務となる人材の育成、街道に関してはカラミッドの意見を取り入れそれを起点とする事、荒野の街道については計画立案を進め現地調査を先行する事、それには第六軍団とヘルデル軍、モニケンダム軍の工兵部隊が共同で当たる事等となる、まぁ現時点でできる事はその程度だよなとタロウも思う、結局の所土地の開発、こればかりはこうして地道に意見を擦り合わせじっくりゆっくりと取り組むしかないのである、それはタロウの故郷でも同様で、どれだけ技術や建設機械が発達しようが政治的に成熟しようが変わらないのであろう、土地とはそれだけ重要で、また難儀な相手なのであった、それも当然で相手は大自然そのものなのである、人の知恵程度では太刀打ちできないのは至極当たり前なのであろう、
「さて・・・でだ・・・」
フーと肩の力を抜くイフナース、クロノスとリンドもこんなもんかなと顔を見合わせた、どうやら出席者全員が会議の終わりを理解したらしい、タロウもまぁこんなもんだなーとスッと緊張を解いた瞬間、
「タロウ、あのパンだがな」
イフナースの目の色が変わりそのままタロウに突き刺さる、タロウはエッと顔を上げ、パン?と首を傾げた、
「おう、なんだお前も食ったのか?」
クンラートがニヤリと微笑んだ、
「勿論だ、あれはいいな」
「おう、あれはいいな、食べ過ぎたら息子に怒鳴られたわ」
ガッハッハと笑うクンラート、その隣のカラミッドも確かにと大きく頷き、リシャルトは苦笑している、
「エッ・・・あっ、そっか、パンか、パンだな」
タロウが思わず呟いた、話題が大きく変わり過ぎ、パンとは何ぞ?と理解できなかったのである、
「そういう事だ」
「だな、でよ・・・」
クロノスもニヤリと微笑み、
「今日は講習会?勉強会?そう聞いたぞ?」
「エッ、あぁ、らしいな」
「らしいとはなんだ」
「いや、それはほら、エレインさんらが主催するんだし」
「お前が指導するとも聞いたぞ」
「それはそうだけどもさ」
「なら、いい、軍の料理人も参加させるからな」
エッと言葉を無くすタロウ、
「おう、こちらからもだ、心配するな、二人程度に抑えている」
「ですな、こちらからもです」
クンラートとカラミッドがニヤリと微笑む、
「エッ、なして?」
「なんだそれは?」
「だってさ、エッ、あれだろ?メイドさんとかじゃないの?参加するのって」
「それでは足りん」
「うむ、どうせだ、ちゃんとした料理人を参加させろとアンネリーンにも言ったのだ」
「料理人って・・・まぁ、そりゃそうだけど、エッ、料理人?」
「そうだ、いいか、軍の最重要事項、それは上手い食い物だ、パスタであったか、あれもいいがな」
「だな、あのパンは別格だ」
「確かに」
「アンコもいいぞ」
「むっ、それを食いそびれたのだ、美味いのか?」
「美味いな、あれはいい、アズキであったか?良い豆だな・・・なぁ、タロウ?」
ニヤーと微笑むイフナース、
「まぁ・・・確かに美味いけどさ」
「だな、と言う訳でだ、午後か?焼きあがった頃に顔を出す、用意しておけ」
イフナースが以上だと言わんばかりに立ち上がる、
「焼きあがった頃って・・・いつだよ?」
「知らん、いつになる?」
「そんなの俺に聞くなよ」
「じゃ、誰に聞けばいい?」
「・・・神様?」
「言ってろよ、ではこんなもんだな、ブレフト後は頼む、俺は兵舎に向かう」
ハッとブレフトも立ち上がり、クンラートも腰を上げた、
「では、俺達もそうするか?」
「ですね、タロウ殿、楽しみにしております」
カラミッドの柔和な笑みとクンラートのニヤついた笑みがタロウを捕らえる、エーっと声にならない悲鳴を上げるタロウであった。
その少し前、六花ソウザイ店の二階でも似たような悲鳴が二つ上がっていた、なんだと振り返る奥様達、
「申し訳ありません、ですが・・・その気持ちというか、そうなるかなーって・・・感じで・・・はい、御理解下さい・・・」
アフラが申し訳なさそうに微笑み、対するエレインとテラもアフラにそう言われてしまっては致し方ないと顔を見合わせるしかなかった、そしてそうなってしまったのであれば仕方ないと従業員に指示を出すテラ、今日は仕事始めということもあり午前中は店内の清掃、それから正午を目途にパンの講習を始める事となっていた、従業員達は今更パンを焼くのかと訝しそうであったが、テラとエレインは新たな主力製品であり、あなた達も絶対に気に入る品であると真剣な様子で、この二人がそこまで言うのであればと従業員は懐疑的であったが前向きに動く事としたようで、しかしてその講習、そこに王家と公爵家、伯爵家のメイドが同席するとも伝えられ、またどうしてそうなるのかと怖気づいてしまう従業員達、エレインはそれだけ素晴らしい品なのですよと鎮静化を図り、こうして取り合えずと清掃作業に入ったのであるが、そこにアフラが顔を出し、メイドでは無く料理人が出席する事となり、さらには各軍団からも料理人が出席するとの事で、流石のエレインとテラも悲鳴を上げてしまったのであった、そして、
「お疲れー・・・」
イフナースの屋敷での打合せを終えたタロウがヌルリとソウザイ店へ顔を出す、
「あっ、お疲れ様です、タロウさん、今年も宜しくお願いします」
厨房で窯の準備をしていたマンネルがいち早く声を上げ、フェナや他の従業員達も宜しくお願いしますと笑顔である、
「あっ、そだねー、宜しくー」
ニコーと力なく微笑むタロウ、何かあったのかなと首を傾げるマンネルとフェナである、
「あー・・・聞いた?」
タロウはだらしなく厨房のカウンターに肩肘を付いた、
「何をですか?」
フェナが不思議そうに問い返す、
「ほら、パンの講習?勉強会にさ、料理人さん達が来るんだって・・・」
「あー、はい、先程会長とテラさんから伺いました」
フェナがキョトンと答える、
「そっか、じゃ、本気なんだね」
「本気って、だって、アフラ様ですか?さっきいらっしゃって・・・」
「そっか・・・アフラさんも大変だなー」
どこまでも気の抜けたタロウである、もうとフェナは微笑み、
「別にどうって事は無いですよ、料理人さんなら基本的に皆さん良い人ですから」
「そうだろうけど・・・」
「そうなんですよ、それにだって皆さんその貴族様とか軍隊の名前を背負っているんですから変な事にはなりませんよ」
「・・・そうなの?」
「そうですよ、私もだって、モニケンダム軍の料理人だったんですから分かります」
ムフンと胸を張るフェナ、
「えっ、そうなの?」
タロウはそれは凄いと目を見張り、マンネルも、
「そう言えばそうでしたねー」
とパン窯を覗き込んで呟いた、
「ですよ、だからだって、タロウさんがそんな気落ちするのはなんか変ですよ」
ムフンと微笑むフェナである、
「そっか・・・そう言えばそうだよねー、別にあれか、軍団長様達に料理を教えるって訳じゃないしね」
「そうですよ、でも、そんなに美味しいんですか?そのコウボパンって・・・」
小首を傾げるフェナ、マンネルも興味があるのか腰を上げて二人に歩み寄り、奥様従業員達も手を止めて振り返る、
「まずねー、それはだってエレインさんとかから聞いてない?」
「聞きましたけど、だって、そんな大規模にやる程ですか?」
「そうみたいだよー、まぁ、下準備がすんごい大変だから、そっちのが重要でね、パンそのものはそれほどでもないと思うんだけど・・・まぁいいさ、そっか、そうだよね、料理人さんだもんね、軍人とはいえね、そうだよね」
何かに納得したタロウである、割り切ったというべきか、タロウとしては単純にめんどくさいと思っていたことがさらにめんどくさくなったと感じて嫌気がさしていただけであったりする、フェナの言うように何も気落ちするような内容ではない、
「そうですよー、しっかりしてくださいよー」
ケタケタと笑うフェナ、確かにとマンネルも笑顔となる、
「だね・・・まぁ、パンはさ、ちゃんと焼けば美味いからさ、それはほら保証する」
「どんな感じなんですか?」
マンネルがズイッと身を乗り出す、フェナがオオッと避けてしまう程の圧で、単純にマンネルの横幅が広い為もあった、
「それは内緒」
ニヤーと微笑むタロウ、どうやら調子を戻しつつあるらしい、
「またそんな事言ってー」
「ですよー、会長もテラさんも教えてくれないんですー」
「そうだねー」
「言ってなかったー」
「楽しみにしてろって感じでねー」
「うん、それだけじゃ分かんないよ」
奥様達も集まりだす、
「そっか、じゃ、それがいいと思うよ、楽しみにしてて、絶対美味しいと思うから、あっエレインさんは?」
「上です、三階で準備中かな?」
「そっか、じゃ、邪魔しちゃ悪いからそっち行く」
タロウはハイハイと手刀を切って奥様達の間を通り階段を上がった、ムーとそれを見送る従業員達、三階に上がるとメイド姿の奥様達が忙しく動いておりエレインがどうやら陣頭指揮を取りつつ自分も動いているらしい、ソフィアの結界のお陰か階段から顔を覗かせたタロウにはその室内の会話も足音すら聞こえず、忙しそうだなーと足を止めて眺めてしまうタロウである、そこへ、
「あっ、タロウさん、お疲れ様です」
テラが手前の部屋から出て来た、確か事務所だったかなとタロウは微笑み、
「お疲れ様、こっちにも連絡来たようだね」
「ですね、アフラさんがいらっしゃいました、という事はタロウさんも聞きました?」
苦笑するテラである、
「うん聞いた、なんか大事になっちゃってるな・・・まぁ、仕方ないけど・・・アフラさんも大変だよねー・・・で、ここでやるの?」
「はい、昨日は事務所かキッサ室でもいいかなと考えていたのですが、大人数になりそうなのでこちらでとなりました、何より講義ですからね、やはり形は大事かと」
「そっか・・・じゃ、あれだね、ビーカーやらなにやら持ち込まないとだね」
「ですね、これから向かおうかと思ってました」
「あ、なら俺が持って来るよ、ユーリにも一声かけないとだし」
「あら?いいんですか?」
「そりゃね、まぁ、そのくらいの事はするさ、それに液体の入ったガラス容器だもん、俺が持って来た方が安全そうだしね」
「確かに、ではお願いいたします」
テラがニコリと微笑む、
「ん、じゃ、場所はいいとして・・・なんか・・・エレインさん気合入ってない?」
軽く首を傾げてエレインを見つめるタロウ、一切の音は届いてないが、エレインの挙動が妙に浮ついている、何やら踊るような手付きと足取りで、さらには見事な笑顔であった、
「あぁ・・・ほら、マリアさんがいらっしゃるんです、マリエッテ様とイージス様も・・・」
「あっ、そういう事か、そう言えば昨日来なかったね」
「はい、忙しかったらしいのですよ、新年の三日目ですし、上級貴族様と違って下級貴族様ですとどうしても自分達で予定は組めないらしくて、挨拶回りやら何やらと、アフラさんがそのように仰ってました」
「あー・・・そっか、そういう事もあるよね・・・だよなー、イザークさんが仕事で忙しいとなるとマリアさんが家の仕事で忙しくなるのかな?」
「恐らくは、私達には伺い知れませんけれどそういうものなのかもしれません」
「確かにねー、貴族様も大変だからな・・・」
「ですね・・・」
ニコニコとエレインを見つめるテラ、タロウもそりゃ遊んでばかりもいられないんだよな貴族様もと思いつつ、
「じゃ、一旦戻ってまた来るよ、あっ、午後の半ば以降に殿下とか伯爵様とか公爵様が食べに来るって」
「エッ・・・それは聞いてないです」
一転表情を失くすテラ、
「そうなの?」
「はい」
「そっか、来るらしいよ、焼きあがった頃に顔を出すとかなんとか言ってたから、まぁ、あれだな、二階でいいんじゃないの?」
「そう・・・ですね、はい、わかりました、準備致します」
「それと・・・」
タロウはウーンと首を傾げ、
「うん、そっか、じゃ、あれだね、先に下準備っていうか焼ける状態まで調理してしまった方がいいかな・・・いや、焼いてしまっていいか、で、座学をやりつつ実物を見せて、それから実習・・・時間もあるし、酵母種から作らないとだから・・・あれかな、マンネルさんとかフェナさんとかを使っていい?」
「勿論です」
パッと顔を明るくするテラ、どうやらタロウがやる気になったと内心でほくそ笑む、
「だね、あとはまぁ・・・その場次第かな・・・」
「はい、それでお任せします、下の奥様達も使って下さい」
「いいの?」
「勿論ですよ」
「了解、じゃー・・・やるかー」
テラはタタッと教室に入り、何やらエレインと話し始める、タロウはやるならしっかりやってしまって後は好きにして貰おうかと気合を入れ直す、単純にめんどくささが先に立ってやる気にならなかっただけであったのだ、
「となると・・・」
サッと階段を下りるタロウ、それなりにカッコつけるかと少しばかり見栄を張ってみる事とした。
「まぁ・・・取り合えずはこんな所かな・・・」
イフナースがやれやれと溜息交じりとなり、
「ですな」
「うむ、取り合えずだがな」
カラミッドとクンラートも思う所もあるのだろうが納得する他無い、ブレフトも諸々を書き付けた黒板を見つめ、次の段取りを考えている様子であった、この会合で決定した事は少なかった、急務となる人材の育成、街道に関してはカラミッドの意見を取り入れそれを起点とする事、荒野の街道については計画立案を進め現地調査を先行する事、それには第六軍団とヘルデル軍、モニケンダム軍の工兵部隊が共同で当たる事等となる、まぁ現時点でできる事はその程度だよなとタロウも思う、結局の所土地の開発、こればかりはこうして地道に意見を擦り合わせじっくりゆっくりと取り組むしかないのである、それはタロウの故郷でも同様で、どれだけ技術や建設機械が発達しようが政治的に成熟しようが変わらないのであろう、土地とはそれだけ重要で、また難儀な相手なのであった、それも当然で相手は大自然そのものなのである、人の知恵程度では太刀打ちできないのは至極当たり前なのであろう、
「さて・・・でだ・・・」
フーと肩の力を抜くイフナース、クロノスとリンドもこんなもんかなと顔を見合わせた、どうやら出席者全員が会議の終わりを理解したらしい、タロウもまぁこんなもんだなーとスッと緊張を解いた瞬間、
「タロウ、あのパンだがな」
イフナースの目の色が変わりそのままタロウに突き刺さる、タロウはエッと顔を上げ、パン?と首を傾げた、
「おう、なんだお前も食ったのか?」
クンラートがニヤリと微笑んだ、
「勿論だ、あれはいいな」
「おう、あれはいいな、食べ過ぎたら息子に怒鳴られたわ」
ガッハッハと笑うクンラート、その隣のカラミッドも確かにと大きく頷き、リシャルトは苦笑している、
「エッ・・・あっ、そっか、パンか、パンだな」
タロウが思わず呟いた、話題が大きく変わり過ぎ、パンとは何ぞ?と理解できなかったのである、
「そういう事だ」
「だな、でよ・・・」
クロノスもニヤリと微笑み、
「今日は講習会?勉強会?そう聞いたぞ?」
「エッ、あぁ、らしいな」
「らしいとはなんだ」
「いや、それはほら、エレインさんらが主催するんだし」
「お前が指導するとも聞いたぞ」
「それはそうだけどもさ」
「なら、いい、軍の料理人も参加させるからな」
エッと言葉を無くすタロウ、
「おう、こちらからもだ、心配するな、二人程度に抑えている」
「ですな、こちらからもです」
クンラートとカラミッドがニヤリと微笑む、
「エッ、なして?」
「なんだそれは?」
「だってさ、エッ、あれだろ?メイドさんとかじゃないの?参加するのって」
「それでは足りん」
「うむ、どうせだ、ちゃんとした料理人を参加させろとアンネリーンにも言ったのだ」
「料理人って・・・まぁ、そりゃそうだけど、エッ、料理人?」
「そうだ、いいか、軍の最重要事項、それは上手い食い物だ、パスタであったか、あれもいいがな」
「だな、あのパンは別格だ」
「確かに」
「アンコもいいぞ」
「むっ、それを食いそびれたのだ、美味いのか?」
「美味いな、あれはいい、アズキであったか?良い豆だな・・・なぁ、タロウ?」
ニヤーと微笑むイフナース、
「まぁ・・・確かに美味いけどさ」
「だな、と言う訳でだ、午後か?焼きあがった頃に顔を出す、用意しておけ」
イフナースが以上だと言わんばかりに立ち上がる、
「焼きあがった頃って・・・いつだよ?」
「知らん、いつになる?」
「そんなの俺に聞くなよ」
「じゃ、誰に聞けばいい?」
「・・・神様?」
「言ってろよ、ではこんなもんだな、ブレフト後は頼む、俺は兵舎に向かう」
ハッとブレフトも立ち上がり、クンラートも腰を上げた、
「では、俺達もそうするか?」
「ですね、タロウ殿、楽しみにしております」
カラミッドの柔和な笑みとクンラートのニヤついた笑みがタロウを捕らえる、エーっと声にならない悲鳴を上げるタロウであった。
その少し前、六花ソウザイ店の二階でも似たような悲鳴が二つ上がっていた、なんだと振り返る奥様達、
「申し訳ありません、ですが・・・その気持ちというか、そうなるかなーって・・・感じで・・・はい、御理解下さい・・・」
アフラが申し訳なさそうに微笑み、対するエレインとテラもアフラにそう言われてしまっては致し方ないと顔を見合わせるしかなかった、そしてそうなってしまったのであれば仕方ないと従業員に指示を出すテラ、今日は仕事始めということもあり午前中は店内の清掃、それから正午を目途にパンの講習を始める事となっていた、従業員達は今更パンを焼くのかと訝しそうであったが、テラとエレインは新たな主力製品であり、あなた達も絶対に気に入る品であると真剣な様子で、この二人がそこまで言うのであればと従業員は懐疑的であったが前向きに動く事としたようで、しかしてその講習、そこに王家と公爵家、伯爵家のメイドが同席するとも伝えられ、またどうしてそうなるのかと怖気づいてしまう従業員達、エレインはそれだけ素晴らしい品なのですよと鎮静化を図り、こうして取り合えずと清掃作業に入ったのであるが、そこにアフラが顔を出し、メイドでは無く料理人が出席する事となり、さらには各軍団からも料理人が出席するとの事で、流石のエレインとテラも悲鳴を上げてしまったのであった、そして、
「お疲れー・・・」
イフナースの屋敷での打合せを終えたタロウがヌルリとソウザイ店へ顔を出す、
「あっ、お疲れ様です、タロウさん、今年も宜しくお願いします」
厨房で窯の準備をしていたマンネルがいち早く声を上げ、フェナや他の従業員達も宜しくお願いしますと笑顔である、
「あっ、そだねー、宜しくー」
ニコーと力なく微笑むタロウ、何かあったのかなと首を傾げるマンネルとフェナである、
「あー・・・聞いた?」
タロウはだらしなく厨房のカウンターに肩肘を付いた、
「何をですか?」
フェナが不思議そうに問い返す、
「ほら、パンの講習?勉強会にさ、料理人さん達が来るんだって・・・」
「あー、はい、先程会長とテラさんから伺いました」
フェナがキョトンと答える、
「そっか、じゃ、本気なんだね」
「本気って、だって、アフラ様ですか?さっきいらっしゃって・・・」
「そっか・・・アフラさんも大変だなー」
どこまでも気の抜けたタロウである、もうとフェナは微笑み、
「別にどうって事は無いですよ、料理人さんなら基本的に皆さん良い人ですから」
「そうだろうけど・・・」
「そうなんですよ、それにだって皆さんその貴族様とか軍隊の名前を背負っているんですから変な事にはなりませんよ」
「・・・そうなの?」
「そうですよ、私もだって、モニケンダム軍の料理人だったんですから分かります」
ムフンと胸を張るフェナ、
「えっ、そうなの?」
タロウはそれは凄いと目を見張り、マンネルも、
「そう言えばそうでしたねー」
とパン窯を覗き込んで呟いた、
「ですよ、だからだって、タロウさんがそんな気落ちするのはなんか変ですよ」
ムフンと微笑むフェナである、
「そっか・・・そう言えばそうだよねー、別にあれか、軍団長様達に料理を教えるって訳じゃないしね」
「そうですよ、でも、そんなに美味しいんですか?そのコウボパンって・・・」
小首を傾げるフェナ、マンネルも興味があるのか腰を上げて二人に歩み寄り、奥様従業員達も手を止めて振り返る、
「まずねー、それはだってエレインさんとかから聞いてない?」
「聞きましたけど、だって、そんな大規模にやる程ですか?」
「そうみたいだよー、まぁ、下準備がすんごい大変だから、そっちのが重要でね、パンそのものはそれほどでもないと思うんだけど・・・まぁいいさ、そっか、そうだよね、料理人さんだもんね、軍人とはいえね、そうだよね」
何かに納得したタロウである、割り切ったというべきか、タロウとしては単純にめんどくさいと思っていたことがさらにめんどくさくなったと感じて嫌気がさしていただけであったりする、フェナの言うように何も気落ちするような内容ではない、
「そうですよー、しっかりしてくださいよー」
ケタケタと笑うフェナ、確かにとマンネルも笑顔となる、
「だね・・・まぁ、パンはさ、ちゃんと焼けば美味いからさ、それはほら保証する」
「どんな感じなんですか?」
マンネルがズイッと身を乗り出す、フェナがオオッと避けてしまう程の圧で、単純にマンネルの横幅が広い為もあった、
「それは内緒」
ニヤーと微笑むタロウ、どうやら調子を戻しつつあるらしい、
「またそんな事言ってー」
「ですよー、会長もテラさんも教えてくれないんですー」
「そうだねー」
「言ってなかったー」
「楽しみにしてろって感じでねー」
「うん、それだけじゃ分かんないよ」
奥様達も集まりだす、
「そっか、じゃ、それがいいと思うよ、楽しみにしてて、絶対美味しいと思うから、あっエレインさんは?」
「上です、三階で準備中かな?」
「そっか、じゃ、邪魔しちゃ悪いからそっち行く」
タロウはハイハイと手刀を切って奥様達の間を通り階段を上がった、ムーとそれを見送る従業員達、三階に上がるとメイド姿の奥様達が忙しく動いておりエレインがどうやら陣頭指揮を取りつつ自分も動いているらしい、ソフィアの結界のお陰か階段から顔を覗かせたタロウにはその室内の会話も足音すら聞こえず、忙しそうだなーと足を止めて眺めてしまうタロウである、そこへ、
「あっ、タロウさん、お疲れ様です」
テラが手前の部屋から出て来た、確か事務所だったかなとタロウは微笑み、
「お疲れ様、こっちにも連絡来たようだね」
「ですね、アフラさんがいらっしゃいました、という事はタロウさんも聞きました?」
苦笑するテラである、
「うん聞いた、なんか大事になっちゃってるな・・・まぁ、仕方ないけど・・・アフラさんも大変だよねー・・・で、ここでやるの?」
「はい、昨日は事務所かキッサ室でもいいかなと考えていたのですが、大人数になりそうなのでこちらでとなりました、何より講義ですからね、やはり形は大事かと」
「そっか・・・じゃ、あれだね、ビーカーやらなにやら持ち込まないとだね」
「ですね、これから向かおうかと思ってました」
「あ、なら俺が持って来るよ、ユーリにも一声かけないとだし」
「あら?いいんですか?」
「そりゃね、まぁ、そのくらいの事はするさ、それに液体の入ったガラス容器だもん、俺が持って来た方が安全そうだしね」
「確かに、ではお願いいたします」
テラがニコリと微笑む、
「ん、じゃ、場所はいいとして・・・なんか・・・エレインさん気合入ってない?」
軽く首を傾げてエレインを見つめるタロウ、一切の音は届いてないが、エレインの挙動が妙に浮ついている、何やら踊るような手付きと足取りで、さらには見事な笑顔であった、
「あぁ・・・ほら、マリアさんがいらっしゃるんです、マリエッテ様とイージス様も・・・」
「あっ、そういう事か、そう言えば昨日来なかったね」
「はい、忙しかったらしいのですよ、新年の三日目ですし、上級貴族様と違って下級貴族様ですとどうしても自分達で予定は組めないらしくて、挨拶回りやら何やらと、アフラさんがそのように仰ってました」
「あー・・・そっか、そういう事もあるよね・・・だよなー、イザークさんが仕事で忙しいとなるとマリアさんが家の仕事で忙しくなるのかな?」
「恐らくは、私達には伺い知れませんけれどそういうものなのかもしれません」
「確かにねー、貴族様も大変だからな・・・」
「ですね・・・」
ニコニコとエレインを見つめるテラ、タロウもそりゃ遊んでばかりもいられないんだよな貴族様もと思いつつ、
「じゃ、一旦戻ってまた来るよ、あっ、午後の半ば以降に殿下とか伯爵様とか公爵様が食べに来るって」
「エッ・・・それは聞いてないです」
一転表情を失くすテラ、
「そうなの?」
「はい」
「そっか、来るらしいよ、焼きあがった頃に顔を出すとかなんとか言ってたから、まぁ、あれだな、二階でいいんじゃないの?」
「そう・・・ですね、はい、わかりました、準備致します」
「それと・・・」
タロウはウーンと首を傾げ、
「うん、そっか、じゃ、あれだね、先に下準備っていうか焼ける状態まで調理してしまった方がいいかな・・・いや、焼いてしまっていいか、で、座学をやりつつ実物を見せて、それから実習・・・時間もあるし、酵母種から作らないとだから・・・あれかな、マンネルさんとかフェナさんとかを使っていい?」
「勿論です」
パッと顔を明るくするテラ、どうやらタロウがやる気になったと内心でほくそ笑む、
「だね、あとはまぁ・・・その場次第かな・・・」
「はい、それでお任せします、下の奥様達も使って下さい」
「いいの?」
「勿論ですよ」
「了解、じゃー・・・やるかー」
テラはタタッと教室に入り、何やらエレインと話し始める、タロウはやるならしっかりやってしまって後は好きにして貰おうかと気合を入れ直す、単純にめんどくささが先に立ってやる気にならなかっただけであったのだ、
「となると・・・」
サッと階段を下りるタロウ、それなりにカッコつけるかと少しばかり見栄を張ってみる事とした。
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注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。
(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
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「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
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不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
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アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
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アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
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『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
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追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
リリア 無力な「聖女」。アルベルトに庇護されるが、本物の災厄の前では無力な「駒」。
ロイド・バルトロメウス 『天秤と剣(スケイル&ソード)商会』の会頭。ソフィアに命を救われ、彼女の「薬学」の価値を見抜くビジネスパートナー。
【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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