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本編
80話 儚い日常 その21
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そうして寝台の話題は一段落し、次に取り出されたのは蒸留器とシカクパン用の鉄の箱となる、ソフィアとティルとミーンが歓声を上げて鉄の箱を手にして早速と厨房へ向かい、確認の為にとそれを追うリノルト、炬燵テーブルで蒸留器を組み立て始めるコッキーとバーレント、これはとカチャーが事務所に走ってリーニーを連れてきて、これですかと目を丸くして飛び付くリーニー、バーレントがタロウとカトカに確認しつつ、その仕組みを説明すると、
「へー・・・凄いなー・・・いいなー・・・楽しそー」
キャーキャーとはしゃぐリーニー、ハナコはうるさいなーと迷惑そうにミナの寝台の上で顔を上げるもすぐにコテンと横になる、どうやらお昼寝のようである、
「そうなのよねー、なんか色々できそうでねー・・・グフフー」
と奇妙な笑みを浮かべて一緒にはしゃぐカトカ、そうなんだーと理解が及んでいないエレインと、何もそこまで喜ばなくてもと若干引き気味のユーリとゾーイ、
「形としてはこうなります」
コッキーがムフンと胸を張って手を放す、木製の台に載せられたそれは何とも巨大なガラスの塊であった、しかしなんのことは無い、基本的には蒸気を集め冷却するだけの簡単な構造で、三角に折り曲げられ螺旋を描くガラス管とその周囲を包むガラス容器に大別できる、ガラス管には漏斗状の蒸気の取り入れ口とガラス管そのままの排出口があり、木製の台でもってその漏斗の下にビーカーなりなんなりを置く形になっていた、少々大きく無骨であるがタロウの注文通りの品にはなっているようで、
「これはまた・・・流石だねー、頼んで良かったよ」
素直に褒めるタロウ、
「ありがとうございます」
笑顔を見せるコッキーとバーレントである、
「で、どうしましょう、早速使ってみます?」
ワキワキと飛び掛からんばかりのカトカとリーニー、ユーリとゾーイはすっかり任せて新しい寝台に座って眺めてしまっている、
「あっ、すいません、その前に、注意点ですね」
バーレントが木箱から襤褸布を取り出す、
「えっと、この状態で使うのですが、こことここに布を噛ませて密封しないとなのですよ」
と蒸留器に手を伸ばす、どうやら説明と組み立てはまだ終わっていなかったらしい、バーレントは蒸留器の肝となる部分に手を伸ばす、蒸気を冷気で冷やし液体に変える部分である、タロウは実際に作るとなると難しいだろうなと思っていたが、この兄妹は見事に製作してみせていた、組み立て時も曲がりくねったガラス管を容器に入れる作業が一番難しいらしく、気を付けて下さいと丁寧に説明していた、
「なるほどですねー」
「はい、分かります」
カトカとリーニーがグワッとばかりに食い付く、エヘヘと照れ笑いを浮かべるバーレント、ムッと睨みつけるコッキー、
「こんな感じです、こうしないと容器の中の水でも氷でも、冷たい空気でもいいんですが、漏れ出しちゃうので、気を付けて頂ければと思います」
丁寧に説明を終えたバーレント、フーと一息いれている、どうやらそれなりに緊張していたのであろう、
「そっか、で、上部の穴から水とかを入れる感じですね」
「ですね、なので、ちゃんとここです、下から支える台がありますので、重量に注意ですね、その・・・この容器に水を満たしてしまうと・・・正直重すぎるかなって感じなので・・・水なり氷なりは半分程度にして頂けるといいかなと思います」
「となると・・・あれか、こっちの実験材料の方の高さは固定?」
「ですねー・・・すいません、これもあれです、初めて作った仕組みなので、使い勝手に関しては相談頂きたいです、俺らとしても塩梅が難しくて、取り合えず言われた通りに作ってみたって感じになってます」
「あっ、そっかー・・・まぁ、そうだよねー」
カトカがそう呟きつつもニマニマと微笑みつつ手を伸ばし、リーニーもエヘヘと微笑んでいる、何気にカトカから聞いていた、届いたら一緒に弄りましょうとまで言われており、舞い上がる程に喜び、楽しみに待っていたりした、
「はい、どんなもんでしょう?」
バーレントがタロウをうかがうと、コッキーも心配そうにタロウを見つめ、
「・・・どうですか?」
カトカがキッと振り返る、タロウはニコニコと四人の様子を楽しそうに眺めているだけで、褒めた以外は口出しをしていなかった、
「ん?・・・あぁ、あれだ、バーレントさんの言う通りだね、ほら、こういう実験道具はさ、学者さんの要望に従って改良されていくもんでしょ、だから、あとは任せた、頑張って」
ニヤリと微笑むタロウ、これだからとユーリは目を細めるも、
「ですね、ですね、じゃ、さっそく、えっと・・・あっ、所長、ワイン貰います」
グワッとユーリに向かうカトカ、エッとその顔を見つめ返すユーリ、何故ワイン?そんなに好きだったかしら等と思うが、
「あっ、そっか、アルコールか、まずは」
「はい、そうなのです、早速やりましょう」
「そうねー、いいけど・・・ここで?」
「上でやります」
「そうね、その方がいいわよね」
やれやれと腰を上げるユーリ、すっかり目的を失念していた、リーニーもすいません、お手伝いしたいですとエレインに頼み込んでいるようで、エレインも面白そうだからちゃんとお手伝いして下さいと笑顔になる、しかし、
「あっ・・・そっか、使ってみるか・・・」
蒸留器に一歩近づいてタロウが呟く、エッと一同の視線がタロウに向かった、いつものことである、
「うん、バーレントさんね、あと、ブラスさんも、あっ、リノルトさん呼んできて、で、コッキーさんもさ、面白い材があるから使ってみよう」
ニヤリと微笑むタロウ、
「材ですか?」
グワッと食い付くブラス、
「これに使うんですか?」
悲鳴のような声を上げてしまうバーレント、コッキーも不思議そうに首を傾げてしまう、
「そっ、あっ、ほら、これはこれでいいと思うよ、何度も言うけど、改良はカトカさん達に任せたいんだけど、俺がね、手を加えたいのはココだね」
タロウがスッと指し示す、先程バーレントが布を噛ませた部分、ガラス管とガラス容器の接するポイントで、上下に二つ存在する、タロウが見るにまぁ確かにそうするしかないのだろうなと思え、実際にそうするしかなかった点であった、
「そこですか?」
ハテと首を傾げるバーレント、カチャーがリノルトを呼んできて、またなにかあるのかと訝し気なリノルトである、
「うん、これなんだけど」
タロウは懐からスッと茶色の塊を取り出した、何だそれはと一同の視線が集まる、ユーリとゾーイ、エレインも歩み寄った、
「なんですこれ?」
「木ですか?」
「泥の塊?」
「粘土みたい」
「革?」
「なんか湿ってない?」
「ですねー・・・」
「なんじゃこりゃ?」
素直な感想が呟かれた、
「そだね、これ、樹液の塊なんだけど、触ってみ」
ホレとバーレントに預けるタロウ、ワッとバーレントは受け取る、それは見た目以上に重く感じられた、レンガのような長方形で、見た目ほどザラツキは無い、干し肉の塊かなとバーレントは首を傾げつつ軽く握ってみる、そして、
「えっ、何だこれ?」
その弾力に目が丸くなった、
「ほれ、もう一個」
ニヤリと微笑み懐から取り出したそれをブラスに渡すタロウ、ブラスも受け取った瞬間、
「おわっ・・・えっ、柔らかい・・・」
と絶句してしまう、どういう事かと一同の視線が二人の手元に向かう、ブラスとバーレントはモミモミとその感触を確認し、アッと呟いて、コッキーとリノルトに渡し、その二人もこりゃすげーと感嘆した、
「これがね、ゴムの木から採れる樹液、ラテックスって呼ぶらしいんだけど、その樹液ね、それを固めたのがそれ、俺の国では単純にゴムって呼んでるかな」
「ゴム・・・ですか?」
「なんか良い名前ですね」
その手に残る感触とその名前の響き、バーレントが思わず呟いたように実に良い名前ではある、
「そだね、でね、まぁ、色々な用途に使えるんだけど」
タロウは取り合えずともう一個懐から取り出し、さらにナイフを取り出す、何を始めるのかと覗き込む職人達、女性達はゴムの塊を手にして気持ち悪いだの、気持ちいいだの、匂いが変だのと遊びながらもしっかりと観察している、
「こんな感じで薄く切って、で、その襤褸の代わりに詰めるんだ」
レンガ状のゴム塊から細く切り裂いた一片をバーレントに差し出すタロウ、エッと受け取るバーレント、そしてその切り取られたゴムの感触を確認し、
「ワッ・・・すげー、柔らかい・・・」
「引っ張ってみ?」
タロウがニヤリと微笑む、
「引っ張る?」
「そっ、ゆっくりな、力いっぱいやると破けちゃうからさ」
「分かりました・・・わっ、エッ、伸びた?・・・伸びるぞこれ・・・」
驚きながらもゴムの伸縮性を確かめるバーレント、両手で引っ張ればその小さな帯は倍ほどに伸びた、ゲッと目を剥くブラスとリノルト、女性陣もこれはと驚く、
「ふふん、凄いでしょ」
ニコリと微笑むタロウである、しかしそのゴムはタロウの知るそれよりも伸縮性に於いては遥かに劣る、挙句に耐久性もそれほどではない、タロウもこちらに来てから初めて混じりっけ無しの天然ゴムを目にし、あっ、こんなもんなんだなと驚いたものである、タロウの知る輪ゴムのような伸びは望みようもなく、またタイヤのような強靭さも無い、あれらは天然ゴムに炭素やら石油由来の他の物質やらを混ぜ込んで加工された品となり、その用途に併せて調整されている、その調整前となればまぁ確かにこんなもんなんだろうなと理解する他無かった、
「ですね・・・あっ、もしかしてあれですか、水に強い?」
ハッと顔を上げるバーレント、
「そだね、水には強い、で、密閉性が高い、柔らかいからね、密着するんだな、他の物質に、だから気密性が高い・・・なんだけど熱には弱い、そこが弱点、だからカトカさんね、熱湯をかけるとすぐに劣化するから気をつけて」
急に名前を呼ばれ、アッハイッと甲高い声を上げるカトカ、それあげるから好きに使ってみてよと微笑むタロウ、丁度カトカがゴムの塊を手にしており、エッいいんですか?とさらに高い声をあげてしまうカトカである、
「うん、いいよー、あっ、食べれるものでは無いからね、美味しくないし、消化できないと思うからそのように」
タロウがニヤリと微笑む、そうなんだーと残念そうな女性達、冗談のつもりだったんだがとタロウは顔を顰めるも、まぁいいやと思い直し、
「ほれ、取り合えず襤褸の代わりに巻いてみて、ちょっときついかもだけど、その襤褸よりは遥かに水に強いし、液漏れもしないはずだから、どっちかな・・・ガラス管の方に巻き付ける感じにすればいいのかな?まぁ、ちょっとやってみて、もう一本切り出すから、ほら、その襤褸だとさ、下の方は特にだけど、折角抽出した液体に水滴が入りそうだからね・・・あっ、そっか、中のガラス管、出口の方、もう少し長くしてもいいかもね」
「あっ、そうですか、コッキー・・・」
「うん、ちょっと待ってー」
と木箱から黒板を取り出して書き込むコッキー、現時点での改良点はその程度かなと蒸留器を見つめるタロウ、かなり理想的な姿をしている、あとは口にしたように、実際に使ってみて使い勝手や精度などの改良、発生した蒸気を逃さない工夫等が欲しいなと思う、漏斗部分とビーカーを直接連結する必要もあるかもしれない、というかそこも密閉したいんだよな等と思うも、現時点では些細な点である、基本的な部分は見事に完成しているように思う、後は実際に使えるかどうかであった、
「すいません、タロウさん」
カトカがグワッとタロウに詰め寄り、
「これなんなの?」
ユーリも眉を顰めて睨みつける、
「なにって・・・さっきもいったさ、ゴムっていう木の樹液を固めたもの?」
「それは聞いたけど、そうじゃなくてよ」
ムスッと口元を歪めるユーリ、
「あぁ・・・えっとね」
さてどう説明するかとタロウは首を傾げつつ懐に手を入れて、アッこれだと取り出した、取り合えずどう使っているかを話しておいて、その後のどう使えるかはそれぞれの分野で大きく異なるであろう、
「何それ?」
「サンダル・・・ですか?」
「そだね、サンダル」
ニヤリと微笑み、続けるタロウ、タロウが手にした品は誰がどう見てもサンダルであろう、しかし王国のそれとは若干異なっている、底が厚く、ベルト部分の革の質感も異なる、ブラスとリノルトも、ん?と首を傾げた、サンダルであるのは分かるが違和感の方が大きい、タロウはこのゴムの木もまた南方の植物であり、こうしてサンダルの底板として加工されていると説明する、エッと一同がそのサンダルを見つめる、バーレントとコッキーも手を止めて振り返った、
「これがね、また快適なんだ、樹液だから最初は液体なんだけど、型に流し込んで、そこに足を置くのね、で暫くして足を外すとその足の形に凹むんだ、こんな感じ」
そのサンダルの内側を見せるタロウ、確かに生々しい足の形の凹みが確認できる、
「で、それに革で帯を付けて、裏にはね、こんな感じで鋲が打ってある、滑り止めだね、まぁ、こんな感じで使われてて、その塊はさ、試しに作ってもらったやつ、取り合えず塊にしておいて、あとからどうにでもできるように、使い勝手を考えたつもりなんだけどねー」
「使い勝手?」
「うん、ほら、これをさっきみたく切り出して剣とか槍とかの握りに巻いてもいいかもなーって思うし、切ったり削ったりできるから形はある意味思いのままでね、まぁ、そこまでほら、変な形にはならないだろうけどさ・・・あっ、ほら例えばだけど、その寝台ね、その脚の下に付けてもいいね、多分だけど、振動を抑える効果が期待出来て、下の階に音が響かなくなる、正確には響きにくくなるかな?」
エッとブラスが目を丸くする、
「フフン、そっか、それにも使えるかな・・・まぁ、やってみないとだけど、ほら、寝台だよ・・・用途は寝るだけじゃないだろ?」
ニヤーと嫌らしい笑みを浮かべるタロウ、アッとタロウを見つめる一同、
「まぁ、この寮は気にする事は無いけど、ギシギシうるさいのはねー、近所迷惑・・・じゃないな、家庭迷惑?いや、家庭円満の証拠でもあるからいいのかな?良くないか?」
ガッハッハと笑いだすタロウ、あっ、下ネタだと理解し、急に何を言い出すと顔を顰める一同であった。
「へー・・・凄いなー・・・いいなー・・・楽しそー」
キャーキャーとはしゃぐリーニー、ハナコはうるさいなーと迷惑そうにミナの寝台の上で顔を上げるもすぐにコテンと横になる、どうやらお昼寝のようである、
「そうなのよねー、なんか色々できそうでねー・・・グフフー」
と奇妙な笑みを浮かべて一緒にはしゃぐカトカ、そうなんだーと理解が及んでいないエレインと、何もそこまで喜ばなくてもと若干引き気味のユーリとゾーイ、
「形としてはこうなります」
コッキーがムフンと胸を張って手を放す、木製の台に載せられたそれは何とも巨大なガラスの塊であった、しかしなんのことは無い、基本的には蒸気を集め冷却するだけの簡単な構造で、三角に折り曲げられ螺旋を描くガラス管とその周囲を包むガラス容器に大別できる、ガラス管には漏斗状の蒸気の取り入れ口とガラス管そのままの排出口があり、木製の台でもってその漏斗の下にビーカーなりなんなりを置く形になっていた、少々大きく無骨であるがタロウの注文通りの品にはなっているようで、
「これはまた・・・流石だねー、頼んで良かったよ」
素直に褒めるタロウ、
「ありがとうございます」
笑顔を見せるコッキーとバーレントである、
「で、どうしましょう、早速使ってみます?」
ワキワキと飛び掛からんばかりのカトカとリーニー、ユーリとゾーイはすっかり任せて新しい寝台に座って眺めてしまっている、
「あっ、すいません、その前に、注意点ですね」
バーレントが木箱から襤褸布を取り出す、
「えっと、この状態で使うのですが、こことここに布を噛ませて密封しないとなのですよ」
と蒸留器に手を伸ばす、どうやら説明と組み立てはまだ終わっていなかったらしい、バーレントは蒸留器の肝となる部分に手を伸ばす、蒸気を冷気で冷やし液体に変える部分である、タロウは実際に作るとなると難しいだろうなと思っていたが、この兄妹は見事に製作してみせていた、組み立て時も曲がりくねったガラス管を容器に入れる作業が一番難しいらしく、気を付けて下さいと丁寧に説明していた、
「なるほどですねー」
「はい、分かります」
カトカとリーニーがグワッとばかりに食い付く、エヘヘと照れ笑いを浮かべるバーレント、ムッと睨みつけるコッキー、
「こんな感じです、こうしないと容器の中の水でも氷でも、冷たい空気でもいいんですが、漏れ出しちゃうので、気を付けて頂ければと思います」
丁寧に説明を終えたバーレント、フーと一息いれている、どうやらそれなりに緊張していたのであろう、
「そっか、で、上部の穴から水とかを入れる感じですね」
「ですね、なので、ちゃんとここです、下から支える台がありますので、重量に注意ですね、その・・・この容器に水を満たしてしまうと・・・正直重すぎるかなって感じなので・・・水なり氷なりは半分程度にして頂けるといいかなと思います」
「となると・・・あれか、こっちの実験材料の方の高さは固定?」
「ですねー・・・すいません、これもあれです、初めて作った仕組みなので、使い勝手に関しては相談頂きたいです、俺らとしても塩梅が難しくて、取り合えず言われた通りに作ってみたって感じになってます」
「あっ、そっかー・・・まぁ、そうだよねー」
カトカがそう呟きつつもニマニマと微笑みつつ手を伸ばし、リーニーもエヘヘと微笑んでいる、何気にカトカから聞いていた、届いたら一緒に弄りましょうとまで言われており、舞い上がる程に喜び、楽しみに待っていたりした、
「はい、どんなもんでしょう?」
バーレントがタロウをうかがうと、コッキーも心配そうにタロウを見つめ、
「・・・どうですか?」
カトカがキッと振り返る、タロウはニコニコと四人の様子を楽しそうに眺めているだけで、褒めた以外は口出しをしていなかった、
「ん?・・・あぁ、あれだ、バーレントさんの言う通りだね、ほら、こういう実験道具はさ、学者さんの要望に従って改良されていくもんでしょ、だから、あとは任せた、頑張って」
ニヤリと微笑むタロウ、これだからとユーリは目を細めるも、
「ですね、ですね、じゃ、さっそく、えっと・・・あっ、所長、ワイン貰います」
グワッとユーリに向かうカトカ、エッとその顔を見つめ返すユーリ、何故ワイン?そんなに好きだったかしら等と思うが、
「あっ、そっか、アルコールか、まずは」
「はい、そうなのです、早速やりましょう」
「そうねー、いいけど・・・ここで?」
「上でやります」
「そうね、その方がいいわよね」
やれやれと腰を上げるユーリ、すっかり目的を失念していた、リーニーもすいません、お手伝いしたいですとエレインに頼み込んでいるようで、エレインも面白そうだからちゃんとお手伝いして下さいと笑顔になる、しかし、
「あっ・・・そっか、使ってみるか・・・」
蒸留器に一歩近づいてタロウが呟く、エッと一同の視線がタロウに向かった、いつものことである、
「うん、バーレントさんね、あと、ブラスさんも、あっ、リノルトさん呼んできて、で、コッキーさんもさ、面白い材があるから使ってみよう」
ニヤリと微笑むタロウ、
「材ですか?」
グワッと食い付くブラス、
「これに使うんですか?」
悲鳴のような声を上げてしまうバーレント、コッキーも不思議そうに首を傾げてしまう、
「そっ、あっ、ほら、これはこれでいいと思うよ、何度も言うけど、改良はカトカさん達に任せたいんだけど、俺がね、手を加えたいのはココだね」
タロウがスッと指し示す、先程バーレントが布を噛ませた部分、ガラス管とガラス容器の接するポイントで、上下に二つ存在する、タロウが見るにまぁ確かにそうするしかないのだろうなと思え、実際にそうするしかなかった点であった、
「そこですか?」
ハテと首を傾げるバーレント、カチャーがリノルトを呼んできて、またなにかあるのかと訝し気なリノルトである、
「うん、これなんだけど」
タロウは懐からスッと茶色の塊を取り出した、何だそれはと一同の視線が集まる、ユーリとゾーイ、エレインも歩み寄った、
「なんですこれ?」
「木ですか?」
「泥の塊?」
「粘土みたい」
「革?」
「なんか湿ってない?」
「ですねー・・・」
「なんじゃこりゃ?」
素直な感想が呟かれた、
「そだね、これ、樹液の塊なんだけど、触ってみ」
ホレとバーレントに預けるタロウ、ワッとバーレントは受け取る、それは見た目以上に重く感じられた、レンガのような長方形で、見た目ほどザラツキは無い、干し肉の塊かなとバーレントは首を傾げつつ軽く握ってみる、そして、
「えっ、何だこれ?」
その弾力に目が丸くなった、
「ほれ、もう一個」
ニヤリと微笑み懐から取り出したそれをブラスに渡すタロウ、ブラスも受け取った瞬間、
「おわっ・・・えっ、柔らかい・・・」
と絶句してしまう、どういう事かと一同の視線が二人の手元に向かう、ブラスとバーレントはモミモミとその感触を確認し、アッと呟いて、コッキーとリノルトに渡し、その二人もこりゃすげーと感嘆した、
「これがね、ゴムの木から採れる樹液、ラテックスって呼ぶらしいんだけど、その樹液ね、それを固めたのがそれ、俺の国では単純にゴムって呼んでるかな」
「ゴム・・・ですか?」
「なんか良い名前ですね」
その手に残る感触とその名前の響き、バーレントが思わず呟いたように実に良い名前ではある、
「そだね、でね、まぁ、色々な用途に使えるんだけど」
タロウは取り合えずともう一個懐から取り出し、さらにナイフを取り出す、何を始めるのかと覗き込む職人達、女性達はゴムの塊を手にして気持ち悪いだの、気持ちいいだの、匂いが変だのと遊びながらもしっかりと観察している、
「こんな感じで薄く切って、で、その襤褸の代わりに詰めるんだ」
レンガ状のゴム塊から細く切り裂いた一片をバーレントに差し出すタロウ、エッと受け取るバーレント、そしてその切り取られたゴムの感触を確認し、
「ワッ・・・すげー、柔らかい・・・」
「引っ張ってみ?」
タロウがニヤリと微笑む、
「引っ張る?」
「そっ、ゆっくりな、力いっぱいやると破けちゃうからさ」
「分かりました・・・わっ、エッ、伸びた?・・・伸びるぞこれ・・・」
驚きながらもゴムの伸縮性を確かめるバーレント、両手で引っ張ればその小さな帯は倍ほどに伸びた、ゲッと目を剥くブラスとリノルト、女性陣もこれはと驚く、
「ふふん、凄いでしょ」
ニコリと微笑むタロウである、しかしそのゴムはタロウの知るそれよりも伸縮性に於いては遥かに劣る、挙句に耐久性もそれほどではない、タロウもこちらに来てから初めて混じりっけ無しの天然ゴムを目にし、あっ、こんなもんなんだなと驚いたものである、タロウの知る輪ゴムのような伸びは望みようもなく、またタイヤのような強靭さも無い、あれらは天然ゴムに炭素やら石油由来の他の物質やらを混ぜ込んで加工された品となり、その用途に併せて調整されている、その調整前となればまぁ確かにこんなもんなんだろうなと理解する他無かった、
「ですね・・・あっ、もしかしてあれですか、水に強い?」
ハッと顔を上げるバーレント、
「そだね、水には強い、で、密閉性が高い、柔らかいからね、密着するんだな、他の物質に、だから気密性が高い・・・なんだけど熱には弱い、そこが弱点、だからカトカさんね、熱湯をかけるとすぐに劣化するから気をつけて」
急に名前を呼ばれ、アッハイッと甲高い声を上げるカトカ、それあげるから好きに使ってみてよと微笑むタロウ、丁度カトカがゴムの塊を手にしており、エッいいんですか?とさらに高い声をあげてしまうカトカである、
「うん、いいよー、あっ、食べれるものでは無いからね、美味しくないし、消化できないと思うからそのように」
タロウがニヤリと微笑む、そうなんだーと残念そうな女性達、冗談のつもりだったんだがとタロウは顔を顰めるも、まぁいいやと思い直し、
「ほれ、取り合えず襤褸の代わりに巻いてみて、ちょっときついかもだけど、その襤褸よりは遥かに水に強いし、液漏れもしないはずだから、どっちかな・・・ガラス管の方に巻き付ける感じにすればいいのかな?まぁ、ちょっとやってみて、もう一本切り出すから、ほら、その襤褸だとさ、下の方は特にだけど、折角抽出した液体に水滴が入りそうだからね・・・あっ、そっか、中のガラス管、出口の方、もう少し長くしてもいいかもね」
「あっ、そうですか、コッキー・・・」
「うん、ちょっと待ってー」
と木箱から黒板を取り出して書き込むコッキー、現時点での改良点はその程度かなと蒸留器を見つめるタロウ、かなり理想的な姿をしている、あとは口にしたように、実際に使ってみて使い勝手や精度などの改良、発生した蒸気を逃さない工夫等が欲しいなと思う、漏斗部分とビーカーを直接連結する必要もあるかもしれない、というかそこも密閉したいんだよな等と思うも、現時点では些細な点である、基本的な部分は見事に完成しているように思う、後は実際に使えるかどうかであった、
「すいません、タロウさん」
カトカがグワッとタロウに詰め寄り、
「これなんなの?」
ユーリも眉を顰めて睨みつける、
「なにって・・・さっきもいったさ、ゴムっていう木の樹液を固めたもの?」
「それは聞いたけど、そうじゃなくてよ」
ムスッと口元を歪めるユーリ、
「あぁ・・・えっとね」
さてどう説明するかとタロウは首を傾げつつ懐に手を入れて、アッこれだと取り出した、取り合えずどう使っているかを話しておいて、その後のどう使えるかはそれぞれの分野で大きく異なるであろう、
「何それ?」
「サンダル・・・ですか?」
「そだね、サンダル」
ニヤリと微笑み、続けるタロウ、タロウが手にした品は誰がどう見てもサンダルであろう、しかし王国のそれとは若干異なっている、底が厚く、ベルト部分の革の質感も異なる、ブラスとリノルトも、ん?と首を傾げた、サンダルであるのは分かるが違和感の方が大きい、タロウはこのゴムの木もまた南方の植物であり、こうしてサンダルの底板として加工されていると説明する、エッと一同がそのサンダルを見つめる、バーレントとコッキーも手を止めて振り返った、
「これがね、また快適なんだ、樹液だから最初は液体なんだけど、型に流し込んで、そこに足を置くのね、で暫くして足を外すとその足の形に凹むんだ、こんな感じ」
そのサンダルの内側を見せるタロウ、確かに生々しい足の形の凹みが確認できる、
「で、それに革で帯を付けて、裏にはね、こんな感じで鋲が打ってある、滑り止めだね、まぁ、こんな感じで使われてて、その塊はさ、試しに作ってもらったやつ、取り合えず塊にしておいて、あとからどうにでもできるように、使い勝手を考えたつもりなんだけどねー」
「使い勝手?」
「うん、ほら、これをさっきみたく切り出して剣とか槍とかの握りに巻いてもいいかもなーって思うし、切ったり削ったりできるから形はある意味思いのままでね、まぁ、そこまでほら、変な形にはならないだろうけどさ・・・あっ、ほら例えばだけど、その寝台ね、その脚の下に付けてもいいね、多分だけど、振動を抑える効果が期待出来て、下の階に音が響かなくなる、正確には響きにくくなるかな?」
エッとブラスが目を丸くする、
「フフン、そっか、それにも使えるかな・・・まぁ、やってみないとだけど、ほら、寝台だよ・・・用途は寝るだけじゃないだろ?」
ニヤーと嫌らしい笑みを浮かべるタロウ、アッとタロウを見つめる一同、
「まぁ、この寮は気にする事は無いけど、ギシギシうるさいのはねー、近所迷惑・・・じゃないな、家庭迷惑?いや、家庭円満の証拠でもあるからいいのかな?良くないか?」
ガッハッハと笑いだすタロウ、あっ、下ネタだと理解し、急に何を言い出すと顔を顰める一同であった。
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なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
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⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
『追放令嬢は薬草(ハーブ)に夢中 ~前世の知識でポーションを作っていたら、聖女様より崇められ、私を捨てた王太子が泣きついてきました~』
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追放悪役令嬢の薬学スローライフ ~断罪されたら、そこは未知の薬草宝庫(ランクS)でした。知識チートでポーション作ってたら、王都のパンデミックを救う羽目に~
-第二部(11章~20章)追加しました-
【あらすじ】
「貴様を追放する! 魔物の巣窟『霧深き森』で、朽ち果てるがいい!」
王太子の婚約者ソフィアは、卒業パーティーで断罪された。 しかし、その顔に絶望はなかった。なぜなら、その「断罪劇」こそが、彼女の完璧な計画だったからだ。
彼女の魂は、前世で薬学研究に没頭し過労死した、日本の研究者。 王妃の座も権力闘争も、彼女には退屈な枷でしかない。 彼女が求めたのはただ一つ——誰にも邪魔されず、未知の植物を研究できる「アトリエ」だった。
追放先『霧深き森』は「死の土地」。 だが、チート能力【植物図鑑インターフェイス】を持つソフィアにとって、そこは未知の薬草が群生する、最高の「研究フィールド(ランクS)」だった!
石造りの廃屋を「アトリエ」に改造し、ガラクタから蒸留器を自作。村人を救い、薬師様と慕われ、理想のスローライフ(研究生活)が始まる。 だが、その平穏は長く続かない。 王都では、王宮薬師長の陰謀により、聖女の奇跡すら効かないパンデミック『紫死病』が発生していた。 ソフィアが開発した『特製回復ポーション』の噂が王都に届くとき、彼女の「研究成果」を巡る、新たな戦いが幕を開ける——。
【主な登場人物】
ソフィア・フォン・クライネルト 本作の主人公。元・侯爵令嬢。魂は日本の薬学研究者。 合理的かつ冷徹な思考で、スローライフ(研究)を妨げる障害を「薬学」で排除する。未知の薬草の解析が至上の喜び。
ギルバート・ヴァイス 王宮魔術師団・研究室所属の魔術師。 ソフィアの「科学(薬学)」に魅了され、助手(兼・共同研究者)としてアトリエに入り浸る知的な理解者。
アルベルト王太子 ソフィアの元婚約者。愚かな「正義」でソフィアを追放した張本人。王都の危機に際し、薬を強奪しに来るが……。
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【読みどころ】
「悪役令嬢追放」から始まる、痛快な「ざまぁ」展開! そして、知識チートを駆使した本格的な「薬学(ものづくり)」と、理想の「アトリエ」開拓。 科学と魔法が融合し、パンデミックというシリアスな災厄に立ち向かう、読み応え抜群の薬学ファンタジーをお楽しみください。
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※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
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