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「……で、あるからして、この案件は却下すべきだと愚考いたします」
「ほう。理由は?」
「予算の無駄遣いです。この『王都全土にお花畑を作ろう計画』は、維持費だけで国家予算の二割を圧迫します。花より団子、景観より減税です」
「正論だな。採用」
ベルンシュタイン公爵邸の温室。
今日も今日とて、わたくしカテリーナは、優雅なティータイム……という名の「労働」に従事しておりました。
あれから一週間。
わたくしは毎日のように、この魔王城へ連行されております。
名目は「イザベラ嬢の相談相手」および「公爵様の話し相手」。
しかし実態は、美味しいお菓子を人質に取られた、高級事務員兼ペットです。
「次、この陳情書はどうだ?」
アレクセイ様が、手元の書類をペラリと投げ渡してきました。
わたくしはモグモグと特製シュークリーム(本日の餌)を咀嚼しながら、その書類に目を通します。
「ふむふむ……『王太子殿下の銅像を広場に建てたい』……? 却下で。ハトの止まり木になるだけです」
「辛辣だな。だが同意する」
アレクセイ様はサラサラとサインをし、わたくしの皿に新たなクッキーを追加しました。
これが報酬です。
わたくしたちは、言葉を交わさずとも通じ合う、奇妙なバディのようになっていました。
「しかし、カテリーナ」
ふと、アレクセイ様の手が止まりました。
彼はペンを置き、探るような瞳でわたくしを見据えます。
「お前はどうして、そこまで的確に物事を見抜ける? 王妃教育の賜物か?」
「いいえ。王妃教育で習ったのは、扇子の角度と微笑みの作り方だけですわ」
「では、その政治的センスはどこで培った?」
来ました。
「お茶会という名の尋問」タイムです。
アレクセイ様は時折、こうしてわたくしの核心に迫る質問を投げかけてきます。
聖女の皮を被っていた頃は「神のお導きです」で誤魔化せましたが、今はもう通用しません。
わたくしは紅茶で喉を潤し、ふぅと息を吐きました。
「センスなどという高尚なものではありません。……単に、『自分が楽をするため』に頭を使っているだけです」
「楽をするため?」
「はい。例えば先ほどのお花畑計画。もし実現したら、その管理のために『ボランティア団体の結成』だの『視察』だの、面倒な公務が増えるじゃありませんか」
「なるほど」
「銅像だってそうです。除幕式に出席して、炎天下で祝辞を述べるなんて御免です」
わたくしは力説しました。
「わたくしの判断基準は一つ。『それがわたくしの睡眠時間を削るか否か』。それだけです」
アレクセイ様がポカンとし、それからまた楽しそうに笑いました。
「徹底しているな。国益のためでも、民のためでもなく、己の睡眠のためとは」
「当然です。睡眠は人生の宝。ベッドは聖域。それを脅かす者は、たとえ国王陛下でも敵とみなします」
「くくく……恐ろしい聖女様だ」
アレクセイ様は楽しげに笑っていますが、わたくしは大真面目です。
「ですが、一つ疑問がある」
彼の目が、すっと細められました。
笑っているのに目が笑っていない、あの「尋問モード」の目です。
「それほど優秀な頭脳を持ちながら、なぜ今まで『無能な聖女』を演じていた? その才覚があれば、王太子を操って国を裏から支配することもできただろうに」
「……買い被りすぎですわ」
「いや、お前ならできる。だが、しなかった。……なぜだ?」
アレクセイ様が身を乗り出してきます。
その圧に、わたくしは思わず背もたれに張り付きました。
なぜ、力を示さなかったのか。
答えは簡単です。
「……目立つと、仕事が増えるからです」
「は?」
「『能ある鷹は爪を隠す』と言いますが、わたくしの場合は『能あるナマケモノは気配を消す』のです。有能だと思われたら、頼られるじゃありませんか。期待されるじゃありませんか」
わたくしは遠い目をしました。
「『カテリーナ様ならできる』『さすが聖女様』……そんな言葉と共に積み上がる書類の山。安請け合いしてしまったが最後、定時退社など夢のまた夢。そんな社畜人生、死んでも嫌です」
前世の記憶はありませんが、なぜか「社畜」という言葉に強烈な拒否反応が出るのです。
魂に刻まれたトラウマかもしれません。
「だからわたくしは、ニコニコ笑って『わかりませんわ』と言うだけの、可愛いお飾り人形に徹していたのです。全ては、責任回避のために!」
ドヤ顔で言い切ったわたくし。
アレクセイ様はしばらく無言でしたが、やがて「ふっ」と吹き出しました。
「ははは! 清々しいほどのクズだな!」
「褒め言葉として受け取っておきます(二回目)」
「ああ、気に入った。本当にお前は面白い」
アレクセイ様は立ち上がり、わたくしの隣に座り直しました。
そして、耳元で囁きます。
「だが、残念だったな。その爪、俺が見つけてしまった」
「……っ!」
「お前がどれだけ気配を消そうと、俺は逃がさん。お前のその歪んだ才能は、俺が有効活用してやる」
「そ、そんな……労働基準法の遵守を……」
「安心しろ。報酬は弾む。お前の好きな菓子も、昼寝の時間も保証してやる」
アレクセイ様の指が、わたくしの髪を梳きます。
甘い言葉と、逃げられない檻。
飴と鞭の使い方が上手すぎます。
「……お菓子とお昼寝。絶対ですよ?」
「ああ、約束する。ベルンシュタインの名にかけて」
わたくしはガックリと項垂れました。
結局、わたくしは餌に釣られたのです。
チョロいのはイザベラ様だけではありませんでした。
「さて、今日の労働はこれまでだ。……と言いたいところだが」
アレクセイ様が、急に真面目な顔になりました。
空気が少し変わります。
「一つ、耳に入れておいたほうがいい情報がある」
「情報、ですか?」
「ああ。最近、王宮で妙な噂が流れている」
「噂?」
嫌な予感がします。
わたくしに関する噂といえば、「聖女カテリーナ、実は大食い説」とかでしょうか。
アレクセイ様は冷ややかな笑みを浮かべました。
「『聖女カテリーナは、王太子への愛ゆえに身を引いた悲劇のヒロインであり、今も涙に暮れている』……という噂だ」
「ブッ!!」
わたくしは紅茶を吹き出しそうになりました。
なんですかその、三流恋愛小説のような設定は!
「な、涙に暮れている!? わたくしが!?」
「ああ。お前が俺の屋敷に通っているのも、『公爵が無理やり連れ回している』とか、『傷心を癒やすために教会へ行こうとしているのを阻止されている』とか、尾ひれがついているらしい」
「なんて迷惑な解釈!」
誰ですか、そんな妄想を広めたのは。
……あ。
心当たりが一人いました。
金髪の、ナルシストで、ポエム好きなあの方です。
「殿下が……?」
「十中八九な。あいつの中で、お前はまだ『僕を愛しすぎて身を引いた健気な女』のままだ」
アレクセイ様は呆れ果てた様子で肩を竦めました。
「そして、その噂を真に受けたあいつが、近々お前に接触してくる可能性が高い」
「ひえっ」
「『やはり君を忘れられない』とか言い出してな」
悪夢です。
ホラーです。
背筋が凍りつきました。
「ど、どうしましょう公爵様! わたくし、もうあの方のポエムを聞くのは限界です!」
「安心しろ。その時は俺が盾になってやる……と言いたいが、公務で外せない時は自力でなんとかしろ」
「そんなあ!」
「お前の『性能の良い壁』スキルとやらで、適当にあしらっておけ」
アレクセイ様は楽しそうに笑いながら、最後のマカロンをわたくしの口に放り込みました。
「んぐっ……」
甘いマカロンの味とともに、苦い予感が口の中に広がります。
平穏な老後への道は、前途多難。
まさか「元婚約者の勘違い」という最大の障害が、再び目の前に立ちはだかろうとは。
わたくしは遠い空を見上げました。
(殿下……どうか、わたくしのことは忘れてください。記憶喪失にでもなってください……!)
切実な願いも虚しく。
運命の歯車(主に殿下の暴走)は、止まることを知らないのでした。
「ほう。理由は?」
「予算の無駄遣いです。この『王都全土にお花畑を作ろう計画』は、維持費だけで国家予算の二割を圧迫します。花より団子、景観より減税です」
「正論だな。採用」
ベルンシュタイン公爵邸の温室。
今日も今日とて、わたくしカテリーナは、優雅なティータイム……という名の「労働」に従事しておりました。
あれから一週間。
わたくしは毎日のように、この魔王城へ連行されております。
名目は「イザベラ嬢の相談相手」および「公爵様の話し相手」。
しかし実態は、美味しいお菓子を人質に取られた、高級事務員兼ペットです。
「次、この陳情書はどうだ?」
アレクセイ様が、手元の書類をペラリと投げ渡してきました。
わたくしはモグモグと特製シュークリーム(本日の餌)を咀嚼しながら、その書類に目を通します。
「ふむふむ……『王太子殿下の銅像を広場に建てたい』……? 却下で。ハトの止まり木になるだけです」
「辛辣だな。だが同意する」
アレクセイ様はサラサラとサインをし、わたくしの皿に新たなクッキーを追加しました。
これが報酬です。
わたくしたちは、言葉を交わさずとも通じ合う、奇妙なバディのようになっていました。
「しかし、カテリーナ」
ふと、アレクセイ様の手が止まりました。
彼はペンを置き、探るような瞳でわたくしを見据えます。
「お前はどうして、そこまで的確に物事を見抜ける? 王妃教育の賜物か?」
「いいえ。王妃教育で習ったのは、扇子の角度と微笑みの作り方だけですわ」
「では、その政治的センスはどこで培った?」
来ました。
「お茶会という名の尋問」タイムです。
アレクセイ様は時折、こうしてわたくしの核心に迫る質問を投げかけてきます。
聖女の皮を被っていた頃は「神のお導きです」で誤魔化せましたが、今はもう通用しません。
わたくしは紅茶で喉を潤し、ふぅと息を吐きました。
「センスなどという高尚なものではありません。……単に、『自分が楽をするため』に頭を使っているだけです」
「楽をするため?」
「はい。例えば先ほどのお花畑計画。もし実現したら、その管理のために『ボランティア団体の結成』だの『視察』だの、面倒な公務が増えるじゃありませんか」
「なるほど」
「銅像だってそうです。除幕式に出席して、炎天下で祝辞を述べるなんて御免です」
わたくしは力説しました。
「わたくしの判断基準は一つ。『それがわたくしの睡眠時間を削るか否か』。それだけです」
アレクセイ様がポカンとし、それからまた楽しそうに笑いました。
「徹底しているな。国益のためでも、民のためでもなく、己の睡眠のためとは」
「当然です。睡眠は人生の宝。ベッドは聖域。それを脅かす者は、たとえ国王陛下でも敵とみなします」
「くくく……恐ろしい聖女様だ」
アレクセイ様は楽しげに笑っていますが、わたくしは大真面目です。
「ですが、一つ疑問がある」
彼の目が、すっと細められました。
笑っているのに目が笑っていない、あの「尋問モード」の目です。
「それほど優秀な頭脳を持ちながら、なぜ今まで『無能な聖女』を演じていた? その才覚があれば、王太子を操って国を裏から支配することもできただろうに」
「……買い被りすぎですわ」
「いや、お前ならできる。だが、しなかった。……なぜだ?」
アレクセイ様が身を乗り出してきます。
その圧に、わたくしは思わず背もたれに張り付きました。
なぜ、力を示さなかったのか。
答えは簡単です。
「……目立つと、仕事が増えるからです」
「は?」
「『能ある鷹は爪を隠す』と言いますが、わたくしの場合は『能あるナマケモノは気配を消す』のです。有能だと思われたら、頼られるじゃありませんか。期待されるじゃありませんか」
わたくしは遠い目をしました。
「『カテリーナ様ならできる』『さすが聖女様』……そんな言葉と共に積み上がる書類の山。安請け合いしてしまったが最後、定時退社など夢のまた夢。そんな社畜人生、死んでも嫌です」
前世の記憶はありませんが、なぜか「社畜」という言葉に強烈な拒否反応が出るのです。
魂に刻まれたトラウマかもしれません。
「だからわたくしは、ニコニコ笑って『わかりませんわ』と言うだけの、可愛いお飾り人形に徹していたのです。全ては、責任回避のために!」
ドヤ顔で言い切ったわたくし。
アレクセイ様はしばらく無言でしたが、やがて「ふっ」と吹き出しました。
「ははは! 清々しいほどのクズだな!」
「褒め言葉として受け取っておきます(二回目)」
「ああ、気に入った。本当にお前は面白い」
アレクセイ様は立ち上がり、わたくしの隣に座り直しました。
そして、耳元で囁きます。
「だが、残念だったな。その爪、俺が見つけてしまった」
「……っ!」
「お前がどれだけ気配を消そうと、俺は逃がさん。お前のその歪んだ才能は、俺が有効活用してやる」
「そ、そんな……労働基準法の遵守を……」
「安心しろ。報酬は弾む。お前の好きな菓子も、昼寝の時間も保証してやる」
アレクセイ様の指が、わたくしの髪を梳きます。
甘い言葉と、逃げられない檻。
飴と鞭の使い方が上手すぎます。
「……お菓子とお昼寝。絶対ですよ?」
「ああ、約束する。ベルンシュタインの名にかけて」
わたくしはガックリと項垂れました。
結局、わたくしは餌に釣られたのです。
チョロいのはイザベラ様だけではありませんでした。
「さて、今日の労働はこれまでだ。……と言いたいところだが」
アレクセイ様が、急に真面目な顔になりました。
空気が少し変わります。
「一つ、耳に入れておいたほうがいい情報がある」
「情報、ですか?」
「ああ。最近、王宮で妙な噂が流れている」
「噂?」
嫌な予感がします。
わたくしに関する噂といえば、「聖女カテリーナ、実は大食い説」とかでしょうか。
アレクセイ様は冷ややかな笑みを浮かべました。
「『聖女カテリーナは、王太子への愛ゆえに身を引いた悲劇のヒロインであり、今も涙に暮れている』……という噂だ」
「ブッ!!」
わたくしは紅茶を吹き出しそうになりました。
なんですかその、三流恋愛小説のような設定は!
「な、涙に暮れている!? わたくしが!?」
「ああ。お前が俺の屋敷に通っているのも、『公爵が無理やり連れ回している』とか、『傷心を癒やすために教会へ行こうとしているのを阻止されている』とか、尾ひれがついているらしい」
「なんて迷惑な解釈!」
誰ですか、そんな妄想を広めたのは。
……あ。
心当たりが一人いました。
金髪の、ナルシストで、ポエム好きなあの方です。
「殿下が……?」
「十中八九な。あいつの中で、お前はまだ『僕を愛しすぎて身を引いた健気な女』のままだ」
アレクセイ様は呆れ果てた様子で肩を竦めました。
「そして、その噂を真に受けたあいつが、近々お前に接触してくる可能性が高い」
「ひえっ」
「『やはり君を忘れられない』とか言い出してな」
悪夢です。
ホラーです。
背筋が凍りつきました。
「ど、どうしましょう公爵様! わたくし、もうあの方のポエムを聞くのは限界です!」
「安心しろ。その時は俺が盾になってやる……と言いたいが、公務で外せない時は自力でなんとかしろ」
「そんなあ!」
「お前の『性能の良い壁』スキルとやらで、適当にあしらっておけ」
アレクセイ様は楽しそうに笑いながら、最後のマカロンをわたくしの口に放り込みました。
「んぐっ……」
甘いマカロンの味とともに、苦い予感が口の中に広がります。
平穏な老後への道は、前途多難。
まさか「元婚約者の勘違い」という最大の障害が、再び目の前に立ちはだかろうとは。
わたくしは遠い空を見上げました。
(殿下……どうか、わたくしのことは忘れてください。記憶喪失にでもなってください……!)
切実な願いも虚しく。
運命の歯車(主に殿下の暴走)は、止まることを知らないのでした。
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