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王宮の裏庭、人目につきにくい小さな泉のほとり。
わたくし、カテリーナは、予想通り現れたフレデリック殿下と対峙しておりました。
「カテリーナ……やはり君は、ここにいたのだね」
殿下はまるで悲劇の主人公のように、芝居がかった仕草でわたくしの前に立ちます。
「殿下、なぜこのような場所に? イザベラ様との公務はお済みになりましたか?」
わたくしは努めて平静を装いましたが、心臓はバクバク鳴っています。
先週、公爵から「予測」されていた展開とはいえ、直面すると恐怖しかありません。
「公務など、どうでもいい!」
殿下は声を荒げました。
「いや、どうでもよくはないのだが……それよりも重要なことがある。それは、僕の心の問題だ」
「ほう。ご心労でございますか?」
「ああ。胸の奥が、ずっとモヤモヤしているんだ。君がいなくなってから、どうにも満たされない」
殿下は自らの胸に手を当て、深く嘆息しました。
「イザベラは美しい。情熱的で、僕をよく褒めてくれる。だが……どこか違う」
(どこか違って当然ですわ! わたくしは壁になるように教育しましたもの!)
ここで共感を示しては終わりです。
わたくしは、聖女の微笑みを貼り付け、全力で殿下の「未練」の芽を摘みにかかります。
「殿下、それは『寂しさ』を『愛』と勘違いしているだけですわ」
「寂しさ?」
「はい。わたくしという『献身的な月』が太陽から離れたことで、一時的に光が届かなくなっただけです。しかし、ご安心ください。イザベラ様という『炎のような新月』が、すでに殿下の輝きを受け止め始めております!」
「炎のような……新月?」
殿下はわけがわからないといった顔です。
よし、この調子。
「殿下は、お気づきになっていらっしゃいません。イザベラ様の愛は、わたくしなど足元にも及ばないほどの純粋なものです」
わたくしは、今度はイザベラ様の魅力をプレゼンし始めました。
まるで、押し付けた商品のレビューを必死で行うセールスマンのようです。
「例えば、今日のイザベラ様をご覧ください。あのドレスの赤! あれは殿下への情熱を体現しているのです!」
「あのドレスは、彼女の母君のお下がりだったはずだが……」
「それは表面上の話です! 心の炎が、彼女に赤を選ばせているのです! それに、彼女は決して殿下を否定しません!」
「うむ。それは最近特に感じるな」
「わたくしは以前、『殿下は話し方が少し回りくどい』などと、不敬なことを考えてしまったことがございます。しかし、イザベラ様は違います!」
わたくしは感情を込めて訴えました。
「彼女は、殿下の全ての言葉を『真理』として受け止めています! 『さすがですわ!』『凄いですわ!』の言葉の裏には、殿下への絶対的な信仰心があるのです!」
「……そうか。あの言葉には、そこまで深い意味が」
殿下の目がキラキラと輝き始めました。
単純です。助かります。
「そう来ましたか! わたくしは、イザベラ様が殿下をいかに深く愛しているか、今こそ理解いたしました! 彼女こそ、殿下にとっての『運命の女神』だったのですね!」
「カテリーナ……君は、なんて健気なんだ」
殿下は再び感動モードに突入しました。
「自分の恋敵であるはずのイザベラを、そこまで評価するなんて! 君のその高潔な魂に、僕は心打たれたよ!」
「もう! わたくしは健気ではありませんわ! ただの客観的な評価です!」
「謙遜するな! 君は世界一の聖女だ!」
こうなったら、最後の手段です。
わたくしは、涙を拭うフリをして、そっと殿下の耳元に囁きました。
「殿下……わたくしが身を引いた、本当の理由を教えて差し上げます」
「なんだ? 聞こう」
殿下がゴクリと唾を飲み込みました。
「わたくしは……殿下の影を踏んでしまったのです」
「な、なんだと!?」
「はい。先週の夜会、興奮のあまり、殿下の高貴な影に、わたくしのつま先が触れてしまいました」
殿下の顔色が、サッと青ざめます。
「そ、それは……大変な不敬だ。僕の影は、国の威厳そのものなのに……」
「わたくしは、この不敬行為を犯した自らの罪深さに気づき、二度と殿下の御身に近づくべきではないと悟ったのです」
わたくしは地面に膝をつき、懺悔するかのように頭を垂れました。
「あの時から、わたくしは、殿下から五メートル離れることを神に誓ったのです。だからこそ、イザベラ様を立て、わたくしは『星A』になることを決意いたしました」
完璧です。
ナルシストの殿下が最も恐れるのは、「自身の威厳が損なわれること」です。
そして、「影を踏む」という誰も思いつかないレベルの不敬罪をでっち上げれば、彼は二度とわたくしに近づけなくなるはず。
「カテリーナ……君は、そこまで……」
殿下は感動、というより、恐怖に目を見開きました。
「ああ、なんて罪深いんだ、僕の影は! 君にそんな決意をさせてしまうなんて!」
「いえ、全てはわたくしの不注意です。さあ、殿下。どうかこれ以上、わたくしを罪深くしないでください。イザベラ様の元へお戻りくださいませ。彼女なら、殿下の影を遠くから拝めるでしょう」
「……わかった。君の覚悟、しかと受け取ったよ」
殿下は深く頷くと、重い足取りで立ち去ろうとしました。
「そうだ、殿下!」
「なんだ?」
「イザベラ様と、今日は『愛のポエム交換会』をなさいませんこと? きっとお喜びになりますわ!」
「ポ、ポエム交換会か! うむ! それはいい! やはり君は、僕たちの最高の理解者だ!」
殿下は気分を良くし、イザベラ様の元へ急いで行きました。
「ふう……」
わたくしは、へたり込んだまま、大きな安堵のため息をつきました。
危機一髪。
「『影を踏んだ不敬罪』なんて、よく思いつきましたわね……」
あまりの疲労に、膝の力が抜け、その場に座り込んでしまいました。
「……随分と大掛かりな芝居だったな」
またしても聞こえた、低く冷たい声。
わたくしは、本日の疲労のせいで、もう驚く気力もありませんでした。
「公爵様……今日はいじめに来たのですか?」
アレクセイ様が、泉の向こう側から現れました。
彼はポケットに手を突っ込んだまま、わたくしの傍に近づいてきます。
「いじめではない。観察だ。王太子を『影』一つで追い払う女など、なかなかお目にかかれない」
「やめてください。あれはわたくしの、安寧への執念です」
アレクセイ様はわたくしの前に屈み、目線を合わせました。
「お前は、本当にあの男が嫌いなんだな」
「嫌いというより、面倒くさいのです。自分の時間と労力を無限に吸い取るブラックホールのような存在です」
「くくく。相変わらず表現が面白い」
アレクセイ様は立ち上がると、わたくしに手を差し伸べました。
「立て。膝に泥がついているぞ。聖女様が地面に座り込むなど、誰にも見られてはならん」
わたくしはためらいながらも、その手を取りました。
昨日、わたくしの口元を拭った、あの大きな手です。
「……ありがとうございます」
「礼などいらん。その代わり、夜の予定を空けておけ」
「夜?」
「ああ。今日の働きはご褒美ものだ。美味い酒と、特注のつまみで、二人っきりで祝勝会をしよう」
「お酒!?」
「飲めないのか?」
「いえ、むしろ大好きです! ですが、公爵様と二人でなんて……」
「何を気にする。俺にとっては、お前が隣でダラダラしているのが一番の気晴らしだ。……どうせ、お前はまた家でゴロゴロするつもりだったのだろう」
「……その通りですけど」
わたくしの思考を完全に読まれている。
もう、この男には逆らえないと悟りました。
「……わかりました。お付き合いさせていただきます。ただし、つまみは、わたくしの好きな干物系でお願いします」
「干物系、か。用意させよう」
アレクセイ様は満足げに笑いました。
その笑顔は、昨夜の尋問時とは違い、心からの愉悦を含んでいました。
「これで、王太子への未練は完全に断ち切れたな。もう邪魔は入らない」
彼はそう断言しましたが。
わたくしの心は、すでに王太子よりも、目の前の「氷の公爵」の存在によって、大きくかき乱され始めていました。
わたくし、カテリーナは、予想通り現れたフレデリック殿下と対峙しておりました。
「カテリーナ……やはり君は、ここにいたのだね」
殿下はまるで悲劇の主人公のように、芝居がかった仕草でわたくしの前に立ちます。
「殿下、なぜこのような場所に? イザベラ様との公務はお済みになりましたか?」
わたくしは努めて平静を装いましたが、心臓はバクバク鳴っています。
先週、公爵から「予測」されていた展開とはいえ、直面すると恐怖しかありません。
「公務など、どうでもいい!」
殿下は声を荒げました。
「いや、どうでもよくはないのだが……それよりも重要なことがある。それは、僕の心の問題だ」
「ほう。ご心労でございますか?」
「ああ。胸の奥が、ずっとモヤモヤしているんだ。君がいなくなってから、どうにも満たされない」
殿下は自らの胸に手を当て、深く嘆息しました。
「イザベラは美しい。情熱的で、僕をよく褒めてくれる。だが……どこか違う」
(どこか違って当然ですわ! わたくしは壁になるように教育しましたもの!)
ここで共感を示しては終わりです。
わたくしは、聖女の微笑みを貼り付け、全力で殿下の「未練」の芽を摘みにかかります。
「殿下、それは『寂しさ』を『愛』と勘違いしているだけですわ」
「寂しさ?」
「はい。わたくしという『献身的な月』が太陽から離れたことで、一時的に光が届かなくなっただけです。しかし、ご安心ください。イザベラ様という『炎のような新月』が、すでに殿下の輝きを受け止め始めております!」
「炎のような……新月?」
殿下はわけがわからないといった顔です。
よし、この調子。
「殿下は、お気づきになっていらっしゃいません。イザベラ様の愛は、わたくしなど足元にも及ばないほどの純粋なものです」
わたくしは、今度はイザベラ様の魅力をプレゼンし始めました。
まるで、押し付けた商品のレビューを必死で行うセールスマンのようです。
「例えば、今日のイザベラ様をご覧ください。あのドレスの赤! あれは殿下への情熱を体現しているのです!」
「あのドレスは、彼女の母君のお下がりだったはずだが……」
「それは表面上の話です! 心の炎が、彼女に赤を選ばせているのです! それに、彼女は決して殿下を否定しません!」
「うむ。それは最近特に感じるな」
「わたくしは以前、『殿下は話し方が少し回りくどい』などと、不敬なことを考えてしまったことがございます。しかし、イザベラ様は違います!」
わたくしは感情を込めて訴えました。
「彼女は、殿下の全ての言葉を『真理』として受け止めています! 『さすがですわ!』『凄いですわ!』の言葉の裏には、殿下への絶対的な信仰心があるのです!」
「……そうか。あの言葉には、そこまで深い意味が」
殿下の目がキラキラと輝き始めました。
単純です。助かります。
「そう来ましたか! わたくしは、イザベラ様が殿下をいかに深く愛しているか、今こそ理解いたしました! 彼女こそ、殿下にとっての『運命の女神』だったのですね!」
「カテリーナ……君は、なんて健気なんだ」
殿下は再び感動モードに突入しました。
「自分の恋敵であるはずのイザベラを、そこまで評価するなんて! 君のその高潔な魂に、僕は心打たれたよ!」
「もう! わたくしは健気ではありませんわ! ただの客観的な評価です!」
「謙遜するな! 君は世界一の聖女だ!」
こうなったら、最後の手段です。
わたくしは、涙を拭うフリをして、そっと殿下の耳元に囁きました。
「殿下……わたくしが身を引いた、本当の理由を教えて差し上げます」
「なんだ? 聞こう」
殿下がゴクリと唾を飲み込みました。
「わたくしは……殿下の影を踏んでしまったのです」
「な、なんだと!?」
「はい。先週の夜会、興奮のあまり、殿下の高貴な影に、わたくしのつま先が触れてしまいました」
殿下の顔色が、サッと青ざめます。
「そ、それは……大変な不敬だ。僕の影は、国の威厳そのものなのに……」
「わたくしは、この不敬行為を犯した自らの罪深さに気づき、二度と殿下の御身に近づくべきではないと悟ったのです」
わたくしは地面に膝をつき、懺悔するかのように頭を垂れました。
「あの時から、わたくしは、殿下から五メートル離れることを神に誓ったのです。だからこそ、イザベラ様を立て、わたくしは『星A』になることを決意いたしました」
完璧です。
ナルシストの殿下が最も恐れるのは、「自身の威厳が損なわれること」です。
そして、「影を踏む」という誰も思いつかないレベルの不敬罪をでっち上げれば、彼は二度とわたくしに近づけなくなるはず。
「カテリーナ……君は、そこまで……」
殿下は感動、というより、恐怖に目を見開きました。
「ああ、なんて罪深いんだ、僕の影は! 君にそんな決意をさせてしまうなんて!」
「いえ、全てはわたくしの不注意です。さあ、殿下。どうかこれ以上、わたくしを罪深くしないでください。イザベラ様の元へお戻りくださいませ。彼女なら、殿下の影を遠くから拝めるでしょう」
「……わかった。君の覚悟、しかと受け取ったよ」
殿下は深く頷くと、重い足取りで立ち去ろうとしました。
「そうだ、殿下!」
「なんだ?」
「イザベラ様と、今日は『愛のポエム交換会』をなさいませんこと? きっとお喜びになりますわ!」
「ポ、ポエム交換会か! うむ! それはいい! やはり君は、僕たちの最高の理解者だ!」
殿下は気分を良くし、イザベラ様の元へ急いで行きました。
「ふう……」
わたくしは、へたり込んだまま、大きな安堵のため息をつきました。
危機一髪。
「『影を踏んだ不敬罪』なんて、よく思いつきましたわね……」
あまりの疲労に、膝の力が抜け、その場に座り込んでしまいました。
「……随分と大掛かりな芝居だったな」
またしても聞こえた、低く冷たい声。
わたくしは、本日の疲労のせいで、もう驚く気力もありませんでした。
「公爵様……今日はいじめに来たのですか?」
アレクセイ様が、泉の向こう側から現れました。
彼はポケットに手を突っ込んだまま、わたくしの傍に近づいてきます。
「いじめではない。観察だ。王太子を『影』一つで追い払う女など、なかなかお目にかかれない」
「やめてください。あれはわたくしの、安寧への執念です」
アレクセイ様はわたくしの前に屈み、目線を合わせました。
「お前は、本当にあの男が嫌いなんだな」
「嫌いというより、面倒くさいのです。自分の時間と労力を無限に吸い取るブラックホールのような存在です」
「くくく。相変わらず表現が面白い」
アレクセイ様は立ち上がると、わたくしに手を差し伸べました。
「立て。膝に泥がついているぞ。聖女様が地面に座り込むなど、誰にも見られてはならん」
わたくしはためらいながらも、その手を取りました。
昨日、わたくしの口元を拭った、あの大きな手です。
「……ありがとうございます」
「礼などいらん。その代わり、夜の予定を空けておけ」
「夜?」
「ああ。今日の働きはご褒美ものだ。美味い酒と、特注のつまみで、二人っきりで祝勝会をしよう」
「お酒!?」
「飲めないのか?」
「いえ、むしろ大好きです! ですが、公爵様と二人でなんて……」
「何を気にする。俺にとっては、お前が隣でダラダラしているのが一番の気晴らしだ。……どうせ、お前はまた家でゴロゴロするつもりだったのだろう」
「……その通りですけど」
わたくしの思考を完全に読まれている。
もう、この男には逆らえないと悟りました。
「……わかりました。お付き合いさせていただきます。ただし、つまみは、わたくしの好きな干物系でお願いします」
「干物系、か。用意させよう」
アレクセイ様は満足げに笑いました。
その笑顔は、昨夜の尋問時とは違い、心からの愉悦を含んでいました。
「これで、王太子への未練は完全に断ち切れたな。もう邪魔は入らない」
彼はそう断言しましたが。
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