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「……重い。重すぎますわ、このドレス」
王都の大聖堂、花嫁控え室。
わたくし、カテリーナは、全身にダイヤと真珠を散りばめた純白のドレスに押し潰されそうになっておりました。
本日は、わたくしとアレクセイ様。
そして、フレデリック殿下とイザベラ様の、合同結婚式でございます。
本来なら、王太子殿下の結婚式に公爵家が便乗するなどあり得ないのですが、あのナルシスト殿下が言い出したのです。
『カテリーナとイザベラ、二人のヒロインが同時に幸せになる……これぞ大団円に相応しい絵面じゃないか!』
その結果、国中を巻き込んだ超・盛大なパレードと挙式が行われることになりました。
「文句を言うな。お前のそのドレスだけで、小さな城が一つ買える値段だぞ」
隣でタキシードを着こなすアレクセイ様が、涼しい顔で言いました。
黒の礼服に身を包んだ彼は、暴力的なまでに美しい。
悔しいですが、見惚れてしまいます。
「値段の問題ではありません! 物理的に重いのです! 肩が凝ります!」
「安心しろ。式が終わったら、マッサージ師を待機させてある」
「……それなら頑張れます」
アレクセイ様はフッと笑い、手袋をした手でわたくしの頬を撫でました。
「それに、美しいぞ。……誰にも見せたくないくらいにな」
「あら、お上手ですこと(ちょっと嬉しい)」
わたくしが照れ隠しにそっぽを向くと、控え室のドアがバーン!と開きました。
「カテリーナお義姉様ーーーっ!!」
「ぐえっ!?」
純白のドレスを着たイザベラ様が、ロケットのように突っ込んできました。
ウェディングドレス姿のタックルは、破壊力が倍増しています。
「見てくださいまし! わたくしのドレス! 殿下がデザインしてくださったのです!」
「……ああ、なるほど(派手ですね)」
彼女のドレスは、無数の赤いバラ(造花)があしらわれ、背中には謎の羽が生えていました。
テーマは「情熱の天使」だそうです。
「素敵ですわ、イザベラ様。殿下の愛(と独創性)を感じます」
「でしょう!? お義姉様のドレスも清楚で素敵ですわ! まるで雪の精霊みたい!」
「ありがとう。……ところで殿下は?」
「鏡の前から離れませんの。『今日の僕は、神をも凌駕する輝きだ』って」
「(通常運転で安心しました)」
そこへ、ファンファーレが鳴り響きました。
いよいよ入場の時間です。
「さあ、行くぞカテリーナ。転ぶなよ」
「転んだら抱えてくださいね」
「望むところだ」
アレクセイ様が腕を差し出し、わたくしはその腕にしっかりと掴まりました。
大聖堂の扉がゆっくりと開きます。
パイプオルガンの荘厳な音色。
そして、溢れんばかりの参列者たちの視線と歓声。
バージンロードの先には、すでに到着していたフレデリック殿下が、無駄にキラキラした笑顔で手を振っていました。
「やあ、国民たち! 僕の結婚式へようこそ!」
殿下の隣にイザベラ様が並びます。
二人は絵に描いたような(少し個性の強い)美男美女カップルです。
そして、その後ろからわたくしたちが進みます。
「キャーーーッ! 公爵様ーーっ!」
「カテリーナ様、お綺麗ですわーー!」
わたくしは引きつった笑顔で手を振り返しました。
ドレスが重い。
ヒールが高い。
早く帰りたい。
頭の中はそればかりですが、隣のアレクセイ様がガッチリと支えてくれているおかげで、なんとか優雅な歩きに見えているはずです。
祭壇の前。
二組のカップルが並びました。
司祭様(かつてわたくしが『頭が光りすぎ』と思っていた方)が、厳かに口を開きます。
「えー、これより、二組の新たなる夫婦の誓いを……」
「待ってくれ、司祭!」
フレデリック殿下が手を挙げました。
式を止めました。
「誓いの言葉は、僕が自分で考えたオリジナルの詩(ポエム)にしてもいいかな?」
「は、はあ……」
殿下は咳払いをすると、イザベラ様の手を取り、朗々と詠い始めました。
「ああ、イザベラ! 君は燃えるマグマ! 僕はそれを包む地殻! 二人の愛はプレートテクトニクスのように大地を揺るがし、やがて新たな大陸を生み出すだろう!」
会場がざわついています。
地学の講義でしょうか。
「誓おう! たとえ世界が沈没しようとも、僕はこの美貌と君への愛を守り抜くと! ……どうだい?」
「素敵ですわ殿下ーーっ!! マグマのように熱いですわーーっ!!」
イザベラ様が号泣しています。
バカップルここに極まれり。
「……次は、ベルンシュタイン公爵」
司祭様が疲れた顔でこちらを見ました。
アレクセイ様は短く息を吐くと、わたくしに向き直りました。
「カテリーナ」
「は、はい」
「俺は詩人ではないから、気の利いたことは言えん」
アレクセイ様の青い瞳が、真っ直ぐにわたくしを射抜きます。
「だが、約束する。……お前が望む『平穏』も、『自由』も、そして『幸福』も。その全てを、俺が生涯をかけて守り抜く」
シンプルで、力強い言葉。
それはポエムよりもずっと、わたくしの胸に深く刺さりました。
「……病める時も、健やかなる時も?」
わたくしが小さく尋ねると、彼はニヤリと笑いました。
「怠ける時も、食いすぎる時も、だ」
「……ふふっ」
会場から、温かい笑い声が漏れました。
「誓います。……わたくしも、貴方様の隣で、一生のんびりと幸せに暮らすことを」
「よろしい」
アレクセイ様はベールを上げ、わたくしの唇を塞ぎました。
殿下たちのような派手なキスではありません。
しかし、所有印を押すような、長くて深い口づけ。
「……んっ」
息が続かなくて、わたくしが軽く肩を叩くまで、彼は離してくれませんでした。
「ヒューヒュー!」
「お熱いですね公爵様!」
参列者たちの冷やかしと、割れんばかりの拍手。
天井のステンドグラスから差し込む光が、わたくしたちを祝福しているようでした。
式の後。
王宮のバルコニーでの挨拶。
「国民よ! 僕たちの愛を称えよ!」
殿下とイザベラ様が手を振り、大歓声を浴びています。
わたくしは、少し離れた柱の陰で、こっそりとヒールを脱ぎました。
「……あー、疲れました」
「よく頑張ったな」
アレクセイ様が、わたくしの腰を抱き寄せました。
「見てみろ。あれが、お前が『譲った』幸せな光景だ」
彼が指差した先には、幸せそうに笑うイザベラ様と、彼女を誇らしげに見せる殿下の姿。
かつて婚約破棄騒動でドタバタした日々が、なんだか遠い昔のことのように思えます。
「……悪くありませんわね」
わたくしは素直に認めました。
イザベラ様は幸せになり、殿下も満足そうで、国も平和。
そしてわたくしは、面倒な王妃の座から逃れ、最高の寝床と食事、そして最強のパートナーを手に入れた。
まさに、Win-Winの大団円です。
「カテリーナ」
「はい」
「帰ったら、約束通りマッサージをしてやる。……その後は、わかるな?」
「……羽根布団の寝心地確認、ですよね?」
「ああ。二人でな」
アレクセイ様は悪戯っぽく笑い、わたくしの耳元にキスをしました。
「愛しているぞ、俺の怠惰な聖女様」
「……わたくしもですわ、意地悪な公爵様」
わたくしは、彼の胸に頭を預け、幸せな溜息をつきました。
騒がしくて、面倒くさくて、でも最高に甘い一日。
わたくしの新しい人生は、どうやら退屈する暇もなさそうです。
(でも、明日は絶対に昼まで寝ますからね!)
心の中で固く誓いながら、わたくしは観衆に向かって、聖女としての最後の「完璧な微笑み」を投げかけるのでした。
王都の大聖堂、花嫁控え室。
わたくし、カテリーナは、全身にダイヤと真珠を散りばめた純白のドレスに押し潰されそうになっておりました。
本日は、わたくしとアレクセイ様。
そして、フレデリック殿下とイザベラ様の、合同結婚式でございます。
本来なら、王太子殿下の結婚式に公爵家が便乗するなどあり得ないのですが、あのナルシスト殿下が言い出したのです。
『カテリーナとイザベラ、二人のヒロインが同時に幸せになる……これぞ大団円に相応しい絵面じゃないか!』
その結果、国中を巻き込んだ超・盛大なパレードと挙式が行われることになりました。
「文句を言うな。お前のそのドレスだけで、小さな城が一つ買える値段だぞ」
隣でタキシードを着こなすアレクセイ様が、涼しい顔で言いました。
黒の礼服に身を包んだ彼は、暴力的なまでに美しい。
悔しいですが、見惚れてしまいます。
「値段の問題ではありません! 物理的に重いのです! 肩が凝ります!」
「安心しろ。式が終わったら、マッサージ師を待機させてある」
「……それなら頑張れます」
アレクセイ様はフッと笑い、手袋をした手でわたくしの頬を撫でました。
「それに、美しいぞ。……誰にも見せたくないくらいにな」
「あら、お上手ですこと(ちょっと嬉しい)」
わたくしが照れ隠しにそっぽを向くと、控え室のドアがバーン!と開きました。
「カテリーナお義姉様ーーーっ!!」
「ぐえっ!?」
純白のドレスを着たイザベラ様が、ロケットのように突っ込んできました。
ウェディングドレス姿のタックルは、破壊力が倍増しています。
「見てくださいまし! わたくしのドレス! 殿下がデザインしてくださったのです!」
「……ああ、なるほど(派手ですね)」
彼女のドレスは、無数の赤いバラ(造花)があしらわれ、背中には謎の羽が生えていました。
テーマは「情熱の天使」だそうです。
「素敵ですわ、イザベラ様。殿下の愛(と独創性)を感じます」
「でしょう!? お義姉様のドレスも清楚で素敵ですわ! まるで雪の精霊みたい!」
「ありがとう。……ところで殿下は?」
「鏡の前から離れませんの。『今日の僕は、神をも凌駕する輝きだ』って」
「(通常運転で安心しました)」
そこへ、ファンファーレが鳴り響きました。
いよいよ入場の時間です。
「さあ、行くぞカテリーナ。転ぶなよ」
「転んだら抱えてくださいね」
「望むところだ」
アレクセイ様が腕を差し出し、わたくしはその腕にしっかりと掴まりました。
大聖堂の扉がゆっくりと開きます。
パイプオルガンの荘厳な音色。
そして、溢れんばかりの参列者たちの視線と歓声。
バージンロードの先には、すでに到着していたフレデリック殿下が、無駄にキラキラした笑顔で手を振っていました。
「やあ、国民たち! 僕の結婚式へようこそ!」
殿下の隣にイザベラ様が並びます。
二人は絵に描いたような(少し個性の強い)美男美女カップルです。
そして、その後ろからわたくしたちが進みます。
「キャーーーッ! 公爵様ーーっ!」
「カテリーナ様、お綺麗ですわーー!」
わたくしは引きつった笑顔で手を振り返しました。
ドレスが重い。
ヒールが高い。
早く帰りたい。
頭の中はそればかりですが、隣のアレクセイ様がガッチリと支えてくれているおかげで、なんとか優雅な歩きに見えているはずです。
祭壇の前。
二組のカップルが並びました。
司祭様(かつてわたくしが『頭が光りすぎ』と思っていた方)が、厳かに口を開きます。
「えー、これより、二組の新たなる夫婦の誓いを……」
「待ってくれ、司祭!」
フレデリック殿下が手を挙げました。
式を止めました。
「誓いの言葉は、僕が自分で考えたオリジナルの詩(ポエム)にしてもいいかな?」
「は、はあ……」
殿下は咳払いをすると、イザベラ様の手を取り、朗々と詠い始めました。
「ああ、イザベラ! 君は燃えるマグマ! 僕はそれを包む地殻! 二人の愛はプレートテクトニクスのように大地を揺るがし、やがて新たな大陸を生み出すだろう!」
会場がざわついています。
地学の講義でしょうか。
「誓おう! たとえ世界が沈没しようとも、僕はこの美貌と君への愛を守り抜くと! ……どうだい?」
「素敵ですわ殿下ーーっ!! マグマのように熱いですわーーっ!!」
イザベラ様が号泣しています。
バカップルここに極まれり。
「……次は、ベルンシュタイン公爵」
司祭様が疲れた顔でこちらを見ました。
アレクセイ様は短く息を吐くと、わたくしに向き直りました。
「カテリーナ」
「は、はい」
「俺は詩人ではないから、気の利いたことは言えん」
アレクセイ様の青い瞳が、真っ直ぐにわたくしを射抜きます。
「だが、約束する。……お前が望む『平穏』も、『自由』も、そして『幸福』も。その全てを、俺が生涯をかけて守り抜く」
シンプルで、力強い言葉。
それはポエムよりもずっと、わたくしの胸に深く刺さりました。
「……病める時も、健やかなる時も?」
わたくしが小さく尋ねると、彼はニヤリと笑いました。
「怠ける時も、食いすぎる時も、だ」
「……ふふっ」
会場から、温かい笑い声が漏れました。
「誓います。……わたくしも、貴方様の隣で、一生のんびりと幸せに暮らすことを」
「よろしい」
アレクセイ様はベールを上げ、わたくしの唇を塞ぎました。
殿下たちのような派手なキスではありません。
しかし、所有印を押すような、長くて深い口づけ。
「……んっ」
息が続かなくて、わたくしが軽く肩を叩くまで、彼は離してくれませんでした。
「ヒューヒュー!」
「お熱いですね公爵様!」
参列者たちの冷やかしと、割れんばかりの拍手。
天井のステンドグラスから差し込む光が、わたくしたちを祝福しているようでした。
式の後。
王宮のバルコニーでの挨拶。
「国民よ! 僕たちの愛を称えよ!」
殿下とイザベラ様が手を振り、大歓声を浴びています。
わたくしは、少し離れた柱の陰で、こっそりとヒールを脱ぎました。
「……あー、疲れました」
「よく頑張ったな」
アレクセイ様が、わたくしの腰を抱き寄せました。
「見てみろ。あれが、お前が『譲った』幸せな光景だ」
彼が指差した先には、幸せそうに笑うイザベラ様と、彼女を誇らしげに見せる殿下の姿。
かつて婚約破棄騒動でドタバタした日々が、なんだか遠い昔のことのように思えます。
「……悪くありませんわね」
わたくしは素直に認めました。
イザベラ様は幸せになり、殿下も満足そうで、国も平和。
そしてわたくしは、面倒な王妃の座から逃れ、最高の寝床と食事、そして最強のパートナーを手に入れた。
まさに、Win-Winの大団円です。
「カテリーナ」
「はい」
「帰ったら、約束通りマッサージをしてやる。……その後は、わかるな?」
「……羽根布団の寝心地確認、ですよね?」
「ああ。二人でな」
アレクセイ様は悪戯っぽく笑い、わたくしの耳元にキスをしました。
「愛しているぞ、俺の怠惰な聖女様」
「……わたくしもですわ、意地悪な公爵様」
わたくしは、彼の胸に頭を預け、幸せな溜息をつきました。
騒がしくて、面倒くさくて、でも最高に甘い一日。
わたくしの新しい人生は、どうやら退屈する暇もなさそうです。
(でも、明日は絶対に昼まで寝ますからね!)
心の中で固く誓いながら、わたくしは観衆に向かって、聖女としての最後の「完璧な微笑み」を投げかけるのでした。
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