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「ピース! 貴様、一体何を考えているんだ!」
アスター公爵邸の玄関ホール。
一歩足を踏み入れた瞬間、雷のような怒号が飛んできた。
待ち構えていたのは、私の父であり、現宰相でもあるアスター公爵だ。
彼は顔を怒りで真っ赤に染め、血管が切れそうなほどの形相で仁王立ちしていた。
「王家からの急使で聞いたぞ! 婚約破棄されただと!? しかも、あろうことか白昼堂々、王子の顔に泥を塗って逃げ帰ってきたそうじゃないか!」
周囲の使用人たちが、恐怖で震え上がっている。
普段なら縮み上がる光景かもしれない。
だが、今の私は無敵だ。
懐には、あのナルシスト王子から奪取した「署名入り契約書」があるのだから。
私は優雅に扇を閉じ、ニッコリと微笑んだ。
「お父様、ごきげんよう。泥を塗ったのではありません。彼が自分から泥沼に飛び込んだのを、私が丁寧に埋めて差し上げただけです」
「ふざけるな! これは家の存亡に関わる問題だぞ! 将来の王妃の座を失ったのだぞ! この責任をどう取るつもりだ!」
「責任? ああ、もちろん取りますよ。……数字でね」
「す、数字だと?」
私はパチンと指を鳴らした。
「セバス! あれを持ってきて!」
「はっ、お嬢様!」
影のように控えていた執事のセバスが、うやうやしく捧げ持ってきたのは、巨大なそろばんだ。
商人が使うような安物ではない。
枠は黒檀、珠は翡翠で作られた、特注の「対貴族用決戦兵器」である。
私はそれを父の目の前にあるテーブルに叩きつけた。
バンッ!
重厚な音がホールに響く。
「お父様。感情論で怒鳴る前に、まずは損益分岐点を計算しましょう。私の婚約破棄が、我が家にどれほどの損失を与えたか。そして、私がどれほどの利益を持ち帰ったか」
「り、利益だと……?」
「はい。まずは王妃になれなかったことによる『逸失利益』ですが、現在の王家の財政状況と、ジェラルド王子の浪費癖を考慮すると、将来的な期待値はマイナスです」
私はそろばんを弾き始めた。
パチ、パチパチパチ!
高速で動く指先が残像を生む。
「あの方、季節ごとに宝石を買い替える悪癖がありますし、見栄っ張りなので無駄な宴会が多いのです。王妃になった場合、私の持参金は三年で底をつき、実家への援助要請が来ることは確実でした。その額、推定で年間五億ゴールド」
「ご、五億……!?」
父の顔色がサッと青ざめる。
金にうるさい父にとって、その数字は拷問に近い。
「そう、つまり婚約破棄によって、我が家は年間五億の赤字を回避したことになります。これだけで既に黒字ですが、ここからが本番です」
私は懐から、先ほどの契約書を取り出し、テーブルに広げた。
「これが、私が王子から勝ち取った慰謝料の明細です」
「い、慰謝料……?」
父がおずおずと書類を覗き込む。
そこには、恐ろしいほど細かい項目がびっしりと書き込まれてあった。
「まず『基本合意解約金』。これは相場の三倍を請求しました。向こうの有責ですから当然ですね」
「三倍……」
「次に『精神的苦痛に対する賠償』。これが大きいです」
パチパチパチ!
「項目その一。『王子の自作ポエムを聞かされた時間』。一回につき金貨十枚、全三百回分で計算しています」
「ポエム?」
「はい。『君の瞳はアメジスト、僕の心はミステリー』といった、聞くだけで蕁麻疹が出そうな駄作を、笑顔で称賛しなければならない苦行です。これは高度な演技力が要求されるため、特殊技能手当も加算しました」
「……ま、まあ、あれは確かにキツイかもしれんが」
「項目その二。『デート中の護衛業務』。あの方、すぐに路地裏に入りたがるので、刺客や野犬から守るために私がこっそり石を投げたり足を引っかけたりして撃退していました。Sランク冒険者並みの報酬を請求しています」
「お前、そんなことしてたのか……」
「項目その三。『色彩感覚矯正費』。王子の服のコーディネート代です。私が口を出さなければ、あの方は全身ピンク色で公務に出るところでした。国の威信を守った対価として、国家予算レベルの請求を載せておきました」
「ぜ、全身ピンク……」
父は額の汗を拭った。
王子の残念な実態を知り、怒りよりも同情が湧いてきたらしい。
私はさらにそろばんを弾く。
その音は、まるで機関銃の射撃音のように激しさを増していく。
「さらに『貴重な青春の損失補填』、『肌荒れ対策費』、『愛想笑いによる表情筋疲労手当』……そしてトドメは、『早期解決ボーナス』です!」
「なんだそれは」
「王子がゴネずに即座にサインした場合、私が二度と王子の前に現れないというオプションです。これに莫大な値をつけました。あの方は私のことが嫌いですから、喜んで支払うでしょう」
ガシャン!
私が最後に力強くそろばんを弾き終えると、全ての珠があるべき場所に収まった。
弾き出された数字は、天文学的なものだった。
私はその数字を紙に書き写し、父の前に突き出した。
「締めて、この金額になります。お父様」
父がその紙を見る。
一秒。
二秒。
三秒後、父の目が飛び出さんばかりに見開かれた。
「なっ……! な、なんじゃこりゃあああ!!」
「王都の屋敷二軒分……いえ、小さな領地なら一つ買える額ですね」
「こ、これを……あの王子が払うとサインしたのか!?」
「はい。拇印付きで」
父の手が震えている。
怒りではない。
あまりの金額の大きさに、武者震いしているのだ。
この守銭奴親父の性格は熟知している。
「ど、どうですかお父様。王妃という『不確定かつハイリスクな名誉』と、今すぐ現金で手に入る『莫大な資産』。アスター家の繁栄のためには、どちらが必要だと思われますか?」
私は悪魔の囁きのように問いかけた。
父はゴクリと喉を鳴らし、契約書と私の顔を交互に見た。
そして、重々しく口を開いた。
「……ピースよ」
「はい」
「お前は……天才か」
「ありがとうございます。伊達に幼い頃からお父様の背中を見て育っておりません」
父は急に態度を軟化させ、破顔一笑した。
「わっはっは! でかした! よくぞ取った! 確かにあのバカ王子……いや、ジェラルド殿下に嫁がせるのは不安だったのだ! 金になるなら、いや、自由になれるならそれが一番だ!」
現金なものである。
さっきまでの「家の恥」という言葉はどこへ行ったのか。
「ですがお父様、問題が一つあります」
私は声を潜めた。
「金銭的には解決しましたが、世間体というものがあります。『婚約破棄された傷心の令嬢』が、王都で豪遊しているとなれば、王家の顔が立ちません」
「む、確かにそうだ。向こうから圧力がかかるかもしれん」
「そこでご提案です。私を『勘当』してはいかがでしょう?」
「勘当?」
父が目を丸くする。
私はあらかじめ用意していた、もう一つのシナリオを提示した。
「はい。表向きは『王家への不敬により実家を追放』という形にするのです。そうすれば王家のプライドも守られますし、お父様も『娘を厳しく罰した忠臣』として評価が上がります」
「なるほど……一石二鳥というわけか」
「その代わり、手切れ金としてこの慰謝料の半分は私が頂きます。残りの半分は家に献上します。どうでしょう? 座っているだけで巨万の富が転がり込むお話ですが」
慰謝料の半分でも、私が一生遊んで暮らすには十分すぎる額だ。
父は一瞬考え込んだが、そろばんの数字をもう一度チラリと見て、大きく頷いた。
「よかろう! ピース・アスター! 貴様のような不届き者は、我が家の敷居を跨ぐことまかりならん! 直ちに荷物をまとめて出ていけ!」
父は早速、迫真の演技で怒鳴ってみせた。
話が早い父親で助かる。
私はドレスの裾をつまみ、恭しく一礼した。
「承知いたしました、お父様。……それでは、お言葉に甘えて」
私は顔を上げた。
その表情は、今日一番の笑顔だった。
「さっそく5分で荷造りして、南の島へ高飛びさせていただきますわ!」
「うむ! 二度と戻ってくるなよ!(訳:ほとぼりが冷めたら手紙くらい寄越せ)」
「お達者で!(訳:送金は忘れないでくださいね)」
こうして、私の「実家追放」は、円満かつ高収益なビジネス取引として成立したのである。
私はスキップしながら自室へと向かった。
目指すはクローゼット。
必要なのはドレスじゃない。
換金性の高い宝石と、動きやすい服、そして非常食だ。
(待っててね、私のスローライフ! 待っててね、白い砂浜!)
だが、私はまだ気づいていなかった。
私の「追放先」として父が適当に選んだ南の別荘が、実はとんでもない場所にあるということを。
そして、そこに先ほどの「雑巾王子」ことサイラス辺境伯が、なぜか絡んでくる運命にあることを。
アスター公爵邸の玄関ホール。
一歩足を踏み入れた瞬間、雷のような怒号が飛んできた。
待ち構えていたのは、私の父であり、現宰相でもあるアスター公爵だ。
彼は顔を怒りで真っ赤に染め、血管が切れそうなほどの形相で仁王立ちしていた。
「王家からの急使で聞いたぞ! 婚約破棄されただと!? しかも、あろうことか白昼堂々、王子の顔に泥を塗って逃げ帰ってきたそうじゃないか!」
周囲の使用人たちが、恐怖で震え上がっている。
普段なら縮み上がる光景かもしれない。
だが、今の私は無敵だ。
懐には、あのナルシスト王子から奪取した「署名入り契約書」があるのだから。
私は優雅に扇を閉じ、ニッコリと微笑んだ。
「お父様、ごきげんよう。泥を塗ったのではありません。彼が自分から泥沼に飛び込んだのを、私が丁寧に埋めて差し上げただけです」
「ふざけるな! これは家の存亡に関わる問題だぞ! 将来の王妃の座を失ったのだぞ! この責任をどう取るつもりだ!」
「責任? ああ、もちろん取りますよ。……数字でね」
「す、数字だと?」
私はパチンと指を鳴らした。
「セバス! あれを持ってきて!」
「はっ、お嬢様!」
影のように控えていた執事のセバスが、うやうやしく捧げ持ってきたのは、巨大なそろばんだ。
商人が使うような安物ではない。
枠は黒檀、珠は翡翠で作られた、特注の「対貴族用決戦兵器」である。
私はそれを父の目の前にあるテーブルに叩きつけた。
バンッ!
重厚な音がホールに響く。
「お父様。感情論で怒鳴る前に、まずは損益分岐点を計算しましょう。私の婚約破棄が、我が家にどれほどの損失を与えたか。そして、私がどれほどの利益を持ち帰ったか」
「り、利益だと……?」
「はい。まずは王妃になれなかったことによる『逸失利益』ですが、現在の王家の財政状況と、ジェラルド王子の浪費癖を考慮すると、将来的な期待値はマイナスです」
私はそろばんを弾き始めた。
パチ、パチパチパチ!
高速で動く指先が残像を生む。
「あの方、季節ごとに宝石を買い替える悪癖がありますし、見栄っ張りなので無駄な宴会が多いのです。王妃になった場合、私の持参金は三年で底をつき、実家への援助要請が来ることは確実でした。その額、推定で年間五億ゴールド」
「ご、五億……!?」
父の顔色がサッと青ざめる。
金にうるさい父にとって、その数字は拷問に近い。
「そう、つまり婚約破棄によって、我が家は年間五億の赤字を回避したことになります。これだけで既に黒字ですが、ここからが本番です」
私は懐から、先ほどの契約書を取り出し、テーブルに広げた。
「これが、私が王子から勝ち取った慰謝料の明細です」
「い、慰謝料……?」
父がおずおずと書類を覗き込む。
そこには、恐ろしいほど細かい項目がびっしりと書き込まれてあった。
「まず『基本合意解約金』。これは相場の三倍を請求しました。向こうの有責ですから当然ですね」
「三倍……」
「次に『精神的苦痛に対する賠償』。これが大きいです」
パチパチパチ!
「項目その一。『王子の自作ポエムを聞かされた時間』。一回につき金貨十枚、全三百回分で計算しています」
「ポエム?」
「はい。『君の瞳はアメジスト、僕の心はミステリー』といった、聞くだけで蕁麻疹が出そうな駄作を、笑顔で称賛しなければならない苦行です。これは高度な演技力が要求されるため、特殊技能手当も加算しました」
「……ま、まあ、あれは確かにキツイかもしれんが」
「項目その二。『デート中の護衛業務』。あの方、すぐに路地裏に入りたがるので、刺客や野犬から守るために私がこっそり石を投げたり足を引っかけたりして撃退していました。Sランク冒険者並みの報酬を請求しています」
「お前、そんなことしてたのか……」
「項目その三。『色彩感覚矯正費』。王子の服のコーディネート代です。私が口を出さなければ、あの方は全身ピンク色で公務に出るところでした。国の威信を守った対価として、国家予算レベルの請求を載せておきました」
「ぜ、全身ピンク……」
父は額の汗を拭った。
王子の残念な実態を知り、怒りよりも同情が湧いてきたらしい。
私はさらにそろばんを弾く。
その音は、まるで機関銃の射撃音のように激しさを増していく。
「さらに『貴重な青春の損失補填』、『肌荒れ対策費』、『愛想笑いによる表情筋疲労手当』……そしてトドメは、『早期解決ボーナス』です!」
「なんだそれは」
「王子がゴネずに即座にサインした場合、私が二度と王子の前に現れないというオプションです。これに莫大な値をつけました。あの方は私のことが嫌いですから、喜んで支払うでしょう」
ガシャン!
私が最後に力強くそろばんを弾き終えると、全ての珠があるべき場所に収まった。
弾き出された数字は、天文学的なものだった。
私はその数字を紙に書き写し、父の前に突き出した。
「締めて、この金額になります。お父様」
父がその紙を見る。
一秒。
二秒。
三秒後、父の目が飛び出さんばかりに見開かれた。
「なっ……! な、なんじゃこりゃあああ!!」
「王都の屋敷二軒分……いえ、小さな領地なら一つ買える額ですね」
「こ、これを……あの王子が払うとサインしたのか!?」
「はい。拇印付きで」
父の手が震えている。
怒りではない。
あまりの金額の大きさに、武者震いしているのだ。
この守銭奴親父の性格は熟知している。
「ど、どうですかお父様。王妃という『不確定かつハイリスクな名誉』と、今すぐ現金で手に入る『莫大な資産』。アスター家の繁栄のためには、どちらが必要だと思われますか?」
私は悪魔の囁きのように問いかけた。
父はゴクリと喉を鳴らし、契約書と私の顔を交互に見た。
そして、重々しく口を開いた。
「……ピースよ」
「はい」
「お前は……天才か」
「ありがとうございます。伊達に幼い頃からお父様の背中を見て育っておりません」
父は急に態度を軟化させ、破顔一笑した。
「わっはっは! でかした! よくぞ取った! 確かにあのバカ王子……いや、ジェラルド殿下に嫁がせるのは不安だったのだ! 金になるなら、いや、自由になれるならそれが一番だ!」
現金なものである。
さっきまでの「家の恥」という言葉はどこへ行ったのか。
「ですがお父様、問題が一つあります」
私は声を潜めた。
「金銭的には解決しましたが、世間体というものがあります。『婚約破棄された傷心の令嬢』が、王都で豪遊しているとなれば、王家の顔が立ちません」
「む、確かにそうだ。向こうから圧力がかかるかもしれん」
「そこでご提案です。私を『勘当』してはいかがでしょう?」
「勘当?」
父が目を丸くする。
私はあらかじめ用意していた、もう一つのシナリオを提示した。
「はい。表向きは『王家への不敬により実家を追放』という形にするのです。そうすれば王家のプライドも守られますし、お父様も『娘を厳しく罰した忠臣』として評価が上がります」
「なるほど……一石二鳥というわけか」
「その代わり、手切れ金としてこの慰謝料の半分は私が頂きます。残りの半分は家に献上します。どうでしょう? 座っているだけで巨万の富が転がり込むお話ですが」
慰謝料の半分でも、私が一生遊んで暮らすには十分すぎる額だ。
父は一瞬考え込んだが、そろばんの数字をもう一度チラリと見て、大きく頷いた。
「よかろう! ピース・アスター! 貴様のような不届き者は、我が家の敷居を跨ぐことまかりならん! 直ちに荷物をまとめて出ていけ!」
父は早速、迫真の演技で怒鳴ってみせた。
話が早い父親で助かる。
私はドレスの裾をつまみ、恭しく一礼した。
「承知いたしました、お父様。……それでは、お言葉に甘えて」
私は顔を上げた。
その表情は、今日一番の笑顔だった。
「さっそく5分で荷造りして、南の島へ高飛びさせていただきますわ!」
「うむ! 二度と戻ってくるなよ!(訳:ほとぼりが冷めたら手紙くらい寄越せ)」
「お達者で!(訳:送金は忘れないでくださいね)」
こうして、私の「実家追放」は、円満かつ高収益なビジネス取引として成立したのである。
私はスキップしながら自室へと向かった。
目指すはクローゼット。
必要なのはドレスじゃない。
換金性の高い宝石と、動きやすい服、そして非常食だ。
(待っててね、私のスローライフ! 待っててね、白い砂浜!)
だが、私はまだ気づいていなかった。
私の「追放先」として父が適当に選んだ南の別荘が、実はとんでもない場所にあるということを。
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