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「……動きにくいです」
クラウス公爵邸の更衣室にて。
私は鏡に映る自分を見て、眉をひそめた。
そこにいるのは、いつもの地味な事務服を着た私ではない。
深い夜空の色をしたシルクのドレス。
繊細な銀糸の刺繍は星々のように輝き、首元にはクラウス様から贈られた大粒のサファイアが鎮座している。
髪は丁寧に結い上げられ、化粧も完璧だ。
「これでは歩行速度が30%低下します。それに、このコルセット。肺活量が制限され、酸素供給効率が悪いです」
私がブツブツ文句を言っていると、専属の侍女たちがうっとりとした声を上げた。
「まあ、何を仰いますかユミリア様! 息が止まるほどお美しいです!」
「これなら、会場の殿方は全員イチコロですわ!」
「イチコロにする必要はありません。私の目的は、あくまで隣国の貴族たちへの顔見せと、ビジネスコネクションの確立です」
私はドレスの裾を捌き、戦闘服(ドレス)の最終チェックを行った。
「よし。装備重量、許容範囲内。機動力、Dランク。防御力、紙。……行きましょう」
私は覚悟を決めて部屋を出た。
廊下では、礼服に身を包んだクラウス様が待っていた。
彼は私を見た瞬間、時が止まったように固まった。
「……クラウス様? どうされました? どこか変ですか?」
「いや……」
彼はゆっくりと眼鏡の位置を直し、深呼吸をした。
「想定以上だ。君の美しさを数値化しようとしたが、桁が溢れてエラーが出た」
「お上手ですね。お世辞係数1.5倍ですか?」
「本心だ。……独占欲というパラメータが危険水準まで上昇している。今すぐ君を部屋に閉じ込めて、私だけのものにしたい」
真顔で危ないことを言う彼に、私は少しドキッとしてしまった。
「ひ、非合理的です。今日のパーティーは、我が領の復興をアピールする重要な場です。主役が不在では成立しません」
「わかっている。だが、虫除けのスプレーが必要だな」
クラウス様は私の腰に手を回し、強く引き寄せた。
「今夜は片時も離さない。これは護衛任務だ」
「……了解しました。報酬は弾んでくださいね」
私たちは腕を組み、会場となる大広間へと向かった。
◇
会場は、既に多くの招待客で溢れかえっていた。
煌びやかなシャンデリアの下、着飾った貴族たちが談笑している。
「あ、見て! クラウス公爵だ!」
「隣にいるのは誰だ? なんて美しい……」
「噂の『亡命令嬢』か? いや、あれは女神だろう」
私たちが階段の上に姿を現すと、会場の視線が一斉に集まった。
その注目度、100%。
私は優雅な笑みを張り付けつつ、内心で計算機を弾いた。
(視線の数、約300。好意的な反応が8割、嫉妬が1割、値踏みが1割。……上々ね)
私たちは階段を降り、会場の中心へと進んだ。
次々と挨拶に来る貴族たち。
「初めまして、ユミリア嬢。噂は予々。我が領の物流改革もお願いしたいのですが」
「ええ、喜んで。後ほど見積書を送らせていただきます」
「公爵、いい婚約者を見つけましたな。どうやって口説き落としたのです?」
「最高級の計算機を贈ったら、落ちました」
「ははは! ご冗談を!」
クラウス様と私の連携は完璧だった。
社交辞令を効率的に処理し、有益な商談だけを的確にピックアップしていく。
パーティー開始から一時間。
私たちは既に、三件の大型契約と、五件の共同事業案を取り付けていた。
「順調だな、ユミリア」
「はい。このペースなら、今期の目標利益を20%上方修正できます」
グラスを片手に、私たちは会場の隅で一息ついた。
心地よい疲労感と、達成感。
このまま何事もなく夜会が終われば、それは完璧な一夜になるはずだった。
そう、あの「闖入者」さえ現れなければ。
◇
「おい! 通せと言っているだろう!」
突如、会場の入り口付近で怒鳴り声が響いた。
優雅なワルツの調べがかき消される。
「なんだ?」
「騒ぎか?」
貴族たちがざわめき、入り口の方を振り返る。
そこでは、衛兵たちが必死に誰かを止めようとしていた。
「お引き取りください! 招待状のない方は入れません!」
「無礼者! 私の顔を忘れたか! 私はアレクセイだぞ!」
「知りません! ただの不審者です!」
「ええい、どけ! そこをどけぇぇ!!」
ドガン!
強行突破したらしく、衛兵が弾き飛ばされ、扉が大きく開かれた。
会場中の視線が一点に集中する。
そこに現れたのは――。
泥だらけで異臭を放つボロボロの服を着た金髪の男と、カーテンの切れ端を体に巻いたピンク髪の女だった。
「…………」
会場が静まり返る。
あまりの汚さと、場違いすぎる風貌に、誰も言葉が出なかったのだ。
しかし、当の本人――アレクセイは、その静寂を「自分の登場への畏怖」だと勘違いしたらしい。
彼は髪(数日間洗っていないのでベタベタ)をかき上げ、ビシッとポーズを決めた。
「待たせたな、ユミリア! 迎えに来てやったぞ!」
その隣で、ニーナも満面の笑みで手を振った。
「ユミリア様ぁ! サプライズ成功ですねぇ! 私たち、お腹ペコペコですぅ!」
その場の空気温度が、一気に氷点下まで下がった。
「……誰だ、あれは」
「浮浪者か?」
「いや、今『ユミリア』と呼んだぞ?」
「まさか、あの噂の『バカ王子』か……?」
ひそひそ話がさざ波のように広がる。
私はクラウス様の陰から、その惨状を冷ややかに見つめた。
怒りよりも先に、哀れみが込み上げてくる。
(……原価償却の終わった不良債権が、わざわざ国境を越えてやってきたのね)
隣のクラウス様からは、物理的に冷気が発生していた。
「……ユミリア。あれを処理する許可をくれ。ゴミ処理場へ直送する」
「待ってください、クラウス様。ここで暴力沙汰になれば、せっかくの夜会が台無しです」
私は扇で口元を隠し、冷静に言った。
「ここは『大人の対応』で、完全に社会的抹殺を行いましょう」
「……なるほど。君らしいな」
私たちは頷き合い、ゆっくりと、優雅に歩み出た。
まるで、迷い込んだ野良犬に対応するかのように。
「ユミリア! そこにいたか!」
私を見つけたアレクセイが、目を輝かせて駆け寄ろうとする。
「おお、そのドレス! 私のために着飾ってくれたのだな! 似合っているぞ! だが、私の方がもっと輝いているがな!」
彼は泥だらけの靴で、ピカピカに磨かれた床を踏み荒らしていく。
私は彼の手前三メートルで立ち止まり、極めて事務的な声で告げた。
「……どちら様でしょうか? 当家の使用人募集は、既に締め切っておりますが」
その一言が、開戦の合図だった。
クラウス公爵邸の更衣室にて。
私は鏡に映る自分を見て、眉をひそめた。
そこにいるのは、いつもの地味な事務服を着た私ではない。
深い夜空の色をしたシルクのドレス。
繊細な銀糸の刺繍は星々のように輝き、首元にはクラウス様から贈られた大粒のサファイアが鎮座している。
髪は丁寧に結い上げられ、化粧も完璧だ。
「これでは歩行速度が30%低下します。それに、このコルセット。肺活量が制限され、酸素供給効率が悪いです」
私がブツブツ文句を言っていると、専属の侍女たちがうっとりとした声を上げた。
「まあ、何を仰いますかユミリア様! 息が止まるほどお美しいです!」
「これなら、会場の殿方は全員イチコロですわ!」
「イチコロにする必要はありません。私の目的は、あくまで隣国の貴族たちへの顔見せと、ビジネスコネクションの確立です」
私はドレスの裾を捌き、戦闘服(ドレス)の最終チェックを行った。
「よし。装備重量、許容範囲内。機動力、Dランク。防御力、紙。……行きましょう」
私は覚悟を決めて部屋を出た。
廊下では、礼服に身を包んだクラウス様が待っていた。
彼は私を見た瞬間、時が止まったように固まった。
「……クラウス様? どうされました? どこか変ですか?」
「いや……」
彼はゆっくりと眼鏡の位置を直し、深呼吸をした。
「想定以上だ。君の美しさを数値化しようとしたが、桁が溢れてエラーが出た」
「お上手ですね。お世辞係数1.5倍ですか?」
「本心だ。……独占欲というパラメータが危険水準まで上昇している。今すぐ君を部屋に閉じ込めて、私だけのものにしたい」
真顔で危ないことを言う彼に、私は少しドキッとしてしまった。
「ひ、非合理的です。今日のパーティーは、我が領の復興をアピールする重要な場です。主役が不在では成立しません」
「わかっている。だが、虫除けのスプレーが必要だな」
クラウス様は私の腰に手を回し、強く引き寄せた。
「今夜は片時も離さない。これは護衛任務だ」
「……了解しました。報酬は弾んでくださいね」
私たちは腕を組み、会場となる大広間へと向かった。
◇
会場は、既に多くの招待客で溢れかえっていた。
煌びやかなシャンデリアの下、着飾った貴族たちが談笑している。
「あ、見て! クラウス公爵だ!」
「隣にいるのは誰だ? なんて美しい……」
「噂の『亡命令嬢』か? いや、あれは女神だろう」
私たちが階段の上に姿を現すと、会場の視線が一斉に集まった。
その注目度、100%。
私は優雅な笑みを張り付けつつ、内心で計算機を弾いた。
(視線の数、約300。好意的な反応が8割、嫉妬が1割、値踏みが1割。……上々ね)
私たちは階段を降り、会場の中心へと進んだ。
次々と挨拶に来る貴族たち。
「初めまして、ユミリア嬢。噂は予々。我が領の物流改革もお願いしたいのですが」
「ええ、喜んで。後ほど見積書を送らせていただきます」
「公爵、いい婚約者を見つけましたな。どうやって口説き落としたのです?」
「最高級の計算機を贈ったら、落ちました」
「ははは! ご冗談を!」
クラウス様と私の連携は完璧だった。
社交辞令を効率的に処理し、有益な商談だけを的確にピックアップしていく。
パーティー開始から一時間。
私たちは既に、三件の大型契約と、五件の共同事業案を取り付けていた。
「順調だな、ユミリア」
「はい。このペースなら、今期の目標利益を20%上方修正できます」
グラスを片手に、私たちは会場の隅で一息ついた。
心地よい疲労感と、達成感。
このまま何事もなく夜会が終われば、それは完璧な一夜になるはずだった。
そう、あの「闖入者」さえ現れなければ。
◇
「おい! 通せと言っているだろう!」
突如、会場の入り口付近で怒鳴り声が響いた。
優雅なワルツの調べがかき消される。
「なんだ?」
「騒ぎか?」
貴族たちがざわめき、入り口の方を振り返る。
そこでは、衛兵たちが必死に誰かを止めようとしていた。
「お引き取りください! 招待状のない方は入れません!」
「無礼者! 私の顔を忘れたか! 私はアレクセイだぞ!」
「知りません! ただの不審者です!」
「ええい、どけ! そこをどけぇぇ!!」
ドガン!
強行突破したらしく、衛兵が弾き飛ばされ、扉が大きく開かれた。
会場中の視線が一点に集中する。
そこに現れたのは――。
泥だらけで異臭を放つボロボロの服を着た金髪の男と、カーテンの切れ端を体に巻いたピンク髪の女だった。
「…………」
会場が静まり返る。
あまりの汚さと、場違いすぎる風貌に、誰も言葉が出なかったのだ。
しかし、当の本人――アレクセイは、その静寂を「自分の登場への畏怖」だと勘違いしたらしい。
彼は髪(数日間洗っていないのでベタベタ)をかき上げ、ビシッとポーズを決めた。
「待たせたな、ユミリア! 迎えに来てやったぞ!」
その隣で、ニーナも満面の笑みで手を振った。
「ユミリア様ぁ! サプライズ成功ですねぇ! 私たち、お腹ペコペコですぅ!」
その場の空気温度が、一気に氷点下まで下がった。
「……誰だ、あれは」
「浮浪者か?」
「いや、今『ユミリア』と呼んだぞ?」
「まさか、あの噂の『バカ王子』か……?」
ひそひそ話がさざ波のように広がる。
私はクラウス様の陰から、その惨状を冷ややかに見つめた。
怒りよりも先に、哀れみが込み上げてくる。
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隣のクラウス様からは、物理的に冷気が発生していた。
「……ユミリア。あれを処理する許可をくれ。ゴミ処理場へ直送する」
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「ここは『大人の対応』で、完全に社会的抹殺を行いましょう」
「……なるほど。君らしいな」
私たちは頷き合い、ゆっくりと、優雅に歩み出た。
まるで、迷い込んだ野良犬に対応するかのように。
「ユミリア! そこにいたか!」
私を見つけたアレクセイが、目を輝かせて駆け寄ろうとする。
「おお、そのドレス! 私のために着飾ってくれたのだな! 似合っているぞ! だが、私の方がもっと輝いているがな!」
彼は泥だらけの靴で、ピカピカに磨かれた床を踏み荒らしていく。
私は彼の手前三メートルで立ち止まり、極めて事務的な声で告げた。
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