23 / 28
23
「陛下。私は、私の『研究室(ラボ)』が待っておりますので、これにて、辺境へ帰らせていただきますわ」
ヨミは、国王に完璧な礼をすると、さっさと踵(きびす)を返した。
その隣には、カイン・ヴェルデが、当然のように付き従っている。
王宮の寝室にいる誰もが、その光景を、呆然と見送ることしかできなかった。
追放された『毒婦』が、王子を救った『救世主』となり、そして今、王族の謝罪を「見る目がない」と一蹴して、再び最果ての地へ帰ろうとしている。
この国の中心であるはずの王宮が、まるで、辺境から来た二人の「背景」のようにかすんでいた。
「ま、待て!」
その異様な空気を破ったのは、ベッドの上で、青白い顔をしたレオン王子の、かすれた叫び声だった。
「待ってくれ、ヨミ!」
「……」
ヨミは、心の底から面倒くさそうに、ゆっくりと足を止めた。
彼女は、振り返った。
その紫の瞳は、レオンを「元・婚約者」としてではなく「用件の終わった、うるさい患者」として捉えている。
「まだ、何かご用ですの、王子殿下」
「……」
「解毒は完了いたしました。あなたの体内の『水虫菌』は、現在、不活化しております。あとは、侍医長の指示に従い、肝臓を休ませればよろしいかと」
「そ、そんなことでは、ない!」
レオンは、必死に声を振り絞った。
彼は、ヨミの冷たい態度に傷つきながらも、今、この手を離しては、二度と取り戻せない、という焦燥感に駆られていた。
彼は、この数日、ベッドの上で、自分の愚かさを噛み締めていた。
マリアの嘘。
ヨミの真実。
そして、ヨミが持つ、王国の至宝とも言うべき『知識』の価値。
彼は、全てを失うところだった。いや、もう、失っているのだ。
「ヨミ……」
レオンは、ベッドから身を起こそうともがき、侍従の支えを受けながら、なんとか、みっともなく座った姿勢になった。
「俺は……俺は、本当に、愚か者だった」
「ええ。存じておりますわ」
「……っ」
ヨミの容赦ない返答に、レオンの言葉が詰まる。
だが、彼は、ここで引くわけにはいかなかった。
国王も、宰相も、このレオンの行動を、固唾を飲んで見守っている。
彼らもまた、ヨミの『価値』を、痛いほど理解してしまったのだ。
この『知識』を、辺境に置いておくのは、国の損失である、と。
「俺は、君という、本物の『宝』を、手放そうとしていた」
「……」
「君の知識が、君のその聡明さが、この国には、必要なんだ」
「左様でございますか。ですが、私を追放なさったのは、他ならぬ、あなた方ですわ」
「それは……!返す言葉も、ない」
レオンは、プライドをかなぐり捨てた。
「だが、今なら、まだ間に合う!」
彼は、ヨミに向かって、懇願するように、手を差し伸べた。
「俺は、マリアとの婚約など、もちろん、白紙に戻す!」
「……」
「君さえ、許してくれるなら……!君さえ、戻ってきてくれるなら!」
「……」
「君を、王妃として、俺の隣に、迎える準備がある!」
静まり返った寝室に、王子の声が響き渡る。
侍医も、宰相も、国王さえも、その言葉を止めなかった。
それは、王宮全体の『総意』だった。
レオンは、深く息を吸い込むと、震える声で、その言葉を口にした。
「……もう一度、私と……」
「……」
「婚約を、やり直しては、くれないだろうか」
前代未聞だった。
追放した婚約者への、謝罪。そして、再度の、婚約の申し込み。
レオンの目には、必死の光が宿っていた。
もし、ヨミが普通の令嬢ならば、この瞬間、涙を流して喜んだかもしれない。
『毒婦』の汚名をそそぎ、王妃への返り咲きを果たす、逆転の瞬間。
だが。
その熱烈な(?)プロポーズを受けたヨミの反応は、王宮の誰もが、予想だにしないものだった。
ヨミは、レオンの言葉を、数秒間、黙って『分析』していた。
(……ふむ)
(この『申し出』を受けた場合の、私(わたくし)の利益(メリット)と、不利益(デメリット)は)
(メリット:王妃という地位。王家の予算の自由化。王立研究所の最優先使用権)
(デメリット:レオン王子の隣。退屈な政務と社交。辺境のフィールドワーク不可。『月光草』の研究の中断)
(……)
分析は、一瞬で終わった。
「結構ですわ」
「……え?」
レオンの、差し伸べた手が、宙で固まった。
「い、今……なん、と」
「ですから、お断りいたします、と申し上げたのです」
ヨミは、先ほどの謝罪を一蹴した時よりも、さらに、心の底から面倒くさそうに、答えた。
「な……!」
「な、なぜだ!?ヨミ!」
レオンは、信じられないという顔で叫んだ。
「君は、王妃になれるんだぞ!この国の、頂点に!」
「王妃?」
ヨミは、心底、不思議そうに首を傾げた。
「その『地位』が、私にとって、何の価値があると?」
「なっ……!」
「王子。あなたは、やはり、まだ、何も分かっていらっしゃらない」
ヨミは、深い、深いため息をついた。
「私が欲しいのは、『王妃』という、飾り物の地位(ステータス)ではありません」
「……」
「ましてや、二度も、判断を誤った『見る目のない』あなたの隣でも、ありませんわ」
「……っ!」
レオンの顔から、血の気が引いていく。
「私」
ヨミは、どこか楽しそうに、誇らしそうに、告げた。
「辺境領の、私の『研究室(ラボ)』が、大変、気に入っておりますの」
「……研究室」
「ええ。あなたが追放してくださった、あの、痩せた土地ですわ」
ヨミの目が、夢見るように、遠くを見つめる。
「『月光草』の群生地。『瘴気の銀』のサンプル。そして、まだ解明されていない、辺境の未知なる薬草たち」
「……」
「それらすべてが、私を待っておりますの」
ヨミは、再び、レオンに冷たい視線を戻した。
「王宮の、退屈な政務(おままごと)や、権力争いに、付き合っている暇は、私には、ございませんのよ」
「……あ」
レオンは、もう、何も言えなかった。
彼は、ヨミにとって、自分が、辺境の『未知なる薬草』以下の存在でしかないことを、この瞬間、骨の髄まで理解させられたのだ。
「では、今度こそ、失礼いたしますわ」
ヨミは、完璧なカーテシーを、国王にだけ向けると、今度こそ、部屋の出口へと歩き出した。
その背後に立つカインが、この時、初めて、その口元に、かすかな、本当に、かすかな『勝利』の笑みを浮かべていたことを、王宮の誰も、気づかなかった。
「ああ、それと」
ヨミが、扉の前で、足を止めた。
「王子」
「……」
レオンが、力なく顔を上げる。
ヨミは、研究者として、最後に、一つだけ、訂正を入れた。
「先ほど、あなたは、私に『婚約をやり直してはくれないか』と、おっしゃいましたね」
「……あ、ああ」
「正確には、それは『やり直し』では、ございませんわ」
「……どういう、意味だ」
「あの卒業パーティーで、あなたが、一方的に『婚約破棄』を宣言なさった時点で」
ヨミは、レオンに向かって、この日一番の、冷たく、美しい笑みを浮かべた。
「私とあなたの婚約は、すでに『完了』しておりますのよ」
「!」
「あなたが、今なさったのは『やり直し』ではなく、単なる『新規の申し込み』ですわ」
「……」
「そして、その『新規申し込み』は、ただいま、私(わたくし)が、明確に『拒否』いたしました」
「……」
「ごきげんよう、王子殿下。二度と、私の研究の邪魔を、なさらないでくださいましね」
バタン。
扉は、無情にも閉ざされた。
残されたのは、再起不能(ノックアウト)なまでにプライドを粉砕され、完全に『振られた』王子と、王国の、暗い未来だけだった。
ヨミは、国王に完璧な礼をすると、さっさと踵(きびす)を返した。
その隣には、カイン・ヴェルデが、当然のように付き従っている。
王宮の寝室にいる誰もが、その光景を、呆然と見送ることしかできなかった。
追放された『毒婦』が、王子を救った『救世主』となり、そして今、王族の謝罪を「見る目がない」と一蹴して、再び最果ての地へ帰ろうとしている。
この国の中心であるはずの王宮が、まるで、辺境から来た二人の「背景」のようにかすんでいた。
「ま、待て!」
その異様な空気を破ったのは、ベッドの上で、青白い顔をしたレオン王子の、かすれた叫び声だった。
「待ってくれ、ヨミ!」
「……」
ヨミは、心の底から面倒くさそうに、ゆっくりと足を止めた。
彼女は、振り返った。
その紫の瞳は、レオンを「元・婚約者」としてではなく「用件の終わった、うるさい患者」として捉えている。
「まだ、何かご用ですの、王子殿下」
「……」
「解毒は完了いたしました。あなたの体内の『水虫菌』は、現在、不活化しております。あとは、侍医長の指示に従い、肝臓を休ませればよろしいかと」
「そ、そんなことでは、ない!」
レオンは、必死に声を振り絞った。
彼は、ヨミの冷たい態度に傷つきながらも、今、この手を離しては、二度と取り戻せない、という焦燥感に駆られていた。
彼は、この数日、ベッドの上で、自分の愚かさを噛み締めていた。
マリアの嘘。
ヨミの真実。
そして、ヨミが持つ、王国の至宝とも言うべき『知識』の価値。
彼は、全てを失うところだった。いや、もう、失っているのだ。
「ヨミ……」
レオンは、ベッドから身を起こそうともがき、侍従の支えを受けながら、なんとか、みっともなく座った姿勢になった。
「俺は……俺は、本当に、愚か者だった」
「ええ。存じておりますわ」
「……っ」
ヨミの容赦ない返答に、レオンの言葉が詰まる。
だが、彼は、ここで引くわけにはいかなかった。
国王も、宰相も、このレオンの行動を、固唾を飲んで見守っている。
彼らもまた、ヨミの『価値』を、痛いほど理解してしまったのだ。
この『知識』を、辺境に置いておくのは、国の損失である、と。
「俺は、君という、本物の『宝』を、手放そうとしていた」
「……」
「君の知識が、君のその聡明さが、この国には、必要なんだ」
「左様でございますか。ですが、私を追放なさったのは、他ならぬ、あなた方ですわ」
「それは……!返す言葉も、ない」
レオンは、プライドをかなぐり捨てた。
「だが、今なら、まだ間に合う!」
彼は、ヨミに向かって、懇願するように、手を差し伸べた。
「俺は、マリアとの婚約など、もちろん、白紙に戻す!」
「……」
「君さえ、許してくれるなら……!君さえ、戻ってきてくれるなら!」
「……」
「君を、王妃として、俺の隣に、迎える準備がある!」
静まり返った寝室に、王子の声が響き渡る。
侍医も、宰相も、国王さえも、その言葉を止めなかった。
それは、王宮全体の『総意』だった。
レオンは、深く息を吸い込むと、震える声で、その言葉を口にした。
「……もう一度、私と……」
「……」
「婚約を、やり直しては、くれないだろうか」
前代未聞だった。
追放した婚約者への、謝罪。そして、再度の、婚約の申し込み。
レオンの目には、必死の光が宿っていた。
もし、ヨミが普通の令嬢ならば、この瞬間、涙を流して喜んだかもしれない。
『毒婦』の汚名をそそぎ、王妃への返り咲きを果たす、逆転の瞬間。
だが。
その熱烈な(?)プロポーズを受けたヨミの反応は、王宮の誰もが、予想だにしないものだった。
ヨミは、レオンの言葉を、数秒間、黙って『分析』していた。
(……ふむ)
(この『申し出』を受けた場合の、私(わたくし)の利益(メリット)と、不利益(デメリット)は)
(メリット:王妃という地位。王家の予算の自由化。王立研究所の最優先使用権)
(デメリット:レオン王子の隣。退屈な政務と社交。辺境のフィールドワーク不可。『月光草』の研究の中断)
(……)
分析は、一瞬で終わった。
「結構ですわ」
「……え?」
レオンの、差し伸べた手が、宙で固まった。
「い、今……なん、と」
「ですから、お断りいたします、と申し上げたのです」
ヨミは、先ほどの謝罪を一蹴した時よりも、さらに、心の底から面倒くさそうに、答えた。
「な……!」
「な、なぜだ!?ヨミ!」
レオンは、信じられないという顔で叫んだ。
「君は、王妃になれるんだぞ!この国の、頂点に!」
「王妃?」
ヨミは、心底、不思議そうに首を傾げた。
「その『地位』が、私にとって、何の価値があると?」
「なっ……!」
「王子。あなたは、やはり、まだ、何も分かっていらっしゃらない」
ヨミは、深い、深いため息をついた。
「私が欲しいのは、『王妃』という、飾り物の地位(ステータス)ではありません」
「……」
「ましてや、二度も、判断を誤った『見る目のない』あなたの隣でも、ありませんわ」
「……っ!」
レオンの顔から、血の気が引いていく。
「私」
ヨミは、どこか楽しそうに、誇らしそうに、告げた。
「辺境領の、私の『研究室(ラボ)』が、大変、気に入っておりますの」
「……研究室」
「ええ。あなたが追放してくださった、あの、痩せた土地ですわ」
ヨミの目が、夢見るように、遠くを見つめる。
「『月光草』の群生地。『瘴気の銀』のサンプル。そして、まだ解明されていない、辺境の未知なる薬草たち」
「……」
「それらすべてが、私を待っておりますの」
ヨミは、再び、レオンに冷たい視線を戻した。
「王宮の、退屈な政務(おままごと)や、権力争いに、付き合っている暇は、私には、ございませんのよ」
「……あ」
レオンは、もう、何も言えなかった。
彼は、ヨミにとって、自分が、辺境の『未知なる薬草』以下の存在でしかないことを、この瞬間、骨の髄まで理解させられたのだ。
「では、今度こそ、失礼いたしますわ」
ヨミは、完璧なカーテシーを、国王にだけ向けると、今度こそ、部屋の出口へと歩き出した。
その背後に立つカインが、この時、初めて、その口元に、かすかな、本当に、かすかな『勝利』の笑みを浮かべていたことを、王宮の誰も、気づかなかった。
「ああ、それと」
ヨミが、扉の前で、足を止めた。
「王子」
「……」
レオンが、力なく顔を上げる。
ヨミは、研究者として、最後に、一つだけ、訂正を入れた。
「先ほど、あなたは、私に『婚約をやり直してはくれないか』と、おっしゃいましたね」
「……あ、ああ」
「正確には、それは『やり直し』では、ございませんわ」
「……どういう、意味だ」
「あの卒業パーティーで、あなたが、一方的に『婚約破棄』を宣言なさった時点で」
ヨミは、レオンに向かって、この日一番の、冷たく、美しい笑みを浮かべた。
「私とあなたの婚約は、すでに『完了』しておりますのよ」
「!」
「あなたが、今なさったのは『やり直し』ではなく、単なる『新規の申し込み』ですわ」
「……」
「そして、その『新規申し込み』は、ただいま、私(わたくし)が、明確に『拒否』いたしました」
「……」
「ごきげんよう、王子殿下。二度と、私の研究の邪魔を、なさらないでくださいましね」
バタン。
扉は、無情にも閉ざされた。
残されたのは、再起不能(ノックアウト)なまでにプライドを粉砕され、完全に『振られた』王子と、王国の、暗い未来だけだった。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
誘拐された公爵令嬢ですが、なぜか皇帝に溺愛されています』
富士山麓
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ
ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。
スピーナ子爵家の次女。
どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。
ウィオラはいつも『じゃない方』
認められない、
選ばれない…
そんなウィオラは――
中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。
よろしくお願いします。
「退屈な女だ」と婚約破棄されたので去りましたが、翌日から国政が止まったそうです。え、私はもう存じませんけど?
にたまご
恋愛
公爵令嬢クラーラは、ユリウス王太子殿下に婚約を破棄された。
「退屈な女だ」「何の取り柄もない」と。
否定はしない。
けれど殿下が知らないだけで、通商条約も予算案も外交書簡も、この国の政務の大半を六年間匿名で回していたのは──この「退屈な女」だ。
婚約破棄の翌朝、宰相補佐官のレオンが焼き菓子と四十二件の緊急報告を携えて公爵邸を訪れる。
「貴女がいなくなった王宮は、控えめに申し上げて、地獄です」
──存じません。私はもう、ただの無職ですので。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!
秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。
民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。
「おまえたちは許さない」
二度目の人生。
エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。
彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。
1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。
「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」
憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。
二人の偽りの婚約の行く末は……
すみっこ婚約破棄同盟〜王子様による婚約破棄のすみっこで〜
まりー
恋愛
ある夜会で王子とその側近達の婚約破棄が行われた。腕に恋人をぶら下げて。所謂、王道断罪劇である。
でもこのお話の主役は麗しのヒロインでも、キラキラ王子でも、学園一の秀才や騎士団期待のホープでもない。これは王道のすみっこで行われた、弱小貴族と商人の子息たちの婚約破棄のお話である。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「もう俺ら、恋なんてしない!」と言う小学生の息子の話を参考に書きました。登場人物の男子たちの頭は小学生レベルだと思って読んでください。
「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。