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三日後。公爵邸の最高級客室にて、隣国の王ゼノンは、かつてないほど「軽やかな」目覚めを迎えていた。
真っ白なシーツの中で、彼は自分の手のひらを見つめ、驚愕に震えていた。
「……信じられん。頭が……頭の中の霧が、完全に晴れている。視界が、昨日の三倍は明るいぞ……!」
そこへ、焼きたてのクロワッサンの香りと共に、私とギルバート様が優雅に入室した。
「おはようございます、ゼノン陛下。十時間の睡眠と、三日間のデジタル・デトックスの効果はいかがかしら?」
私がにっこりと微笑むと、ゼノン王はベッドから飛び起き、私の前に跪いた。
「ユーム殿! いや、聖女様と呼ばせてくれ! 私は……私は今まで、何をしていたのだ! 寝ずに働くことが効率だと思っていた自分が、恥ずかしくてならない!」
「まあ! ようやくお気づきになりましたのね。陛下、人間は休むことで、脳内の情報が整理され、次の業務への『加速力』が生まれるのですわ」
「その通りだ! 今なら、一週間かかっていた法案の整備も、三時間で終わる自信がある。……素晴らしい! これが、ホワイトの力か!」
ゼノン王の瞳には、以前の病的なギラつきはなく、健康的な輝きが宿っていた。
だが、その熱意の方向性が、少しばかり極端な方へ舵を切ったようだった。
「決めたぞ! 我が国に戻ったら、即座に『全国民・同時お昼寝法』を施行する! 午後二時から一時間は、街の活動を完全に停止させ、最も美しく寝た者に勲章を与える『大・昼寝大会』を開催するのだ!」
「……陛下、それはそれで少し過激すぎませんか? 自由な時間に休むのが一番ですわよ」
私が苦笑いしていると、隣でギルバート様が私の腰をぐいと引き寄せた。
「ゼノン陛下。理解していただけたなら、速やかにお帰りください。あなたの滞在費……いえ、コンサルティング料の請求書は、後ほど国境までお届けします」
「ああ、いくらでも払おう! この『爽快感』に比べれば、黄金など安すぎる! ……ユーム殿、いつか我が国と合同で『ホワイト万博』を開催しようではないか!」
ゼノン王は、見送りに来たメイドたちに「素晴らしいホスピタリティだった! 全員に我が国の永住権をやる!」と叫びながら、弾むような足取りで馬車に乗り込んでいった。
「……先生、あの方、極端から極端へ走るタイプでしたわね。でも、これで隣国も少しは平和になるかしら?」
「ええ。……ただ、彼がまた君をスカウトしに来ないよう、国境に『ここから先は愛妻家専用エリア』という看板を立てておく必要がありますね」
ギルバート様は眼鏡をクイと上げ、独占欲を隠そうともせずに私の髪に指を通した。
一方その頃。
砂漠の真ん中で、アキレス王子は「蜃気楼」の中に、巨大な枕を見ていた。
「……ああ、枕だ。……ふかふかの、ユームが用意してくれたあの羽毛枕だ……。ララ、あそこに行けば、八時間寝られるぞ……!」
「……殿下、あれは……ただの大きな岩ですわ……。私、もう……お肌が、砂漠のトカゲと同じ色に……。ホワイト……ホワイトな……乳液を……」
ララ様は、岩に向かってダイブし、そのまま鼻を打って気絶した。
彼らにとって、ホワイトな眠りは、死ぬ気で砂を掘っても出てこない「幻の秘宝」となってしまったのである。
真っ白なシーツの中で、彼は自分の手のひらを見つめ、驚愕に震えていた。
「……信じられん。頭が……頭の中の霧が、完全に晴れている。視界が、昨日の三倍は明るいぞ……!」
そこへ、焼きたてのクロワッサンの香りと共に、私とギルバート様が優雅に入室した。
「おはようございます、ゼノン陛下。十時間の睡眠と、三日間のデジタル・デトックスの効果はいかがかしら?」
私がにっこりと微笑むと、ゼノン王はベッドから飛び起き、私の前に跪いた。
「ユーム殿! いや、聖女様と呼ばせてくれ! 私は……私は今まで、何をしていたのだ! 寝ずに働くことが効率だと思っていた自分が、恥ずかしくてならない!」
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「その通りだ! 今なら、一週間かかっていた法案の整備も、三時間で終わる自信がある。……素晴らしい! これが、ホワイトの力か!」
ゼノン王の瞳には、以前の病的なギラつきはなく、健康的な輝きが宿っていた。
だが、その熱意の方向性が、少しばかり極端な方へ舵を切ったようだった。
「決めたぞ! 我が国に戻ったら、即座に『全国民・同時お昼寝法』を施行する! 午後二時から一時間は、街の活動を完全に停止させ、最も美しく寝た者に勲章を与える『大・昼寝大会』を開催するのだ!」
「……陛下、それはそれで少し過激すぎませんか? 自由な時間に休むのが一番ですわよ」
私が苦笑いしていると、隣でギルバート様が私の腰をぐいと引き寄せた。
「ゼノン陛下。理解していただけたなら、速やかにお帰りください。あなたの滞在費……いえ、コンサルティング料の請求書は、後ほど国境までお届けします」
「ああ、いくらでも払おう! この『爽快感』に比べれば、黄金など安すぎる! ……ユーム殿、いつか我が国と合同で『ホワイト万博』を開催しようではないか!」
ゼノン王は、見送りに来たメイドたちに「素晴らしいホスピタリティだった! 全員に我が国の永住権をやる!」と叫びながら、弾むような足取りで馬車に乗り込んでいった。
「……先生、あの方、極端から極端へ走るタイプでしたわね。でも、これで隣国も少しは平和になるかしら?」
「ええ。……ただ、彼がまた君をスカウトしに来ないよう、国境に『ここから先は愛妻家専用エリア』という看板を立てておく必要がありますね」
ギルバート様は眼鏡をクイと上げ、独占欲を隠そうともせずに私の髪に指を通した。
一方その頃。
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