4 / 28
4
しおりを挟む
到着初日の大掃除騒動から数時間後。
窓を開け放ち、埃を叩き出し、床を磨き上げたことで、屋敷の空気は見違えるほど軽くなっていた。
そして、待ちに待った夕食の時間である。
案内されたダイニングルームは、長いテーブルに燭台の灯りが揺れる、雰囲気のある空間だった。
ただし、雰囲気がありすぎて、少し薄暗いのが玉に瑕だが。
私は上座に座るジェラルド様の隣、夫人の席に腰を下ろした。
「……ビスケ」
「はい、旦那様」
「疲れていないか? 到着早々、あんなに動き回って」
ジェラルド様が心配そうに私を見る。
その眉間には深い皺が刻まれており、一般人が見れば「お前、後で焼き殺すぞ」と言われているようにしか見えない表情だ。
しかし、半日一緒にいてわかってきた。
この人は、心配すればするほど顔が怖くなるタイプだ。
「平気ですわ。むしろ、体が動かせてスッキリしました。それに……」
私はテーブルの上に並べられた料理に視線を落とした。
「この素晴らしい香り! 疲れなんて吹き飛びました!」
そこには、山盛りの肉料理が並んでいた。
鹿肉のロースト、猪の煮込み、鳥の香草焼き。
野菜は付け合わせ程度で、まさに「肉! 肉! 肉!」というラインナップ。
いかにも辺境の男料理といった風情だが、実に美味しそうだ。
「北は作物が育ちにくい。肉ばかりですまないな」
「とんでもない! 私、お肉大好きです! 王宮では『レディは小鳥のように食べるもの』と言われて、サラダばかり食べさせられていましたから!」
私はナイフとフォークを構え、早速鹿肉を口に運んだ。
噛み締めた瞬間、濃厚な旨味が口いっぱいに広がる。
臭みは全くなく、柔らかい。
「んん~っ! 美味しい! なんですかこれ、絶品じゃないですか!」
私が声を上げると、部屋の隅に控えていた料理長らしき恰幅のいい男性が、ビクゥッ!と肩を震わせた。
彼は真っ青な顔で、まるで断頭台の前にいるかのように縮こまっている。
ジェラルド様も、黙々と猪の煮込みを食べている。
無言だ。
咀嚼音すらさせない静かな食事マナーだが、その鋭い眼光は皿の一点を見つめている。
料理長が、震える声で恐る恐る尋ねた。
「あ、あの……旦那様……お、お味はいかがでしょうか……?」
ジェラルド様が、ゆっくりと顔を上げた。
そして、重々しく口を開く。
「……硬いな」
ヒュッ。
部屋中の空気が凍りついた音がした。
料理長が白目を剥きそうになっている。
「ひぃっ! も、申し訳ございません! 煮込み時間が足りず……! す、すぐに作り直してまいりますので、どうかお命だけは……!」
「待ちなさい」
私はナイフを置いて、パチンと手を叩いた。
「料理長、早まらないで」
「え? で、でも、旦那様が『硬い』と……」
「いいえ、違います。ジェラルド様のお言葉には、高度な翻訳が必要なのですよ」
私は隣のジェラルド様に向き直り、にっこりと微笑んだ。
「旦那様。『硬い』というのは、お肉のことではありませんね?」
「……?」
ジェラルド様が不思議そうに首を傾げる。
私は彼の心情を、文脈と表情筋のわずかな動きから読み解いていく。
先ほど、彼は一口食べた後、ふっと目尻を下げた(0.5ミリくらい)。
そして「硬い」と言った時、視線は料理長ではなく、彼自身の肩に向けられていた。
「旦那様がおっしゃった『硬い』は、『料理長の表情が硬い』という意味ですわ。違いますか?」
ジェラルド様が目を見開いた。
「……あ、ああ。そうだ」
「えっ!?」
料理長が驚愕の声を上げる。
私はさらに続ける。
「旦那様はこうおっしゃりたいのです。『この猪肉は素晴らしい。ホロホロと解けるような食感で、味付けも深みがある。最高の出来だ。それなのに、料理長がそんなに怯えていては、せっかくの食事が楽しめないではないか。もっとリラックスしてくれ』……合っていますか?」
ジェラルド様は、口を半開きにして私を見ていたが、やがてゴホンと咳払いをして、頬を赤らめた。
「……全部、その通りだ。なぜわかった?」
「愛……ではなく、観察眼ですわ」
私は料理長に向き直った。
「聞きましたか、料理長? 『最高だ』とおっしゃっていますよ」
「ほ、本当に……?」
料理長が信じられないという顔でジェラルド様を見る。
ジェラルド様は、バツが悪そうに視線を逸らし、ボソリと言った。
「……以前より、腕を上げたな。美味い」
ドサッ。
料理長がその場に崩れ落ちた。
「よ、よかったぁぁぁ……! 殺されるかと思ったぁぁぁ……!」
「大袈裟だな……」
ジェラルド様が呆れているが、あなたの顔面偏差値(恐怖指数)が高すぎるせいですよ、と心の中でツッコミを入れる。
「ほら、他の皆さんも。旦那様は別に怒っているわけではありません。単に、感情表現が不器用で、言葉足らずで、顔がちょっとばかり怖いだけです」
「ビスケ、最後のは悪口じゃないか?」
「事実陳列罪です」
私は給仕をしている若いメイドにも声をかけた。
彼女は先ほどから、手が震えてワインを注ぐのに苦労していた子だ。
「貴女も、さっきから旦那様と目が合うたびに『ひっ』て言ってますけど、旦那様は貴女を睨んでいるわけじゃありませんよ」
「そ、そうなんですか……?」
「ええ。旦那様、さっき彼女を見て何を考えていました?」
ジェラルド様は、また少し赤くなって口ごもる。
「……その、新しいエプロンの紐が、解けかけていたから、危ないなと……」
メイドがハッとして自分の腰元を見る。
確かに、エプロンの紐が緩んでいた。
「きゃっ! し、失礼いたしました!」
「だそうです。注意してあげようとしたけど、声をかけたら泣かれそうで言えなかったみたいですね」
私はワイングラスを傾けながら、やれやれと肩をすくめた。
「まったく、この屋敷の人たちは損をしていますわ。こんなにピュアで優しい主人は、そうそういませんのに」
ジェラルド様が、大きな手で顔を覆ってしまった。
「やめろビスケ……恥ずかしい」
「あら、可愛いところもあるんじゃないですか」
その様子を見て、料理長やメイドたちの表情が、少しずつ変わっていくのがわかった。
恐怖の色が薄れ、代わりに「え、この人、実は可愛い?」という困惑と、安堵の色が混ざり合う。
「旦那様が……照れている……?」
「初めて見たわ……」
「赤くなると、普通の人間みたいだ……」
ざわめきが広がる中、私はパンをちぎって口に放り込んだ。
「さて、誤解も解けたところで、今後の話をしましょうか」
「今後?」
ジェラルド様が指の隙間から私を見る。
「ええ。この屋敷の改革です。掃除はあらかた終わりましたが、まだまだ改善点が山積みです。特に、この食卓!」
「食卓に不満が?」
「味は最高です。でも、彩りが茶色すぎます! 野菜が足りません! 美容と健康のためにも、もっと野菜を取り入れるべきです」
「しかし、北の土地では根菜くらいしか……」
「ないなら、作ればいいのです」
私はニヤリと笑った。
「来る途中に見ましたが、屋敷の裏手に使っていないガラス張りの温室がありましたよね? あれを復活させます」
「あそこはもう何年も放置してボロボロだが……」
「直します。そして、王都から取り寄せた種で、一年中新鮮な野菜が食べられるようにします。あと、領地の特産品開発も進めたいですね。この美味しいお肉、燻製やソーセージに加工すれば、王都で高く売れますよ」
私の頭の中では、すでにそろばんが弾かれていた。
「王都の貴族は『限定品』とか『オーガニック』という言葉に弱いですからね。ヴォルグ領ブランドを立ち上げて、あのがめつい貴族たちから外貨を毟り取ってやりましょう!」
「……お前、本当に悪役令嬢だったんだな」
ジェラルド様が感心したように言う。
「最高の褒め言葉ですわ。さあ、料理長! 明日は試作品作りよ! ついてこられる?」
料理長は、まだ涙目だったが、その表情には先ほどまでの絶望はなかった。
代わりに、料理人としての情熱が灯っているように見えた。
「は、はいっ! 奥様! この命、お預けします!」
「命はいらないから、美味しいご飯を作ってね」
こうして、恐怖のディナータイムは、私の通訳と演説によって、熱気あふれる決起集会へと変わったのだった。
ジェラルド様も、最後には少しだけ口元を緩めて、ワインを美味しそうに飲んでいた。
うん、やっぱりこの旦那様、笑ったほうが絶対にかっこいい。
私はこっそりと、心の中でガッツポーズをした。
窓を開け放ち、埃を叩き出し、床を磨き上げたことで、屋敷の空気は見違えるほど軽くなっていた。
そして、待ちに待った夕食の時間である。
案内されたダイニングルームは、長いテーブルに燭台の灯りが揺れる、雰囲気のある空間だった。
ただし、雰囲気がありすぎて、少し薄暗いのが玉に瑕だが。
私は上座に座るジェラルド様の隣、夫人の席に腰を下ろした。
「……ビスケ」
「はい、旦那様」
「疲れていないか? 到着早々、あんなに動き回って」
ジェラルド様が心配そうに私を見る。
その眉間には深い皺が刻まれており、一般人が見れば「お前、後で焼き殺すぞ」と言われているようにしか見えない表情だ。
しかし、半日一緒にいてわかってきた。
この人は、心配すればするほど顔が怖くなるタイプだ。
「平気ですわ。むしろ、体が動かせてスッキリしました。それに……」
私はテーブルの上に並べられた料理に視線を落とした。
「この素晴らしい香り! 疲れなんて吹き飛びました!」
そこには、山盛りの肉料理が並んでいた。
鹿肉のロースト、猪の煮込み、鳥の香草焼き。
野菜は付け合わせ程度で、まさに「肉! 肉! 肉!」というラインナップ。
いかにも辺境の男料理といった風情だが、実に美味しそうだ。
「北は作物が育ちにくい。肉ばかりですまないな」
「とんでもない! 私、お肉大好きです! 王宮では『レディは小鳥のように食べるもの』と言われて、サラダばかり食べさせられていましたから!」
私はナイフとフォークを構え、早速鹿肉を口に運んだ。
噛み締めた瞬間、濃厚な旨味が口いっぱいに広がる。
臭みは全くなく、柔らかい。
「んん~っ! 美味しい! なんですかこれ、絶品じゃないですか!」
私が声を上げると、部屋の隅に控えていた料理長らしき恰幅のいい男性が、ビクゥッ!と肩を震わせた。
彼は真っ青な顔で、まるで断頭台の前にいるかのように縮こまっている。
ジェラルド様も、黙々と猪の煮込みを食べている。
無言だ。
咀嚼音すらさせない静かな食事マナーだが、その鋭い眼光は皿の一点を見つめている。
料理長が、震える声で恐る恐る尋ねた。
「あ、あの……旦那様……お、お味はいかがでしょうか……?」
ジェラルド様が、ゆっくりと顔を上げた。
そして、重々しく口を開く。
「……硬いな」
ヒュッ。
部屋中の空気が凍りついた音がした。
料理長が白目を剥きそうになっている。
「ひぃっ! も、申し訳ございません! 煮込み時間が足りず……! す、すぐに作り直してまいりますので、どうかお命だけは……!」
「待ちなさい」
私はナイフを置いて、パチンと手を叩いた。
「料理長、早まらないで」
「え? で、でも、旦那様が『硬い』と……」
「いいえ、違います。ジェラルド様のお言葉には、高度な翻訳が必要なのですよ」
私は隣のジェラルド様に向き直り、にっこりと微笑んだ。
「旦那様。『硬い』というのは、お肉のことではありませんね?」
「……?」
ジェラルド様が不思議そうに首を傾げる。
私は彼の心情を、文脈と表情筋のわずかな動きから読み解いていく。
先ほど、彼は一口食べた後、ふっと目尻を下げた(0.5ミリくらい)。
そして「硬い」と言った時、視線は料理長ではなく、彼自身の肩に向けられていた。
「旦那様がおっしゃった『硬い』は、『料理長の表情が硬い』という意味ですわ。違いますか?」
ジェラルド様が目を見開いた。
「……あ、ああ。そうだ」
「えっ!?」
料理長が驚愕の声を上げる。
私はさらに続ける。
「旦那様はこうおっしゃりたいのです。『この猪肉は素晴らしい。ホロホロと解けるような食感で、味付けも深みがある。最高の出来だ。それなのに、料理長がそんなに怯えていては、せっかくの食事が楽しめないではないか。もっとリラックスしてくれ』……合っていますか?」
ジェラルド様は、口を半開きにして私を見ていたが、やがてゴホンと咳払いをして、頬を赤らめた。
「……全部、その通りだ。なぜわかった?」
「愛……ではなく、観察眼ですわ」
私は料理長に向き直った。
「聞きましたか、料理長? 『最高だ』とおっしゃっていますよ」
「ほ、本当に……?」
料理長が信じられないという顔でジェラルド様を見る。
ジェラルド様は、バツが悪そうに視線を逸らし、ボソリと言った。
「……以前より、腕を上げたな。美味い」
ドサッ。
料理長がその場に崩れ落ちた。
「よ、よかったぁぁぁ……! 殺されるかと思ったぁぁぁ……!」
「大袈裟だな……」
ジェラルド様が呆れているが、あなたの顔面偏差値(恐怖指数)が高すぎるせいですよ、と心の中でツッコミを入れる。
「ほら、他の皆さんも。旦那様は別に怒っているわけではありません。単に、感情表現が不器用で、言葉足らずで、顔がちょっとばかり怖いだけです」
「ビスケ、最後のは悪口じゃないか?」
「事実陳列罪です」
私は給仕をしている若いメイドにも声をかけた。
彼女は先ほどから、手が震えてワインを注ぐのに苦労していた子だ。
「貴女も、さっきから旦那様と目が合うたびに『ひっ』て言ってますけど、旦那様は貴女を睨んでいるわけじゃありませんよ」
「そ、そうなんですか……?」
「ええ。旦那様、さっき彼女を見て何を考えていました?」
ジェラルド様は、また少し赤くなって口ごもる。
「……その、新しいエプロンの紐が、解けかけていたから、危ないなと……」
メイドがハッとして自分の腰元を見る。
確かに、エプロンの紐が緩んでいた。
「きゃっ! し、失礼いたしました!」
「だそうです。注意してあげようとしたけど、声をかけたら泣かれそうで言えなかったみたいですね」
私はワイングラスを傾けながら、やれやれと肩をすくめた。
「まったく、この屋敷の人たちは損をしていますわ。こんなにピュアで優しい主人は、そうそういませんのに」
ジェラルド様が、大きな手で顔を覆ってしまった。
「やめろビスケ……恥ずかしい」
「あら、可愛いところもあるんじゃないですか」
その様子を見て、料理長やメイドたちの表情が、少しずつ変わっていくのがわかった。
恐怖の色が薄れ、代わりに「え、この人、実は可愛い?」という困惑と、安堵の色が混ざり合う。
「旦那様が……照れている……?」
「初めて見たわ……」
「赤くなると、普通の人間みたいだ……」
ざわめきが広がる中、私はパンをちぎって口に放り込んだ。
「さて、誤解も解けたところで、今後の話をしましょうか」
「今後?」
ジェラルド様が指の隙間から私を見る。
「ええ。この屋敷の改革です。掃除はあらかた終わりましたが、まだまだ改善点が山積みです。特に、この食卓!」
「食卓に不満が?」
「味は最高です。でも、彩りが茶色すぎます! 野菜が足りません! 美容と健康のためにも、もっと野菜を取り入れるべきです」
「しかし、北の土地では根菜くらいしか……」
「ないなら、作ればいいのです」
私はニヤリと笑った。
「来る途中に見ましたが、屋敷の裏手に使っていないガラス張りの温室がありましたよね? あれを復活させます」
「あそこはもう何年も放置してボロボロだが……」
「直します。そして、王都から取り寄せた種で、一年中新鮮な野菜が食べられるようにします。あと、領地の特産品開発も進めたいですね。この美味しいお肉、燻製やソーセージに加工すれば、王都で高く売れますよ」
私の頭の中では、すでにそろばんが弾かれていた。
「王都の貴族は『限定品』とか『オーガニック』という言葉に弱いですからね。ヴォルグ領ブランドを立ち上げて、あのがめつい貴族たちから外貨を毟り取ってやりましょう!」
「……お前、本当に悪役令嬢だったんだな」
ジェラルド様が感心したように言う。
「最高の褒め言葉ですわ。さあ、料理長! 明日は試作品作りよ! ついてこられる?」
料理長は、まだ涙目だったが、その表情には先ほどまでの絶望はなかった。
代わりに、料理人としての情熱が灯っているように見えた。
「は、はいっ! 奥様! この命、お預けします!」
「命はいらないから、美味しいご飯を作ってね」
こうして、恐怖のディナータイムは、私の通訳と演説によって、熱気あふれる決起集会へと変わったのだった。
ジェラルド様も、最後には少しだけ口元を緩めて、ワインを美味しそうに飲んでいた。
うん、やっぱりこの旦那様、笑ったほうが絶対にかっこいい。
私はこっそりと、心の中でガッツポーズをした。
71
あなたにおすすめの小説
「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。
桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。
「不細工なお前とは婚約破棄したい」
この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。
※短編です。11/21に完結いたします。
※1回の投稿文字数は少な目です。
※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。
表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年10月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
1ページの文字数は少な目です。
約4800文字程度の番外編です。
バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`)
ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑)
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
婚約破棄されたので、前世の知識で無双しますね?
ほーみ
恋愛
「……よって、君との婚約は破棄させてもらう!」
華やかな舞踏会の最中、婚約者である王太子アルベルト様が高らかに宣言した。
目の前には、涙ぐみながら私を見つめる金髪碧眼の美しい令嬢。確か侯爵家の三女、リリア・フォン・クラウゼルだったかしら。
──あら、デジャヴ?
「……なるほど」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる