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「……静かですわね」
翌朝。私は再び王太子の執務室へと向かっていました。
昨日の夕方、私は「メイドたちを味方につけてボイコットさせる」という名案を思いつきましたが、その前に確認しておかなければならないことがありました。
そう、フレデリック殿下の様子です。
あそこまで急激にやる気を出した人間は、得てして翌日には燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥っているものです。
きっと今頃、「もう無理だ……書類なんて見たくない……」と部屋の隅で体育座りをしているに違いありません。
そこへ私がトドメの一撃として、「あら、もうギブアップですの? 根性なしのカボチャ王子」と嘲笑えば、彼の心は完全に折れ、私への憎悪が芽生えるはず。
「ふふふ、楽しみですわ」
私は足取り軽く、執務室の前に到着しました。
いつもなら立っているはずの護衛騎士シドがいません。
「あいつ、まだ天井裏や壁の中に潜んでいるつもりかしら……。まあいいですわ」
私はノックもせずに、いつものように扉をバーン! と開け放ちました。
「ごきげんよう、フレデリック! 今日もサボって……」
言葉は、途中で凍りつきました。
「…………」
部屋の中は、異様な光景でした。
床から天井まで届きそうな書類の塔が、部屋のあちこちに乱立しています。
そして、その中心にあるデスクに、一人の男が座っていました。
「……あ、アミカ……」
フレデリック殿下です。
しかし、その姿は私の知る彼ではありませんでした。
髪はボサボサで鳥の巣のよう。
肌は蝋人形のように白く、頬はこけています。
そして何より――目の下には、墨で塗ったような真っ黒なクマが刻まれていました。
「き、貴方……その顔、どうしましたの?」
私が恐る恐る尋ねると、殿下はギギギ……と錆びついたブリキのおもちゃのような動きで首を回しました。
「見て……くれ……アミカ……」
殿下の声は枯れ果て、まるで地獄の底から響いてくるようです。
「こ、ここの塔は……来月分の……予算案……。あっちの塔は……過去十年の……判例の見直し……。そっちの山は……近隣諸国の……王族の誕生日リスト……」
「はあ」
「全部……終わらせたよ……。一睡もせずに……」
殿下はニタリと笑いました。
その笑顔は、ホラー映画に出てくるゾンビそのものです。
「これで……僕は……君に……褒め……ら……れる……?」
殿下がゆらりと立ち上がろうとして、机に手をつきました。
異常です。
これは明らかに、私の予想を超えた異常事態です。
私が求めていたのは「適度に仕事をして、私に嫌気が差す王子」であって、「過労死寸前のゾンビ王子」ではありません。
これでは、私が彼を死に追いやった悪女として歴史に残ってしまいます。
(いえ、悪女になるのが目的なのですから、それでもいいのかもしれませんが……美しくありません!)
私は扇子で口元を覆い、露骨に眉をひそめました。
「……不快ですわ」
「え……?」
殿下の動きが止まりました。
私は冷酷な声で言い放ちました。
「鏡をご覧になりまして? 今の貴方の顔、まるで腐りかけたナスビですわよ」
「ナ、ナスビ……」
「目の下のその黒いシミは何ですの? パンダのコスプレ? それとも誰かに殴られましたの? 見ていて気分が悪くなりますわ。私の視界に入れないでくださる?」
これは酷い言葉です。
徹夜で頑張った相手にかける言葉ではありません。
普通なら、「ふざけるな! 誰のためにやったと思っているんだ!」と激怒して当然。
さあ、怒りなさいフレデリック!
机の上のインク壺を私に投げつけなさい!
しかし。
殿下は、呆然とした表情で自分の頬に触れました。
「不快……視界に入れたくない……」
「ええ、そうです。生理的に無理ですわ。今すぐその汚い顔を私の前から消してください」
私は畳み掛けました。
これで終わりです。
彼の中の何かが切れる音が――。
「……そうか」
殿下の瞳から、ツーッと涙がこぼれ落ちました。
「君は……心配してくれているんだね」
「はい?」
殿下は、震える声で続けました。
「『不快だ』と言うことで、僕にこれ以上の無理をさせないようにしている……。『視界から消えろ』というのは、つまり『寝室に行って泥のように眠れ』という、君なりの不器用な命令なんだね……!」
「違いますけど!? ただ単に顔色が悪いのが気持ち悪いと言っただけですのよ!?」
「ああ、なんて優しいんだアミカ……! 君は僕の体調管理まで完璧にこなそうというのか。妻として……いや、母のような慈愛だ……!」
「マザコンみたいな発言はやめていただけます!? 寒気がしますわ!」
殿下はふらふらとデスクから離れ、私に近づいてきました。
「わかったよ……君の言う通りにする。僕は休む。休んで、万全の状態になって、また君に罵倒されに戻ってくるよ……」
「戻ってこなくて結構です! そのまま永眠してください!」
「ありがとう……愛しているよ、アミカ……」
ドサッ!!
殿下は私の足元に、まるで丸太のように倒れ込みました。
「きゃっ!?」
私は飛び退きました。
見ると、殿下はすでに寝息を立てていました。
「ぐー……アミカ……もっと罵って……ぐー……」
「……」
私は倒れている王子の横腹を、つま先でツンツンとつつきました。
起きません。気絶するように熟睡しています。
そこへ、騒ぎを聞きつけたシドが、壁の隠し扉から回転しながら飛び出してきました。
「殿下ーっ!! 敵襲ですかーっ!?」
「違いますわ。ただのバッテリー切れです」
シドは倒れている殿下と、立ち尽くす私を見て、ハッと息を飲みました。
「なるほど……。殿下の限界を見極め、強制的に休息(シャットダウン)させたのですか。過労で倒れる前に休ませるとは、アミカブル様の危機管理能力、恐るべし!」
「勝手に倒れただけですわよ!」
シドは感動のあまり敬礼しました。
「殿下を寝室へお運びします! アミカブル様、後の公務はどうされますか?」
「は? どうするも何も、私がやる義理は……」
言いかけて、私は机の上の惨状を見ました。
殿下が処理した書類は山積みですが、まだ未決裁の箱にも書類が残っています。
このまま放置すれば、国政に遅れが出るでしょう。
国が傾くのは私の本意ではありません。私が優雅に暮らすための土台がなくなってしまいますから。
「……チッ」
私は舌打ちをしました。
「置いておきなさい。私がやりますわ」
「アミカブル様……!!」
「勘違いしないでくださいね。殿下の字が汚すぎて読めないから、私が清書するだけです。あと、この判断ミスだらけの書類を修正するだけですわ!」
「それが『助ける』ということでは……」
「うるさい! さっさとその粗大ゴミ(殿下)を運び出しなさい!」
シドに殿下を回収させ、私は一人、執務室に残されました。
ドカリと、殿下の温もりが残る(ちょっと嫌ですが)椅子に座ります。
「……はあ」
深いため息が出ました。
どうしてこうなったのでしょう。
私は彼を追い詰め、嫌われるはずだったのに。
結果として、彼は私の言葉を「愛の鞭」と解釈し、さらなる忠誠を誓ってしまいました。
しかも、その尻拭いとして私が残業をする羽目になっています。
「これでは……これでは、ただの『内助の功』ではありませんか!」
私は羽ペンを握りしめ、ギリギリと歯噛みしました。
「認めません……絶対に認めませんわ! 私は悪役令嬢! 国の嫌われ者にならなくてはいけないのです!」
書類を猛烈な勢いで片付けながら、私は次なる標的を再確認しました。
「やはり、ターゲットを変えるしかありません。殿下や騎士、貴族の令嬢たちは、もう私の毒に耐性がついてしまいました」
もっと、私のことを純粋に「嫌な奴」と判断してくれる、一般常識を持った人々。
そう、使用人たちです。
特に、王城の家事一切を取り仕切るメイド長。
彼女は勤続三十年のベテランで、「城の規律」そのものと言われる頑固者だと聞いています。
彼女なら、私の理不尽な要求に対して、真っ向から反発してくれるはず。
「待っていなさい、メイド長。貴女のその完璧なプライドを、私の小姑のようなネチネチ攻撃でズタズタにしてさしあげますわ!」
私は決意を新たに、残りの書類を片付け始めました。
その書類の中に、殿下の筆跡で『アミカの罵倒語録』というメモ書きが挟まっているのを見つけ、即座にシュレッダーにかけたのは言うまでもありません。
翌朝。私は再び王太子の執務室へと向かっていました。
昨日の夕方、私は「メイドたちを味方につけてボイコットさせる」という名案を思いつきましたが、その前に確認しておかなければならないことがありました。
そう、フレデリック殿下の様子です。
あそこまで急激にやる気を出した人間は、得てして翌日には燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥っているものです。
きっと今頃、「もう無理だ……書類なんて見たくない……」と部屋の隅で体育座りをしているに違いありません。
そこへ私がトドメの一撃として、「あら、もうギブアップですの? 根性なしのカボチャ王子」と嘲笑えば、彼の心は完全に折れ、私への憎悪が芽生えるはず。
「ふふふ、楽しみですわ」
私は足取り軽く、執務室の前に到着しました。
いつもなら立っているはずの護衛騎士シドがいません。
「あいつ、まだ天井裏や壁の中に潜んでいるつもりかしら……。まあいいですわ」
私はノックもせずに、いつものように扉をバーン! と開け放ちました。
「ごきげんよう、フレデリック! 今日もサボって……」
言葉は、途中で凍りつきました。
「…………」
部屋の中は、異様な光景でした。
床から天井まで届きそうな書類の塔が、部屋のあちこちに乱立しています。
そして、その中心にあるデスクに、一人の男が座っていました。
「……あ、アミカ……」
フレデリック殿下です。
しかし、その姿は私の知る彼ではありませんでした。
髪はボサボサで鳥の巣のよう。
肌は蝋人形のように白く、頬はこけています。
そして何より――目の下には、墨で塗ったような真っ黒なクマが刻まれていました。
「き、貴方……その顔、どうしましたの?」
私が恐る恐る尋ねると、殿下はギギギ……と錆びついたブリキのおもちゃのような動きで首を回しました。
「見て……くれ……アミカ……」
殿下の声は枯れ果て、まるで地獄の底から響いてくるようです。
「こ、ここの塔は……来月分の……予算案……。あっちの塔は……過去十年の……判例の見直し……。そっちの山は……近隣諸国の……王族の誕生日リスト……」
「はあ」
「全部……終わらせたよ……。一睡もせずに……」
殿下はニタリと笑いました。
その笑顔は、ホラー映画に出てくるゾンビそのものです。
「これで……僕は……君に……褒め……ら……れる……?」
殿下がゆらりと立ち上がろうとして、机に手をつきました。
異常です。
これは明らかに、私の予想を超えた異常事態です。
私が求めていたのは「適度に仕事をして、私に嫌気が差す王子」であって、「過労死寸前のゾンビ王子」ではありません。
これでは、私が彼を死に追いやった悪女として歴史に残ってしまいます。
(いえ、悪女になるのが目的なのですから、それでもいいのかもしれませんが……美しくありません!)
私は扇子で口元を覆い、露骨に眉をひそめました。
「……不快ですわ」
「え……?」
殿下の動きが止まりました。
私は冷酷な声で言い放ちました。
「鏡をご覧になりまして? 今の貴方の顔、まるで腐りかけたナスビですわよ」
「ナ、ナスビ……」
「目の下のその黒いシミは何ですの? パンダのコスプレ? それとも誰かに殴られましたの? 見ていて気分が悪くなりますわ。私の視界に入れないでくださる?」
これは酷い言葉です。
徹夜で頑張った相手にかける言葉ではありません。
普通なら、「ふざけるな! 誰のためにやったと思っているんだ!」と激怒して当然。
さあ、怒りなさいフレデリック!
机の上のインク壺を私に投げつけなさい!
しかし。
殿下は、呆然とした表情で自分の頬に触れました。
「不快……視界に入れたくない……」
「ええ、そうです。生理的に無理ですわ。今すぐその汚い顔を私の前から消してください」
私は畳み掛けました。
これで終わりです。
彼の中の何かが切れる音が――。
「……そうか」
殿下の瞳から、ツーッと涙がこぼれ落ちました。
「君は……心配してくれているんだね」
「はい?」
殿下は、震える声で続けました。
「『不快だ』と言うことで、僕にこれ以上の無理をさせないようにしている……。『視界から消えろ』というのは、つまり『寝室に行って泥のように眠れ』という、君なりの不器用な命令なんだね……!」
「違いますけど!? ただ単に顔色が悪いのが気持ち悪いと言っただけですのよ!?」
「ああ、なんて優しいんだアミカ……! 君は僕の体調管理まで完璧にこなそうというのか。妻として……いや、母のような慈愛だ……!」
「マザコンみたいな発言はやめていただけます!? 寒気がしますわ!」
殿下はふらふらとデスクから離れ、私に近づいてきました。
「わかったよ……君の言う通りにする。僕は休む。休んで、万全の状態になって、また君に罵倒されに戻ってくるよ……」
「戻ってこなくて結構です! そのまま永眠してください!」
「ありがとう……愛しているよ、アミカ……」
ドサッ!!
殿下は私の足元に、まるで丸太のように倒れ込みました。
「きゃっ!?」
私は飛び退きました。
見ると、殿下はすでに寝息を立てていました。
「ぐー……アミカ……もっと罵って……ぐー……」
「……」
私は倒れている王子の横腹を、つま先でツンツンとつつきました。
起きません。気絶するように熟睡しています。
そこへ、騒ぎを聞きつけたシドが、壁の隠し扉から回転しながら飛び出してきました。
「殿下ーっ!! 敵襲ですかーっ!?」
「違いますわ。ただのバッテリー切れです」
シドは倒れている殿下と、立ち尽くす私を見て、ハッと息を飲みました。
「なるほど……。殿下の限界を見極め、強制的に休息(シャットダウン)させたのですか。過労で倒れる前に休ませるとは、アミカブル様の危機管理能力、恐るべし!」
「勝手に倒れただけですわよ!」
シドは感動のあまり敬礼しました。
「殿下を寝室へお運びします! アミカブル様、後の公務はどうされますか?」
「は? どうするも何も、私がやる義理は……」
言いかけて、私は机の上の惨状を見ました。
殿下が処理した書類は山積みですが、まだ未決裁の箱にも書類が残っています。
このまま放置すれば、国政に遅れが出るでしょう。
国が傾くのは私の本意ではありません。私が優雅に暮らすための土台がなくなってしまいますから。
「……チッ」
私は舌打ちをしました。
「置いておきなさい。私がやりますわ」
「アミカブル様……!!」
「勘違いしないでくださいね。殿下の字が汚すぎて読めないから、私が清書するだけです。あと、この判断ミスだらけの書類を修正するだけですわ!」
「それが『助ける』ということでは……」
「うるさい! さっさとその粗大ゴミ(殿下)を運び出しなさい!」
シドに殿下を回収させ、私は一人、執務室に残されました。
ドカリと、殿下の温もりが残る(ちょっと嫌ですが)椅子に座ります。
「……はあ」
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どうしてこうなったのでしょう。
私は彼を追い詰め、嫌われるはずだったのに。
結果として、彼は私の言葉を「愛の鞭」と解釈し、さらなる忠誠を誓ってしまいました。
しかも、その尻拭いとして私が残業をする羽目になっています。
「これでは……これでは、ただの『内助の功』ではありませんか!」
私は羽ペンを握りしめ、ギリギリと歯噛みしました。
「認めません……絶対に認めませんわ! 私は悪役令嬢! 国の嫌われ者にならなくてはいけないのです!」
書類を猛烈な勢いで片付けながら、私は次なる標的を再確認しました。
「やはり、ターゲットを変えるしかありません。殿下や騎士、貴族の令嬢たちは、もう私の毒に耐性がついてしまいました」
もっと、私のことを純粋に「嫌な奴」と判断してくれる、一般常識を持った人々。
そう、使用人たちです。
特に、王城の家事一切を取り仕切るメイド長。
彼女は勤続三十年のベテランで、「城の規律」そのものと言われる頑固者だと聞いています。
彼女なら、私の理不尽な要求に対して、真っ向から反発してくれるはず。
「待っていなさい、メイド長。貴女のその完璧なプライドを、私の小姑のようなネチネチ攻撃でズタズタにしてさしあげますわ!」
私は決意を新たに、残りの書類を片付け始めました。
その書類の中に、殿下の筆跡で『アミカの罵倒語録』というメモ書きが挟まっているのを見つけ、即座にシュレッダーにかけたのは言うまでもありません。
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