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キース様に見つかるというアクシデントはありましたが、なんとか「ショックで錯乱している」という一点張りでその場を切り抜けました。
私の演技力が問われる、冷や汗ものの数分間でした。
そして今、私は公爵家の馬車に揺られ、屋敷への帰路についています。
「うっ、ううっ……」
向かいに座る専属メイドのアンナが、ハンカチで目頭を押さえながら嗚咽を漏らしています。
「お嬢様……なんておいたわしい……。あの王子、目ん玉が腐っているに違いありません! あんなポッと出の平民女にうつつを抜かすなんて!」
アンナは悔しそうに拳を震わせています。
私は窓の外を眺めるふりをしながら、必死に口角が上がるのを抑えていました。
(アンナ、違うのよ。アレクセイ殿下の目は腐っているどころか、最高に審美眼が冴え渡っているのよ!)
言いたい。
大声で言いたい。
『あの二人の身長差と体格差、そして身分差! これぞロミオとジュリエットも裸足で逃げ出す尊さの極み!』と。
しかし、私は悪役令嬢。
ここで私がニヤけていては、アンナが不審に思います。
私は扇で顔を隠し、震える声(笑いを堪えているだけ)で告げました。
「……アンナ。殿下を悪く言うのはおやめなさい。あの方は、ご自分の心に正直なだけ……」
「お嬢様……ッ! なんてお優しい! 婚約破棄されたというのに、まだ殿下を庇うなんて!」
アンナの号泣が激しくなりました。
ごめんなさい、庇っているわけじゃなくて、ただの事実陳列罪なんです。
馬車が公爵邸の門をくぐると、屋敷の使用人たちがずらりと並んで出迎えてくれました。
皆、一様に沈痛な面持ちです。
どうやら、夜会での騒ぎは早馬ですでに伝わっているようです。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
執事長のセバスチャンが、重々しく頭を下げました。
白髪の老紳士である彼は、私が生まれた時から仕えてくれている、いわばお爺ちゃんのような存在です。
そのセバスチャンもまた、悲痛な表情で私を見ています。
「……お辛いでしょう。今夜は何も考えず、お休みください」
「ええ、ありがとうセバスチャン。……部屋には誰も入れないでちょうだい。一人になりたいの」
「かしこまりました」
私は足早に階段を駆け上がり、自室へと飛び込みました。
バタンッ! ガチャッ!
重厚な扉を閉め、鍵をかけた瞬間。
「んんーーーーーーーーーーっ!!!!」
私は奇声を上げながら、天蓋付きのキングサイズベッドにダイブしました。
ふかふかの羽毛布団に顔を埋め、足をバタバタとさせます。
「尊い! 尊すぎる! 無理! しんどい!」
叫び声が外に漏れないよう、枕に顔を押し付けて絶叫します。
「あのアレクセイ様の冷たい視線! ゴミを見るような目! 最高のご褒美でしたわ! そしてマリアちゃんの怯える姿! 『守ってあげなきゃ』って全人類が思うあの可憐さ!」
私はベッドの上でゴロゴロと転がり回り、天井を仰ぎました。
脳内で、先ほどの断罪シーンを再生します。
コマ送りで。
特に、殿下がマリアさんの肩を抱き寄せた瞬間。
あの瞬間の殿下の指先!
マリアさんの二の腕に食い込む、力強い指!
「はあ、はあ……思い出しただけで寿命が延びるわ……」
私はサイドテーブルからスケッチブックと羽ペンを取り出しました。
そして、憑かれたようにペンを走らせます。
さらさらさら……。
私の特技は速記とスケッチです。
すべては、推しカプの一瞬の輝きを永遠に残すためだけに磨かれた技術。
数分後、そこには先ほどの大広間の光景が、驚くべき写実性で再現されていました。
「完璧ね。この角度、この表情……家宝にしましょう」
スケッチブックを胸に抱きしめ、私はうっとりとため息をつきました。
しかし、これで満足してはいけません。
私はむくりと起き上がりました。
「……そう。これは始まりに過ぎないのよ」
婚約破棄は、あくまでスタートライン。
障害がなくなってハッピーエンド?
いいえ、そんな薄っぺらい物語では、萌えは持続しません。
二人の愛が本物になるためには、さらなる試練が必要です。
燃え上がるような困難があってこそ、愛は輝くのです。
「私が退場したことで、二人の間には平和が訪れる……それではダメなの。平和ボケしたカップルなんて、すぐマンネリ化してしまうわ!」
私は拳を握り締めました。
「私が! これからも! 二人の恋の焚き付け役にならなければ!」
その時、控えめなノックの音が響きました。
「お嬢様、セバスチャンでございます。お茶をお持ちしました」
「……入って」
私は瞬時にスケッチブックを隠し、ベッドの端に座って憂いを帯びた表情を作りました。
鍵を開けて入ってきたセバスチャンは、ワゴンに極上の紅茶とケーキを載せています。
「お顔色が優れませんな。……やはり、殿下のことは忘れられませんか」
セバスチャンが紅茶を注ぎながら、心配そうに尋ねてきます。
私はカップを受け取り、深いため息をつきました。
「ええ……忘れられるわけがないわ。あの方とマリアさんの姿が、まぶたの裏に焼き付いて離れないの」
(主に萌え的な意味で)
「お嬢様……。旦那様も激怒しておられます。『王家になんと言われようと、シュガーを泣かせた罪は償わせる』と」
「お父様が? ……待って、それはマズいわ」
私はカップを置きました。
お父様は過保護な公爵です。
本気で王家に抗議なんてしたら、アレクセイ殿下の立場が悪くなってしまいます。
殿下の立場が悪くなれば、マリアさんとの結婚に反対する勢力が増え、最悪の場合、二人は引き裂かれてバッドエンド……。
それだけは絶対に阻止しなければなりません!
「セバスチャン、お父様を止めて。これは私が望んだ結果なの」
「……かばわれるのですか?」
「違うわ。……これは、私の『美学』の問題よ」
私は立ち上がり、窓の外の月を見上げました。
「ただの悲劇のヒロインで終わるつもりはないわ。……セバスチャン、協力してちょうだい」
「協力、でございますか?」
「ええ。これからの私は、影となり闇となって、あの二人を追い詰めるわ」
セバスチャンが目を丸くしました。
「追い詰める……とは、復讐でございますか?」
「ふふ、そうね。世間一般ではそう呼ぶのかもしれないわね」
私は不敵な笑みを浮かべました。
「あの二人が、『もう二人でいるしかない』『世界中が敵に回っても、君だけは離さない』と思えるくらい、徹底的に追い込むの。それが私の愛よ」
セバスチャンの表情が、驚きから徐々に厳粛なものへと変わっていきます。
彼は私の言葉を、どう解釈したのでしょうか。
おそらく『愛憎のあまり修羅の道を選んだ哀れな主』とでも思ったのかもしれません。
彼は深く頭を下げました。
「……承知いたしました。このセバスチャン、老骨ながらお嬢様の修羅の道、どこまでもお供いたします」
「ありがとう。頼りにしているわ」
よし、言質は取りました。
これで公爵家の財力と人脈をフル活用して、推しカプ支援(という名の嫌がらせ)ができます。
「では、早速だけどセバスチャン。次の手を打ちたいの」
「はい、何なりと。……暗殺者を雇いますか? それとも毒を?」
セバスチャンの目が本気すぎて怖いです。
「待って、早まらないで。血なまぐさいのは美しくないわ。私がやりたいのは、もっと精神的に……こう、二人の絆を試すようなことよ」
「精神的な拷問ですね。心得ております」
「……まあ、大体合ってるわ」
私は机の引き出しから、以前から温めていた『悪役ムーブ計画書』を取り出しました。
「まずは、マリアさんへの『差し入れ』よ」
「差し入れ、でございますか?」
「ええ。彼女は平民出身でしょう? これからの王宮生活、ドレスや宝石がなくて困るはずだわ。周りの貴族たちに舐められないためにも、最高級の装備が必要よ」
「……はあ」
「だから、私の持っているドレスや宝石の中から、特にマリアさんに似合いそうな……いえ、私が『いらない』と思ったものを送りつけるの」
私はニヤリと笑いました。
「名目は『こんな安っぽいもの、私には似合わないから恵んであげるわ』よ。どう? 最高に性格が悪くて素敵でしょう?」
セバスチャンが、眉間のしわを深くしました。
「……お嬢様。それは、ただの善行なのでは?」
「違うわよ! 言葉が大事なの! 『恵んであげる』って言われる屈辱! プライドの高い人間なら耐えられないはずよ!」
「マリア様は、純朴な方だと聞き及んでおりますが……」
「だからいいのよ! 彼女が『シュガー様はまだ私を許してくれない』と怯え、それを殿下が『僕が守るから捨ててしまえ』と慰める! そしてマリアさんは『でも、もったいないです』と葛藤する! そのやり取りが発生すること自体が目的なの!」
私は熱弁を振るいました。
セバスチャンはポカンとしていましたが、やがて諦めたように溜息をつきました。
「……なるほど。高度すぎて私には理解が及びませんが、お嬢様のお心が少しでも晴れるなら」
「ええ、晴れるわ。最高にね」
私は計画書に新たな項目を書き加えました。
『作戦名:シンデレラへの毒リンゴ(最高級ブランド品)』
「さあ、忙しくなるわよセバスチャン。まずは、マリアさんのパーソナルカラーに合ったドレスの選定から始めるわ!」
「……かしこまりました。直ちに衣装部屋へ案内いたします」
こうして、私の「悪役令嬢としての第二章」が幕を開けたのです。
全ては、推しカプの至高のイチャイチャを見るために。
そのためなら、私は喜んで国一番の嫌われ者になってみせましょう。
……まさか、その行動が周りにどう映るかなんて、この時の私は露ほども考えていなかったのです。
私の演技力が問われる、冷や汗ものの数分間でした。
そして今、私は公爵家の馬車に揺られ、屋敷への帰路についています。
「うっ、ううっ……」
向かいに座る専属メイドのアンナが、ハンカチで目頭を押さえながら嗚咽を漏らしています。
「お嬢様……なんておいたわしい……。あの王子、目ん玉が腐っているに違いありません! あんなポッと出の平民女にうつつを抜かすなんて!」
アンナは悔しそうに拳を震わせています。
私は窓の外を眺めるふりをしながら、必死に口角が上がるのを抑えていました。
(アンナ、違うのよ。アレクセイ殿下の目は腐っているどころか、最高に審美眼が冴え渡っているのよ!)
言いたい。
大声で言いたい。
『あの二人の身長差と体格差、そして身分差! これぞロミオとジュリエットも裸足で逃げ出す尊さの極み!』と。
しかし、私は悪役令嬢。
ここで私がニヤけていては、アンナが不審に思います。
私は扇で顔を隠し、震える声(笑いを堪えているだけ)で告げました。
「……アンナ。殿下を悪く言うのはおやめなさい。あの方は、ご自分の心に正直なだけ……」
「お嬢様……ッ! なんてお優しい! 婚約破棄されたというのに、まだ殿下を庇うなんて!」
アンナの号泣が激しくなりました。
ごめんなさい、庇っているわけじゃなくて、ただの事実陳列罪なんです。
馬車が公爵邸の門をくぐると、屋敷の使用人たちがずらりと並んで出迎えてくれました。
皆、一様に沈痛な面持ちです。
どうやら、夜会での騒ぎは早馬ですでに伝わっているようです。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
執事長のセバスチャンが、重々しく頭を下げました。
白髪の老紳士である彼は、私が生まれた時から仕えてくれている、いわばお爺ちゃんのような存在です。
そのセバスチャンもまた、悲痛な表情で私を見ています。
「……お辛いでしょう。今夜は何も考えず、お休みください」
「ええ、ありがとうセバスチャン。……部屋には誰も入れないでちょうだい。一人になりたいの」
「かしこまりました」
私は足早に階段を駆け上がり、自室へと飛び込みました。
バタンッ! ガチャッ!
重厚な扉を閉め、鍵をかけた瞬間。
「んんーーーーーーーーーーっ!!!!」
私は奇声を上げながら、天蓋付きのキングサイズベッドにダイブしました。
ふかふかの羽毛布団に顔を埋め、足をバタバタとさせます。
「尊い! 尊すぎる! 無理! しんどい!」
叫び声が外に漏れないよう、枕に顔を押し付けて絶叫します。
「あのアレクセイ様の冷たい視線! ゴミを見るような目! 最高のご褒美でしたわ! そしてマリアちゃんの怯える姿! 『守ってあげなきゃ』って全人類が思うあの可憐さ!」
私はベッドの上でゴロゴロと転がり回り、天井を仰ぎました。
脳内で、先ほどの断罪シーンを再生します。
コマ送りで。
特に、殿下がマリアさんの肩を抱き寄せた瞬間。
あの瞬間の殿下の指先!
マリアさんの二の腕に食い込む、力強い指!
「はあ、はあ……思い出しただけで寿命が延びるわ……」
私はサイドテーブルからスケッチブックと羽ペンを取り出しました。
そして、憑かれたようにペンを走らせます。
さらさらさら……。
私の特技は速記とスケッチです。
すべては、推しカプの一瞬の輝きを永遠に残すためだけに磨かれた技術。
数分後、そこには先ほどの大広間の光景が、驚くべき写実性で再現されていました。
「完璧ね。この角度、この表情……家宝にしましょう」
スケッチブックを胸に抱きしめ、私はうっとりとため息をつきました。
しかし、これで満足してはいけません。
私はむくりと起き上がりました。
「……そう。これは始まりに過ぎないのよ」
婚約破棄は、あくまでスタートライン。
障害がなくなってハッピーエンド?
いいえ、そんな薄っぺらい物語では、萌えは持続しません。
二人の愛が本物になるためには、さらなる試練が必要です。
燃え上がるような困難があってこそ、愛は輝くのです。
「私が退場したことで、二人の間には平和が訪れる……それではダメなの。平和ボケしたカップルなんて、すぐマンネリ化してしまうわ!」
私は拳を握り締めました。
「私が! これからも! 二人の恋の焚き付け役にならなければ!」
その時、控えめなノックの音が響きました。
「お嬢様、セバスチャンでございます。お茶をお持ちしました」
「……入って」
私は瞬時にスケッチブックを隠し、ベッドの端に座って憂いを帯びた表情を作りました。
鍵を開けて入ってきたセバスチャンは、ワゴンに極上の紅茶とケーキを載せています。
「お顔色が優れませんな。……やはり、殿下のことは忘れられませんか」
セバスチャンが紅茶を注ぎながら、心配そうに尋ねてきます。
私はカップを受け取り、深いため息をつきました。
「ええ……忘れられるわけがないわ。あの方とマリアさんの姿が、まぶたの裏に焼き付いて離れないの」
(主に萌え的な意味で)
「お嬢様……。旦那様も激怒しておられます。『王家になんと言われようと、シュガーを泣かせた罪は償わせる』と」
「お父様が? ……待って、それはマズいわ」
私はカップを置きました。
お父様は過保護な公爵です。
本気で王家に抗議なんてしたら、アレクセイ殿下の立場が悪くなってしまいます。
殿下の立場が悪くなれば、マリアさんとの結婚に反対する勢力が増え、最悪の場合、二人は引き裂かれてバッドエンド……。
それだけは絶対に阻止しなければなりません!
「セバスチャン、お父様を止めて。これは私が望んだ結果なの」
「……かばわれるのですか?」
「違うわ。……これは、私の『美学』の問題よ」
私は立ち上がり、窓の外の月を見上げました。
「ただの悲劇のヒロインで終わるつもりはないわ。……セバスチャン、協力してちょうだい」
「協力、でございますか?」
「ええ。これからの私は、影となり闇となって、あの二人を追い詰めるわ」
セバスチャンが目を丸くしました。
「追い詰める……とは、復讐でございますか?」
「ふふ、そうね。世間一般ではそう呼ぶのかもしれないわね」
私は不敵な笑みを浮かべました。
「あの二人が、『もう二人でいるしかない』『世界中が敵に回っても、君だけは離さない』と思えるくらい、徹底的に追い込むの。それが私の愛よ」
セバスチャンの表情が、驚きから徐々に厳粛なものへと変わっていきます。
彼は私の言葉を、どう解釈したのでしょうか。
おそらく『愛憎のあまり修羅の道を選んだ哀れな主』とでも思ったのかもしれません。
彼は深く頭を下げました。
「……承知いたしました。このセバスチャン、老骨ながらお嬢様の修羅の道、どこまでもお供いたします」
「ありがとう。頼りにしているわ」
よし、言質は取りました。
これで公爵家の財力と人脈をフル活用して、推しカプ支援(という名の嫌がらせ)ができます。
「では、早速だけどセバスチャン。次の手を打ちたいの」
「はい、何なりと。……暗殺者を雇いますか? それとも毒を?」
セバスチャンの目が本気すぎて怖いです。
「待って、早まらないで。血なまぐさいのは美しくないわ。私がやりたいのは、もっと精神的に……こう、二人の絆を試すようなことよ」
「精神的な拷問ですね。心得ております」
「……まあ、大体合ってるわ」
私は机の引き出しから、以前から温めていた『悪役ムーブ計画書』を取り出しました。
「まずは、マリアさんへの『差し入れ』よ」
「差し入れ、でございますか?」
「ええ。彼女は平民出身でしょう? これからの王宮生活、ドレスや宝石がなくて困るはずだわ。周りの貴族たちに舐められないためにも、最高級の装備が必要よ」
「……はあ」
「だから、私の持っているドレスや宝石の中から、特にマリアさんに似合いそうな……いえ、私が『いらない』と思ったものを送りつけるの」
私はニヤリと笑いました。
「名目は『こんな安っぽいもの、私には似合わないから恵んであげるわ』よ。どう? 最高に性格が悪くて素敵でしょう?」
セバスチャンが、眉間のしわを深くしました。
「……お嬢様。それは、ただの善行なのでは?」
「違うわよ! 言葉が大事なの! 『恵んであげる』って言われる屈辱! プライドの高い人間なら耐えられないはずよ!」
「マリア様は、純朴な方だと聞き及んでおりますが……」
「だからいいのよ! 彼女が『シュガー様はまだ私を許してくれない』と怯え、それを殿下が『僕が守るから捨ててしまえ』と慰める! そしてマリアさんは『でも、もったいないです』と葛藤する! そのやり取りが発生すること自体が目的なの!」
私は熱弁を振るいました。
セバスチャンはポカンとしていましたが、やがて諦めたように溜息をつきました。
「……なるほど。高度すぎて私には理解が及びませんが、お嬢様のお心が少しでも晴れるなら」
「ええ、晴れるわ。最高にね」
私は計画書に新たな項目を書き加えました。
『作戦名:シンデレラへの毒リンゴ(最高級ブランド品)』
「さあ、忙しくなるわよセバスチャン。まずは、マリアさんのパーソナルカラーに合ったドレスの選定から始めるわ!」
「……かしこまりました。直ちに衣装部屋へ案内いたします」
こうして、私の「悪役令嬢としての第二章」が幕を開けたのです。
全ては、推しカプの至高のイチャイチャを見るために。
そのためなら、私は喜んで国一番の嫌われ者になってみせましょう。
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