14 / 28
14
しおりを挟む
「……痛っ」
ガタン、と馬車が揺れるたび、私の右足首にズキズキとした痛みが走ります。
帰りの馬車の中。
向かいの席にはアレクセイ殿下とマリアさんが乗っている……わけではありません。
あの二人は王家の馬車で先に帰ってもらいました(二人きりの空間を提供するため)。
そして私は今、公爵家の馬車の中で、キース様と二人きりで向かい合っています。
「……痛むか?」
キース様が腕組みを解き、心配そうにこちらを見ています。
「平気ですわ。これくらい、推しへの愛に比べれば……」
「強がるな。あんなに腫れてる」
彼は私の足元を指差しました。
確かに、私の右足首はパンパンに腫れ上がり、見るも無惨な状態です。
キース様はため息をつくと、席を移動して私の隣に座りました。
「えっ、ちょっ……狭いですわよ」
「じっとしてろ。冷やさないと悪化する」
彼は手近にあった冷却魔道具(氷嚢のようなもの)を取り出し、私の足を自分の膝の上に乗せました。
「ひゃうっ!?」
男性の膝の上に足を乗せるなんて、はしたないにも程があります!
「お、降ろしてください! 汚いですわ!」
「汚くない。泥だらけなのはドレスだけだろ」
キース様は私の抵抗を無視し、丁寧にドレスの裾をめくり上げ(もちろん足首まで)、患部に氷嚢を当てました。
ひやりとした冷たさと、キース様の手の温かさが同時に伝わってきます。
「……っ」
私は言葉を失い、顔を背けました。
車内には、ゴトゴトという車輪の音だけが響きます。
気まずい。
非常に気まずいです。
さっきの吊り橋での「お姫様抱っこ」といい、今のこの状況といい、距離感がバグっています。
「……おい、シュガー」
沈黙を破ったのは、キース様でした。
「反省してるか?」
「は、はい?」
私は振り返りました。
キース様は私の足を手当てしながら、視線だけをこちらに向けています。
その目は、いつになく真剣で、少し怒っているようにも見えました。
「今日の立ち回りだ。……結果的に全員無事だったから良かったものの、一歩間違えればお前が死んでたぞ」
「……ですが、あのままでは殿下とマリアさんが」
「殿下はそこまでヤワじゃない。時間を稼げば、俺が到着して制圧できたはずだ」
キース様は言葉を切りました。
「お前が飛び出す必要はなかった。……なんで自分の命を粗末にするんだ」
「粗末になんてしていません! 私はただ、最高のエンドロールを見るまでは死ねないと思っているだけで……!」
「だったら生き残る選択をしろよ!」
突然、キース様が声を荒げました。
私はビクリと肩を震わせました。
彼がこんなに大きな声を出すのを、初めて聞いたからです。
キース様はハッとしたように口を閉じ、少しバツが悪そうに視線を逸らしました。
「……悪い。怒鳴るつもりはなかった」
彼は氷嚢を押さえる手に、少しだけ力を込めました。
「ただ……お前が賊の群れに飛び込んだ時、心臓が止まるかと思ったんだ」
「キース様……?」
「鉄扇一本で暴れ回るお前を見て、呆れると同時に……怖かったんだよ。お前がいなくなるんじゃないかって」
彼の声は低く、震えていました。
それは、いつもの皮肉屋な彼からは想像もできないほど、弱々しい響きでした。
「……他人の恋路ばかり気にしてないで、少しは自分の心配をしろ。……俺が、心配するだろうが」
ドクン。
私の心臓が、大きく跳ねました。
え?
今、なんて?
『俺が心配する』?
私は恐る恐るキース様の顔を覗き込みました。
彼は耳まで赤くなっていて、私と目を合わせようとしません。
(……これって)
私の脳内データベースが高速検索を開始します。
『状況:密室(馬車)』
『相手:イケメン騎士(幼馴染ポジ)』
『台詞:「俺に心配かけさせるな」系』
(――恋愛イベント発生条件、クリア?)
「うそ……」
私は口元を手で覆いました。
「私……今、フラグを立てられている?」
「……聞こえてるぞ、そのメタい独り言」
キース様がジロリとこちらを見ました。
「フラグとかどうでもいい。俺は本音を言ってるんだ」
彼は私の足を膝から降ろすと、今度は私の肩を掴んで、自分の方へ向かせました。
距離が、近い。
彼の整った顔が、目前に迫ります。
「シュガー。お前は悪役令嬢を演じているつもりかもしれないが……俺の前では、ただの女の子だ」
「た、ただの……女の子……?」
「ああ。無茶で、破天荒で、見ていて危なっかしい……守ってやりたくなる女の子だ」
キース様の瞳に、私の間抜けな顔が映っています。
彼の吐息がかかる距離。
私の心臓は、早鐘を打つどころか、暴走機関車のように爆走していました。
(待って、無理。こういうのは殿下とマリアさんがやるべきことであって、私が当事者になるのは台本にないんですけど!?)
「あ、あの……キース様? これはきっと、吊り橋効果ですわ!」
私は必死に反論しました。
「さっきの戦闘の興奮が残っていて、脳が錯覚を起こしているだけです! 家に帰って温かいミルクを飲めば治ります!」
「……お前、本当にムードがないな」
キース様は呆れたように笑いました。
しかし、その手は私の肩を離しません。
「吊り橋効果でも何でもいい。……俺は、お前のことが気になってる。それだけは事実だ」
「ひえっ」
直球ストレート。
変化球なしの剛速球が、私の胸に突き刺さりました。
私は顔から火が出るのを自覚しました。
何か言わなきゃ。
悪役らしく「生意気ですわ!」とか言って突き放さなきゃ。
でも、口がパクパクするだけで、声が出てきません。
キース様はそんな私を見て、ふっと優しく微笑みました。
「……まあ、今はいい。足、大事にしろよ」
彼は私の頭をポンと撫でると、元の席に戻りました。
ちょうどその時、馬車が公爵邸の前に到着しました。
「着いたぞ。……歩けるか?」
「は、はい! 大丈夫です! 這ってでも帰ります!」
私は逃げるように馬車を飛び降りようとしました。
「待て。無理すんなって言っただろ」
キース様は先に降りると、当然のように私を抱き上げました。
本日二度目のお姫様抱っこ。
使用人たちが「おおっ!?」とざわめく中、私は茹でダコのように赤くなって固まるしかありませんでした。
「……観念しろ。部屋まで運んでやる」
「……ううっ……」
私はキース様の胸に顔を埋めました。
心臓の音がうるさい。
これは私の音? それともキース様の?
(違うわ。これは不整脈よ。推しの供給過多で自律神経が狂っただけよ……!)
私は必死に自分に言い聞かせました。
しかし、キース様の腕の温もりと、石鹸のような清潔な香りに包まれていると、どうしても思考が甘い方向へと流れてしまいます。
「……ありがとう、ございます」
蚊の鳴くような声でお礼を言うと、頭上から「おう」という短い返事が降ってきました。
その声が、なんだかとても嬉しそうに聞こえて。
私は、自分の人生のジャンルが『推し活コメディ』から『ラブコメ』へとシフトしつつある危機(?)を、ひしひしと感じるのでした。
ガタン、と馬車が揺れるたび、私の右足首にズキズキとした痛みが走ります。
帰りの馬車の中。
向かいの席にはアレクセイ殿下とマリアさんが乗っている……わけではありません。
あの二人は王家の馬車で先に帰ってもらいました(二人きりの空間を提供するため)。
そして私は今、公爵家の馬車の中で、キース様と二人きりで向かい合っています。
「……痛むか?」
キース様が腕組みを解き、心配そうにこちらを見ています。
「平気ですわ。これくらい、推しへの愛に比べれば……」
「強がるな。あんなに腫れてる」
彼は私の足元を指差しました。
確かに、私の右足首はパンパンに腫れ上がり、見るも無惨な状態です。
キース様はため息をつくと、席を移動して私の隣に座りました。
「えっ、ちょっ……狭いですわよ」
「じっとしてろ。冷やさないと悪化する」
彼は手近にあった冷却魔道具(氷嚢のようなもの)を取り出し、私の足を自分の膝の上に乗せました。
「ひゃうっ!?」
男性の膝の上に足を乗せるなんて、はしたないにも程があります!
「お、降ろしてください! 汚いですわ!」
「汚くない。泥だらけなのはドレスだけだろ」
キース様は私の抵抗を無視し、丁寧にドレスの裾をめくり上げ(もちろん足首まで)、患部に氷嚢を当てました。
ひやりとした冷たさと、キース様の手の温かさが同時に伝わってきます。
「……っ」
私は言葉を失い、顔を背けました。
車内には、ゴトゴトという車輪の音だけが響きます。
気まずい。
非常に気まずいです。
さっきの吊り橋での「お姫様抱っこ」といい、今のこの状況といい、距離感がバグっています。
「……おい、シュガー」
沈黙を破ったのは、キース様でした。
「反省してるか?」
「は、はい?」
私は振り返りました。
キース様は私の足を手当てしながら、視線だけをこちらに向けています。
その目は、いつになく真剣で、少し怒っているようにも見えました。
「今日の立ち回りだ。……結果的に全員無事だったから良かったものの、一歩間違えればお前が死んでたぞ」
「……ですが、あのままでは殿下とマリアさんが」
「殿下はそこまでヤワじゃない。時間を稼げば、俺が到着して制圧できたはずだ」
キース様は言葉を切りました。
「お前が飛び出す必要はなかった。……なんで自分の命を粗末にするんだ」
「粗末になんてしていません! 私はただ、最高のエンドロールを見るまでは死ねないと思っているだけで……!」
「だったら生き残る選択をしろよ!」
突然、キース様が声を荒げました。
私はビクリと肩を震わせました。
彼がこんなに大きな声を出すのを、初めて聞いたからです。
キース様はハッとしたように口を閉じ、少しバツが悪そうに視線を逸らしました。
「……悪い。怒鳴るつもりはなかった」
彼は氷嚢を押さえる手に、少しだけ力を込めました。
「ただ……お前が賊の群れに飛び込んだ時、心臓が止まるかと思ったんだ」
「キース様……?」
「鉄扇一本で暴れ回るお前を見て、呆れると同時に……怖かったんだよ。お前がいなくなるんじゃないかって」
彼の声は低く、震えていました。
それは、いつもの皮肉屋な彼からは想像もできないほど、弱々しい響きでした。
「……他人の恋路ばかり気にしてないで、少しは自分の心配をしろ。……俺が、心配するだろうが」
ドクン。
私の心臓が、大きく跳ねました。
え?
今、なんて?
『俺が心配する』?
私は恐る恐るキース様の顔を覗き込みました。
彼は耳まで赤くなっていて、私と目を合わせようとしません。
(……これって)
私の脳内データベースが高速検索を開始します。
『状況:密室(馬車)』
『相手:イケメン騎士(幼馴染ポジ)』
『台詞:「俺に心配かけさせるな」系』
(――恋愛イベント発生条件、クリア?)
「うそ……」
私は口元を手で覆いました。
「私……今、フラグを立てられている?」
「……聞こえてるぞ、そのメタい独り言」
キース様がジロリとこちらを見ました。
「フラグとかどうでもいい。俺は本音を言ってるんだ」
彼は私の足を膝から降ろすと、今度は私の肩を掴んで、自分の方へ向かせました。
距離が、近い。
彼の整った顔が、目前に迫ります。
「シュガー。お前は悪役令嬢を演じているつもりかもしれないが……俺の前では、ただの女の子だ」
「た、ただの……女の子……?」
「ああ。無茶で、破天荒で、見ていて危なっかしい……守ってやりたくなる女の子だ」
キース様の瞳に、私の間抜けな顔が映っています。
彼の吐息がかかる距離。
私の心臓は、早鐘を打つどころか、暴走機関車のように爆走していました。
(待って、無理。こういうのは殿下とマリアさんがやるべきことであって、私が当事者になるのは台本にないんですけど!?)
「あ、あの……キース様? これはきっと、吊り橋効果ですわ!」
私は必死に反論しました。
「さっきの戦闘の興奮が残っていて、脳が錯覚を起こしているだけです! 家に帰って温かいミルクを飲めば治ります!」
「……お前、本当にムードがないな」
キース様は呆れたように笑いました。
しかし、その手は私の肩を離しません。
「吊り橋効果でも何でもいい。……俺は、お前のことが気になってる。それだけは事実だ」
「ひえっ」
直球ストレート。
変化球なしの剛速球が、私の胸に突き刺さりました。
私は顔から火が出るのを自覚しました。
何か言わなきゃ。
悪役らしく「生意気ですわ!」とか言って突き放さなきゃ。
でも、口がパクパクするだけで、声が出てきません。
キース様はそんな私を見て、ふっと優しく微笑みました。
「……まあ、今はいい。足、大事にしろよ」
彼は私の頭をポンと撫でると、元の席に戻りました。
ちょうどその時、馬車が公爵邸の前に到着しました。
「着いたぞ。……歩けるか?」
「は、はい! 大丈夫です! 這ってでも帰ります!」
私は逃げるように馬車を飛び降りようとしました。
「待て。無理すんなって言っただろ」
キース様は先に降りると、当然のように私を抱き上げました。
本日二度目のお姫様抱っこ。
使用人たちが「おおっ!?」とざわめく中、私は茹でダコのように赤くなって固まるしかありませんでした。
「……観念しろ。部屋まで運んでやる」
「……ううっ……」
私はキース様の胸に顔を埋めました。
心臓の音がうるさい。
これは私の音? それともキース様の?
(違うわ。これは不整脈よ。推しの供給過多で自律神経が狂っただけよ……!)
私は必死に自分に言い聞かせました。
しかし、キース様の腕の温もりと、石鹸のような清潔な香りに包まれていると、どうしても思考が甘い方向へと流れてしまいます。
「……ありがとう、ございます」
蚊の鳴くような声でお礼を言うと、頭上から「おう」という短い返事が降ってきました。
その声が、なんだかとても嬉しそうに聞こえて。
私は、自分の人生のジャンルが『推し活コメディ』から『ラブコメ』へとシフトしつつある危機(?)を、ひしひしと感じるのでした。
10
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
彼女の離縁とその波紋
豆狸
恋愛
夫にとって魅力的なのは、今も昔も恋人のあの女性なのでしょう。こうして私が悩んでいる間もふたりは楽しく笑い合っているのかと思うと、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちになりました。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】好きでもない私とは婚約解消してください
里音
恋愛
騎士団にいる彼はとても一途で誠実な人物だ。初恋で恋人だった幼なじみが家のために他家へ嫁いで行ってもまだ彼女を思い新たな恋人を作ることをしないと有名だ。私も憧れていた1人だった。
そんな彼との婚約が成立した。それは彼の行動で私が傷を負ったからだ。傷は残らないのに責任感からの婚約ではあるが、彼はプロポーズをしてくれた。その瞬間憧れが好きになっていた。
婚約して6ヶ月、接点のほとんどない2人だが少しずつ距離も縮まり幸せな日々を送っていた。と思っていたのに、彼の元恋人が離婚をして帰ってくる話を聞いて彼が私との婚約を「最悪だ」と後悔しているのを聞いてしまった。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる