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「……公爵閣下」
私は凍りついた。
手に持っているのは、飲みかけのブランデーボトル。
口元からは、芳醇なアルコールの香りが漂っているはずだ。
淑女として、いや、人間としてあるまじき姿を見られてしまった。
相手はこの国の影の支配者、アレクシス・ヴァルデマール公爵。
私の元婚約者であるカイル王子の叔父にあたる人物だが、その威圧感は王子の比ではない。
「魔法省の長官が、このような暗がりで何をしておられるのですか」
私は何とか冷静さを装い、ボトルの口を手のひらで隠しながら尋ねた。
酔いが回っているせいか、恐怖心よりも「どうにでもなれ」という投げやりな気持ちが勝っている。
アレクシス公爵は、氷のような無表情で私を見下ろした。
「夜会の警備責任者として、不審な魔力反応がないか見回っていただけだ。……まさか、植え込みの陰で令嬢がラッパ飲みをしているとは思わなかったが」
「……お見苦しいところをお見せしました。ですが、これはラッパ飲みではありません」
「ほう? では何だ」
「直飲み(ダイレクト・テイスティング)です」
「……」
公爵の眉がピクリと動いた。
「グラスを使うと、洗浄の手間と水資源の無駄が発生します。容器から直接摂取することで、香りを逃さず、かつ環境負荷を最小限に抑えることができるのです」
「……屁理屈だな」
「合理性と言ってください」
私はふいっと視線を逸らし、再びボトルに口をつけた。
もういいのだ。
どうせ「可愛げのない女」として婚約破棄された身。
今さら公爵に嫌われたところで、失うものなど何もない。
「それで? 甥に捨てられたのがそんなに辛いか」
公爵が低い声で問いかけてくる。
その口調には、僅かながら侮蔑の色が混じっているように聞こえた。
やはり、彼も世間と同じように思っているのだろう。
哀れな悪役令嬢が、惨めにやけ酒を煽っていると。
「辛い?」
私は口元を拭い、公爵を真っ直ぐに見返した。
「閣下は、何か勘違いをされているようです」
「何?」
「これは『やけ酒』ではありません。『祝い酒』です」
「……祝い酒だと?」
「はい。自由への門出を祝う、勝利の美酒です」
私はボトルを掲げ、月明かりにかざしてみせた。
琥珀色の液体がキラキラと輝く。
「ご存知でしょう? カイル殿下のあの性格を。思い込みが激しく、人の話を聞かず、すぐ感情的になる。あの御方の補佐をするのがどれほど過酷な労働か、閣下なら想像がつくはずです」
「……まあ、否定はせん」
「私は十歳の頃から八年間、あの殿下の尻拭いをしてきました。未提出の課題を代筆し、癇癪を宥め、失言のフォローに走り回り……。休日? ありません。睡眠時間? 平均四時間です」
思い出すだけで涙が出てきそうだ。
悲しみではなく、過労の記憶で。
「それが今日、まさかの向こうから『クビ』を宣告してくださったのです! 退職金(慰謝料)付きで! こんなにめでたい話がありますか!」
私は勢いあまって、公爵に向かって力説していた。
「見てください、この夜空を! 明日の朝、殿下のモーニングコールをしなくていいと思うだけで、月が二倍くらい大きく見えます!」
「……」
公爵は黙って私を見つめている。
怒られるだろうか。
王族を侮辱した罪で、その場で氷漬けにされるかもしれない。
しかし、公爵の口から漏れたのは、意外な言葉だった。
「……ふっ」
それは、短く、微かな笑い声だった。
「く、くく……」
さらに、肩が震えている。
あの鉄仮面のような冷徹公爵が、笑っている?
「……変わった女だ」
公爵は口元に手を当て、楽しげに目を細めた。
その表情の変化に、私は思わず見惚れてしまった。
笑うと、存外に幼い顔をする人なのだ。
「『可愛げがない』と言われ、婚約破棄された直後に、元婚約者の叔父に向かって『せいせいした』と言い放つとはな」
「じ、事実ですから」
「普通は泣いて縋るか、あるいは悲劇のヒロインを気取るものだ。……リナ男爵令嬢のようにな」
「あの方の演技力は称賛に値しますね。私にはとても真似できません。涙を一滴流すカロリーがあるなら、書類を一枚処理したい」
「徹底しているな」
公爵は一歩、私に近づいた。
その瞬間、夜風に乗って彼の香りが鼻をくすぐる。
冷たく澄んだ冬の空気のような、清廉な香り。
「その酒、いい銘柄だな」
彼は私の手にあるボトルを顎でしゃくった。
「『ロイヤル・オーク』の五十年ものか。市場には殆ど出回らない代物だ」
「……父のコレクションから無断拝借しました。どうせ勘当されるので、最後の手切れ金代わりです」
「ふむ。一口どうだ?」
「え?」
「俺にも一口よこせと言っている」
私は耳を疑った。
「か、閣下。これは私が口をつけたものですし、そもそもグラスが……」
「直飲みなのだろう? 効率的な」
公爵は私の手からボトルをひょいと取り上げた。
そして、躊躇なくボトルの口に唇を寄せ、琥珀色の液体を流し込む。
「……!」
私は言葉を失った。
それは、いわゆる間接キスというやつではないのか。
いや、そんな乙女チックなことを考えている場合ではない。
相手は公爵様だぞ。
「……悪くない」
公爵は満足げに息をつき、ボトルを私に返した。
「香りも味も申し分ない。……だが、少し温(ぬる)いな」
「えっ」
「冷やしてやろう」
公爵が指先でボトルに触れる。
パキパキ、と微かな音がして、ボトル全体がうっすらと霜に覆われた。
「適温だ」
「……魔法の無駄遣いでは?」
「効率的だろう?」
彼はニヤリと笑った。
私が先ほど言った台詞を返され、私は顔が熱くなるのを感じた。
これは酔いのせいだけではないかもしれない。
「メモリア・アッシュ」
不意に、公爵が私の名を呼んだ。
先ほどまでの軽い調子とは違う、真剣な響き。
「はい」
「実家からは勘当されると言っていたな」
「……ええ、おそらく。父は事なかれ主義ですから、王家に睨まれることを恐れて私を切るでしょう」
「行く当てはあるのか」
「特にありません。ですが、私の事務処理能力と計算スキルがあれば、どこかの商会で雇ってもらえるかと。王都を離れて、田舎でのんびり経理でもします」
「もったいないな」
「はい?」
公爵は真っ直ぐに私を見据えた。
その瞳は、獲物を見定めた捕食者のように鋭く、けれどどこか熱を帯びていた。
「その優秀な頭脳と、王族相手でも物怖じしない胆力。そして何より、俺好みの合理性……。田舎に埋もれさせるには惜しい人材だ」
「はあ……」
何を言われているのか、すぐに理解が追いつかない。
公爵は懐から一枚の名刺――いや、豪奢な紋章が入ったカードを取り出し、私の指に挟ませた。
「商会を探す手間が省けるぞ」
「これは……?」
「俺が雇おう」
「……はい?」
「公爵家(うち)に来い。給金は王宮の三倍出す。福利厚生は完備、住み込み可、酒も飲み放題だ」
私は瞬きをした。
酔いが一気に覚めるような、とんでもない条件提示。
「えっと……それは、どのような業務内容でしょうか? メイド? それとも事務員?」
「その全てだ。……俺の執務室を見たことがあるか?」
「いえ、ございませんが」
「地獄だ」
公爵は真顔で言った。
「有能な補佐官が辞めてから、書類が山積みになっている。部下たちは俺の顔色を伺ってばかりで使い物にならん。……お前のような、『鉄の女』が必要なんだ」
それは褒め言葉なのだろうか。
しかし、「給金三倍」と「酒飲み放題」というワードは、私の脳内で魅力的にリフレインしていた。
「明日、屋敷に来い。カイルとの手切れ手続きも、俺が立ち会えばスムーズに進むだろう」
「……本当によろしいのですか? 私は悪役令嬢として、社交界のつまはじき者になりますよ」
「構わん。むしろ好都合だ。余計な夜会の誘いが減る」
公爵は背を向け、ひらひらと手を振った。
「待っているぞ、メモリア」
闇に溶けるように去っていく背中。
私は呆然と立ち尽くし、冷たく冷やされたボトルを胸に抱いた。
「……三倍」
呟いてみる。
「……飲み放題」
もう一度、呟いてみる。
じわじわと実感が湧いてきた。
婚約破棄されたと思ったら、国内最高権力者にスカウトされた。
しかも、条件は破格。
「……勝った」
私は誰もいない庭園で、小さくガッツポーズをした。
カイル殿下、リナ様、ありがとう。
あなた達のおかげで、私は最高の就職先を見つけたようです。
私は残りのブランデーを一気に飲み干すと、ふらつく足取りで屋敷(実家)への帰路についた。
これから父に勘当を言い渡されるわけだが、今の私には何のダメージもない。
むしろ、早く荷物をまとめて公爵邸へ行きたくてうずうずしていた。
しかし私はまだ知らなかった。
「地獄」と称された公爵の執務室が、文字通り物理的な意味での「魔窟」であることを。
そして、冷徹公爵の溺愛が、私の予想を遥かに超えて重いものであることを。
私は凍りついた。
手に持っているのは、飲みかけのブランデーボトル。
口元からは、芳醇なアルコールの香りが漂っているはずだ。
淑女として、いや、人間としてあるまじき姿を見られてしまった。
相手はこの国の影の支配者、アレクシス・ヴァルデマール公爵。
私の元婚約者であるカイル王子の叔父にあたる人物だが、その威圧感は王子の比ではない。
「魔法省の長官が、このような暗がりで何をしておられるのですか」
私は何とか冷静さを装い、ボトルの口を手のひらで隠しながら尋ねた。
酔いが回っているせいか、恐怖心よりも「どうにでもなれ」という投げやりな気持ちが勝っている。
アレクシス公爵は、氷のような無表情で私を見下ろした。
「夜会の警備責任者として、不審な魔力反応がないか見回っていただけだ。……まさか、植え込みの陰で令嬢がラッパ飲みをしているとは思わなかったが」
「……お見苦しいところをお見せしました。ですが、これはラッパ飲みではありません」
「ほう? では何だ」
「直飲み(ダイレクト・テイスティング)です」
「……」
公爵の眉がピクリと動いた。
「グラスを使うと、洗浄の手間と水資源の無駄が発生します。容器から直接摂取することで、香りを逃さず、かつ環境負荷を最小限に抑えることができるのです」
「……屁理屈だな」
「合理性と言ってください」
私はふいっと視線を逸らし、再びボトルに口をつけた。
もういいのだ。
どうせ「可愛げのない女」として婚約破棄された身。
今さら公爵に嫌われたところで、失うものなど何もない。
「それで? 甥に捨てられたのがそんなに辛いか」
公爵が低い声で問いかけてくる。
その口調には、僅かながら侮蔑の色が混じっているように聞こえた。
やはり、彼も世間と同じように思っているのだろう。
哀れな悪役令嬢が、惨めにやけ酒を煽っていると。
「辛い?」
私は口元を拭い、公爵を真っ直ぐに見返した。
「閣下は、何か勘違いをされているようです」
「何?」
「これは『やけ酒』ではありません。『祝い酒』です」
「……祝い酒だと?」
「はい。自由への門出を祝う、勝利の美酒です」
私はボトルを掲げ、月明かりにかざしてみせた。
琥珀色の液体がキラキラと輝く。
「ご存知でしょう? カイル殿下のあの性格を。思い込みが激しく、人の話を聞かず、すぐ感情的になる。あの御方の補佐をするのがどれほど過酷な労働か、閣下なら想像がつくはずです」
「……まあ、否定はせん」
「私は十歳の頃から八年間、あの殿下の尻拭いをしてきました。未提出の課題を代筆し、癇癪を宥め、失言のフォローに走り回り……。休日? ありません。睡眠時間? 平均四時間です」
思い出すだけで涙が出てきそうだ。
悲しみではなく、過労の記憶で。
「それが今日、まさかの向こうから『クビ』を宣告してくださったのです! 退職金(慰謝料)付きで! こんなにめでたい話がありますか!」
私は勢いあまって、公爵に向かって力説していた。
「見てください、この夜空を! 明日の朝、殿下のモーニングコールをしなくていいと思うだけで、月が二倍くらい大きく見えます!」
「……」
公爵は黙って私を見つめている。
怒られるだろうか。
王族を侮辱した罪で、その場で氷漬けにされるかもしれない。
しかし、公爵の口から漏れたのは、意外な言葉だった。
「……ふっ」
それは、短く、微かな笑い声だった。
「く、くく……」
さらに、肩が震えている。
あの鉄仮面のような冷徹公爵が、笑っている?
「……変わった女だ」
公爵は口元に手を当て、楽しげに目を細めた。
その表情の変化に、私は思わず見惚れてしまった。
笑うと、存外に幼い顔をする人なのだ。
「『可愛げがない』と言われ、婚約破棄された直後に、元婚約者の叔父に向かって『せいせいした』と言い放つとはな」
「じ、事実ですから」
「普通は泣いて縋るか、あるいは悲劇のヒロインを気取るものだ。……リナ男爵令嬢のようにな」
「あの方の演技力は称賛に値しますね。私にはとても真似できません。涙を一滴流すカロリーがあるなら、書類を一枚処理したい」
「徹底しているな」
公爵は一歩、私に近づいた。
その瞬間、夜風に乗って彼の香りが鼻をくすぐる。
冷たく澄んだ冬の空気のような、清廉な香り。
「その酒、いい銘柄だな」
彼は私の手にあるボトルを顎でしゃくった。
「『ロイヤル・オーク』の五十年ものか。市場には殆ど出回らない代物だ」
「……父のコレクションから無断拝借しました。どうせ勘当されるので、最後の手切れ金代わりです」
「ふむ。一口どうだ?」
「え?」
「俺にも一口よこせと言っている」
私は耳を疑った。
「か、閣下。これは私が口をつけたものですし、そもそもグラスが……」
「直飲みなのだろう? 効率的な」
公爵は私の手からボトルをひょいと取り上げた。
そして、躊躇なくボトルの口に唇を寄せ、琥珀色の液体を流し込む。
「……!」
私は言葉を失った。
それは、いわゆる間接キスというやつではないのか。
いや、そんな乙女チックなことを考えている場合ではない。
相手は公爵様だぞ。
「……悪くない」
公爵は満足げに息をつき、ボトルを私に返した。
「香りも味も申し分ない。……だが、少し温(ぬる)いな」
「えっ」
「冷やしてやろう」
公爵が指先でボトルに触れる。
パキパキ、と微かな音がして、ボトル全体がうっすらと霜に覆われた。
「適温だ」
「……魔法の無駄遣いでは?」
「効率的だろう?」
彼はニヤリと笑った。
私が先ほど言った台詞を返され、私は顔が熱くなるのを感じた。
これは酔いのせいだけではないかもしれない。
「メモリア・アッシュ」
不意に、公爵が私の名を呼んだ。
先ほどまでの軽い調子とは違う、真剣な響き。
「はい」
「実家からは勘当されると言っていたな」
「……ええ、おそらく。父は事なかれ主義ですから、王家に睨まれることを恐れて私を切るでしょう」
「行く当てはあるのか」
「特にありません。ですが、私の事務処理能力と計算スキルがあれば、どこかの商会で雇ってもらえるかと。王都を離れて、田舎でのんびり経理でもします」
「もったいないな」
「はい?」
公爵は真っ直ぐに私を見据えた。
その瞳は、獲物を見定めた捕食者のように鋭く、けれどどこか熱を帯びていた。
「その優秀な頭脳と、王族相手でも物怖じしない胆力。そして何より、俺好みの合理性……。田舎に埋もれさせるには惜しい人材だ」
「はあ……」
何を言われているのか、すぐに理解が追いつかない。
公爵は懐から一枚の名刺――いや、豪奢な紋章が入ったカードを取り出し、私の指に挟ませた。
「商会を探す手間が省けるぞ」
「これは……?」
「俺が雇おう」
「……はい?」
「公爵家(うち)に来い。給金は王宮の三倍出す。福利厚生は完備、住み込み可、酒も飲み放題だ」
私は瞬きをした。
酔いが一気に覚めるような、とんでもない条件提示。
「えっと……それは、どのような業務内容でしょうか? メイド? それとも事務員?」
「その全てだ。……俺の執務室を見たことがあるか?」
「いえ、ございませんが」
「地獄だ」
公爵は真顔で言った。
「有能な補佐官が辞めてから、書類が山積みになっている。部下たちは俺の顔色を伺ってばかりで使い物にならん。……お前のような、『鉄の女』が必要なんだ」
それは褒め言葉なのだろうか。
しかし、「給金三倍」と「酒飲み放題」というワードは、私の脳内で魅力的にリフレインしていた。
「明日、屋敷に来い。カイルとの手切れ手続きも、俺が立ち会えばスムーズに進むだろう」
「……本当によろしいのですか? 私は悪役令嬢として、社交界のつまはじき者になりますよ」
「構わん。むしろ好都合だ。余計な夜会の誘いが減る」
公爵は背を向け、ひらひらと手を振った。
「待っているぞ、メモリア」
闇に溶けるように去っていく背中。
私は呆然と立ち尽くし、冷たく冷やされたボトルを胸に抱いた。
「……三倍」
呟いてみる。
「……飲み放題」
もう一度、呟いてみる。
じわじわと実感が湧いてきた。
婚約破棄されたと思ったら、国内最高権力者にスカウトされた。
しかも、条件は破格。
「……勝った」
私は誰もいない庭園で、小さくガッツポーズをした。
カイル殿下、リナ様、ありがとう。
あなた達のおかげで、私は最高の就職先を見つけたようです。
私は残りのブランデーを一気に飲み干すと、ふらつく足取りで屋敷(実家)への帰路についた。
これから父に勘当を言い渡されるわけだが、今の私には何のダメージもない。
むしろ、早く荷物をまとめて公爵邸へ行きたくてうずうずしていた。
しかし私はまだ知らなかった。
「地獄」と称された公爵の執務室が、文字通り物理的な意味での「魔窟」であることを。
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