27 / 28
27
しおりを挟む
結婚式当日。
朝五時。
私は既に目覚め、最終的な席次表のチェックを終えていた。
隣のベッドで眠る公爵の寝顔は穏やかだ。
(完璧なスケジュールです)
今日の結婚式は、全工程二時間半という前代未聞のスピード婚だ。
全ては私の手によって、無駄を排除し、効率性を極めた設計になっている。
あとは、この通りに実行するだけ。
コンコン。
扉がノックされ、公爵家の侍女長が入ってきた。
「メモリア様。お早いお目覚めですね」
「はい。完璧な一日は、完璧な始まりから。……それで、何か問題でも?」
侍女長の表情が、僅かに曇っているのに気づいた。
「実は……。ご報告がございます」
「まさか、カイル殿下が脱走を?」
「いえ。それどころでは……」
侍女長が震える声で告げた。
「カイル殿下が、先ほど、裏口のゴミ捨て場付近で拘束されました」
「……ゴミ捨て場?」
「はい。しかも、コック帽を被り、ウェディングケーキに、何か紫色の液体を注入しようとしていたところを、深夜警備の魔導ゴーレムに発見されまして……」
私は大きくため息をついた。
「……愚かにも程がありますね」
ウェディングケーキへの毒物混入。
リナの使った秘薬(期限切れ)の残りを、カイル殿下が使おうとしたのだろう。
最後の、最大に悪趣味な悪あがきだ。
「ケーキの安全性は?」
「シェフが即座に隔離し、廃棄処分となりました」
「わかりました」
私は感情を一切込めずに言った。
「パニックになる時間も、怒る時間も、非効率です。……侍女長、指示を」
「は、はい!」
「まず、第一に。カイル殿下を『再度』氷漬けにし、王家へ身柄を引き渡してください。罪状は『殺人未遂(間接的)』。二度と逃げ出せないよう、今回は特殊な結界をかけてください」
「はっ!」
「第二に。ウェディングケーキは『プランB』へ移行。特注のシャンパンタワーを中央に据え、代わりのケーキは、公爵お気に入りのパティスリーの小型ケーキで代用します。スケジュールへの影響は、五分の遅延で抑えられます」
「第三に。この件を、公爵閣下には一切伝えないでください」
「えっ!?」
侍女長が驚いた。
「なぜです? 閣下は……」
「私が傷つけられたことよりも、結婚式が台無しになったことよりも、閣下は『カイル殿下の愚行』に腹を立てます。怒りで魔力を暴走させ、結婚式場を氷の宮殿に変えてしまうリスクがあります。そんなリスクは回避すべきです」
私はニヤリと笑った。
「最高の結婚式は、完璧な『隠蔽工作』によって守られるのです」
「……は、はい。承知いたしました」
侍女長は、私の冷静な判断力と、公爵への配慮(と恐ろしさ)に、深く頷いた。
***
時計の針は、午前十時を指す。
結婚式は、定刻通りに始まった。
会場は、公爵家の広大な庭園。
伝統的な豪華絢爛さよりも、洗練されたモダンな美しさに溢れている。
招待客は皆、優雅だ。
誰もが昨夜の裏の騒動など知る由もない。
「メモリア嬢、とても美しいですよ」
「ありがとう。……歩きやすいドレスを選びましたので」
父代わりとして私をエスコートするのは、アレクシス公爵の兄君、国王陛下だ。
陛下は私を優しい目で見つめた。
「カイルのせいで、其方の人生を危うくするところだった。……本当に、すまない」
「もう済んだことです、陛下。私は、過去の負債ではなく、未来の資産に投資することに決めましたので」
「……ああ。そうか」
陛下は晴れ晴れとした顔で頷き、私を公爵のもとへと送り出した。
祭壇の前で待つアレクシス公爵。
彼の顔は、いつもの冷静さとは裏腹に、少し緊張しているのがわかった。
(可愛いですね)
その緊張を和らげようと、私はそっと彼にだけ聞こえるように囁いた。
「閣下。……現在の進行率は98%です。ほぼ定刻通りです」
公爵は私の囁きに、フッと笑った。
緊張が解けたようだ。
「さすがだ、メモリア。……お前は、この世で最も完璧な秘書官だ」
「ありがとうございます。……では、契約を始めましょうか」
「ああ、永遠の契約を」
司祭の厳かな声が響き渡る。
「アレクシス・ヴァルデマール公爵。あなたは、メモリア・アッシュを妻とし、健やかなる時も、病める時も、貧しき時も、富める時も、愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
公爵は私の手を取り、強い力で握りしめた。
彼の瞳は、私だけを映している。
「誓う。……彼女の合理性も、可愛げのなさも、全てを愛し、一生のパートナーとすることを、ここに誓う」
「メモリア・アッシュ嬢。あなたは、アレクシス・ヴァルデマール公爵を夫とし、愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
私は一呼吸置いた。
そして、マニュアルにはない、私自身の言葉で答えた。
「はい。誓います」
「彼の、冷徹さの裏にある優しさも、無防備な甘党なところも、私のことを必要としてくれる弱さも、全てを管理し、サポートすることを、ここに誓います」
誓いの言葉は、愛の詩ではない。
互いの欠点と、それを補い合う役割分担を再確認するものだった。
それが、私たち二人の愛の形だった。
指輪の交換。
公爵の唇が、私の唇に優しく触れる。
長い、愛のキス。
会場中から拍手と歓声が湧き起こる。
「キスが長すぎます! スケジュールが遅れますよ!」
私は公爵の胸を軽く叩いた。
公爵は笑いながら、私を抱きしめる。
「今日くらいは、非効率も許されるだろう。……愛している」
「はい。私もです」
こうして、私たちの結婚式は、無事に(そして驚異的な効率で)幕を閉じた。
カイル殿下の最後の悪あがきは、私の「リスクヘッジ」と「効率性」という名の魔法によって、完全に無力化されたのだ。
「さて、次は新婚旅行(視察)のスケジュール確認ですね」
私は公爵の手を取り、次のステージへと歩み出した。
残るは、最高潮のフィナーレ。
「悪役令嬢」から「冷徹公爵夫人」となった私の物語は、この幸せな乾杯で、本当の意味での終幕を迎える。
朝五時。
私は既に目覚め、最終的な席次表のチェックを終えていた。
隣のベッドで眠る公爵の寝顔は穏やかだ。
(完璧なスケジュールです)
今日の結婚式は、全工程二時間半という前代未聞のスピード婚だ。
全ては私の手によって、無駄を排除し、効率性を極めた設計になっている。
あとは、この通りに実行するだけ。
コンコン。
扉がノックされ、公爵家の侍女長が入ってきた。
「メモリア様。お早いお目覚めですね」
「はい。完璧な一日は、完璧な始まりから。……それで、何か問題でも?」
侍女長の表情が、僅かに曇っているのに気づいた。
「実は……。ご報告がございます」
「まさか、カイル殿下が脱走を?」
「いえ。それどころでは……」
侍女長が震える声で告げた。
「カイル殿下が、先ほど、裏口のゴミ捨て場付近で拘束されました」
「……ゴミ捨て場?」
「はい。しかも、コック帽を被り、ウェディングケーキに、何か紫色の液体を注入しようとしていたところを、深夜警備の魔導ゴーレムに発見されまして……」
私は大きくため息をついた。
「……愚かにも程がありますね」
ウェディングケーキへの毒物混入。
リナの使った秘薬(期限切れ)の残りを、カイル殿下が使おうとしたのだろう。
最後の、最大に悪趣味な悪あがきだ。
「ケーキの安全性は?」
「シェフが即座に隔離し、廃棄処分となりました」
「わかりました」
私は感情を一切込めずに言った。
「パニックになる時間も、怒る時間も、非効率です。……侍女長、指示を」
「は、はい!」
「まず、第一に。カイル殿下を『再度』氷漬けにし、王家へ身柄を引き渡してください。罪状は『殺人未遂(間接的)』。二度と逃げ出せないよう、今回は特殊な結界をかけてください」
「はっ!」
「第二に。ウェディングケーキは『プランB』へ移行。特注のシャンパンタワーを中央に据え、代わりのケーキは、公爵お気に入りのパティスリーの小型ケーキで代用します。スケジュールへの影響は、五分の遅延で抑えられます」
「第三に。この件を、公爵閣下には一切伝えないでください」
「えっ!?」
侍女長が驚いた。
「なぜです? 閣下は……」
「私が傷つけられたことよりも、結婚式が台無しになったことよりも、閣下は『カイル殿下の愚行』に腹を立てます。怒りで魔力を暴走させ、結婚式場を氷の宮殿に変えてしまうリスクがあります。そんなリスクは回避すべきです」
私はニヤリと笑った。
「最高の結婚式は、完璧な『隠蔽工作』によって守られるのです」
「……は、はい。承知いたしました」
侍女長は、私の冷静な判断力と、公爵への配慮(と恐ろしさ)に、深く頷いた。
***
時計の針は、午前十時を指す。
結婚式は、定刻通りに始まった。
会場は、公爵家の広大な庭園。
伝統的な豪華絢爛さよりも、洗練されたモダンな美しさに溢れている。
招待客は皆、優雅だ。
誰もが昨夜の裏の騒動など知る由もない。
「メモリア嬢、とても美しいですよ」
「ありがとう。……歩きやすいドレスを選びましたので」
父代わりとして私をエスコートするのは、アレクシス公爵の兄君、国王陛下だ。
陛下は私を優しい目で見つめた。
「カイルのせいで、其方の人生を危うくするところだった。……本当に、すまない」
「もう済んだことです、陛下。私は、過去の負債ではなく、未来の資産に投資することに決めましたので」
「……ああ。そうか」
陛下は晴れ晴れとした顔で頷き、私を公爵のもとへと送り出した。
祭壇の前で待つアレクシス公爵。
彼の顔は、いつもの冷静さとは裏腹に、少し緊張しているのがわかった。
(可愛いですね)
その緊張を和らげようと、私はそっと彼にだけ聞こえるように囁いた。
「閣下。……現在の進行率は98%です。ほぼ定刻通りです」
公爵は私の囁きに、フッと笑った。
緊張が解けたようだ。
「さすがだ、メモリア。……お前は、この世で最も完璧な秘書官だ」
「ありがとうございます。……では、契約を始めましょうか」
「ああ、永遠の契約を」
司祭の厳かな声が響き渡る。
「アレクシス・ヴァルデマール公爵。あなたは、メモリア・アッシュを妻とし、健やかなる時も、病める時も、貧しき時も、富める時も、愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
公爵は私の手を取り、強い力で握りしめた。
彼の瞳は、私だけを映している。
「誓う。……彼女の合理性も、可愛げのなさも、全てを愛し、一生のパートナーとすることを、ここに誓う」
「メモリア・アッシュ嬢。あなたは、アレクシス・ヴァルデマール公爵を夫とし、愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
私は一呼吸置いた。
そして、マニュアルにはない、私自身の言葉で答えた。
「はい。誓います」
「彼の、冷徹さの裏にある優しさも、無防備な甘党なところも、私のことを必要としてくれる弱さも、全てを管理し、サポートすることを、ここに誓います」
誓いの言葉は、愛の詩ではない。
互いの欠点と、それを補い合う役割分担を再確認するものだった。
それが、私たち二人の愛の形だった。
指輪の交換。
公爵の唇が、私の唇に優しく触れる。
長い、愛のキス。
会場中から拍手と歓声が湧き起こる。
「キスが長すぎます! スケジュールが遅れますよ!」
私は公爵の胸を軽く叩いた。
公爵は笑いながら、私を抱きしめる。
「今日くらいは、非効率も許されるだろう。……愛している」
「はい。私もです」
こうして、私たちの結婚式は、無事に(そして驚異的な効率で)幕を閉じた。
カイル殿下の最後の悪あがきは、私の「リスクヘッジ」と「効率性」という名の魔法によって、完全に無力化されたのだ。
「さて、次は新婚旅行(視察)のスケジュール確認ですね」
私は公爵の手を取り、次のステージへと歩み出した。
残るは、最高潮のフィナーレ。
「悪役令嬢」から「冷徹公爵夫人」となった私の物語は、この幸せな乾杯で、本当の意味での終幕を迎える。
51
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる