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「そこまでだ、下郎ども! 俺のニアンに指一本でも触れてみろ、その薄汚いアジトごと消し炭にしてやる!」
ジェラルドの声が轟き、廃屋の空気がビリビリと震えた。
逆光の中で剣を構える彼の姿は、まさに物語のヒーローそのもの。
普通なら、悪党たちはここで震え上がり、私は「ジェラルド様!」と涙ながらに駆け寄る場面だ。
しかし。
「……あー、ちょっとジェラルド。ストップ」
私は椅子に座ったまま、軽く片手を上げた。
「え?」
ジェラルドが拍子抜けした声を出す。
殺気立った空気が、プシュウと音を立てて抜けていく。
「ストップって……ニアン? 無事か? 拘束は? 怪我はないか?」
「無事よ。見ての通り、優雅に座っていただけだもの。それより、そんなにドカドカと入ってこないで。扉を吹き飛ばしたせいで、埃(ほこり)が舞い上がったじゃない」
私は扇子でパタパタと目の前の空気を払った。
「せっかく掃除をして、空気を清浄化したところだったのに。ハウスダストは毛穴詰まりの原因になるのよ?」
「は、ハウスダスト……?」
ジェラルドは困惑して剣を下ろした。
そして、周囲の異様な光景に気づき、目を丸くした。
彼が「下郎ども」と呼んだ誘拐犯たちは、武器を構えるどころか、なぜか全員が手鏡(私が貸したもの)を持ち、深刻な顔で自分の肌を見つめていたのだ。
「おい、これはどういう状況だ……?」
「どういうって、講義中よ」
「講義?」
「ええ。『第一回・野蛮人のためのスキンケア講座』よ」
私は説明した。
ジェラルドが到着する直前までの数十分間、私はただ待っていたわけではない。
彼らの肌があまりにも荒れていたので、見るに見兼ねて指導を行っていたのだ。
「おい、そこのボス」
私はリーダー格の男に声をかけた。
「は、はいッ!」
ドスを持っていたはずの強面の男が、直立不動で返事をする。
「さっき教えたことを復唱しなさい」
「はッ! 『洗顔とは、汚れを落とす儀式ではなく、自分を愛でる儀式である』! 『ゴシゴシ擦るのは親の敵(かたき)でもやめろ』! 『保湿をしない男は、人生も潤わない』! 以上です!」
「よろしい。合格点ね」
私は満足げに頷いた。
ジェラルドは口をあんぐりと開けている。
「な……ニアン、お前、こいつらを洗脳したのか?」
「失礼ね。啓蒙(けいもう)よ。彼らは今まで、正しいスキンケアの方法を知らなかっただけなの。無知は罪ではないけれど、放置するのは罪よ」
私は立ち上がり、男たちを見回した。
「あなたたち、よく聞きなさい。ジェラルド殿下が来たということは、この『お遊び』も終わりということよ。大人しく捕まるか、それとも無駄な抵抗をして肌に傷を作るか……どちらがいいかしら?」
男たちは顔を見合わせた。
そして、一斉に武器を捨て、その場に土下座をした。
「ま、参りましたぁぁッ!」
「俺たちが間違ってました!」
「へ?」
ジェラルドが素っ頓狂な声を出す。
騎士たちも、抜いた剣の置き場に困っている。
リーダーの男が、地面に額を擦り付けながら叫んだ。
「ニアン様の言う通りです……! 俺たちは、心が荒んでいました! 金のために誘拐なんて汚い真似をして……その心の汚れが、この頬のシミとなって表れていたんですね!」
「そうだ! 俺の肌がガサガサなのは、人生がガサガサだったからだ!」
「ニアン様に指摘されて初めて気づきました! 俺たちはもっと、自分を大切にするべきだったんだ!」
男たちが次々と懺悔(ざんげ)を始める。
中には感動して泣き出す者までいた。
「ううっ……俺の手荒れを見て『頑張り屋さんなのね』って言ってくれたのは、母ちゃんとニアン様だけだ……!」
「涙は拭きなさい。塩分で肌が荒れるわよ」
私がハンカチを投げてやると、男はそれを押し頂くように受け取った。
「ありがとうございます! 家宝にします!」
完全に掌握されていた。
武力による制圧ではなく、美意識による精神的制圧だ。
ジェラルドは額を押さえ、深いため息をついた。
「……俺の出番は、扉を壊しただけか」
「あら、最高の登場シーンだったわよ? 逆光の演出もバッチリだったし、あのセリフも痺れたわ。『俺の宝石』だなんて、恥ずかしげもなく言えるのは才能ね」
「うっ……茶化すな」
ジェラルドが赤面する。
私は彼に近づき、その頬に触れた。
「来てくれてありがとう、ジェラルド。貴方が来てくれたから、この講義も円満に終了できたわ。彼らも、これ以上私と一緒にいたら、美意識の高さについていけずに知恵熱を出していたでしょうし」
「お前が無事なら、それでいい」
ジェラルドは私の肩を抱き寄せ、安堵の息を吐いた。
そして、改めて男たちに向き直った。
「さて……貴様ら。ニアンが無事だったことに免じて、命だけは助けてやる。だが、罪は償ってもらうぞ」
「はい! 喜んで!」
「牢屋に入って、一から心を入れ替えます!」
「刑務作業で石鹸作りを志願します!」
男たちは清々しい顔で立ち上がり、騎士たちに大人しく縛られた。
連行されていく彼らの背中を見送りながら、私はふと思い出したように声をかけた。
「あ、そうそう。ボス、あなた」
「は、はい!」
「牢屋は乾燥するから、水分補給はこまめにするのよ。出所したら、私の店に来なさい。従業員として雇ってあげなくもないわ」
「ニアン様ぁぁぁッ!」
男は号泣しながら連れて行かれた。
きっと数年後には、私の香水店でカリスマ店員になっていることだろう。
人は誰でも、美しくなる権利があるのだから。
「……はぁ」
すべてが片付いた廃屋の前で、ジェラルドが重いため息をついた。
「お前といると、常識がゲシュタルト崩壊を起こしそうだ。誘拐犯を更生させて、就職先まで斡旋する人質がどこにいる」
「ここにいるわ。世界で唯一の美しき人質がね」
私は胸を張った。
「それに、彼らも被害者みたいなものよ。カイル殿下に雇われて、こんな汚れ仕事をさせられていたんだもの。元婚約者として、彼の尻拭いをしてあげただけよ」
「カイル殿下か……」
ジェラルドの目がすっと細められ、冷たい光を宿した。
「今回の件、見過ごすわけにはいかない。一国の公爵令嬢であり、我が国の客人であるお前を誘拐しようとしたんだ。これは国際問題になるぞ」
「そうね。でも、戦争なんて野蛮なことは美しくないわ」
「では、どうするつもりだ?」
私は廃屋の壁にもたれかかり、沈みゆく夕陽を眺めた。
この美しい景色を、争いの火種にするのは無粋というものだ。
「決着をつけに行きましょう」
「……元いた国にか?」
「ええ。カイル殿下も、そろそろ限界でしょう? 私という太陽を失って、国中がカビだらけになっているはずだわ。一度戻って、徹底的に『お掃除』をしてあげるのが、元婚約者としての最後の情けよ」
ジェラルドは少し驚いた顔をしたが、すぐにニヤリと笑った。
「お掃除、か。お前らしい表現だ」
「でしょう? それに……」
私は彼を見上げた。
「私の美しさを、世界中に知らしめる『凱旋パレード』も悪くないわ。貴方の国での布教活動は順調だけど、故郷の凡人たちにも、私の成長した姿を見せてあげなきゃ不公平だもの」
「分かった。俺も同行しよう」
ジェラルドは私の手を取り、跪いた。
その姿は、まさに騎士の誓いだ。
「『氷の騎士』として、そしてお前の『ファンクラブ会員番号1番』として、最後までエスコートするよ。隣国の王宮だろうが何だろうが、お前の輝きで焼き尽くしてこい」
「ふふっ、頼もしいわね」
私は彼の手を握り返した。
「準備はいい、ジェラルド? ここからは『ナルシスト悪役令嬢の逆襲編』よ。ハンカチの用意は忘れないでね。私の輝きに感動して涙が止まらなくなるでしょうから!」
こうして、誘拐騒動は私の完全勝利で幕を閉じた。
そして物語は、いよいよクライマックスに向けて動き出す。
私が捨てたはずの国へ。
そして、私を捨てたつもりでいる愚かな王子と聖女の元へ。
最強のナルシストと、最強の騎士。
この二人が揃えば、もはや怖いものなどない。
あるとすれば、道中の日焼けと肌荒れくらいかしら?
「セバスチャン! 馬車を出しなさい! 今すぐ王都へ戻って、最高級のドレスを新調するわよ! 凱旋には、それ相応の戦闘服(ドレス)が必要なんだから!」
廃屋の前に、私の高笑いが響き渡った。
さあ、待っていなさい、カイル殿下。
貴方が招いた「美の嵐」が、これからそちらへ直撃するわよ!
ジェラルドの声が轟き、廃屋の空気がビリビリと震えた。
逆光の中で剣を構える彼の姿は、まさに物語のヒーローそのもの。
普通なら、悪党たちはここで震え上がり、私は「ジェラルド様!」と涙ながらに駆け寄る場面だ。
しかし。
「……あー、ちょっとジェラルド。ストップ」
私は椅子に座ったまま、軽く片手を上げた。
「え?」
ジェラルドが拍子抜けした声を出す。
殺気立った空気が、プシュウと音を立てて抜けていく。
「ストップって……ニアン? 無事か? 拘束は? 怪我はないか?」
「無事よ。見ての通り、優雅に座っていただけだもの。それより、そんなにドカドカと入ってこないで。扉を吹き飛ばしたせいで、埃(ほこり)が舞い上がったじゃない」
私は扇子でパタパタと目の前の空気を払った。
「せっかく掃除をして、空気を清浄化したところだったのに。ハウスダストは毛穴詰まりの原因になるのよ?」
「は、ハウスダスト……?」
ジェラルドは困惑して剣を下ろした。
そして、周囲の異様な光景に気づき、目を丸くした。
彼が「下郎ども」と呼んだ誘拐犯たちは、武器を構えるどころか、なぜか全員が手鏡(私が貸したもの)を持ち、深刻な顔で自分の肌を見つめていたのだ。
「おい、これはどういう状況だ……?」
「どういうって、講義中よ」
「講義?」
「ええ。『第一回・野蛮人のためのスキンケア講座』よ」
私は説明した。
ジェラルドが到着する直前までの数十分間、私はただ待っていたわけではない。
彼らの肌があまりにも荒れていたので、見るに見兼ねて指導を行っていたのだ。
「おい、そこのボス」
私はリーダー格の男に声をかけた。
「は、はいッ!」
ドスを持っていたはずの強面の男が、直立不動で返事をする。
「さっき教えたことを復唱しなさい」
「はッ! 『洗顔とは、汚れを落とす儀式ではなく、自分を愛でる儀式である』! 『ゴシゴシ擦るのは親の敵(かたき)でもやめろ』! 『保湿をしない男は、人生も潤わない』! 以上です!」
「よろしい。合格点ね」
私は満足げに頷いた。
ジェラルドは口をあんぐりと開けている。
「な……ニアン、お前、こいつらを洗脳したのか?」
「失礼ね。啓蒙(けいもう)よ。彼らは今まで、正しいスキンケアの方法を知らなかっただけなの。無知は罪ではないけれど、放置するのは罪よ」
私は立ち上がり、男たちを見回した。
「あなたたち、よく聞きなさい。ジェラルド殿下が来たということは、この『お遊び』も終わりということよ。大人しく捕まるか、それとも無駄な抵抗をして肌に傷を作るか……どちらがいいかしら?」
男たちは顔を見合わせた。
そして、一斉に武器を捨て、その場に土下座をした。
「ま、参りましたぁぁッ!」
「俺たちが間違ってました!」
「へ?」
ジェラルドが素っ頓狂な声を出す。
騎士たちも、抜いた剣の置き場に困っている。
リーダーの男が、地面に額を擦り付けながら叫んだ。
「ニアン様の言う通りです……! 俺たちは、心が荒んでいました! 金のために誘拐なんて汚い真似をして……その心の汚れが、この頬のシミとなって表れていたんですね!」
「そうだ! 俺の肌がガサガサなのは、人生がガサガサだったからだ!」
「ニアン様に指摘されて初めて気づきました! 俺たちはもっと、自分を大切にするべきだったんだ!」
男たちが次々と懺悔(ざんげ)を始める。
中には感動して泣き出す者までいた。
「ううっ……俺の手荒れを見て『頑張り屋さんなのね』って言ってくれたのは、母ちゃんとニアン様だけだ……!」
「涙は拭きなさい。塩分で肌が荒れるわよ」
私がハンカチを投げてやると、男はそれを押し頂くように受け取った。
「ありがとうございます! 家宝にします!」
完全に掌握されていた。
武力による制圧ではなく、美意識による精神的制圧だ。
ジェラルドは額を押さえ、深いため息をついた。
「……俺の出番は、扉を壊しただけか」
「あら、最高の登場シーンだったわよ? 逆光の演出もバッチリだったし、あのセリフも痺れたわ。『俺の宝石』だなんて、恥ずかしげもなく言えるのは才能ね」
「うっ……茶化すな」
ジェラルドが赤面する。
私は彼に近づき、その頬に触れた。
「来てくれてありがとう、ジェラルド。貴方が来てくれたから、この講義も円満に終了できたわ。彼らも、これ以上私と一緒にいたら、美意識の高さについていけずに知恵熱を出していたでしょうし」
「お前が無事なら、それでいい」
ジェラルドは私の肩を抱き寄せ、安堵の息を吐いた。
そして、改めて男たちに向き直った。
「さて……貴様ら。ニアンが無事だったことに免じて、命だけは助けてやる。だが、罪は償ってもらうぞ」
「はい! 喜んで!」
「牢屋に入って、一から心を入れ替えます!」
「刑務作業で石鹸作りを志願します!」
男たちは清々しい顔で立ち上がり、騎士たちに大人しく縛られた。
連行されていく彼らの背中を見送りながら、私はふと思い出したように声をかけた。
「あ、そうそう。ボス、あなた」
「は、はい!」
「牢屋は乾燥するから、水分補給はこまめにするのよ。出所したら、私の店に来なさい。従業員として雇ってあげなくもないわ」
「ニアン様ぁぁぁッ!」
男は号泣しながら連れて行かれた。
きっと数年後には、私の香水店でカリスマ店員になっていることだろう。
人は誰でも、美しくなる権利があるのだから。
「……はぁ」
すべてが片付いた廃屋の前で、ジェラルドが重いため息をついた。
「お前といると、常識がゲシュタルト崩壊を起こしそうだ。誘拐犯を更生させて、就職先まで斡旋する人質がどこにいる」
「ここにいるわ。世界で唯一の美しき人質がね」
私は胸を張った。
「それに、彼らも被害者みたいなものよ。カイル殿下に雇われて、こんな汚れ仕事をさせられていたんだもの。元婚約者として、彼の尻拭いをしてあげただけよ」
「カイル殿下か……」
ジェラルドの目がすっと細められ、冷たい光を宿した。
「今回の件、見過ごすわけにはいかない。一国の公爵令嬢であり、我が国の客人であるお前を誘拐しようとしたんだ。これは国際問題になるぞ」
「そうね。でも、戦争なんて野蛮なことは美しくないわ」
「では、どうするつもりだ?」
私は廃屋の壁にもたれかかり、沈みゆく夕陽を眺めた。
この美しい景色を、争いの火種にするのは無粋というものだ。
「決着をつけに行きましょう」
「……元いた国にか?」
「ええ。カイル殿下も、そろそろ限界でしょう? 私という太陽を失って、国中がカビだらけになっているはずだわ。一度戻って、徹底的に『お掃除』をしてあげるのが、元婚約者としての最後の情けよ」
ジェラルドは少し驚いた顔をしたが、すぐにニヤリと笑った。
「お掃除、か。お前らしい表現だ」
「でしょう? それに……」
私は彼を見上げた。
「私の美しさを、世界中に知らしめる『凱旋パレード』も悪くないわ。貴方の国での布教活動は順調だけど、故郷の凡人たちにも、私の成長した姿を見せてあげなきゃ不公平だもの」
「分かった。俺も同行しよう」
ジェラルドは私の手を取り、跪いた。
その姿は、まさに騎士の誓いだ。
「『氷の騎士』として、そしてお前の『ファンクラブ会員番号1番』として、最後までエスコートするよ。隣国の王宮だろうが何だろうが、お前の輝きで焼き尽くしてこい」
「ふふっ、頼もしいわね」
私は彼の手を握り返した。
「準備はいい、ジェラルド? ここからは『ナルシスト悪役令嬢の逆襲編』よ。ハンカチの用意は忘れないでね。私の輝きに感動して涙が止まらなくなるでしょうから!」
こうして、誘拐騒動は私の完全勝利で幕を閉じた。
そして物語は、いよいよクライマックスに向けて動き出す。
私が捨てたはずの国へ。
そして、私を捨てたつもりでいる愚かな王子と聖女の元へ。
最強のナルシストと、最強の騎士。
この二人が揃えば、もはや怖いものなどない。
あるとすれば、道中の日焼けと肌荒れくらいかしら?
「セバスチャン! 馬車を出しなさい! 今すぐ王都へ戻って、最高級のドレスを新調するわよ! 凱旋には、それ相応の戦闘服(ドレス)が必要なんだから!」
廃屋の前に、私の高笑いが響き渡った。
さあ、待っていなさい、カイル殿下。
貴方が招いた「美の嵐」が、これからそちらへ直撃するわよ!
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