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「……はぁ。やっと美味しい空気が吸えるわ」
王城の大広間を出て、中庭へと続く回廊。
私は大きく伸びをして、肺の中の淀んだ空気を入れ替えた。
断罪という名の『公開処刑』を終えた直後の空気は、勝利の味がして格別だ。
「お疲れ様、ニアン。見事な演説だったよ」
ジェラルドが労(ねぎら)うように私の肩を抱く。
「演説じゃないわ、事実陳列罪よ。彼らが直視したくなかった現実を、私の輝きでライトアップして差し上げただけ」
「君にかかれば、事実すらも凶器になるな」
私たちは笑い合い、出口へと向かった。
もうこの国に用はない。
あとは馬車に乗り込み、優雅にシャンパンでも開けながら隣国へ帰るだけ……のはずだった。
「待ちなさいよぉぉぉッ!!」
背後から、鼓膜を劈(つんざ)くような絶叫が響いた。
金切り声だ。
美しいソプラノとは程遠い、ヒステリックな不協和音。
私が足を止め、ゆっくりと振り返ると、そこには信じられない形相の女が立っていた。
「リナさん?」
それは、かつての可憐な聖女の姿ではなかった。
髪は振り乱れ、ドレスの裾は破れ、化粧は涙と鼻水でドロドロに崩れている。
まるで沼から這い出てきた妖怪のようだ。
彼女は充血した目で私を睨みつけ、手に持っていた何かを振り上げた。
「許さない……許さないわよニアン! あんたさえいなければ! あんたさえ戻ってこなければ!」
彼女の手にあるのは、ナイフ……ではなく、先ほどの会場で誰かが落としたであろう、フォークだった。
武器としての殺傷能力は低いが、その切迫感は鬼気迫るものがある。
「危ない!」
ジェラルドが剣の柄に手をかける。
しかし、私はそれを手で制した。
「いいの、ジェラルド。手を出さないで」
「だが!」
「女性同士の話し合いよ。……もっとも、片方は獣(ケダモノ)に成り下がっているようだけど」
私は一歩も退かず、突進してくるリナを見据えた。
「死ねぇ! その綺麗な顔、ぐちゃぐちゃにしてやるぅぅッ!」
リナがフォークを構えて飛びかかってくる。
狙いは正確に私の顔だ。
美しさへの嫉妬。
それが彼女の原動力の全てなのだろう。
私は冷静だった。
避ける必要すらない。
私は懐から、愛用の『プラチナ製手鏡』をサッと取り出した。
「……見なさい」
私はリナの目の前に、鏡を突きつけた。
「え?」
リナの視界が、鏡面で覆われる。
突進の勢いで、彼女は鏡の中の自分とゼロ距離で対面することになった。
そこ映っていたのは。
「ひっ……!」
リナが悲鳴を上げて急ブレーキをかけた。
鏡の中には、鬼婆のような形相でフォークを振り上げる、醜い女の姿があった。
口は歪み、目は血走り、眉間のシワは深く刻まれている。
『可愛らしい聖女』の面影など、微塵もない。
「こ、これ……私……?」
リナの手から、カランと音を立ててフォークが落ちた。
彼女は震える手で自分の頬に触れる。
「嘘……嘘よ……。こんなの私じゃない……。私はもっと可愛くて、儚(はかな)くて、みんなに守ってもらえるヒロインのはず……」
「いいえ、それが現実よ」
私は冷酷に告げた。
「鏡は嘘をつかないわ。今の貴女の心の中にある『醜い嫉妬』と『殺意』が、そのまま顔に出ているの。見ていられないほど醜悪だわ。公害レベルね」
「いやぁぁぁッ!!」
リナはその場にへたり込み、両手で顔を覆った。
自分の顔の醜さに耐えられず、心が折れたのだ。
ナルシストではない彼女にとって、自己肯定感の崩壊は致命傷となる。
そこへ、遅れてカイル殿下が走ってきた。
「リナ! 何をしているんだ! やめろ!」
彼は息を切らして駆け寄ってきたが、地面にうずくまるリナの姿を見て、ギョッとして足を止めた。
「う、うわ……」
殿下の口から、無意識の言葉が漏れる。
「なんだその顔……酷いな」
その一言が、決定打だった。
リナがバッと顔を上げる。
「……酷いですって?」
「い、いや、その……化粧が崩れて、すごいことになってるぞ。聖女の顔じゃない」
カイル殿下は引いていた。
愛する婚約者を心配するよりも先に、生理的な嫌悪感が勝ってしまったのだ。
所詮、彼の愛などその程度のものだったということだ。
「あんたのせいでしょうがぁぁぁッ!!」
リナが吠えた。
彼女は立ち上がり、今度は私ではなくカイル殿下に掴みかかった。
「な、何を!?」
「私がこんなになったのは、あんたが不甲斐ないせいよ! 『ニアンを追い出して二人で幸せになろう』って言ったくせに! ちっとも幸せじゃないじゃない!」
リナが殿下の胸ぐらを揺さぶる。
「仕事はできない、お金はない、国民からは白い目で見られる! 王子様だと思ってついてきたのに、ただの無能なボンボンじゃない!」
「な、なんだと貴様! 誰のおかげで贅沢できていたと思ってるんだ!」
カイル殿下も顔を真っ赤にして応戦する。
「君が『公務なんてしたくない』って泣くから、俺が全部被ってたんじゃないか! 『ニアンがいじめる』って嘘をついたのも君だろう! あのせいで俺は有能な婚約者を失ったんだぞ!」
「はぁ!? あんたがニアンに未練タラタラだったくせに! 私を一番愛してるって言ったのは嘘だったの!?」
「愛していたさ! 君が可愛くて優しかった頃はな! 今の君を見ろ、ただのヒステリー女じゃないか!」
「あんたこそ、ただの甲斐性なし男よ! 最低!」
「最悪だ!」
中庭に、罵声の応酬が響き渡る。
取っ組み合いの喧嘩になりそうな勢いだ。
かつて『真実の愛』を誓い合い、私を断罪した二人が、今は互いの醜さを罵り合っている。
私はその様子を、まるで三流の喜劇でも見るような目で見つめた。
「……終わったわね」
「ああ。目も当てられないな」
ジェラルドが呆れ果てて首を振る。
「ねえ、ジェラルド。あれが彼らの言う『真実の愛』なんですって。笑わせてくれるわね」
私は扇子を開き、優雅に仰いだ。
「他者を蹴落とし、嘘で塗り固めた土台の上に築いた愛なんて、所詮は砂上の楼閣(ろうかく)。風が吹けば崩れるし、鏡を見せればヒビが入る程度の強度しかなかったのよ」
二人の喧嘩はヒートアップし、もはや私たちの存在すら忘れているようだ。
リナが殿下の頬を叩き、殿下がリナを突き飛ばす。
泥沼だ。
「行くわよ。これ以上ここにいると、私の美意識まで汚染されそうだわ」
「同感だ。さっさと帰ろう」
私たちは背を向けた。
背後からは、まだ「泥棒猫!」「能無し!」という罵り合いが聞こえてくる。
馬車に戻ると、セバスチャンが冷えたピーチジュースを用意して待っていた。
「お疲れ様でございました、お嬢様。会場のボルテージはいかがでしたか?」
「最高潮から最低辺まで、ジェットコースターのようだったわ。お土産話には事欠かないけれど、二度と見たくない光景ね」
私はジュースを受け取り、一気に飲み干した。
甘い液体が、乾いた喉を潤していく。
「カイル殿下とリナ嬢は?」
「放置してきたわ。おそらく今頃、互いの傷をえぐり合って、共倒れになっているでしょうね」
私は窓の外、遠ざかる王城を見上げた。
「彼らはこれから、地獄を見るわ。ニアン・ローズベルクという後ろ盾を失った国で、互いに責任を押し付け合いながら、泥の中で生きていくしかない」
「……厳しいですね」
「自業自得よ。私はチャンスを与えたわ。掃除をしなさいってね。でも彼らは、心の掃除を怠った。そのツケを払う時が来ただけよ」
私は手鏡を取り出し、自分の顔を確認した。
一連の騒動を経ても、私の肌はツヤツヤと輝いている。
ストレスフリーな精神構造のおかげね。
「それにしても」
ジェラルドが向かいの席で、可笑しそうに笑った。
「手鏡一つで聖女を撃退するとはな。どんな強力な魔法よりも効果的だったぞ」
「当然よ。真実を映す鏡は、嘘つきにとって最強の毒だもの」
私は鏡の中の自分にウインクをした。
「リナさんは自分の醜さに負けた。私は自分の美しさに勝った。勝敗の理由はそれだけよ」
馬車が走り出す。
車輪の音が、新しい未来へのリズムを刻む。
私はもう、後ろを振り返ることはなかった。
『真実の愛(笑)』の崩壊を見届けた今、私に残っているのは、清々しいほどの解放感だけだった。
「さあ、帰りましょう! 隣国には、私の帰りを待つ信者(ファン)たちが山ほどいるんだから!」
「ああ。凱旋パレードの続きと行こうか」
こうして、私の里帰りは幕を閉じた。
元婚約者とライバルには「絶縁状」と「トラウマ」を叩きつけ、私自身はさらなる自信と名声を手に入れて。
ナルシスト悪役令嬢、ニアン。
彼女は転んでもただでは起きない。
起き上がるたびに、より一層美しくなってしまうのだから、世界も困ったものだろう。
王城の大広間を出て、中庭へと続く回廊。
私は大きく伸びをして、肺の中の淀んだ空気を入れ替えた。
断罪という名の『公開処刑』を終えた直後の空気は、勝利の味がして格別だ。
「お疲れ様、ニアン。見事な演説だったよ」
ジェラルドが労(ねぎら)うように私の肩を抱く。
「演説じゃないわ、事実陳列罪よ。彼らが直視したくなかった現実を、私の輝きでライトアップして差し上げただけ」
「君にかかれば、事実すらも凶器になるな」
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「待ちなさいよぉぉぉッ!!」
背後から、鼓膜を劈(つんざ)くような絶叫が響いた。
金切り声だ。
美しいソプラノとは程遠い、ヒステリックな不協和音。
私が足を止め、ゆっくりと振り返ると、そこには信じられない形相の女が立っていた。
「リナさん?」
それは、かつての可憐な聖女の姿ではなかった。
髪は振り乱れ、ドレスの裾は破れ、化粧は涙と鼻水でドロドロに崩れている。
まるで沼から這い出てきた妖怪のようだ。
彼女は充血した目で私を睨みつけ、手に持っていた何かを振り上げた。
「許さない……許さないわよニアン! あんたさえいなければ! あんたさえ戻ってこなければ!」
彼女の手にあるのは、ナイフ……ではなく、先ほどの会場で誰かが落としたであろう、フォークだった。
武器としての殺傷能力は低いが、その切迫感は鬼気迫るものがある。
「危ない!」
ジェラルドが剣の柄に手をかける。
しかし、私はそれを手で制した。
「いいの、ジェラルド。手を出さないで」
「だが!」
「女性同士の話し合いよ。……もっとも、片方は獣(ケダモノ)に成り下がっているようだけど」
私は一歩も退かず、突進してくるリナを見据えた。
「死ねぇ! その綺麗な顔、ぐちゃぐちゃにしてやるぅぅッ!」
リナがフォークを構えて飛びかかってくる。
狙いは正確に私の顔だ。
美しさへの嫉妬。
それが彼女の原動力の全てなのだろう。
私は冷静だった。
避ける必要すらない。
私は懐から、愛用の『プラチナ製手鏡』をサッと取り出した。
「……見なさい」
私はリナの目の前に、鏡を突きつけた。
「え?」
リナの視界が、鏡面で覆われる。
突進の勢いで、彼女は鏡の中の自分とゼロ距離で対面することになった。
そこ映っていたのは。
「ひっ……!」
リナが悲鳴を上げて急ブレーキをかけた。
鏡の中には、鬼婆のような形相でフォークを振り上げる、醜い女の姿があった。
口は歪み、目は血走り、眉間のシワは深く刻まれている。
『可愛らしい聖女』の面影など、微塵もない。
「こ、これ……私……?」
リナの手から、カランと音を立ててフォークが落ちた。
彼女は震える手で自分の頬に触れる。
「嘘……嘘よ……。こんなの私じゃない……。私はもっと可愛くて、儚(はかな)くて、みんなに守ってもらえるヒロインのはず……」
「いいえ、それが現実よ」
私は冷酷に告げた。
「鏡は嘘をつかないわ。今の貴女の心の中にある『醜い嫉妬』と『殺意』が、そのまま顔に出ているの。見ていられないほど醜悪だわ。公害レベルね」
「いやぁぁぁッ!!」
リナはその場にへたり込み、両手で顔を覆った。
自分の顔の醜さに耐えられず、心が折れたのだ。
ナルシストではない彼女にとって、自己肯定感の崩壊は致命傷となる。
そこへ、遅れてカイル殿下が走ってきた。
「リナ! 何をしているんだ! やめろ!」
彼は息を切らして駆け寄ってきたが、地面にうずくまるリナの姿を見て、ギョッとして足を止めた。
「う、うわ……」
殿下の口から、無意識の言葉が漏れる。
「なんだその顔……酷いな」
その一言が、決定打だった。
リナがバッと顔を上げる。
「……酷いですって?」
「い、いや、その……化粧が崩れて、すごいことになってるぞ。聖女の顔じゃない」
カイル殿下は引いていた。
愛する婚約者を心配するよりも先に、生理的な嫌悪感が勝ってしまったのだ。
所詮、彼の愛などその程度のものだったということだ。
「あんたのせいでしょうがぁぁぁッ!!」
リナが吠えた。
彼女は立ち上がり、今度は私ではなくカイル殿下に掴みかかった。
「な、何を!?」
「私がこんなになったのは、あんたが不甲斐ないせいよ! 『ニアンを追い出して二人で幸せになろう』って言ったくせに! ちっとも幸せじゃないじゃない!」
リナが殿下の胸ぐらを揺さぶる。
「仕事はできない、お金はない、国民からは白い目で見られる! 王子様だと思ってついてきたのに、ただの無能なボンボンじゃない!」
「な、なんだと貴様! 誰のおかげで贅沢できていたと思ってるんだ!」
カイル殿下も顔を真っ赤にして応戦する。
「君が『公務なんてしたくない』って泣くから、俺が全部被ってたんじゃないか! 『ニアンがいじめる』って嘘をついたのも君だろう! あのせいで俺は有能な婚約者を失ったんだぞ!」
「はぁ!? あんたがニアンに未練タラタラだったくせに! 私を一番愛してるって言ったのは嘘だったの!?」
「愛していたさ! 君が可愛くて優しかった頃はな! 今の君を見ろ、ただのヒステリー女じゃないか!」
「あんたこそ、ただの甲斐性なし男よ! 最低!」
「最悪だ!」
中庭に、罵声の応酬が響き渡る。
取っ組み合いの喧嘩になりそうな勢いだ。
かつて『真実の愛』を誓い合い、私を断罪した二人が、今は互いの醜さを罵り合っている。
私はその様子を、まるで三流の喜劇でも見るような目で見つめた。
「……終わったわね」
「ああ。目も当てられないな」
ジェラルドが呆れ果てて首を振る。
「ねえ、ジェラルド。あれが彼らの言う『真実の愛』なんですって。笑わせてくれるわね」
私は扇子を開き、優雅に仰いだ。
「他者を蹴落とし、嘘で塗り固めた土台の上に築いた愛なんて、所詮は砂上の楼閣(ろうかく)。風が吹けば崩れるし、鏡を見せればヒビが入る程度の強度しかなかったのよ」
二人の喧嘩はヒートアップし、もはや私たちの存在すら忘れているようだ。
リナが殿下の頬を叩き、殿下がリナを突き飛ばす。
泥沼だ。
「行くわよ。これ以上ここにいると、私の美意識まで汚染されそうだわ」
「同感だ。さっさと帰ろう」
私たちは背を向けた。
背後からは、まだ「泥棒猫!」「能無し!」という罵り合いが聞こえてくる。
馬車に戻ると、セバスチャンが冷えたピーチジュースを用意して待っていた。
「お疲れ様でございました、お嬢様。会場のボルテージはいかがでしたか?」
「最高潮から最低辺まで、ジェットコースターのようだったわ。お土産話には事欠かないけれど、二度と見たくない光景ね」
私はジュースを受け取り、一気に飲み干した。
甘い液体が、乾いた喉を潤していく。
「カイル殿下とリナ嬢は?」
「放置してきたわ。おそらく今頃、互いの傷をえぐり合って、共倒れになっているでしょうね」
私は窓の外、遠ざかる王城を見上げた。
「彼らはこれから、地獄を見るわ。ニアン・ローズベルクという後ろ盾を失った国で、互いに責任を押し付け合いながら、泥の中で生きていくしかない」
「……厳しいですね」
「自業自得よ。私はチャンスを与えたわ。掃除をしなさいってね。でも彼らは、心の掃除を怠った。そのツケを払う時が来ただけよ」
私は手鏡を取り出し、自分の顔を確認した。
一連の騒動を経ても、私の肌はツヤツヤと輝いている。
ストレスフリーな精神構造のおかげね。
「それにしても」
ジェラルドが向かいの席で、可笑しそうに笑った。
「手鏡一つで聖女を撃退するとはな。どんな強力な魔法よりも効果的だったぞ」
「当然よ。真実を映す鏡は、嘘つきにとって最強の毒だもの」
私は鏡の中の自分にウインクをした。
「リナさんは自分の醜さに負けた。私は自分の美しさに勝った。勝敗の理由はそれだけよ」
馬車が走り出す。
車輪の音が、新しい未来へのリズムを刻む。
私はもう、後ろを振り返ることはなかった。
『真実の愛(笑)』の崩壊を見届けた今、私に残っているのは、清々しいほどの解放感だけだった。
「さあ、帰りましょう! 隣国には、私の帰りを待つ信者(ファン)たちが山ほどいるんだから!」
「ああ。凱旋パレードの続きと行こうか」
こうして、私の里帰りは幕を閉じた。
元婚約者とライバルには「絶縁状」と「トラウマ」を叩きつけ、私自身はさらなる自信と名声を手に入れて。
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