3 / 28
3
王都を出てから三時間が経過しました。
窓の外にはのどかな田園風景が広がっていますが、車内の空気は依然として張り詰めたままです。
向かいに座るギルバート様は、まるで彫像のように動きません。
組んだ腕、閉じられた目、そして引き結ばれた口元。
時折、馬車が大きな石に乗り上げてガタンと揺れる時だけ、彼の太い眉がピクリと動きます。
(……暇だわ)
私は心の中で盛大に嘆息しました。
本を読むにも酔いそうだし、外の景色も見飽きました。
何より、目の前の氷山のような騎士様が気になって仕方がありません。
先ほどクッキーを渡した時の、あの一瞬の目の輝き。
あれは私の見間違いだったのでしょうか。
(いえ、私の観察眼はアレン様の浮気を見抜くほど鋭いのよ。絶対に何かあるはずだわ)
私は作戦を変更することにしました。
「……ふぁ」
わざとらしくあくびを一つ。
「少し眠くなってしまいましたわ。セバスチャン、起こさないでね」
「承知いたしました、お嬢様」
私は座席のクッションに頭を預け、ゆっくりと目を閉じました。
寝息を整え、完全に熟睡しているフリを決め込みます。
視界は闇に包まれましたが、その分、聴覚が研ぎ澄まされます。
車輪の音、馬の蹄の音、そして……。
ゴソッ。
衣擦れの音がしました。
(動いた!)
私は呼吸を乱さないように細心の注意を払います。
気配からして、ギルバート様が体勢を崩したようです。
彼はこちらを窺っているのでしょうか。
しばらくの沈黙の後、再びゴソゴソという音が聞こえました。
どうやら、懐から何かを取り出しているようです。
(短剣? まさか暗殺? いや、それならもっと静かにやるはずよね)
カサリ、という乾いた音。
それは紙袋を開ける音でした。
続いて、サクッ、サクッという軽快な咀嚼音。
(……食べた!)
私は薄目を開けて状況を確認したい衝動に駆られましたが、ここは我慢です。
相手は騎士団長。
気配を察知される恐れがあります。
「……ん」
私は寝言を装って少し身じろぎしました。
咀嚼音がピタリと止まります。
数秒の静寂。
私が再び動かなくなると、彼は安堵したように小さく息を吐きました。
「……ふぅ」
そして、先ほどよりもリラックスした様子で、サクサクと音を立て始めました。
今だ!
私はカッと目を見開きました。
「美味しいですの?」
「ブッ!!」
ギルバート様が盛大に吹き出しました。
咳き込みながら慌てて口元を覆いますが、もう手遅れです。
彼の手には、私が先ほど渡したクッキーの袋が握られていました。
そして何より衝撃的だったのは、その表情です。
あの氷のような無表情が崩れ去り、頬を赤らめ、目を見開いて硬直しています。
口の端には、クッキーの食べかすがちょこんと付いていました。
「あ……いや、これは……」
「寝たふりをしていて申し訳ありません。でも、あまりにも美味しそうな音が聞こえてきたものですから」
私は悪戯っぽく微笑みながら、身体を起こしました。
ギルバート様は、戦場で敵に囲まれた時よりも焦っているように見えます。
「ち、違うのです。これは、その……貴殿が寝ている間に、毒味の続きを……」
「毒味? 三時間も経ってから?」
「そ、それは……遅効性の毒の可能性を考慮して……」
「ふふっ、苦しい言い訳ですわね」
私は扇で口元を隠し、肩を震わせて笑いました。
「正直に仰ってくださいな。甘いものがお好きなのでしょう?」
ギルバート様は観念したように肩を落としました。
その姿は、巨大な熊が小さくなっているようで、なんだか可愛らしく見えてきます。
「……騎士団長としての威厳に関わるため、他言無用に願いたい」
「あら、脅しですの?」
「頼み、だ」
彼は真剣な眼差しで私を見つめました。
「部下たちには『甘いものなど軟弱な男が好むものだ』と指導している手前、知られるわけにはいかないのだ」
「なるほど。氷の騎士様にも、そんな秘密があったのですね」
私はニヤリと笑いました。
これは使える。
弱みを握った、というわけではありませんが、交渉の材料にはなりそうです。
「わかりましたわ。このことは二人だけの秘密にしましょう」
「本当か!?」
「ええ。その代わり……」
私はバスケットから、さらに別の包みを取り出しました。
「これから領地に着くまで、私のお茶会に付き合ってくださいな。一人で食べるおやつほど味気ないものはありませんもの」
そう言って差し出したのは、高級茶葉を使ったパウンドケーキです。
ギルバート様の喉がゴクリと鳴りました。
「……それだけか?」
「ええ。それと、美味しいお店の情報交換ができれば最高ですわね」
「……王都の三番街にある『黒猫亭』の蜂蜜タルトは絶品だ」
「! あそこ、気になっていましたの! いつも行列で入れなくて」
「裏口から入れば並ばずに買える。店主が私の剣の師匠でな」
「まあ! 素晴らしいコネクションをお持ちですのね!」
気がつけば、私たちは身を乗り出して話し込んでいました。
セバスチャンが「やれやれ」といった顔でポットから紅茶を注いでくれます。
「どうぞ、ギルバート様」
「かたじけない」
渡されたカップを大きな手で包み込むように持ち、彼は一口啜りました。
そして、パウンドケーキを口に運びます。
その瞬間、彼の周りに幻覚の花が咲いたように見えました。
強面の皺が伸び、目尻が下がり、なんとも幸せそうな顔になるのです。
(……ギャップ萌えって、こういうことを言うのかしら)
私は内心でときめきを覚えつつ、自分の紅茶を飲みました。
「それにしても、ギルバート様。そんなに甘いものがお好きなら、堂々としていればよろしいのに」
「……私の顔を見ればわかるだろう」
彼は自嘲気味に笑いました。
「この顔で『マカロンが好きだ』などと言えば、店員が悲鳴を上げて逃げ出すか、裏の意味があるのではないかと勘繰られるのがオチだ」
「裏の意味?」
「『マカロン(隠語で心臓)』をよこせ、とか」
「ぶっ!」
今度は私が吹き出す番でした。
「なんですかそれ! 傑作ですわ!」
「笑い事ではない。以前、ケーキ屋の前で商品を眺めていただけなのに、店主が震えながら『金ならレジの中にあります!』と叫んだこともある」
「あはははは! お腹、お腹が痛いですわ!」
私は涙が出るほど笑いました。
アレン様の前では決して見せられなかった、心からの大笑いです。
ギルバート様はむっとした顔をしていましたが、私が笑い続けるのを見て、やがてつられるように小さく笑いました。
「……貴殿は、変わっているな」
「そうですか?」
「私を恐れない令嬢は初めてだ。それに、あんな大騒動の直後に、こうして笑っていられるとは」
「泣いても笑っても、現実は変わりませんもの。なら、笑って美味しいものを食べた方がお得でしょう?」
私がウィンクをしてみせると、ギルバート様は眩しそうに目を細めました。
「……強いな、ニナリー嬢は」
「いいえ、図太いだけですわ」
揺れる馬車の中、甘い香りと笑い声が満ちていきます。
王都での嫌な記憶が、急速に薄れていくのを感じました。
ふと窓の外を見ると、日は西に傾き始めていました。
「お嬢様、そろそろ宿場町が見えてまいります」
セバスチャンの声に、私は伸びをしました。
「今日の宿はどんなところかしら」
「街道沿いですが、料理が評判の宿だそうです。特に煮込み料理が」
「肉料理か。悪くない」
ギルバート様が即座に反応しました。
さっきまで甘味の話をしていたのに、もう夕食の心配です。
私は思わず吹き出しそうになりながら言いました。
「では、今夜は騎士団長様と元悪役令嬢の、ささやかな宴といたしましょうか」
「……悪くない提案だ」
氷の騎士様は、今度は隠すことなく、穏やかに微笑んでくれました。
それは、どんな宝石よりも魅力的な、不器用で優しい笑顔でした。
窓の外にはのどかな田園風景が広がっていますが、車内の空気は依然として張り詰めたままです。
向かいに座るギルバート様は、まるで彫像のように動きません。
組んだ腕、閉じられた目、そして引き結ばれた口元。
時折、馬車が大きな石に乗り上げてガタンと揺れる時だけ、彼の太い眉がピクリと動きます。
(……暇だわ)
私は心の中で盛大に嘆息しました。
本を読むにも酔いそうだし、外の景色も見飽きました。
何より、目の前の氷山のような騎士様が気になって仕方がありません。
先ほどクッキーを渡した時の、あの一瞬の目の輝き。
あれは私の見間違いだったのでしょうか。
(いえ、私の観察眼はアレン様の浮気を見抜くほど鋭いのよ。絶対に何かあるはずだわ)
私は作戦を変更することにしました。
「……ふぁ」
わざとらしくあくびを一つ。
「少し眠くなってしまいましたわ。セバスチャン、起こさないでね」
「承知いたしました、お嬢様」
私は座席のクッションに頭を預け、ゆっくりと目を閉じました。
寝息を整え、完全に熟睡しているフリを決め込みます。
視界は闇に包まれましたが、その分、聴覚が研ぎ澄まされます。
車輪の音、馬の蹄の音、そして……。
ゴソッ。
衣擦れの音がしました。
(動いた!)
私は呼吸を乱さないように細心の注意を払います。
気配からして、ギルバート様が体勢を崩したようです。
彼はこちらを窺っているのでしょうか。
しばらくの沈黙の後、再びゴソゴソという音が聞こえました。
どうやら、懐から何かを取り出しているようです。
(短剣? まさか暗殺? いや、それならもっと静かにやるはずよね)
カサリ、という乾いた音。
それは紙袋を開ける音でした。
続いて、サクッ、サクッという軽快な咀嚼音。
(……食べた!)
私は薄目を開けて状況を確認したい衝動に駆られましたが、ここは我慢です。
相手は騎士団長。
気配を察知される恐れがあります。
「……ん」
私は寝言を装って少し身じろぎしました。
咀嚼音がピタリと止まります。
数秒の静寂。
私が再び動かなくなると、彼は安堵したように小さく息を吐きました。
「……ふぅ」
そして、先ほどよりもリラックスした様子で、サクサクと音を立て始めました。
今だ!
私はカッと目を見開きました。
「美味しいですの?」
「ブッ!!」
ギルバート様が盛大に吹き出しました。
咳き込みながら慌てて口元を覆いますが、もう手遅れです。
彼の手には、私が先ほど渡したクッキーの袋が握られていました。
そして何より衝撃的だったのは、その表情です。
あの氷のような無表情が崩れ去り、頬を赤らめ、目を見開いて硬直しています。
口の端には、クッキーの食べかすがちょこんと付いていました。
「あ……いや、これは……」
「寝たふりをしていて申し訳ありません。でも、あまりにも美味しそうな音が聞こえてきたものですから」
私は悪戯っぽく微笑みながら、身体を起こしました。
ギルバート様は、戦場で敵に囲まれた時よりも焦っているように見えます。
「ち、違うのです。これは、その……貴殿が寝ている間に、毒味の続きを……」
「毒味? 三時間も経ってから?」
「そ、それは……遅効性の毒の可能性を考慮して……」
「ふふっ、苦しい言い訳ですわね」
私は扇で口元を隠し、肩を震わせて笑いました。
「正直に仰ってくださいな。甘いものがお好きなのでしょう?」
ギルバート様は観念したように肩を落としました。
その姿は、巨大な熊が小さくなっているようで、なんだか可愛らしく見えてきます。
「……騎士団長としての威厳に関わるため、他言無用に願いたい」
「あら、脅しですの?」
「頼み、だ」
彼は真剣な眼差しで私を見つめました。
「部下たちには『甘いものなど軟弱な男が好むものだ』と指導している手前、知られるわけにはいかないのだ」
「なるほど。氷の騎士様にも、そんな秘密があったのですね」
私はニヤリと笑いました。
これは使える。
弱みを握った、というわけではありませんが、交渉の材料にはなりそうです。
「わかりましたわ。このことは二人だけの秘密にしましょう」
「本当か!?」
「ええ。その代わり……」
私はバスケットから、さらに別の包みを取り出しました。
「これから領地に着くまで、私のお茶会に付き合ってくださいな。一人で食べるおやつほど味気ないものはありませんもの」
そう言って差し出したのは、高級茶葉を使ったパウンドケーキです。
ギルバート様の喉がゴクリと鳴りました。
「……それだけか?」
「ええ。それと、美味しいお店の情報交換ができれば最高ですわね」
「……王都の三番街にある『黒猫亭』の蜂蜜タルトは絶品だ」
「! あそこ、気になっていましたの! いつも行列で入れなくて」
「裏口から入れば並ばずに買える。店主が私の剣の師匠でな」
「まあ! 素晴らしいコネクションをお持ちですのね!」
気がつけば、私たちは身を乗り出して話し込んでいました。
セバスチャンが「やれやれ」といった顔でポットから紅茶を注いでくれます。
「どうぞ、ギルバート様」
「かたじけない」
渡されたカップを大きな手で包み込むように持ち、彼は一口啜りました。
そして、パウンドケーキを口に運びます。
その瞬間、彼の周りに幻覚の花が咲いたように見えました。
強面の皺が伸び、目尻が下がり、なんとも幸せそうな顔になるのです。
(……ギャップ萌えって、こういうことを言うのかしら)
私は内心でときめきを覚えつつ、自分の紅茶を飲みました。
「それにしても、ギルバート様。そんなに甘いものがお好きなら、堂々としていればよろしいのに」
「……私の顔を見ればわかるだろう」
彼は自嘲気味に笑いました。
「この顔で『マカロンが好きだ』などと言えば、店員が悲鳴を上げて逃げ出すか、裏の意味があるのではないかと勘繰られるのがオチだ」
「裏の意味?」
「『マカロン(隠語で心臓)』をよこせ、とか」
「ぶっ!」
今度は私が吹き出す番でした。
「なんですかそれ! 傑作ですわ!」
「笑い事ではない。以前、ケーキ屋の前で商品を眺めていただけなのに、店主が震えながら『金ならレジの中にあります!』と叫んだこともある」
「あはははは! お腹、お腹が痛いですわ!」
私は涙が出るほど笑いました。
アレン様の前では決して見せられなかった、心からの大笑いです。
ギルバート様はむっとした顔をしていましたが、私が笑い続けるのを見て、やがてつられるように小さく笑いました。
「……貴殿は、変わっているな」
「そうですか?」
「私を恐れない令嬢は初めてだ。それに、あんな大騒動の直後に、こうして笑っていられるとは」
「泣いても笑っても、現実は変わりませんもの。なら、笑って美味しいものを食べた方がお得でしょう?」
私がウィンクをしてみせると、ギルバート様は眩しそうに目を細めました。
「……強いな、ニナリー嬢は」
「いいえ、図太いだけですわ」
揺れる馬車の中、甘い香りと笑い声が満ちていきます。
王都での嫌な記憶が、急速に薄れていくのを感じました。
ふと窓の外を見ると、日は西に傾き始めていました。
「お嬢様、そろそろ宿場町が見えてまいります」
セバスチャンの声に、私は伸びをしました。
「今日の宿はどんなところかしら」
「街道沿いですが、料理が評判の宿だそうです。特に煮込み料理が」
「肉料理か。悪くない」
ギルバート様が即座に反応しました。
さっきまで甘味の話をしていたのに、もう夕食の心配です。
私は思わず吹き出しそうになりながら言いました。
「では、今夜は騎士団長様と元悪役令嬢の、ささやかな宴といたしましょうか」
「……悪くない提案だ」
氷の騎士様は、今度は隠すことなく、穏やかに微笑んでくれました。
それは、どんな宝石よりも魅力的な、不器用で優しい笑顔でした。
あなたにおすすめの小説
幼馴染しか見えない婚約者と白い結婚したので、夜明け前にさよならしました
ゆぷしろん
恋愛
公爵令嬢レティシアは、家同士の都合で伯爵アルフレッドに嫁ぐ。
けれど夫は結婚後もずっと幼馴染のシルヴィばかりを優先し、婚礼の夜から夫婦として触れ合おうともしなかった。名ばかりの妻として伯爵家を支え、領地経営まで立て直しても、彼にとってレティシアは“都合のいい伯爵夫人”でしかない。
やがて結婚一周年の夜、アルフレッドが自分を手放す気はない一方で、幼馴染を屋敷に迎え入れようとしている会話を聞いてしまったレティシアは、ついに決意する。
――もう、この結婚には見切りをつけよう。
夜明け前、彼女は離縁の準備を整え、伯爵邸を出奔。
身を寄せた北の港町で薬舗を手伝いながら、自分の力で生きる穏やかな日々を手に入れていく。そこで出会ったのは、身分ではなく一人の女性として彼女を尊重してくれる青年医師ノアだった。
一方、都合よく尽くしてくれる妻を失ったアルフレッドは、ようやく自分が何を失ったのかを思い知ることになる。
幼馴染ばかりを優先する婚約者との白い結婚に終止符を打ち、傷ついた公爵令嬢が新天地で本当の幸せを掴む、離縁から始まる逆転ラブストーリー。
婚約破棄された私は、号泣しながらケーキを食べた~限界に達したので、これからは自分の幸せのために生きることにしました~
キョウキョウ
恋愛
幼い頃から辛くて苦しい妃教育に耐えてきたオリヴィア。厳しい授業と課題に、何度も心が折れそうになった。特に辛かったのは、王妃にふさわしい体型維持のために食事制限を命じられたこと。
とても頑張った。お腹いっぱいに食べたいのを我慢して、必死で痩せて、体型を整えて。でも、その努力は無駄になった。
婚約相手のマルク王子から、無慈悲に告げられた別れの言葉。唐突に、婚約を破棄すると言われたオリヴィア。
アイリーンという令嬢をイジメたという、いわれのない罪で責められて限界に達した。もう無理。これ以上は耐えられない。
そしてオリヴィアは、会場のテーブルに置いてあったデザートのケーキを手づかみで食べた。食べながら泣いた。空腹の辛さから解放された気持ちよさと、ケーキの美味しさに涙が出たのだった。
※本作品は、少し前に連載していた試作の完成版です。大まかな展開や設定は、ほぼ変わりません。加筆修正して、完成版として連載します。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです
唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。
すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。
「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて――
一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。
今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。
全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。
さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。
“私さえいなくなれば、皆幸せになれる”
そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。
一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。
そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは…
龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。
ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。
よろしくお願いいたします。
※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。
大人しい令嬢は怒りません。ただ二年間、準備していただけです。――婚約解消の申請が受理されましたので、失礼いたします
柴田はつみ
恋愛
婚約者に、誕生日を忘れられた。
正確には、忘れられたわけではない。
エドワード・ヴァルト公爵はちゃんと覚えていた。
記念のディナーも、予約していた。
薔薇だって、一輪、用意していた。
ただ――幼馴染のクロエ・アンセル伯爵令嬢から使いが来た瞬間、全部置いて行ってしまっただけだ。
「すぐ戻る」
彼が戻ったのは、三時間後だった。
蝋燭は溶け切り、料理は冷え、ワインは乾いていた。
それでもリーゼロッテ・フォン・アルテンベルクは、笑顔で座って待っていた。
「ええ、大丈夫でございます。お気遣いなく」
完璧な微笑みで、完璧にそう言った。
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ
夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」
華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。