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2/3:強力
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銀色の鎧は日の光を受けると煌びやかに輝く。揺らめく炎も銀色に揺らめき、その異様な炎を見るサソリは警戒を怠らない。拳を固めた融合体は一瞬にして距離を詰めサソリの顔面を殴りつける。地面に一度バウンドしたサソリは体勢を調整しながら尻尾を伸ばして融合体の拘束を試みる。
「炎化魔装。」
銀色の炎は勢いを増してサソリの尻尾を拒絶する。そのまま体勢を整えたサソリへ再び距離を詰めて拳を振りかぶる。サソリはすぐに拳を避けて距離を離しながら融合体の背後へ尻尾を伸ばすが、融合体はノールックでその尻尾を避けて捕まえる。そのまま尻尾を引っ張ってサソリを引き寄せ、固めていた拳へ魔力を充填させ殴りつける。
「紅。」
サソリを殴りつける一瞬、銀色の炎は赤く一閃を描く。サソリは拳が当たる刹那、尻尾を切り離して何とか融合体の紅を躱す。距離を取って体勢と息を整えようとする。対面すると改めてその魔力量と異常な雰囲気に圧倒される。
「また、逃げる気か?俺は別にいいんだが、この町の人間に危害を加えてもらっちゃ困るんでな。狙うなら俺だけにしてほしいね。」
「強者の余裕……理由も納得できるもの……ふふッ気持ち悪いですねぇ……」
「で、がたがた言ってるけど、来るの?来ないの?どっち?」
サソリは殺気を解除し、そのまま尻尾を地面にたたきつけて土埃を起こして姿をくらました。融合体は確かに気配が消えたか確認して魔装を解除し、直後、拘束される。体全体が何かにぐるぐる巻きにされ、身動きが取れなくなりその場で倒れる。日に当たるきらめきと体に食い込む痛みから自分を拘束しているのがワイヤーだと理解し、降り立った三人の影に目を向ける。そこには魔法術対策機関の班長が三人そろい踏みだった。
「なんで、拘束を?」
「いや、町中でそんな異常な魔力を放出されちゃうとさ~みんなびっくりしちゃうからさ。」
「……自分の置かれている状況が分かってないようだな。」
「なんでこんな町中で魔装なんて……」
融合体は長考の痕に口を開く。
「……実は、銀色の魔族の集団に追われている。さっきもサソリのやつに襲われた。」
「銀色の魔族集団……」
「でもでも~幹部とかその他は木っ端みじんでしょ?なんで今頃?」
「いや、答えは出てるだろ。優吾を狙ってるに決まってるだろ。正確には優吾の中のギンロだろ。」
一心は融合体へしゃがんで顔を近づけ、ため息を吐きながら担ぎ上げる。融合体はバタバタと嫌がるそぶりを見せるが、そんなのお構いなしに歩き始める。
「とりあえず、ここで駄弁ってても意味ないだろ。帰るぞ。」
「離せ、あんたらのところにいても迷惑をかけるだけだ。」
「散々迷惑かけておいて何ってんの~?君は一応保護観察下にあるんだから、しばらくはこっちであの子たちとゆっくりしててよ。」
「……と言うわけだからさ、今は言うことを聞いてほしいな。」
「……あんたの頼みなら仕方ない。」
融合体は黙って担がれて魔法術対策機関本部へ連れ戻された。
─────────────
焼けこげる森と金属とその他の匂いで目が覚める。全身が痛いような気がするが体を起こそうとするも動かない。ここはどこだ?と言うのがまず感想と、あと一つ。俺は誰だ?今までの記憶がない。と言うよりは記憶が二つある。人間の記憶と魔族の記憶。人間の記憶では魔力がない普通の高校生をしており、だが、胸にある霊石のせいで色々なことに首を突っ込んでいたようだ。魔族の記憶では人間をこの世からなくし魔族だけの世界を創ろうと奔走していた司祭?教祖?だったようだ。そして二つの共通している記憶は互いに憎み合っていると言うことだ。
俺は、この二人が一つになって生まれたと言う認識でいいのだろうか。記憶と記録と感情とそれぞれが混ざり、頭が混乱する。この二人は、俺ではない。と言う認識でいいのだろうか。ならば、俺は…なんだ?今ここに存在している俺は…なんなのだ?人間なのか?魔族なのか?なんで、俺はここに存在している?この意識は、人間のものか、魔族のものか…いや、考えるのは止めよう。俺は、森の中を歩き出して町を目指した。だが、森の中から出られずに、奇妙な集団と出会った。
「ギンロ、迎えに来ました。」
「誰だ?俺は、誰でもない。と言うか、何も考えさせないでくれ。」
「はははッ…嫌ですね~かつての仲間に向かって誰だって……」
近づいてくる虫のような男に対して俺は、自然と距離を取り伸びてきた手に対して叩いてはたき落とす。
「……あなたは今混乱しているだけです。我々の元へ来れば、安定できます。」
「嘘は言ってないんだろうが、なんか信用できないんだよな。あんた。」
「心外ですね。私は一番信頼されていたはずですよ。」
こいつは嘘は付かないが、必ず裏切ると頭の中で直感すると俺はさらに距離を取る。
「どこかであの人間の拒否反応が出ているのでしょうか……それとも……」
虫男は距離を詰めてくると蠍の尻尾を伸ばして針を刺そうとしてきた。とっさに体を動かして俺はそれを避ける。
「……お前、俺を刺そうとしたな?」
「それはあなたが逃げるからですよ。逃げずに大人しく私の元へ来れば何も危害は加えない。」
「……分かったぜ。あんたが信用できない理由。あんた、俺の中にいる魔族を裏切っているな?それで、体が拒否反応を示しているんだ。」
虫男は俺のその言葉を聞くと苦虫を噛みつぶしたように顔をゆがめて後ろに下がりつつ背後にいた銀色の魔族へ指示を出した。
「少しいたぶって差し上げなさい。」
無言で銀色の魔族たちが俺に迫ってくる。俺は多勢に勝てると思えずにすぐ踵を返して逃走した。走ってみると案外逃げられるもので、森の中を駆け巡る。しかし、魔族たちも俺に追いつき攻撃を仕掛けてくる。爪や牙の攻撃を避けながら俺はどうすればいいかを考える。逃げ場をなくし追いつめられると頭の中で声が響いた。
『イシを使え。』
声とともに胸元に違和感があることを感じ取り出してみる。青く光るターコイズブルーの石を見て頭の中に流れる詠唱を口に出した。
「魔装。」
これが、融合体として俺が初めて魔装した瞬間だ。
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「炎化魔装。」
銀色の炎は勢いを増してサソリの尻尾を拒絶する。そのまま体勢を整えたサソリへ再び距離を詰めて拳を振りかぶる。サソリはすぐに拳を避けて距離を離しながら融合体の背後へ尻尾を伸ばすが、融合体はノールックでその尻尾を避けて捕まえる。そのまま尻尾を引っ張ってサソリを引き寄せ、固めていた拳へ魔力を充填させ殴りつける。
「紅。」
サソリを殴りつける一瞬、銀色の炎は赤く一閃を描く。サソリは拳が当たる刹那、尻尾を切り離して何とか融合体の紅を躱す。距離を取って体勢と息を整えようとする。対面すると改めてその魔力量と異常な雰囲気に圧倒される。
「また、逃げる気か?俺は別にいいんだが、この町の人間に危害を加えてもらっちゃ困るんでな。狙うなら俺だけにしてほしいね。」
「強者の余裕……理由も納得できるもの……ふふッ気持ち悪いですねぇ……」
「で、がたがた言ってるけど、来るの?来ないの?どっち?」
サソリは殺気を解除し、そのまま尻尾を地面にたたきつけて土埃を起こして姿をくらました。融合体は確かに気配が消えたか確認して魔装を解除し、直後、拘束される。体全体が何かにぐるぐる巻きにされ、身動きが取れなくなりその場で倒れる。日に当たるきらめきと体に食い込む痛みから自分を拘束しているのがワイヤーだと理解し、降り立った三人の影に目を向ける。そこには魔法術対策機関の班長が三人そろい踏みだった。
「なんで、拘束を?」
「いや、町中でそんな異常な魔力を放出されちゃうとさ~みんなびっくりしちゃうからさ。」
「……自分の置かれている状況が分かってないようだな。」
「なんでこんな町中で魔装なんて……」
融合体は長考の痕に口を開く。
「……実は、銀色の魔族の集団に追われている。さっきもサソリのやつに襲われた。」
「銀色の魔族集団……」
「でもでも~幹部とかその他は木っ端みじんでしょ?なんで今頃?」
「いや、答えは出てるだろ。優吾を狙ってるに決まってるだろ。正確には優吾の中のギンロだろ。」
一心は融合体へしゃがんで顔を近づけ、ため息を吐きながら担ぎ上げる。融合体はバタバタと嫌がるそぶりを見せるが、そんなのお構いなしに歩き始める。
「とりあえず、ここで駄弁ってても意味ないだろ。帰るぞ。」
「離せ、あんたらのところにいても迷惑をかけるだけだ。」
「散々迷惑かけておいて何ってんの~?君は一応保護観察下にあるんだから、しばらくはこっちであの子たちとゆっくりしててよ。」
「……と言うわけだからさ、今は言うことを聞いてほしいな。」
「……あんたの頼みなら仕方ない。」
融合体は黙って担がれて魔法術対策機関本部へ連れ戻された。
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焼けこげる森と金属とその他の匂いで目が覚める。全身が痛いような気がするが体を起こそうとするも動かない。ここはどこだ?と言うのがまず感想と、あと一つ。俺は誰だ?今までの記憶がない。と言うよりは記憶が二つある。人間の記憶と魔族の記憶。人間の記憶では魔力がない普通の高校生をしており、だが、胸にある霊石のせいで色々なことに首を突っ込んでいたようだ。魔族の記憶では人間をこの世からなくし魔族だけの世界を創ろうと奔走していた司祭?教祖?だったようだ。そして二つの共通している記憶は互いに憎み合っていると言うことだ。
俺は、この二人が一つになって生まれたと言う認識でいいのだろうか。記憶と記録と感情とそれぞれが混ざり、頭が混乱する。この二人は、俺ではない。と言う認識でいいのだろうか。ならば、俺は…なんだ?今ここに存在している俺は…なんなのだ?人間なのか?魔族なのか?なんで、俺はここに存在している?この意識は、人間のものか、魔族のものか…いや、考えるのは止めよう。俺は、森の中を歩き出して町を目指した。だが、森の中から出られずに、奇妙な集団と出会った。
「ギンロ、迎えに来ました。」
「誰だ?俺は、誰でもない。と言うか、何も考えさせないでくれ。」
「はははッ…嫌ですね~かつての仲間に向かって誰だって……」
近づいてくる虫のような男に対して俺は、自然と距離を取り伸びてきた手に対して叩いてはたき落とす。
「……あなたは今混乱しているだけです。我々の元へ来れば、安定できます。」
「嘘は言ってないんだろうが、なんか信用できないんだよな。あんた。」
「心外ですね。私は一番信頼されていたはずですよ。」
こいつは嘘は付かないが、必ず裏切ると頭の中で直感すると俺はさらに距離を取る。
「どこかであの人間の拒否反応が出ているのでしょうか……それとも……」
虫男は距離を詰めてくると蠍の尻尾を伸ばして針を刺そうとしてきた。とっさに体を動かして俺はそれを避ける。
「……お前、俺を刺そうとしたな?」
「それはあなたが逃げるからですよ。逃げずに大人しく私の元へ来れば何も危害は加えない。」
「……分かったぜ。あんたが信用できない理由。あんた、俺の中にいる魔族を裏切っているな?それで、体が拒否反応を示しているんだ。」
虫男は俺のその言葉を聞くと苦虫を噛みつぶしたように顔をゆがめて後ろに下がりつつ背後にいた銀色の魔族へ指示を出した。
「少しいたぶって差し上げなさい。」
無言で銀色の魔族たちが俺に迫ってくる。俺は多勢に勝てると思えずにすぐ踵を返して逃走した。走ってみると案外逃げられるもので、森の中を駆け巡る。しかし、魔族たちも俺に追いつき攻撃を仕掛けてくる。爪や牙の攻撃を避けながら俺はどうすればいいかを考える。逃げ場をなくし追いつめられると頭の中で声が響いた。
『イシを使え。』
声とともに胸元に違和感があることを感じ取り出してみる。青く光るターコイズブルーの石を見て頭の中に流れる詠唱を口に出した。
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