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2/4:罠
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逃走してきたサソリは路地裏で膝をつき、先ほどの戦闘のダメージを落ち着かせる。
「やはり、私だけではどうにもならないですねぇ…。」
おもむろに立ち上がると派手な柄のシャツを着た褐色の男を先頭にして歩いてくる集団と目が合う。集団はニヤニヤとしながらサソリに近づき物珍しそうに声をかけてくる。
「おにぃさんどうしたの?そんなボロボロで、喧嘩でボロ負けしちゃった?」
「……うるさい奴らですねに……」
「え?何か言った?ていうかさ。ここいらって俺らが仕切っているわけ。怪我人でもさ、縄なりに入ってこられると困るの。出てってよ。」
サソリはその集団を無視しようと踵を返したが、これからの戦力を考えると目の前にいるこの集団を駒として使うのもいいかも知れないと考え、銀色の液体が入った注射器を取り出して素早く集団の首元に刺してすれ違った。
「なに?なにしたの?」
「……今に分かりますよ。まぁ耐えられればの話ですけどね。」
サソリはそのままビルの上に飛び乗って姿を消し、集団の観察を始めた。集団は路地裏から出てさらに人気のないところへと歩いていく。数時間過ぎた時、5人いた集団は全員倒れてその場で意識を失うの見てさらに観察する。5人は全身をかきむしり始める者や、吐き気でうずくまったままの者などそれぞれ症状が出てその全員が魔族へと変態した。5人は各々自分の体を見回して慌てだす。
「なんだこれ……」
「気持ち悪い……」
「頭痛が痛ぇよ……」
そのうち、一人があふれだす力に耐えられずにその場からすぐに消えた。サソリはその様子を見て残った4人へ近づいた。
─────────────
保護対象となった優吾とギンロの融合体は改めて自分の状態を聞き、融合体自身もジュンとチハヤとどうやって出会ったかを説明した。
「……なるほど、それで銀色の使徒に追われているんだ。」
「記憶に違和感って、頭混乱しそ~ボクなら耐えられないね。」
「ほざけ……それより話を聞くにこいつはギンロでもあるんだよな。俺らに抑えられるのか?」
一心が言い放つと星々が自信をもって言う。
「大丈夫さ。僕が抑えるし、それに優吾君なら抑え込めるでしょ。」
「根拠がない自信はいずれ身を滅ぼすぞ。」
一心は部屋から出てそれを追って四夜華も退出する。残った星々と融合体は改めて聴取しようとするが、いきなり叫ぶ。
「……フィジオ!」
「……いきなりなんですか?」
「君の名前だ。いつまでも融合体とかだと呼びにくいし、でもだからと言って優吾君でもギンロでもない君に双方の名前を呼ぶとこちらも違和感があるし…だから、ラテン語で融合を意味するフジオーネを文字って「フィジオ」……どうかな?」
「いや、まぁ、呼びやすい呼び方でいいですよ。俺は融合体でも優吾でもギンロでもそのすべてに該当するんで。」
「よし、んじゃ、フィジオくんは人間とか魔族とかどう思ってるかな?」
「……どうもなにも、俺はどっちの嫌なところも分かっているから、どちらとも……決める必要ありますか?」
「いや、決める必要ないよ。今のままでいいかもね。」
融合体ことフィジオは疑問に思いながらもその質問を最後に二人は部屋を出る。同時に、警報が鳴り響いた。
『Gブロックにて、銀色の魔族が人々を襲っています。一班は直ちに現場へ向かってください。』
「……呼ばれちゃったみたいだね。それじゃ僕は行くから子供たちは……いや、なんでもない。大人しく待っててね。」
星々はそのまま廊下を走って現場へと向かった。
「……子供たちを頼む。か……」
フィジオはそのままジュンとチハヤの元へと向かい、部屋へ入ると二人は部屋の隅で警報で驚いて震えていた。フィジオは二人の近くに座る。
「どうしたよ。」
「この音、怖い。」
「お兄ちゃん……」
フィジオは駆け寄ってくる二人を洞窟でしていたように抱きしめると、落ち着かせるように背中を軽くポンポンと叩く。
「安心しろ。俺がいる。あと、さっき名前をもらったんだ。フィジオ。これからはそう呼んでもいいぜ。」
「なんか変な名前。」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんでいい。」
「そうかい。」
フィジオは二人を抱きしめながら警報が止むのを待った。
─────────────
Gブロックにて、無差別に人間を襲い、建物を壊す魔族を発見した一班はいつもと違う魔族の様子に気づき、半魔族である夢希と凪はすぐに星々へ報告する。
「おにぃ……アイツおかしい。目的が見えない。」
「ですね。無差別過ぎます。」
そんな三人をよそに彩虹寺が先陣を切って飛び出し、攻撃を仕掛けた。
「五光:劫火……」
赤黒い焔が銀色の魔族へと降り注ぐが、銀色の魔族はその焔を跳ね除けて両手を合わせて魔力弾を連打する。彩虹寺はその向かってくる魔力弾を素手で弾きながら銀色の魔族へ抱きつき再び魔法を放つ。
「七光:龍の伊吹模倣!」
両手から紫の炎が出ると銀色の魔族ごと紫の炎に包まれて二人とも黒焦げになり彩虹寺は魔族から離れ、魔族はそのまま倒れこむ。
「とにかく、今は捕縛だ。目的がなんであれ、捕縛だ。」
無茶苦茶な戦い方に三人は少し戸惑いながらも、気絶している銀色の魔族を拘束して連れて行こうと手を伸ばすと魔族は目を覚まし、近づいていた三人へ魔力弾を飛ばして距離を取る。
「……チッ」
彩虹寺は舌打ちをしながら先ほどと同じ戦法で距離を詰めるが、雪白がそれを制止する。
「綾那さん。もうやめてください。こんな無茶な戦い方…」
「どけ。私はまだやれる。」
彩虹寺は雪白を押しのけようとするが、雪白はそれを力づくで止める。
「放せ。今は任務中だ。」
「任務中に私情を挟んでいるのはあなたでしょう?!」
二人が仲間割れを始めると銀色の魔族はそこへ向かって攻撃を仕掛ける。二人はその攻撃が見えずに魔力弾が命中してしまった。
「二人とも!」
「何やってんの…」
星々と凪は攻撃を受けた二人を助けようと踵を返すと、銀色の魔族は素早くその二人へ魔力弾を放つ。
「しまっ……」
星々は凪を守るため魔力弾からか庇い吹き飛ぶ。
「最悪だ……」
「今日は、ちょっと、チームワークが足りないねぇ……綾那ちゃんと夢希ちゃんは任務終わったら始末書ね。」
星々は三人の前に立ち手を構えた。
2/4:罠
「やはり、私だけではどうにもならないですねぇ…。」
おもむろに立ち上がると派手な柄のシャツを着た褐色の男を先頭にして歩いてくる集団と目が合う。集団はニヤニヤとしながらサソリに近づき物珍しそうに声をかけてくる。
「おにぃさんどうしたの?そんなボロボロで、喧嘩でボロ負けしちゃった?」
「……うるさい奴らですねに……」
「え?何か言った?ていうかさ。ここいらって俺らが仕切っているわけ。怪我人でもさ、縄なりに入ってこられると困るの。出てってよ。」
サソリはその集団を無視しようと踵を返したが、これからの戦力を考えると目の前にいるこの集団を駒として使うのもいいかも知れないと考え、銀色の液体が入った注射器を取り出して素早く集団の首元に刺してすれ違った。
「なに?なにしたの?」
「……今に分かりますよ。まぁ耐えられればの話ですけどね。」
サソリはそのままビルの上に飛び乗って姿を消し、集団の観察を始めた。集団は路地裏から出てさらに人気のないところへと歩いていく。数時間過ぎた時、5人いた集団は全員倒れてその場で意識を失うの見てさらに観察する。5人は全身をかきむしり始める者や、吐き気でうずくまったままの者などそれぞれ症状が出てその全員が魔族へと変態した。5人は各々自分の体を見回して慌てだす。
「なんだこれ……」
「気持ち悪い……」
「頭痛が痛ぇよ……」
そのうち、一人があふれだす力に耐えられずにその場からすぐに消えた。サソリはその様子を見て残った4人へ近づいた。
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保護対象となった優吾とギンロの融合体は改めて自分の状態を聞き、融合体自身もジュンとチハヤとどうやって出会ったかを説明した。
「……なるほど、それで銀色の使徒に追われているんだ。」
「記憶に違和感って、頭混乱しそ~ボクなら耐えられないね。」
「ほざけ……それより話を聞くにこいつはギンロでもあるんだよな。俺らに抑えられるのか?」
一心が言い放つと星々が自信をもって言う。
「大丈夫さ。僕が抑えるし、それに優吾君なら抑え込めるでしょ。」
「根拠がない自信はいずれ身を滅ぼすぞ。」
一心は部屋から出てそれを追って四夜華も退出する。残った星々と融合体は改めて聴取しようとするが、いきなり叫ぶ。
「……フィジオ!」
「……いきなりなんですか?」
「君の名前だ。いつまでも融合体とかだと呼びにくいし、でもだからと言って優吾君でもギンロでもない君に双方の名前を呼ぶとこちらも違和感があるし…だから、ラテン語で融合を意味するフジオーネを文字って「フィジオ」……どうかな?」
「いや、まぁ、呼びやすい呼び方でいいですよ。俺は融合体でも優吾でもギンロでもそのすべてに該当するんで。」
「よし、んじゃ、フィジオくんは人間とか魔族とかどう思ってるかな?」
「……どうもなにも、俺はどっちの嫌なところも分かっているから、どちらとも……決める必要ありますか?」
「いや、決める必要ないよ。今のままでいいかもね。」
融合体ことフィジオは疑問に思いながらもその質問を最後に二人は部屋を出る。同時に、警報が鳴り響いた。
『Gブロックにて、銀色の魔族が人々を襲っています。一班は直ちに現場へ向かってください。』
「……呼ばれちゃったみたいだね。それじゃ僕は行くから子供たちは……いや、なんでもない。大人しく待っててね。」
星々はそのまま廊下を走って現場へと向かった。
「……子供たちを頼む。か……」
フィジオはそのままジュンとチハヤの元へと向かい、部屋へ入ると二人は部屋の隅で警報で驚いて震えていた。フィジオは二人の近くに座る。
「どうしたよ。」
「この音、怖い。」
「お兄ちゃん……」
フィジオは駆け寄ってくる二人を洞窟でしていたように抱きしめると、落ち着かせるように背中を軽くポンポンと叩く。
「安心しろ。俺がいる。あと、さっき名前をもらったんだ。フィジオ。これからはそう呼んでもいいぜ。」
「なんか変な名前。」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんでいい。」
「そうかい。」
フィジオは二人を抱きしめながら警報が止むのを待った。
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Gブロックにて、無差別に人間を襲い、建物を壊す魔族を発見した一班はいつもと違う魔族の様子に気づき、半魔族である夢希と凪はすぐに星々へ報告する。
「おにぃ……アイツおかしい。目的が見えない。」
「ですね。無差別過ぎます。」
そんな三人をよそに彩虹寺が先陣を切って飛び出し、攻撃を仕掛けた。
「五光:劫火……」
赤黒い焔が銀色の魔族へと降り注ぐが、銀色の魔族はその焔を跳ね除けて両手を合わせて魔力弾を連打する。彩虹寺はその向かってくる魔力弾を素手で弾きながら銀色の魔族へ抱きつき再び魔法を放つ。
「七光:龍の伊吹模倣!」
両手から紫の炎が出ると銀色の魔族ごと紫の炎に包まれて二人とも黒焦げになり彩虹寺は魔族から離れ、魔族はそのまま倒れこむ。
「とにかく、今は捕縛だ。目的がなんであれ、捕縛だ。」
無茶苦茶な戦い方に三人は少し戸惑いながらも、気絶している銀色の魔族を拘束して連れて行こうと手を伸ばすと魔族は目を覚まし、近づいていた三人へ魔力弾を飛ばして距離を取る。
「……チッ」
彩虹寺は舌打ちをしながら先ほどと同じ戦法で距離を詰めるが、雪白がそれを制止する。
「綾那さん。もうやめてください。こんな無茶な戦い方…」
「どけ。私はまだやれる。」
彩虹寺は雪白を押しのけようとするが、雪白はそれを力づくで止める。
「放せ。今は任務中だ。」
「任務中に私情を挟んでいるのはあなたでしょう?!」
二人が仲間割れを始めると銀色の魔族はそこへ向かって攻撃を仕掛ける。二人はその攻撃が見えずに魔力弾が命中してしまった。
「二人とも!」
「何やってんの…」
星々と凪は攻撃を受けた二人を助けようと踵を返すと、銀色の魔族は素早くその二人へ魔力弾を放つ。
「しまっ……」
星々は凪を守るため魔力弾からか庇い吹き飛ぶ。
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