67 / 98
2/18:世話
しおりを挟む
守護盾。10歳の男の子で両親がとある宗教にドハマりしてしまい捨てられた。のちに両親は息子を捨てた理由を「信仰心が揺らぐから」と語っていた。
剣岳千剣。守護盾とは異母兄妹である。兄妹と言ってはいるが、クソ父親のせいで同じ時期に生まれたためとても奇妙なことながら異母兄妹で双子である。当然、盾と同じ理由で捨てられている。
今回のお話はそんな双子のはじめてのおつかいの話の前編である。
─────────────
朝、晴山優吾はむくりと身体を起こして異様な温かさを感じて辺りを見渡す。久しぶりの自宅のベッド、左を見れば女児、右を見れば男児、下に目を向けるとペットのカラスが黒くもかわいらしい腹を見せて寝ていた。
「お~い。お前ら~起きろ~」
起きろと言いつつ、ペットのカラス♀ことクロスケを起こさないように優しく抱っこして自分の寝ていたところへ置きながら二人と一匹の肩や腹を揺すって起こす。
「ん~あともうちょっと~」
「おきたくない……」
「かぁ~……」
休みとはいえ今の時刻は縦の直線を回ろうとしている。夜型の人間に育ってはいけないと優吾は少し強めに揺すって二人と一匹を完全に覚醒させる。盾と千剣は渋々といった様子で体を起こして寝ぐせだけの頭を揺らす。クロスケも眠そうな目で体を起こす。
「よし、起きたなお前ら。早速だが、今日は土曜日でもうお昼になってしまっている……ということで、お前ら何が食べたい?」
仁王立ちをする優吾に双子とカラスは目を輝かせて大きな声で料理名を叫ぶ。
「ハンバーグ!」
「ミートソーススパゲッティ!」
「カァ!!カァ!!」
「お前ら、起き抜けにそんな重いもん食ったら夕飯入らんぞ?クロスケに関しては何言ってるかわからんし……」
優吾は小さきものたちを引き連れて階段を下りてリビングダイニングへとやってきて広がる香ばしい匂いにキッチンへ目を向ける。そこにはブランチを作っている彩虹寺が顔をのぞかせる。
「四人とも遅いぞ。もう昼だ。」
「いや~久しぶりのベッドでな~思わず昼まで寝ちまったってわけよ~……それよりも、お昼は何を作ってるんだ?」
「今日のお昼は私手製のソースでさっぱり仕上げる冷やし中華だ。今はトッピングのひき肉を炒めているところだ。」
「何か手伝えることはないか?」
「今のところないな……強いて言えば、秘伝のソースに必要なものがないといったところだな……」
「秘伝のソース?ってなんだ?」
「我が家限定なんだが、しょうゆ、みりん、酢、塩、こしょうなどを混ぜ合わせて作るソース、その中で肝になるしょうゆなんだが、この家になくてな。」
「醤油?どこの?」
「隣町にある大豆屋「はじめ」にある醤油だ。我が家では冷やし中華限定でその醤油を買っているほどだ。」
「お、おう……確かにうちにはそんなこだわりの醤油は確かにないな。他には?」
「そうだな、あとは、スダチかな。さっぱり感に必要欠かせない。」
優吾は双子を見つめて少し考えた後、何かを閃いたように口角を上げて彩虹寺に耳打ちして目を合わせる。
「……しかし、それは……」
「俺とクロスケでがちゃんとフォローするからよ…な?」
彩虹寺は少し考えた後に優吾と目を合わせてふと別のことを考える。その瞬間、顔が一気に熱くなるのを感じて思わず目を背けて答えを出す。
「い、いいだろう。ただし私も同行する。そして、私が危険だと感じた時はすぐに二人を助ける。いいな?」
優吾は小学生男児のように瞳を輝かせて無邪気な笑顔を見せる。そんな笑顔に彩虹寺は呆れたようにしかし少し嬉しそうに表情が緩んだ。優吾は嬉々として双子とカラスを招集して「はじめてのおつかい作戦」を伝える。
「というわけで、双子には隣町までとある醤油を買ってきてもらいたい。」
「「わかった!」」
元気な返事をした二人は早速おつかいの準備をし始める。その後姿を見て彩虹寺も二人分の水筒を準備する。双子が準備をする姿を見て優吾はふと彩虹寺へ視線を送りながら無意識につぶやいた。
「なんか、家族みたいだな。」
「は?」
「いや、子供が二人いて、お前もなんか母親みたいだし。」
「は、はぁ?!な、なな何を……言って……」
彩虹寺は赤面を見せると優吾も自分のつぶやいたことにだんだんと赤面していく。
「あ、あの、あれだ、ほら、あれだよ……あの……あれだ……」
「あれだよな?はははっ」
二人とも絶妙で微妙な空気になりながら双子が来るのを待った。クロスケはそんな二人を見てあきれた様子で頭をかく。
「カァ……」
数分後、準備が完了した双子が再びリビングへ入ってきた。彩虹寺は二人分の水筒を手渡して菓子パンを一個ずつ食べさせる。
「一応、寝起きだからな。二人とも腹八分目近くまでは食べなさい。」
双子は菓子パンを食べながらうなずき今度こそ準備を完了させた。そして、玄関まで双子と一緒に来て、地図を手渡す。
「いいか?道に迷ったら近くの大人に頼るんだぞ?」
「「うん!!分かった。」」
無邪気な返事と共に双子は元気よく玄関を飛び出した。二人が見えるか見えないかくらいの距離になると優吾と彩虹寺は双子の後をついていく。
2/18:世話
剣岳千剣。守護盾とは異母兄妹である。兄妹と言ってはいるが、クソ父親のせいで同じ時期に生まれたためとても奇妙なことながら異母兄妹で双子である。当然、盾と同じ理由で捨てられている。
今回のお話はそんな双子のはじめてのおつかいの話の前編である。
─────────────
朝、晴山優吾はむくりと身体を起こして異様な温かさを感じて辺りを見渡す。久しぶりの自宅のベッド、左を見れば女児、右を見れば男児、下に目を向けるとペットのカラスが黒くもかわいらしい腹を見せて寝ていた。
「お~い。お前ら~起きろ~」
起きろと言いつつ、ペットのカラス♀ことクロスケを起こさないように優しく抱っこして自分の寝ていたところへ置きながら二人と一匹の肩や腹を揺すって起こす。
「ん~あともうちょっと~」
「おきたくない……」
「かぁ~……」
休みとはいえ今の時刻は縦の直線を回ろうとしている。夜型の人間に育ってはいけないと優吾は少し強めに揺すって二人と一匹を完全に覚醒させる。盾と千剣は渋々といった様子で体を起こして寝ぐせだけの頭を揺らす。クロスケも眠そうな目で体を起こす。
「よし、起きたなお前ら。早速だが、今日は土曜日でもうお昼になってしまっている……ということで、お前ら何が食べたい?」
仁王立ちをする優吾に双子とカラスは目を輝かせて大きな声で料理名を叫ぶ。
「ハンバーグ!」
「ミートソーススパゲッティ!」
「カァ!!カァ!!」
「お前ら、起き抜けにそんな重いもん食ったら夕飯入らんぞ?クロスケに関しては何言ってるかわからんし……」
優吾は小さきものたちを引き連れて階段を下りてリビングダイニングへとやってきて広がる香ばしい匂いにキッチンへ目を向ける。そこにはブランチを作っている彩虹寺が顔をのぞかせる。
「四人とも遅いぞ。もう昼だ。」
「いや~久しぶりのベッドでな~思わず昼まで寝ちまったってわけよ~……それよりも、お昼は何を作ってるんだ?」
「今日のお昼は私手製のソースでさっぱり仕上げる冷やし中華だ。今はトッピングのひき肉を炒めているところだ。」
「何か手伝えることはないか?」
「今のところないな……強いて言えば、秘伝のソースに必要なものがないといったところだな……」
「秘伝のソース?ってなんだ?」
「我が家限定なんだが、しょうゆ、みりん、酢、塩、こしょうなどを混ぜ合わせて作るソース、その中で肝になるしょうゆなんだが、この家になくてな。」
「醤油?どこの?」
「隣町にある大豆屋「はじめ」にある醤油だ。我が家では冷やし中華限定でその醤油を買っているほどだ。」
「お、おう……確かにうちにはそんなこだわりの醤油は確かにないな。他には?」
「そうだな、あとは、スダチかな。さっぱり感に必要欠かせない。」
優吾は双子を見つめて少し考えた後、何かを閃いたように口角を上げて彩虹寺に耳打ちして目を合わせる。
「……しかし、それは……」
「俺とクロスケでがちゃんとフォローするからよ…な?」
彩虹寺は少し考えた後に優吾と目を合わせてふと別のことを考える。その瞬間、顔が一気に熱くなるのを感じて思わず目を背けて答えを出す。
「い、いいだろう。ただし私も同行する。そして、私が危険だと感じた時はすぐに二人を助ける。いいな?」
優吾は小学生男児のように瞳を輝かせて無邪気な笑顔を見せる。そんな笑顔に彩虹寺は呆れたようにしかし少し嬉しそうに表情が緩んだ。優吾は嬉々として双子とカラスを招集して「はじめてのおつかい作戦」を伝える。
「というわけで、双子には隣町までとある醤油を買ってきてもらいたい。」
「「わかった!」」
元気な返事をした二人は早速おつかいの準備をし始める。その後姿を見て彩虹寺も二人分の水筒を準備する。双子が準備をする姿を見て優吾はふと彩虹寺へ視線を送りながら無意識につぶやいた。
「なんか、家族みたいだな。」
「は?」
「いや、子供が二人いて、お前もなんか母親みたいだし。」
「は、はぁ?!な、なな何を……言って……」
彩虹寺は赤面を見せると優吾も自分のつぶやいたことにだんだんと赤面していく。
「あ、あの、あれだ、ほら、あれだよ……あの……あれだ……」
「あれだよな?はははっ」
二人とも絶妙で微妙な空気になりながら双子が来るのを待った。クロスケはそんな二人を見てあきれた様子で頭をかく。
「カァ……」
数分後、準備が完了した双子が再びリビングへ入ってきた。彩虹寺は二人分の水筒を手渡して菓子パンを一個ずつ食べさせる。
「一応、寝起きだからな。二人とも腹八分目近くまでは食べなさい。」
双子は菓子パンを食べながらうなずき今度こそ準備を完了させた。そして、玄関まで双子と一緒に来て、地図を手渡す。
「いいか?道に迷ったら近くの大人に頼るんだぞ?」
「「うん!!分かった。」」
無邪気な返事と共に双子は元気よく玄関を飛び出した。二人が見えるか見えないかくらいの距離になると優吾と彩虹寺は双子の後をついていく。
2/18:世話
0
あなたにおすすめの小説
借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった
夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
(完結)姑が勝手に連れてきた第二夫人が身籠ったようですが、夫は恐らく……
泉花ゆき
恋愛
蘭珠(ランジュ)が名門である凌家の嫡男、涼珩(リャンハン)に嫁いで一年ほど経ったころ。
一向に後継ぎが出来ないことに業を煮やした夫の母親は、どこからか第二夫人として一人の女性を屋敷へ連れてくる。
やがてその女が「子が出来た」と告げると、姑も夫も大喜び。
蘭珠の実家が商いで傾いたことを口実に、彼女には離縁が言い渡される。
……けれど、蘭珠は知っていた。
夫の涼珩が、「男女が同じ寝台で眠るだけで子ができる」と本気で信じているほど無知だということを。
どんなトラブルが待っているか分からないし、離縁は望むところ。
嫁ぐ時に用意した大量の持参金は、もちろん引き上げさせていただきます。
※ゆるゆる設定です
※以前上げていた作の設定、展開を改稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
辺境の落ちこぼれと呼ばれた少年、実は王も龍も跪く最強でした
たまごころ
ファンタジー
村で「落ちこぼれ」と呼ばれた少年アレン。魔法も剣も使えず、追放される運命だった。
だが彼の力は、世界の理そのものに干渉する“神級スキル”だった。
自覚のないまま危機を救い、美女を助け、敵を粉砕し、気づけば各国の王も、竜すらも彼に頭を下げる。
勘違いと優しさと恐るべき力が織りなす、最強無自覚ハーレムファンタジー、ここに開幕!
追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜
音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった!
スキルスキル〜何かな何かな〜
ネットスーパー……?
これチートでしょ!?
当たりだよね!?
なになに……
注文できるのは、食材と調味料だけ?
完成品は?
カップ麺は?
え、私料理できないんだけど。
──詰みじゃん。
と思ったら、追放された料理人に拾われました。
素材しか買えない転移JK
追放された料理人
完成品ゼロ
便利アイテムなし
あるのは、調味料。
焼くだけなのに泣く。
塩で革命。
ソースで敗北。
そしてなぜかペンギンもいる。
今日も異世界で、
調味料無双しちゃいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる