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2/17:復帰
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懐かしい雰囲気の鎧の戦士に彩虹寺は気合で意識を保ちながら隣に立つ。
「君ってやつは……全く。」
「いや~、こちとら不良なもんで…ていうか、なんか大人びたな…いや、やつれたって言った方が正しいか?」
「余計なお世話だ……それより、今は任務に集中だ。積もった話もその後だ。」
背中合わせ手二人は互いに構える。優吾は拳を固めるや否や前に出てユスリへ攻撃を仕掛ける。
「散々やってくれたよな?今度はこっちの番だ!」
ユスリが針を取り出す余裕を与えずに拳と蹴りで連打をする。ユスリは優吾の猛攻に手も足も出ずに防戦一方となる。そんな背後にシバが槍を持って迫る。槍先が優吾の背中へ当たる寸前、彩虹寺が魔法を撃ち優吾に気づかせる。
「さんきゅ」
「戦いの方はフィジオの方がやりやすいな。」
「ほう、言ってくれるじゃん。俺だって、お前に合わせることなんて造作もないんだぜ。」
そう言うと優吾は彩虹寺の隣へ移動して彩虹寺が拳を固めるのを待つ。彩虹寺は優吾の態度に呆れながらも拳を固め、炎をまとわせて構える。
「しゃ、行くか!」
「ほんと、身勝手だな……まぁいい……行こう。」
二人は一緒に一歩を踏み出し走る。先ほどと雰囲気が変わった二人にシバとユスリは軽く作戦会議をする。
「どうしますか?」
「どうもこうも、融合体狙って針を投げろ。俺もそれに合わせる。」
銀色の魔族二匹も一緒に息を合わせて走る。ユスリが針を取り出して見るからに隙だらけの優吾へ麻痺毒の針を投げる。それを目にした彩虹寺は拳を前に出して纏わせている焔でその針を焼き尽くして優吾を守る。
「人間!!」
「悪いな。フィジオは戦いやすいが、晴山は合わせやすいんだ。行動パターンをある程度、頭にいれているからな。」
よそ見をしていたユスリの顔面へ優吾の拳が入る。そのまま横一直線に飛んでいくシバはそんなユスリの足を掴み横一閃に振り、優吾へ当てる。優吾はそんな横一閃から彩虹寺を守ろうと鎧を変える。
「水化魔装。」
詠唱なしの鎧の変化と優吾にいきなり抱き寄せられて彩虹寺は目を見開き驚く。優吾はそんな彩虹寺の表情も見ずに攻撃をいなしてシバのみぞおちへ掌底を当てる。シバは痛みで顔を歪めながらユスリを地面にたたきつけながらうずくまる。
「へぶっ!?」
「ごふっ!」
魔族の二人はその場でうずくまりながら体勢を立て直そうとふらふらと立ち上がる。
「コケにしやがって……」
「はぁ……分が悪い。まるで以前から一緒に戦っているようなタイミングの良さだ……ユスリ、ここは一度引くぞ。」
「ですが、教祖代理になんといえば……」
「何とでもなる。俺が責任を負うことになるんだからな。」
シバはケンタウロス化してユスリを背中へ乗せて槍で地面を叩き、大きな砂埃を起こしてその場から退散した。土煙が晴れて魔族が逃げたことを理解した彩虹寺と優吾は胸をほっとなでおろして彩虹寺は双子を追って踵を返して走ろうとして足の力が抜けたのか転ぶ。
「どうしたんだよ」
「双子の元へ行かないと。」
優吾はため息を吐いて魔装を解除して彩虹寺を持ち上げる。フィジオにやってもらったようにお姫様抱っこの状態になるが、それをしているのが優吾だとわかると心臓の音が一気に跳ね上がったのが分かり、そして顔も熱くなっているのが分かる。
「なんで、顔を覆ってるんですかね…」
「う、うるさい!いいから早く双子のところに行くぞ。」
「へいへい~」
優吾が踵を返して一歩を踏み出すとそこには魔法術対策機関の面々が集合していた。四夜華や台地や凪はニヤニヤと二人を見ており、他の面々は気にする様子もなく近づいてきた。
「やぁ、久しぶりだね。優吾君。」
「琉聖さんとみんな…晴山優吾ただいま帰還しました。」
琉聖が肩に手を置くのを、面々も見て一息ついた様子だった。双子はそんな優吾へ近づいて小首をかしげる。
「おにいちゃんだれ?」
「あのおにいちゃんは?」
優吾は、彩虹寺を降ろして双子の頭へ手を置いて目線を合わせる。そして胸の霊石を取り出して双子に見せながら話す。
「あのお兄ちゃんな?少し疲れてここで眠ってるんだ。いつか、起きたらまた会いたいって言ってだぜ。」
「そーなんだ……」
「さみしいな……」
「でも、いつか会えるぜ。」
まるで本人と話したかのような口ぶりに琉聖は優吾が立ち上がると小声で双子に聞こえないように話す。
「本当にそんなこと言ってたの?というか、石の中には君とフィジオ君とギンロがいるんだよね?」
「認識はそれで間違ってないです。ただ、ギンロはまだ完全に回復してなくて……」
「そうか、それならいいんだ……それより、優吾君この双子のことは覚えているの?」
「ん~……フィジオを通して見て覚えているって言うのも曖昧な感じですけど、なんとなく覚えてるような感じです。まぁ、俺が拾ったも同然だし、面倒見ますよ。家は広いんであと二人くらい増えても問題ないですよ。」
「……それなら、いいか……それじゃ綾那ちゃんと一緒に面倒見てね。」
「は~い……ってはい!?なんで彩虹寺が……」
「いや、この双子とフィジオ君もそうだけど、綾那ちゃんのことを気に入っているようでさ、僕らの言うことはあまり聞いてくれないんだよね~そゆことだからよろしくね~」
晴山優吾は復帰間もなく双子の世話を任されたのだった。
2/17:復帰
「君ってやつは……全く。」
「いや~、こちとら不良なもんで…ていうか、なんか大人びたな…いや、やつれたって言った方が正しいか?」
「余計なお世話だ……それより、今は任務に集中だ。積もった話もその後だ。」
背中合わせ手二人は互いに構える。優吾は拳を固めるや否や前に出てユスリへ攻撃を仕掛ける。
「散々やってくれたよな?今度はこっちの番だ!」
ユスリが針を取り出す余裕を与えずに拳と蹴りで連打をする。ユスリは優吾の猛攻に手も足も出ずに防戦一方となる。そんな背後にシバが槍を持って迫る。槍先が優吾の背中へ当たる寸前、彩虹寺が魔法を撃ち優吾に気づかせる。
「さんきゅ」
「戦いの方はフィジオの方がやりやすいな。」
「ほう、言ってくれるじゃん。俺だって、お前に合わせることなんて造作もないんだぜ。」
そう言うと優吾は彩虹寺の隣へ移動して彩虹寺が拳を固めるのを待つ。彩虹寺は優吾の態度に呆れながらも拳を固め、炎をまとわせて構える。
「しゃ、行くか!」
「ほんと、身勝手だな……まぁいい……行こう。」
二人は一緒に一歩を踏み出し走る。先ほどと雰囲気が変わった二人にシバとユスリは軽く作戦会議をする。
「どうしますか?」
「どうもこうも、融合体狙って針を投げろ。俺もそれに合わせる。」
銀色の魔族二匹も一緒に息を合わせて走る。ユスリが針を取り出して見るからに隙だらけの優吾へ麻痺毒の針を投げる。それを目にした彩虹寺は拳を前に出して纏わせている焔でその針を焼き尽くして優吾を守る。
「人間!!」
「悪いな。フィジオは戦いやすいが、晴山は合わせやすいんだ。行動パターンをある程度、頭にいれているからな。」
よそ見をしていたユスリの顔面へ優吾の拳が入る。そのまま横一直線に飛んでいくシバはそんなユスリの足を掴み横一閃に振り、優吾へ当てる。優吾はそんな横一閃から彩虹寺を守ろうと鎧を変える。
「水化魔装。」
詠唱なしの鎧の変化と優吾にいきなり抱き寄せられて彩虹寺は目を見開き驚く。優吾はそんな彩虹寺の表情も見ずに攻撃をいなしてシバのみぞおちへ掌底を当てる。シバは痛みで顔を歪めながらユスリを地面にたたきつけながらうずくまる。
「へぶっ!?」
「ごふっ!」
魔族の二人はその場でうずくまりながら体勢を立て直そうとふらふらと立ち上がる。
「コケにしやがって……」
「はぁ……分が悪い。まるで以前から一緒に戦っているようなタイミングの良さだ……ユスリ、ここは一度引くぞ。」
「ですが、教祖代理になんといえば……」
「何とでもなる。俺が責任を負うことになるんだからな。」
シバはケンタウロス化してユスリを背中へ乗せて槍で地面を叩き、大きな砂埃を起こしてその場から退散した。土煙が晴れて魔族が逃げたことを理解した彩虹寺と優吾は胸をほっとなでおろして彩虹寺は双子を追って踵を返して走ろうとして足の力が抜けたのか転ぶ。
「どうしたんだよ」
「双子の元へ行かないと。」
優吾はため息を吐いて魔装を解除して彩虹寺を持ち上げる。フィジオにやってもらったようにお姫様抱っこの状態になるが、それをしているのが優吾だとわかると心臓の音が一気に跳ね上がったのが分かり、そして顔も熱くなっているのが分かる。
「なんで、顔を覆ってるんですかね…」
「う、うるさい!いいから早く双子のところに行くぞ。」
「へいへい~」
優吾が踵を返して一歩を踏み出すとそこには魔法術対策機関の面々が集合していた。四夜華や台地や凪はニヤニヤと二人を見ており、他の面々は気にする様子もなく近づいてきた。
「やぁ、久しぶりだね。優吾君。」
「琉聖さんとみんな…晴山優吾ただいま帰還しました。」
琉聖が肩に手を置くのを、面々も見て一息ついた様子だった。双子はそんな優吾へ近づいて小首をかしげる。
「おにいちゃんだれ?」
「あのおにいちゃんは?」
優吾は、彩虹寺を降ろして双子の頭へ手を置いて目線を合わせる。そして胸の霊石を取り出して双子に見せながら話す。
「あのお兄ちゃんな?少し疲れてここで眠ってるんだ。いつか、起きたらまた会いたいって言ってだぜ。」
「そーなんだ……」
「さみしいな……」
「でも、いつか会えるぜ。」
まるで本人と話したかのような口ぶりに琉聖は優吾が立ち上がると小声で双子に聞こえないように話す。
「本当にそんなこと言ってたの?というか、石の中には君とフィジオ君とギンロがいるんだよね?」
「認識はそれで間違ってないです。ただ、ギンロはまだ完全に回復してなくて……」
「そうか、それならいいんだ……それより、優吾君この双子のことは覚えているの?」
「ん~……フィジオを通して見て覚えているって言うのも曖昧な感じですけど、なんとなく覚えてるような感じです。まぁ、俺が拾ったも同然だし、面倒見ますよ。家は広いんであと二人くらい増えても問題ないですよ。」
「……それなら、いいか……それじゃ綾那ちゃんと一緒に面倒見てね。」
「は~い……ってはい!?なんで彩虹寺が……」
「いや、この双子とフィジオ君もそうだけど、綾那ちゃんのことを気に入っているようでさ、僕らの言うことはあまり聞いてくれないんだよね~そゆことだからよろしくね~」
晴山優吾は復帰間もなく双子の世話を任されたのだった。
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