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2/24:黒雲
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晴山優吾は落雷を見て驚きと憧れの眼差しを向けている。落雷もその視線に気づき優吾へ視線を向ける。
「……君は俺のファンだね?」
「ファンというか、あこがれているというか…」
「そういうのをファンと言うんだよ。なんならサイン書いてあげようか?」
「……い、いや、今は任務中なんで……」
落雷は微笑みながらそうかと言って前を向く。晴山優吾は魔力がない(現在はギンロと融合して魔力自体はある)ため肉体を鍛えてどうにかこうにかこの魔力社会についてきている。今までの魔族との戦闘でもところどころに落雷 光のクセをところどころインプットしている。優吾本人は落雷のファンだと思っていないが、周りから見れば晴山優吾は完全に落雷 光のファンである。
「それにしても他の子は俺を見ても何の反応もないね。なんか逆に残念に感じる。」
「やっぱり、ファンとかに囲まれると気持ちいいんですか?」
「深層心理ではどう思っているか自分でも分からないけど、気持ちいいと言えば気持ちいいね。ま、試合の勝利には全く関係ないけど。」
ホテルの廊下へ差し掛かったところで前を歩いている海辺と台地が制止する。彩虹寺と焔、雪白は落雷を守るように取り囲み警戒する。優吾と旋風寺は三人の援護の用意をする。優吾は徐々に廊下の角から感じたことのある魔力を察知し始める。
「この魔力……サソリだ。」
優吾の言葉に班員たちは殺気立ちながら警戒を強める。廊下の角からサソリの魔力がだんだんと近づいてくると微笑みながらサソリが廊下の角から出てきた。
「あなたたちはそんなんだから未熟なんですよ。」
サソリが指を降ろすと天井からユスリが現れて頭上ががら空きの落雷へ襲い掛かる。いち早く反応した優吾は魔装しながら落雷を守る。
「魔装!!」
背中の鎧にユスリの針が弾かれる音がして、優吾は落雷の無事を確認する。
「大丈夫ですか?!」
「あぁ、なんともないよ。ありがとう。」
「お礼はアイツらを追い払ってでお願いします。」
優吾を含めた魔法術対策機関の面々は戦闘態勢に入る。優吾は海辺と、台地の三人でサソリを囲み、彩虹寺、焔、覇々滝の三人はユスリを取り囲み戦力の分断を図る。残った雪白、旋風寺は落雷を守らんとまだ辺りを警戒する。
「雪白班員、保護は任せる。」
「任せてください。旋風寺さん一緒に頑張りましょう。」
「よ、よよよろしくお願いしますぅ……」
旋風寺の情けない声を聞いて台地はため息を吐きながら旋風寺へ気合の喝を入れた。
「初風!もっと気合い入れろや!お前ならきっとできる!」
旋風寺は台地の言葉に頬が緩むが反対に気合が入ったのか、目に気合が入る。
「ゆ、雪白さん、よよ、よろしくお願いします!」
二人は改めて落雷の周りを固める。落雷はその隙間から優吾の戦闘を見て口角が自然と上がった。
─────────────
拳を握り、優吾は先陣を切ってサソリへ殴り掛かる。そして、背後にいる台地へ合図を送る。台地は舌打ちをしながらも札を優吾の胸の中心に貼り付けて魔術を発動させる。
「炎焔。」
優吾の胸の中心から炎が出ると優吾はその炎を吸収する。
「吸収!!」
焔の魔力を吸収して炎の鎧の詠唱を唱えて炎の鎧をまとう。
「炎化魔装!!」
拳をさらに固めた優吾はいつものように拳を握ってサソリに再度殴り掛かる。連続のパンチにサソリは華麗に躱していく。
「なにか張り切っているように見えますねぇ…そんな拳では私には……ごぶっ!?」
顔面に優吾の拳が当たるとサソリは後ずさって鼻を抑える。
「な、なにが起こったのですか……!?」
「お前、俺が誰と融合したか忘れたわきゃあるまいな?俺の中にはお前の大好きな教祖もいるんだぜ?今の俺は人間であり魔族でもあるんだぜ?」
サソリは表情を歪めて鼻血を出して鼻の通りをよくする。
「気持ち悪いですねぇ……!」
「その気持ち悪いはそのままの意味だな。」
優吾は一歩を踏み出して拳を前に突き出す。それを避けようとバックステップを踏んだサソリに台地は札を投げ貼り詠唱破棄をして威力の低い拘束魔術を発動させてサソリの動きを止める。
「小賢しいぃ……」
動きが止まったサソリへ向けて海辺は優吾を支援するように水魔法を顔面に打ち込み、サソリの視線を優吾から外させる。優吾は前に出した拳を止めずに連続でサソリを殴りつける。そして、最後に優吾は魔力を溜めた右こぶしをサソリの下側から繰り出し、見事なアッパーカットを当ててサソリをホテルの外へ放り出した。地上10階地点。サソリは綺麗に落下して見えなくなっていった。残っていた三人を相手していたユスリはその先頭を抜け出しサソリを救い出そうと後を追いかけた。大きな穴の空いたホテルの外は黒雲が広がっており雨も降り始めていた。優吾もその後を追おうと下へと飛び降りた。そんな優吾の背中を見て落雷は戦いの行方が気になり空いた穴から身を乗り出しそうな勢いで顔をのぞかせた。
2/24:黒雲
「……君は俺のファンだね?」
「ファンというか、あこがれているというか…」
「そういうのをファンと言うんだよ。なんならサイン書いてあげようか?」
「……い、いや、今は任務中なんで……」
落雷は微笑みながらそうかと言って前を向く。晴山優吾は魔力がない(現在はギンロと融合して魔力自体はある)ため肉体を鍛えてどうにかこうにかこの魔力社会についてきている。今までの魔族との戦闘でもところどころに落雷 光のクセをところどころインプットしている。優吾本人は落雷のファンだと思っていないが、周りから見れば晴山優吾は完全に落雷 光のファンである。
「それにしても他の子は俺を見ても何の反応もないね。なんか逆に残念に感じる。」
「やっぱり、ファンとかに囲まれると気持ちいいんですか?」
「深層心理ではどう思っているか自分でも分からないけど、気持ちいいと言えば気持ちいいね。ま、試合の勝利には全く関係ないけど。」
ホテルの廊下へ差し掛かったところで前を歩いている海辺と台地が制止する。彩虹寺と焔、雪白は落雷を守るように取り囲み警戒する。優吾と旋風寺は三人の援護の用意をする。優吾は徐々に廊下の角から感じたことのある魔力を察知し始める。
「この魔力……サソリだ。」
優吾の言葉に班員たちは殺気立ちながら警戒を強める。廊下の角からサソリの魔力がだんだんと近づいてくると微笑みながらサソリが廊下の角から出てきた。
「あなたたちはそんなんだから未熟なんですよ。」
サソリが指を降ろすと天井からユスリが現れて頭上ががら空きの落雷へ襲い掛かる。いち早く反応した優吾は魔装しながら落雷を守る。
「魔装!!」
背中の鎧にユスリの針が弾かれる音がして、優吾は落雷の無事を確認する。
「大丈夫ですか?!」
「あぁ、なんともないよ。ありがとう。」
「お礼はアイツらを追い払ってでお願いします。」
優吾を含めた魔法術対策機関の面々は戦闘態勢に入る。優吾は海辺と、台地の三人でサソリを囲み、彩虹寺、焔、覇々滝の三人はユスリを取り囲み戦力の分断を図る。残った雪白、旋風寺は落雷を守らんとまだ辺りを警戒する。
「雪白班員、保護は任せる。」
「任せてください。旋風寺さん一緒に頑張りましょう。」
「よ、よよよろしくお願いしますぅ……」
旋風寺の情けない声を聞いて台地はため息を吐きながら旋風寺へ気合の喝を入れた。
「初風!もっと気合い入れろや!お前ならきっとできる!」
旋風寺は台地の言葉に頬が緩むが反対に気合が入ったのか、目に気合が入る。
「ゆ、雪白さん、よよ、よろしくお願いします!」
二人は改めて落雷の周りを固める。落雷はその隙間から優吾の戦闘を見て口角が自然と上がった。
─────────────
拳を握り、優吾は先陣を切ってサソリへ殴り掛かる。そして、背後にいる台地へ合図を送る。台地は舌打ちをしながらも札を優吾の胸の中心に貼り付けて魔術を発動させる。
「炎焔。」
優吾の胸の中心から炎が出ると優吾はその炎を吸収する。
「吸収!!」
焔の魔力を吸収して炎の鎧の詠唱を唱えて炎の鎧をまとう。
「炎化魔装!!」
拳をさらに固めた優吾はいつものように拳を握ってサソリに再度殴り掛かる。連続のパンチにサソリは華麗に躱していく。
「なにか張り切っているように見えますねぇ…そんな拳では私には……ごぶっ!?」
顔面に優吾の拳が当たるとサソリは後ずさって鼻を抑える。
「な、なにが起こったのですか……!?」
「お前、俺が誰と融合したか忘れたわきゃあるまいな?俺の中にはお前の大好きな教祖もいるんだぜ?今の俺は人間であり魔族でもあるんだぜ?」
サソリは表情を歪めて鼻血を出して鼻の通りをよくする。
「気持ち悪いですねぇ……!」
「その気持ち悪いはそのままの意味だな。」
優吾は一歩を踏み出して拳を前に突き出す。それを避けようとバックステップを踏んだサソリに台地は札を投げ貼り詠唱破棄をして威力の低い拘束魔術を発動させてサソリの動きを止める。
「小賢しいぃ……」
動きが止まったサソリへ向けて海辺は優吾を支援するように水魔法を顔面に打ち込み、サソリの視線を優吾から外させる。優吾は前に出した拳を止めずに連続でサソリを殴りつける。そして、最後に優吾は魔力を溜めた右こぶしをサソリの下側から繰り出し、見事なアッパーカットを当ててサソリをホテルの外へ放り出した。地上10階地点。サソリは綺麗に落下して見えなくなっていった。残っていた三人を相手していたユスリはその先頭を抜け出しサソリを救い出そうと後を追いかけた。大きな穴の空いたホテルの外は黒雲が広がっており雨も降り始めていた。優吾もその後を追おうと下へと飛び降りた。そんな優吾の背中を見て落雷は戦いの行方が気になり空いた穴から身を乗り出しそうな勢いで顔をのぞかせた。
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