魔装戦士

河鹿 虫圭

文字の大きさ
76 / 98

2/27:使い方

しおりを挟む
護衛で落雷と共に行動をしているメンバーはトレーニングをしている落雷についていき優吾と落雷と一緒にランニングをし、他のメンバーは周辺を散り散りになって辺りをパトロールしている。優吾は落雷と出会った時から気になっていたことを質問した。

「会ったときから思ったんですけど、落雷さんってトレーナーとかセコンドいないんですか?」

「……いないな。試合をする時だけ役割だけのセコンドは一人雇っているけどトレーナーは今までいたことないな。」

「百道さんはトレーナーとかセコンドとかいろんな人が周りにいるのを見たことがありますけど。」

落雷は百道のことをも知っている優吾に対し内心やっぱファンだろと思いつつ自分と百道を比較して分析する。

「そうだな…多分性格の問題だろうな。自分のやり方に文句を言われるのが嫌な俺と自分だけでは不安な百道…全く逆の性格をしているせいかもな。それより……」

落雷は優吾の戦闘を見て質問したことがいくつかあり、この話題を終わらせて逆に優吾へ語りかける。

「それより、俺からも君に聞きたいことがいくつかある。パンチは俺の真似をしたことにすぐ気が付いたんだが、あのステップは誰と誰のものを組み合わせたんだ?いや、何人のステップを盗んだんだ?」

優吾はその質問に黙り込み長考し始める。数分考えてそして全員思い出したのか口を開き始める。

「まずは、落雷さんと総合格闘技のアウザーとあとはジョン・ブライアンのステップも取り入れてます。あとはもう思い出せないですね。」

「言い当ててやろう、その三人のほかに、、フラッチ・アンドリュー、ヘグィウェイ・アンサーそして、俺のライバル百道 茜のステップも取り入れているだろ。」

「……なんで意図的に隠した百道さんの名前まで出てくるんですか……すごいですね。」

「当然さ。トレーナーをつけないってことは、それ以上にリサーチもしてるし、観察もしている。当然同い年のライバルのリサーチは長年近くで見てきたから脳裏にしみついている。」

「さすがですね……」

落雷はランニングを終えるとシャドーボクシングを始める。優吾はそのシャドーボクシングを間近で観察する。

「……そうだ。聞きたいことの続きだが、君のパンチの出し方…俺のクセを真似ているのは分かったんだが、拳を引くときのあの癖は誰のものでもないよね?君自身のクセか?」

優吾は突然の質問に言葉を詰まらせて答えに困る。落雷はそのまま優吾の答えを待つが、一向に口を開かない優吾へ実際に優吾の拳の引き方を見せる。

「こんな感じの引き方なんだけど……」

「……いや、全然気が付かなかったです。多分そのクセは俺の独自のクセですね。」

「そうか。独自の……」

落雷は拳を止めて汗を拭きながら優吾の隣へ座る。

「君のあのクセだけど…俺のパンチの止し味を完全に殺しているんだ。引き方を俺の真似ができれば君のパンチは世界をとれる……最後の質問だ。俺の拳の本当の使い方を教えようか?」

優吾はその言葉に思わず落雷の方へ顔を向ける。落雷は真剣な眼差しで優吾を見つめる。優吾はその視線に思わず首を縦に振る。それを聞いていたであろう近くにいた彩虹寺へ視線を向けた優吾は彩虹寺の答えを待つ。彩虹寺は呆れながら優吾たちの元へ近づき隣へ座る。

「試合が始まるまでは我々も落雷選手も護衛しないといけないからな。いいだろう。なにかあれば私が責任を負う。それに、君はいまとても貴重な体験をしようとしているからな。」

彩虹寺の言葉に落雷は優吾へと視線を向けて同意を募る。優吾は改めて落雷へ指導をお願いするため立ち上がって頭を下げる。落雷は優吾の頭をポンと軽くたたき頭を上げさせる。

「んじゃ、早速俺のスパークリングに付き合ってもらうよ。」

落雷は走りながら近くにあるジムを指さして走り出した。優吾も、もちろん他のメンバーもその後に続きジムへ向かった。優吾と彩虹寺、落雷はジムの中へ入っていき早速、落雷は優吾へグローブを渡してスパークリングの準備をする。優吾はプロテクターをつけて物理的な防御力を上げる。

「それじゃ、始めるよ。俺は感覚はだからさ、見て覚えてね。」

「はい?」

そのまま優吾は唖然としながら現役ボクサーの拳に手も足も出ずに何度も何度も倒れては立ち上がる。それでも落雷は自分が満足するまでスパークリングを続けた。約50分が過ぎるころ、優吾はやっと落雷の拳の速さに慣れて避けられるようになってきていた。そのまま次は落雷の拳の引き方を見る。また何度も倒れてさらに10分が経ち一時間が経とうとしていると優吾はやっと落雷へカウンターを入れることができた。汗だくの優吾を見て落雷はスパークリングを終了した。倒れこんだ優吾へ水を渡しながらリングを降りる。

「どうだった?使い方わかってきた?」

「……正直あんまりわかんないです。でもなんとなくコツはつかめてきたような……」

「いや、あんまり真似できてなかったよ?左拳をもう少し早く引いて右の肘と左の拳が重なることが無意識できるようにならないと。」

「……いや、説明できてるじゃないですか……」

「いや、あくまで感覚派だよ俺は。んじゃ今日はこのくらいだね。」

優吾たちは汗を流すためにホテルへと戻った。

2/27:使い方
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった

夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜

音無響一
ファンタジー
わーい、異世界来ちゃった! スキルスキル〜何かな何かな〜 ネットスーパー……? これチートでしょ!? 当たりだよね!? なになに…… 注文できるのは、食材と調味料だけ? 完成品は? カップ麺は? え、私料理できないんだけど。 ──詰みじゃん。 と思ったら、追放された料理人に拾われました。 素材しか買えない転移JK 追放された料理人 完成品ゼロ 便利アイテムなし あるのは、調味料。 焼くだけなのに泣く。 塩で革命。 ソースで敗北。 そしてなぜかペンギンもいる。 今日も異世界で、 調味料無双しちゃいます!

社会の底辺に落ちたオレが、国王に転生した異世界で、経済の知識を活かして富国強兵する、冒険コメディ

のらねこま(駒田 朗)
ファンタジー
 リーマンショックで会社が倒産し、コンビニのバイトでなんとか今まで生きながらえてきた俺。いつものように眠りについた俺が目覚めた場所は異世界だった。俺は中世時代の若き国王アルフレッドとして目が覚めたのだ。ここは斜陽国家のアルカナ王国。産業は衰退し、国家財政は火の車。国外では敵対国家による侵略の危機にさらされ、国内では政権転覆を企む貴族から命を狙われる。  目覚めてすぐに俺の目の前に現れたのは、金髪美少女の妹姫キャサリン。天使のような姿に反して、実はとんでもなく騒がしいS属性の妹だった。やがて脳筋女戦士のレイラ、エルフ、すけべなドワーフも登場。そんな連中とバカ騒ぎしつつも、俺は魔法を習得し、内政を立て直し、徐々に無双国家への道を突き進むのだった。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

処理中です...