魔装戦士

河鹿 虫圭

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2/39:再燃

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あたりを黒い炎で燃やしながら獅子王 玲央はゆっくりと歩く。優吾までの距離はなかなかに遠い。それでも優吾が信じろと言ってくれたので、玲央は鉄の塊を引き連れて魔族の中を凱旋のように歩く。魔族はその間も玲央をを襲おうと向かってくるが一心と覇々滝がそれを熱と風の斬撃で止める。黒い鉄と黒い炎は玲央のまとわりついて鎧の形を作っていく。全身が燃え鉄の塊が刺さると玲央は魔族ごとそれを振り払い魔装を完了させる。

魔装戦士マガ=べラトル……魔装…完了All…Set!!」

黒炎を振り払って出てきたのは黒い獅子。久しぶりに見たその鎧に以前は脅威を感じていた優吾だが、今は逆でとても頼もしく見えている。堂々と歩くその姿はまさに王の風格である。

「獅子王 玲央…これより晴山優吾の救出を開始する。」

ゆったりと歩いていた獅子王はそうつぶやくと、素早く一歩を踏み出して一瞬にして優吾のもとへと移動する。黒炎を巻き上げて魔族たちを一掃しながら優吾を抱えてそして、また一歩で一心たちのもとへ戻る。抱えていた優吾を降ろすとすぐに魔族たちの方へ向き直り一匹ずつ確実に狙いを定める。

再燃ブースト黒焔ブラック

そして、一心と覇々滝の斬撃よりも早く魔族を一匹、また一匹と仕留めていく。一匹ずつ灰と化す魔族を見て一心は覇々滝の手を止める。同時に、魔族たちはすでにすべて灰となってその場からは消えて失せていた。

「獅子王、復活かってところか?」

「あぁ……ありがとう優吾。君に勇気をもらった。」

一心はまだ奥で虫の羽音を聞き本部へ連絡を入れる。そして、納刀するとそのまま歩き出す。

「晴山。そして獅子王、お前らは一旦戻れ。晴山がその状態だった戦力にならねぇ…」

「でも、一心さんと覇々滝はどうするんですか…」

「心配すんな、応援は呼んである。」

三班の二人はそのまま優吾と玲央を置いて先へ進み始める。玲央は脱力しきった優吾を米俵のように抱えて一心たちとは逆を歩く。優吾はいろいろ言って騒ぐが玲央はそれでも帰路へ着こうと魔装をしたまま山を下って行った。二人が山のふもとまで来るとそこにはボロボロの第一班が待っていましたと言わんばかりに待機していた。

「優吾君また無茶したの?」

「あはは…ちょっろっとフィジオの真似をしたらこんなになってしまって……それより玲央が魔装できたんすよ!それも俺よりも強力な魔法使って無数にいた魔族たちを一掃までしちゃって、もうやばかったんですから~」

「それは喜ばしいね。それじゃ、僕らが一心たちの応援に行ってくる。何かあったら本部に連絡してね。」

一班はぞろぞろと山へ入っていく。夢希は入り口で立ち止まり、踵を返して優吾へ駆け寄る。

「言っておきますけど……私はまだあなたを認めてませんから。」

「ん?なんの……」

「それだけです!あなたはもっと強くなってください。そして、私が動けないときはお兄様を守るのです!いいですね?」

「いや、だからなんの……」

「い・い・で・す・ね?」

訳も分からないまま優吾は無言でうなずく。というかうなずかされる。夢希は慌てて琉聖たちの後を追う。玲央はため息を吐き、優吾を抱えたまま一班の乗ってきた車両へ乗り込む。

「なぁ、玲央。雪白はなんであんなことを………」

「さぁな……ただ、勝手に目の敵にされたお前には同情するよ。」

「ん?なんのことだよ!なんで俺だけがわからないんだよ!なぁ教えてくれよ!」

「さぁ、いいから優吾は魔力回復に専念しよう。さぁ、座って…ほら、特製スポーツドリンクだ。」

玲央は話をそらすように優吾に魔力回復用のドリンクを半ば無理やり優吾に飲ませてゆっくりと車両で英気を養う。

───────────────────

俺が覚えている雪白 夢希という少女はいつも誰かを目の敵にして勝手に競って勝手に勝ち負けを自分の中で判断して勝手に駆け寄って認めてるとか認めてないとか伝えている。本人は男性が嫌いと言っているが、逆だ。性別関係なしに何か目標を決めてそれに挑んで勝った負けたを自分の中で楽しんでいる。その標的がたまたま男性になることが多いだけだ。いや、深層心理は他人の俺には到底わからないが、俺の目には少なくとも彼女は男嫌いというよりは悪党嫌いに見える。俺自身も協力者として一班にいたときに時折彼女が殺気を向けてくるので質問してみた。なぜ、陰ながら挑戦するのか。と……

「私はそんなことはしてません。ただ、あなたが気に入らないから私の実力で黙らせようと……」

本人も気づいてないようだった。その時は、水魔法で俺がターゲットをとらえたためそれに競うように俺がいようがいまいが水魔法での捕縛を何度も図ったようだ。今回はおそらく戻ってきた優吾に対して前から思っていたことを含めて勝手に目の敵にしていたようだ。まぁ、本人のいないところで自分から勝手に負けを認めて先ほどのような脈絡のないことを言ったのだろう。そこが彼女の面白いところなのだが…まぁ、ともかく、彼女はこれからも自己研鑽を怠ることはないだろうと俺は思った。

───────────────────

車両で目が覚めた優吾は石からギンロの声を聴き耳を傾ける。

「なんだよ……」

『なんでもさ。今回の件も多分サソリだからね。率直に言うと魔力が回復したのなら今すぐ山を登ることをお勧めするよ。』

「どういうことだ?」

『どうもこうもさ。あの大群を見るにただの戦力補充とは思えない。何か別の意図を感じるよ。長年の友としてね。』

同時に、優吾の頭に映像が流れ込んできた。

「……!まじかよ……」

『霊石もどうやら反応したようだね。向かうといいさ。』

「……なぁ、突然味方になったりして大丈夫かよ。」

『味方?違うね。今のボクはあくまで中立だ。』

「おかしなやつ。」

『なんとでもいうがいいさ。』

優吾は玲央を起こすと本部へ連絡を入れてそのまま山を駆け上っていった。

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