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光を見た。まばゆく銀色に輝く光を……
生まれも育ちも気持ち悪いほどに整っていた。没落貴族といっても貴族は貴族。手入れの行き届いていない庭にひび割れた屋敷の壁……やつれた使用人にやる気のない父親と母親はただ日々を生きているだけだった。私もこのままただ生きて死んでいくのだろうと日々を過ごしていたある日、その日は訪れた。両親がおかしな宗教にハマった。なんでも魔族を平等に救う宗教らしい。私もどこかその響きが気になり教祖を名乗る男のもとへ赴く。
私と同い年に見えたが、話を始めるとすぐに年上だと気付いた。これまでのこと、誰を救ったか、どうやってここまで来たか、旅の話もしてくれた。その話が異様に私の心に響き、銀色の使徒に入信した。魔族のための活動を続けているとやがて宗教は大きくなっていった。拡大するにつれて、人間を資金源として我々は自由に活動できていた。
───────────────────
あらかた虫たちを切り終えた一同は肩で息をしながら残骸を踏みつけてサソリへ殺気を帯びた視線を送る。
「それで全部だと思っていたのですねぇ…とても滑稽ですねぇ」
サソリが手を挙げると背後から銀色の使徒の信者たちが武器を構えてゆっくりと出てくる。その数は先ほどの虫たちよりも少ないが、それでも数百という単位には変わりない。その光景に一同は絶望しながらも魔力を絞り出して臨戦態勢を保つ。
「ふふふっ…滑稽ですね…さて、と。では皆さん行きましょう。魔族のために。」
サソリが合図をすると信者たちは勢いよく飛び出して一同を取り囲む。意思がある魔族ということで一同は虫たちと同じような対応ができずに、ただただ取り囲まれるだけだった。
「まずいな……完全に罠にはまったわけだ……」
「くっ、みんな、信者たちは捕縛必須だ。絶対に傷はつけないでくれ。」
班長の言葉に総員は不安そうな表情を浮かべる。静寂が一帯を包み込むとサソリが合図を出しtえ信者たちは一斉に襲い掛かってくる。魔力も体力も残っていないため一同は防御に精一杯だ。そこへサソリが降り立ちゆっくりと歩いていく。防戦一方な一同に近づくとすぐに魔族体へ変身して毒尾を振りかざす。班長二人がそれを受け止めるが、若干押され気味になる。
「くそ……」
「これは、少し痛いですね……」
「いやぁ、玄人二名をここまで簡単に追い詰められるのは気分がいい。」
二人はどうしたものかと思考しようとするが、信者たちのせいで思考もままならない。彩虹寺たちも信者たちの勢いに押されて防御もままならなくなっている。班長二名はこの状況をそれでも打開しようと思考に労力を使い、サソリの攻撃の防御がおろそかになってくる。
「一心、さん、どう、しま、しょうか…!」
「さぁ、な、しかし、俺は感じるぜ。”あいつ”が来る。」
一心に言われて気づいたのか琉聖は魔力を感じ取りその方向へ目を向けた。林が大きく揺れるとそこからは晴山優吾が勢いよく出てきた。その場の全員が動きを止めて優吾へ視線を向ける。
「琉聖さん、一心さん!みんな!大丈夫か!?」
それを見た彩虹寺は肩の力を抜いて口角を上げた。
「今回は遅かったな。いつも私たちよりも先に行っている君が。」
「そうでもねぇよ。まだみんなが死ぬ前だ。俺が先に進んでるのは変わりない。」
向かってくる信者たちを投げ飛ばしながら優吾は進む。そして、サソリのもとへ歩く。それを見たサソリは優吾の鼻先に毒尾の先を向ける。
「来ましたね。さぁ、ギンロを出してください。」
「あいつは今、答えを探している途中だ。あと少しで出るとも言っていた。だから答えが出るまでは俺が相手になる……魔装!」
白い鉄塊が優吾へ突き刺さると鎧の形になりそして、魔装を完了した。
「魔装戦士……魔装完了」
「ふふっ、答えならもうすでに出ているはずです。数十年前に出しているはずです。」
サソリは大きく尻尾を振り優吾へぶつける。優吾はそれを片手で受け止めて思い切りにらみつける。
「正直、ギンロのことなんぞどうでもいいんだわ。散々人を魔族に変えてそれでへらへらして平等やら公平やらほざくやつだからな。しかしよぉ…俺はこいつと血肉、骨までも一緒にするって契約しちまった。こいつの一番つらい記憶も覗き見た。同情というわけじゃねぇが……こいつが改めて答えを出すと言っている。それがどんな結果でも俺はこいつと血、肉、骨を一緒にする仲として守らなきゃならない……いくら元仲間だからってそれを邪魔していいことにはならねぇだろ。」
そのまま尻尾を握りつぶすと炎の魔装を完了し、サソリへ拳を振る。サソリはその拳を受けつつ、潰された尻尾を切り離して新たな尻尾を生やして再び優吾へ振るう。それをよけて落雷 光直伝のステップとパンチでサソリへ攻撃をする。サソリは優吾の攻撃をよけずに受け続けるが、かゆいと言わんばかりにホコリを振り払う。
「ちっ、なめやがって……」
「ふふふっ、前戦った時よりも気持ち悪くなってますねぇ……」
優吾はそのまま拳をぶつけるが、サソリはその拳を顔面で受け止めて最低限の動きで優吾を蹴り飛ばす。そのまま優吾は地面をすべるように後ろへ下がるとサソリの反撃が始まった。
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生まれも育ちも気持ち悪いほどに整っていた。没落貴族といっても貴族は貴族。手入れの行き届いていない庭にひび割れた屋敷の壁……やつれた使用人にやる気のない父親と母親はただ日々を生きているだけだった。私もこのままただ生きて死んでいくのだろうと日々を過ごしていたある日、その日は訪れた。両親がおかしな宗教にハマった。なんでも魔族を平等に救う宗教らしい。私もどこかその響きが気になり教祖を名乗る男のもとへ赴く。
私と同い年に見えたが、話を始めるとすぐに年上だと気付いた。これまでのこと、誰を救ったか、どうやってここまで来たか、旅の話もしてくれた。その話が異様に私の心に響き、銀色の使徒に入信した。魔族のための活動を続けているとやがて宗教は大きくなっていった。拡大するにつれて、人間を資金源として我々は自由に活動できていた。
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あらかた虫たちを切り終えた一同は肩で息をしながら残骸を踏みつけてサソリへ殺気を帯びた視線を送る。
「それで全部だと思っていたのですねぇ…とても滑稽ですねぇ」
サソリが手を挙げると背後から銀色の使徒の信者たちが武器を構えてゆっくりと出てくる。その数は先ほどの虫たちよりも少ないが、それでも数百という単位には変わりない。その光景に一同は絶望しながらも魔力を絞り出して臨戦態勢を保つ。
「ふふふっ…滑稽ですね…さて、と。では皆さん行きましょう。魔族のために。」
サソリが合図をすると信者たちは勢いよく飛び出して一同を取り囲む。意思がある魔族ということで一同は虫たちと同じような対応ができずに、ただただ取り囲まれるだけだった。
「まずいな……完全に罠にはまったわけだ……」
「くっ、みんな、信者たちは捕縛必須だ。絶対に傷はつけないでくれ。」
班長の言葉に総員は不安そうな表情を浮かべる。静寂が一帯を包み込むとサソリが合図を出しtえ信者たちは一斉に襲い掛かってくる。魔力も体力も残っていないため一同は防御に精一杯だ。そこへサソリが降り立ちゆっくりと歩いていく。防戦一方な一同に近づくとすぐに魔族体へ変身して毒尾を振りかざす。班長二人がそれを受け止めるが、若干押され気味になる。
「くそ……」
「これは、少し痛いですね……」
「いやぁ、玄人二名をここまで簡単に追い詰められるのは気分がいい。」
二人はどうしたものかと思考しようとするが、信者たちのせいで思考もままならない。彩虹寺たちも信者たちの勢いに押されて防御もままならなくなっている。班長二名はこの状況をそれでも打開しようと思考に労力を使い、サソリの攻撃の防御がおろそかになってくる。
「一心、さん、どう、しま、しょうか…!」
「さぁ、な、しかし、俺は感じるぜ。”あいつ”が来る。」
一心に言われて気づいたのか琉聖は魔力を感じ取りその方向へ目を向けた。林が大きく揺れるとそこからは晴山優吾が勢いよく出てきた。その場の全員が動きを止めて優吾へ視線を向ける。
「琉聖さん、一心さん!みんな!大丈夫か!?」
それを見た彩虹寺は肩の力を抜いて口角を上げた。
「今回は遅かったな。いつも私たちよりも先に行っている君が。」
「そうでもねぇよ。まだみんなが死ぬ前だ。俺が先に進んでるのは変わりない。」
向かってくる信者たちを投げ飛ばしながら優吾は進む。そして、サソリのもとへ歩く。それを見たサソリは優吾の鼻先に毒尾の先を向ける。
「来ましたね。さぁ、ギンロを出してください。」
「あいつは今、答えを探している途中だ。あと少しで出るとも言っていた。だから答えが出るまでは俺が相手になる……魔装!」
白い鉄塊が優吾へ突き刺さると鎧の形になりそして、魔装を完了した。
「魔装戦士……魔装完了」
「ふふっ、答えならもうすでに出ているはずです。数十年前に出しているはずです。」
サソリは大きく尻尾を振り優吾へぶつける。優吾はそれを片手で受け止めて思い切りにらみつける。
「正直、ギンロのことなんぞどうでもいいんだわ。散々人を魔族に変えてそれでへらへらして平等やら公平やらほざくやつだからな。しかしよぉ…俺はこいつと血肉、骨までも一緒にするって契約しちまった。こいつの一番つらい記憶も覗き見た。同情というわけじゃねぇが……こいつが改めて答えを出すと言っている。それがどんな結果でも俺はこいつと血、肉、骨を一緒にする仲として守らなきゃならない……いくら元仲間だからってそれを邪魔していいことにはならねぇだろ。」
そのまま尻尾を握りつぶすと炎の魔装を完了し、サソリへ拳を振る。サソリはその拳を受けつつ、潰された尻尾を切り離して新たな尻尾を生やして再び優吾へ振るう。それをよけて落雷 光直伝のステップとパンチでサソリへ攻撃をする。サソリは優吾の攻撃をよけずに受け続けるが、かゆいと言わんばかりにホコリを振り払う。
「ちっ、なめやがって……」
「ふふふっ、前戦った時よりも気持ち悪くなってますねぇ……」
優吾はそのまま拳をぶつけるが、サソリはその拳を顔面で受け止めて最低限の動きで優吾を蹴り飛ばす。そのまま優吾は地面をすべるように後ろへ下がるとサソリの反撃が始まった。
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