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2/47:合戦
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時間を少し飛ばして優吾の第一回戦。一日目最後の対戦。クラスメイトと一年生以外は晴山優吾の名前を聞いて少し馬鹿にする者、心配になる者、ノーコメントの者とある意味会場中がざわつく。対戦相手は三年生の生徒、校内では悪名高くいわゆる「半グレ」の生徒だった。20名いるうちの生徒の中にはそういう生徒が意外とたくさんいる。四分の一機関に対してそういう生徒も同じくらいの人数が参加している。優吾は今日最後の対戦カードとあって少し緊張している。入場口の前で待っていると背中にいきなり衝撃がくる。振り向くと彩虹寺が微笑みながら見ていた。
「……仕返しかよ。」
「そうだな。私は”全く”緊張していなかったが、君に気合を入れられてしまったからな。し返しだ……それで君は実際緊張しているのか?」
優吾は首を横に振って顔を上げる。
「そんなわけはないさ。俺は自分の力に自信を持っている。これまでの戦闘を踏まえてその自信を確認していただけだ。と言っても俺一人ではここまで来てないがな。この石に大魔導師の思いも、妖精の思いも、魔族の王とやらの思いも全部入っている……すまん、やっぱ俺に気合を入れるために背中を思い切り叩いてくれ……」
優吾が背中を向けると彩虹寺は思い切り手を振り上げる。しかし、何を思ったのか、その手をゆっくりとおろして肩をたたく。優吾は拍子抜けの衝撃に振り向く。彩虹寺は振り向いた優吾の唇へ自分の人差し指を当てる。
「君は、君だ。その自信もその石も今は君の物だ。だから、君はその自信を持ったままでいい。それは君の自信なのだから……」
視線がぶつかり合う二人の間に優しく温かい沈黙が流れる。彩虹寺は優吾の唇に触れている人差し指を見て慌てて指を離して、踵を返す。彩虹寺はそのまま何も言わずに走って去っていった。外では優吾の入場曲が流れている。優吾は慌てて走って曲のサビのところでドームの中心へ向かう。周りの生徒たちはほどほどに盛り上がっている。ま、こんなもんかと優吾は胸の霊石を握って深呼吸する。そして、対面に入場してきたのは三年生だった。
「さぁ!赤コーナー!魔力はないが気合は十分!二年 晴山優吾!!そして、青コーナー!授業には参加しないが、戦いとなっちゃ話は別!三年 茨 大蛇!」
視線がぶつかり合う二人。優吾は警戒姿勢で身構え、大蛇は顎を前に突き出し優吾を見下すように見ている。
「けっ!俺の一回戦の相手がこんな魔力なしの二年坊とはな!まぁいい。祭りは祭りだ。さっさと決めて明日、俺が優勝してこの高校で誰も寄り付かないほどに名をとどろかせてやる。」
優吾は何も言わず再び深呼吸をする。そして、審判が互いに距離を置くように指示を出し、手をゆっくりと挙げる。優吾と大蛇双方に確認を取ると手を素早く下ろして試合開始の合図をした。
「さぁ、今日最後の試合の火ぶたが切って落とされた!先制は大蛇!優吾へ距離を詰めていく!」
大蛇は優吾へ距離を詰めると手を広げて魔法陣を優吾の目の前で出して詠唱する。
「ウェポンズコール!スラッシュ!!」
魔法陣からは西洋剣が一本高速で射出され、優吾の頬をかすめる。優吾の頬には横一文字に細く赤い線が入る。その光景に周りの生徒たちはどよめき、審判は大蛇へ近づいて注意する。
「んだよ。大けがさせなきゃいいんだろ?安心しな、これで人を殺したことはねぇ……加減はしてやるさ。なんてたって相手は……魔力なしの凡人以下だもんな!」
蔑む大蛇の視線に優吾は何も感じず、頬の赤い線を拭い俺は大丈夫ですと言って審判をいさめる。審判は少し心配して持ち場へと戻り、試合の再開を促す。大蛇は再び魔法を使って連続で優吾へ向かって刃物を飛ばす。優吾はその間も刃物をよけながら考える。
『これが、彩虹寺とか、ほかのメンバーだったら今さっきの魔法も注意されてないよな…』
そんなことを考えているとギンロが話しかけてくる。
『いいから、さっさと魔装すれば?』
『……そうだな』
優吾は霊石を握って詠唱する。
「魔装!!」
飛んでくる刃物は優吾の周りに現れた鉄の塊に撃ち落されてそして、優吾へ突き刺さっていく。優吾はゆっくりと歩き刃物を拳で撃ち落して鎧を装着していく。やがて大蛇は刃物を射出している刃物を早くしていく。優吾の周りには煙が立ち始め、そして、煙が晴れるとみんながハッと息をのむ。現れたのは白い狼の鎧をまとった優吾だった。
「魔装戦士魔装完了!!」
優吾は拳を構えるが、大蛇はそんなことは無視し刃物の射出をより早める。しかし、優吾はその刃物を拳で撃ち落しながら大蛇へ近づく。
「変な飛び道具使いやがって……強くなった気でいるようだな!それもどうせお前の力じゃないんだろ?お前の力じゃなくてそれを作ったやつの力だ!調子に乗るな!!」
大蛇はとうとう、西洋剣以外の刃物も射出し始める。槍、大剣、どれも生身の優吾では死んでしまうような刃物に代わっていった。
「今まで、魔族相手に、戦っていたせいか……少し、違和感が、あるな……!」
『それは、手ごたえがないっていうんだよ。さて……この状況。君ならどうする?人間相手の戦闘……』
優吾は何かひらめいたようにアレイスターへ話しかけて魔装をし直す。
気炎万丈──────
明鏡止水──────
四風が如く──────
龍を交えた拳と剣──────
暗き闇に溺れようとも──────
無告之民を救う為──────
「戦士は拳を掲げる……完全魔装!!」
完全な魔装をした優吾は、影を操って大蛇を縛る。
「な、んだよこれ……!放せ!こいつ!!」
優吾はそのままゆっくりと近づき大蛇の顔へ手をかざす。
「眠れ……」
「は?あぁ……?」
大蛇はそのままゆらりと眠ってしまってだらりと四肢の力が抜けた。影を解除すると優吾は大蛇を抱えて地面に寝かしつける。そして、審判はそのまま試合を終了させた。
「試合終了!!勝ったのは……二年 晴山優吾だ!新たな力を手に入れた晴山優吾だ!!」
会場は熱気の盛り上がりではなく、感動の盛り上がりで皆がスタンディングオベーションをする。一つの生物のような拍手に優吾は魔装を解除してみんなに向かってお辞儀をした。
2/47:合戦
「……仕返しかよ。」
「そうだな。私は”全く”緊張していなかったが、君に気合を入れられてしまったからな。し返しだ……それで君は実際緊張しているのか?」
優吾は首を横に振って顔を上げる。
「そんなわけはないさ。俺は自分の力に自信を持っている。これまでの戦闘を踏まえてその自信を確認していただけだ。と言っても俺一人ではここまで来てないがな。この石に大魔導師の思いも、妖精の思いも、魔族の王とやらの思いも全部入っている……すまん、やっぱ俺に気合を入れるために背中を思い切り叩いてくれ……」
優吾が背中を向けると彩虹寺は思い切り手を振り上げる。しかし、何を思ったのか、その手をゆっくりとおろして肩をたたく。優吾は拍子抜けの衝撃に振り向く。彩虹寺は振り向いた優吾の唇へ自分の人差し指を当てる。
「君は、君だ。その自信もその石も今は君の物だ。だから、君はその自信を持ったままでいい。それは君の自信なのだから……」
視線がぶつかり合う二人の間に優しく温かい沈黙が流れる。彩虹寺は優吾の唇に触れている人差し指を見て慌てて指を離して、踵を返す。彩虹寺はそのまま何も言わずに走って去っていった。外では優吾の入場曲が流れている。優吾は慌てて走って曲のサビのところでドームの中心へ向かう。周りの生徒たちはほどほどに盛り上がっている。ま、こんなもんかと優吾は胸の霊石を握って深呼吸する。そして、対面に入場してきたのは三年生だった。
「さぁ!赤コーナー!魔力はないが気合は十分!二年 晴山優吾!!そして、青コーナー!授業には参加しないが、戦いとなっちゃ話は別!三年 茨 大蛇!」
視線がぶつかり合う二人。優吾は警戒姿勢で身構え、大蛇は顎を前に突き出し優吾を見下すように見ている。
「けっ!俺の一回戦の相手がこんな魔力なしの二年坊とはな!まぁいい。祭りは祭りだ。さっさと決めて明日、俺が優勝してこの高校で誰も寄り付かないほどに名をとどろかせてやる。」
優吾は何も言わず再び深呼吸をする。そして、審判が互いに距離を置くように指示を出し、手をゆっくりと挙げる。優吾と大蛇双方に確認を取ると手を素早く下ろして試合開始の合図をした。
「さぁ、今日最後の試合の火ぶたが切って落とされた!先制は大蛇!優吾へ距離を詰めていく!」
大蛇は優吾へ距離を詰めると手を広げて魔法陣を優吾の目の前で出して詠唱する。
「ウェポンズコール!スラッシュ!!」
魔法陣からは西洋剣が一本高速で射出され、優吾の頬をかすめる。優吾の頬には横一文字に細く赤い線が入る。その光景に周りの生徒たちはどよめき、審判は大蛇へ近づいて注意する。
「んだよ。大けがさせなきゃいいんだろ?安心しな、これで人を殺したことはねぇ……加減はしてやるさ。なんてたって相手は……魔力なしの凡人以下だもんな!」
蔑む大蛇の視線に優吾は何も感じず、頬の赤い線を拭い俺は大丈夫ですと言って審判をいさめる。審判は少し心配して持ち場へと戻り、試合の再開を促す。大蛇は再び魔法を使って連続で優吾へ向かって刃物を飛ばす。優吾はその間も刃物をよけながら考える。
『これが、彩虹寺とか、ほかのメンバーだったら今さっきの魔法も注意されてないよな…』
そんなことを考えているとギンロが話しかけてくる。
『いいから、さっさと魔装すれば?』
『……そうだな』
優吾は霊石を握って詠唱する。
「魔装!!」
飛んでくる刃物は優吾の周りに現れた鉄の塊に撃ち落されてそして、優吾へ突き刺さっていく。優吾はゆっくりと歩き刃物を拳で撃ち落して鎧を装着していく。やがて大蛇は刃物を射出している刃物を早くしていく。優吾の周りには煙が立ち始め、そして、煙が晴れるとみんながハッと息をのむ。現れたのは白い狼の鎧をまとった優吾だった。
「魔装戦士魔装完了!!」
優吾は拳を構えるが、大蛇はそんなことは無視し刃物の射出をより早める。しかし、優吾はその刃物を拳で撃ち落しながら大蛇へ近づく。
「変な飛び道具使いやがって……強くなった気でいるようだな!それもどうせお前の力じゃないんだろ?お前の力じゃなくてそれを作ったやつの力だ!調子に乗るな!!」
大蛇はとうとう、西洋剣以外の刃物も射出し始める。槍、大剣、どれも生身の優吾では死んでしまうような刃物に代わっていった。
「今まで、魔族相手に、戦っていたせいか……少し、違和感が、あるな……!」
『それは、手ごたえがないっていうんだよ。さて……この状況。君ならどうする?人間相手の戦闘……』
優吾は何かひらめいたようにアレイスターへ話しかけて魔装をし直す。
気炎万丈──────
明鏡止水──────
四風が如く──────
龍を交えた拳と剣──────
暗き闇に溺れようとも──────
無告之民を救う為──────
「戦士は拳を掲げる……完全魔装!!」
完全な魔装をした優吾は、影を操って大蛇を縛る。
「な、んだよこれ……!放せ!こいつ!!」
優吾はそのままゆっくりと近づき大蛇の顔へ手をかざす。
「眠れ……」
「は?あぁ……?」
大蛇はそのままゆらりと眠ってしまってだらりと四肢の力が抜けた。影を解除すると優吾は大蛇を抱えて地面に寝かしつける。そして、審判はそのまま試合を終了させた。
「試合終了!!勝ったのは……二年 晴山優吾だ!新たな力を手に入れた晴山優吾だ!!」
会場は熱気の盛り上がりではなく、感動の盛り上がりで皆がスタンディングオベーションをする。一つの生物のような拍手に優吾は魔装を解除してみんなに向かってお辞儀をした。
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