カタラレヌ・クロニクル

河鹿 虫圭

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急ノ章 終末論

終焉審判・急─エンドロール・スリー─

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壊しながら進む龍兎は先に見えた見覚えのある場所で先ほどよりも辺りを警戒する。
空気が一気に低くなり、静まり返る。上空を見つめた時にはすでに攻撃は終わっていた。

強烈な落雷

目の前が白黒になり、気が付いたときにはすでに倒れており背中が地面についている感覚があった。

「ケラ……ウノスだな、この速さと威力は……」

ゼウスの持つ神器のことを思い出した頭上に人影を見てすぐに立ち上がりその影を確認する。白髪の巨漢が雷を持ちこちらをにらみつけている。

「ゼウスのおっちゃん……か。」

ゼウスは名前を呼ばれたのにも関わらず龍兎へ向けてケラウノスを投げつける。光の速度に対応できずに龍兎は再びケラウノスへ撃ち抜かれる。

「なんで…」

訳も分からず龍兎は次の攻撃に備えて手を構えるが、背後から光の槍で貫かれる。

「グングニル……?」

振り向くとそこにはオーディンが降り、グングニルを呼び戻して二投目を準備している。オーディンの予備動作を見て足を動かしたが、またもや背後から攻撃をされる。身体の芯から壊されるような感覚に龍兎はまた神の名をつぶやく。

「シヴァ神だな。」

すぐに離れて三柱を目に映す。三柱は同時に攻撃を仕掛けようと構えている。迎え撃とうとしたが、死角から槍で貫かれる。

「イザナミノミコトまでもが……」

無言で追い込まれる龍兎の耳に笑い声が聞こえてくる。視線を向けるとそこには、ドッペルゲンガーが「美しいストレチア」と皆無を近くに置いている。

「てめぇ…何をしやがった。」

「何って、世界の再構築にあたってのテストだよ。神を創った。」

「その花でここまでできるとは思えないんだが……皆無の力も取り込んでいるようだな。」

「ズバリ正解だ。終焉神エンドロールの力の一端をこの花で反転させて再構築しているんだ。」

「ニセモノの神ごときが調子に乗ってんじゃ……」

動作すると四柱が一斉に龍兎の首元へ武器を当てて身動きを取れなくする。

「調子に乗っているのはそっちだろ?今の神はボクだ。逆らうことは許されない。」

「いや?お前はまだ神ではない。儀式が必要だからな。」

「あっそ、それならその儀式とやらもこの花でスキップできるようにこの終焉神エンドロールを取り込まないとね。」

「させると思うか?この俺が。」

その場にいた四柱の首を一気に切断すると龍兎はエクスカリバーを量産し動き出そうとしていた四柱へ突き刺して完全に動きを止め、残った無数のエクスカリバーをドッペルゲンガーへ落とす。花と皆無を巻き込むエクスカリバーの雨の中、龍兎は自分を突き刺しながらもドッペルゲンガーへ近づき落ちてきた一本を掴み取り切り付ける。だが、ドッペルゲンガーは花の能力を使い、皆無の能力を使い無効化する。

「ちっ……だから嫌いなんだよ。その能力。」

「はは、あと少しだね。あと少しで終焉の力とそれを反転させる力が手に入る。」

指を鳴らすと龍兎の身体は宙へ浮き始める。龍兎は距離がだんだんと離されていくのを何とかしようと何かつかめないかと手あたり次第に掴むが、どれもこれも宙へ浮いており、無意味になっている。

「このまま宇宙まで行ってもらおうかな?いくら不死身って言っても何か弱点はあるよね?まずは宇宙に行ってもらってそれから帰ってこれたらまた戦おうか。」

「舐めるなよ猿まね風情のモドキ野郎が…」

龍兎は手をかざしてドッペルゲンガーの能力と自分を分離しようと分離セパレートを使うが、全く機能しない。

「無効化と並列して使ってやがるのかよ…」

「はは、みじめだね。神の使いが雑魚中の雑魚の歪みに負けるなんて。」

だんだんと離れていくドッペルゲンガーに龍兎はあるものを創造して投げつける。しかし、ドッペルゲンガーには命中せずにそばに突き刺さるだけだった。

「悪あがきもほどほどにね~」

手を振っていると龍兎は手に持っている何かを思い切り引っ張ってドッペルゲンガーへ一気に近づく。

「へ?」

ドッペルゲンガーは唖然と目の前にいる龍兎に反応できずにそのまま切り付けられる。

創造クラフト蜘蛛の糸釈迦の気まぐれ

「そんなものが創造できていいわけないだろ!!」

創造クラフト神殺しの槍ロンギヌス!!」

貫かれそうになったドッペルゲンガーは慌てて能力を解除して龍兎の重力を戻して落とす。

「……。」

「お前、正気か?あるものないもの創りやがって。」

創造クラフト:天逆鉾」

「話を聞いちゃいねぇ…」

ドッペルゲンガーは飛んでくる無数の天逆鉾を打ち落として向かってくる龍兎から逃げる。
まきびしのように岩の槍を無数に配置するが、龍兎はそれを壊させる。

創造クラフト希臘ノ神ゼウス

「それは反則だ!」

ゼウスはケラウノスを投げて岩の槍を破壊するとそのまま花弁となって消えていった。

「お、お前、何をしているさっきから。」

「世界の終わりなら存分に能力を使っておきたかったからな。で、まだ続けるか?」

ドッペルゲンガーは小さくなっている皆無を見て自分の体を見る。先ほどの焦っていた表情から好機と見たため口角が自然と上がる。

「は、ははは、どうやら準備が整ったようだ。これより、最終段階を始めるよ。」

「やってみな。お前がどうなろうが知ったこっちゃねぇけどな。」

ドッペルゲンガーは龍兎の余裕そうな表情を見てむかつき皆無とストレチアをすべて体に取り込んだ。

「やったぞ。これで、ボクが神に成れる……!!」


輝き始めたドッペルゲンガーはだんだんと見た目が皆無のようになっていく。


「これより、終焉審判エンドロール終末論エスカトロジーに移行する。世界を終わらせて再構築し、ボクが神に成る!!」

輝きが増した終焉神エンドロールはそのまま天へ昇っていき、世界を超えて銀河を超えて膨張を続ける宇宙の端へ到達した。

終焉審判・急─エンドロール・スリー─
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