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3 木の怪
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俺は、高校の登下校をいつも歩いてる。そして歩く道に、音を立てる木がある。その木は住宅街の中の駐車場の入り口の脇に生えていて、木と同じぐらいの高さの電線が枝と触れていて、風で揺れるとギシッギシッと電線と枝が擦れる音がする。いつも俺がその木を通り過ぎる時、ギシッギシッと音が聞こえるので、また音がなってるなと思ってそのまま通り過ぎていた。だけどある日、俺は学校の課題が遅れたせいで、居残っていたため帰りが遅くなった。教室の窓から、外を見るともう暗かった。小走りで下駄箱に向かい、高校の門を抜けていつもの帰り道へと入った。歩道照明がわずかな光で道を照らしている。歩いていると、いつもの音を立てる木が見えてきた。だけど、何か変な感じがした。遠目で見ると、黒いボヤッとした固まりが、木の枝からぶら下がっている感じに見えた。木に近づいていくにつれ、ぶら下がっている黒い固まりは、だんだんとボヤッとしていたのがなくなり細長い形をしているのが分かった。そしてさらに木に近づいた時、俺は怖くなり体が動かなくなった。ぶら下がっていたのは、首をロープで吊っている人間だった。そこには電灯がないため、よく見えないが、足や腕の形で人間であることが分かった。しかし、首を吊った人間の顔はなぜかはっきりと見えた。異常に痩せた男の顔で、もがいたような苦しそうな顔で口を開けている。俺は全身が震えるのを感じた。そして、ロープはちょうど電線と枝が触れているところから垂れ下がっていて、首を吊った男の体が風で揺れるとその重みでギシッギシッとロープが音を立てていた。俺は、震える足をなんとか動かして、木から全速力で走り去った。
それから、一週間が経った。
俺は、あの首を吊った男を見た日から、その木があった道を登下校で使わなくなった。俺は、あの首を吊った男が幽霊であったのか、はっきりと考えたことはないが、木から聞こえたギシッギシッという音が、首を吊った男の体が風に揺られてたてた音だったと思うと、俺は今でも背筋がゾッとする。
終
それから、一週間が経った。
俺は、あの首を吊った男を見た日から、その木があった道を登下校で使わなくなった。俺は、あの首を吊った男が幽霊であったのか、はっきりと考えたことはないが、木から聞こえたギシッギシッという音が、首を吊った男の体が風に揺られてたてた音だったと思うと、俺は今でも背筋がゾッとする。
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