日常の怪

8 バスケットボールの怪

俺が高校生の時の話。学校の放課後、一人で体育館でバスケットボール部の練習をしていた時だ。気づくと外は暗かった。帰りの準備を始めた時、扉が開く音がした。見ると、開いた扉の真ん中に同じ体操着を着た男子生徒がバスケットボールを持って立っていて、俺の方を見てにっこりしている。しかし、俺はその男子生徒を知らなかった。だが、練習に物足りなさを感じていたから見知らぬその生徒とバスケの練習をする事にした。見知らぬ生徒はバスケが上手かった。俺は疲れで徐々に、体の動きが鈍くなるのを感じた。そして、いつしか俺がドリブルしているボールは、バスケットボールではなくて、人の頭だった。今、一緒にバスケをしている奴の頭だ。俺は、恐ろしさでその頭を手から離した。頭は、コートを転がっていく。俺は、体育館の外へ走って行った。途中、後ろを振り返ると男子生徒の体が、自分の頭をゴールにシュートしていたのが見えた。翌日バスケットボール部を辞めた。バスケをしていたらまたアイツが来るかもしれないから。
　　　　　　　　　　　　　　　　　終