10 / 36
邂逅(ディオ視点)1
しおりを挟む国を出て3年近く経っただろうか。
祖国からはかなり離れた地まできた。
この先に行く当てはない。ただ心が渇いてずっと満たされない思いを抱えたままの3年だった。
自分が何者なのかという答えは出ていないが、今は『愛嬌のある優しいクラウディオ』なんて呼ばれることはない。
別に遊び回っているつもりはなかったが、女も男も取っ替え引っ替えしているため、遊び人と言われるようになった。
ただ、渇きを埋めたかっただけだ。ただ、この満たされない何かを埋めたかっただけだ。楽しく遊び歩いているなら良かったんだが・・・。
新しい街を訪れると、冒険者ギルドに寄ってこの辺りの依頼はどんなものがあるか、どんな魔物が生息しているかを確認するのが癖になっていた。
そしてその時に誰かが声をかけてきたらその夜はそいつの宿に転がり込んだりする。
新しい町に着くと、いつものようにギルドに入ってBランクの依頼掲示板に向かうと、人がいた。
昼過ぎに掲示板を見ているなど珍しいな。と思いながら隣に立った。
「お前、その剣・・・」
「ん?お前、その剣・・・」
「「同じじゃないか?」」
いつどこで買ったのかも分からないこの剣、それと同じものを持っている人物がいたらそれは気になるだろう。
しかも彼もこの剣のことが気になったらしい。
「ふはっ声が揃ったな。」
「ははっ確かに。でもその剣、どこで買った?」
「覚えてないんだよな。いつ買ったのか、どこで買ったのか。」
「そうなのか、奇遇だな。俺もこの剣をいつどこで買ったのか覚えていないんだ。」
「へぇ、面白いこともあるんだな。私に分かるのは、この剣は大切な剣ということだけだ。」
「奇遇だ。俺もこの剣が大切だと思っている。理由は分からないんだが。」
「それ本当に?私と同じだ。何だか気が合いそうな気がする。
私はクラウディオだ。」
「俺はジョルジーノだ。お前もこの掲示板を見ているということはBランクか?」
「そうだ。3年でやっとBランクだ。」
「ほう、俺もちょうど3年でBランクだ。」
「なぁジョル、もしかして私たちは会ったことがあったか?」
「おいディオ、会ったばかりなのにいきなり俺のことをジョル呼ばわりかよ。」
「そういうジョルも私のことをディオと呼んでいるではないか。」
「あぁ、確かに。会ったことは・・・無いと思う。記憶にない。しかしなぜかお前のことはディオと呼ぶのがしっくりくる。」
「私も記憶の中にもジョルはいないが、ジョルと呼ぶのがしっくりくるし、なぜかジョルにディオと呼ばれると擽ったいというか懐かしい感じがする。」
「それ、分かる気がする。飲みに行こうぜ。」
「あぁ。いいぞ。」
私たちはそのまま連れ立って飲みに行った。
宿はまだ取っていないが、最悪ジョルの部屋に泊めて貰えばいいだろう。
抱かれたいとは言われていないが、気が合いそうだし私から誘ってもいいと思った。
そんな風に思うのは初めてだな。というか誰かに興味を惹かれたのは学園を卒業してから初めてかもしれない。不思議な男だ。
21
あなたにおすすめの小説
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
【完結】ただの狼です?神の使いです??
野々宮なつの
BL
気が付いたら高い山の上にいた白狼のディン。気ままに狼暮らしを満喫かと思いきや、どうやら白い生き物は神の使いらしい?
司祭×白狼(人間の姿になります)
神の使いなんて壮大な話と思いきや、好きな人を救いに来ただけのお話です。
全15話+おまけ+番外編
!地震と津波表現がさらっとですがあります。ご注意ください!
番外編更新中です。土日に更新します。
目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた
木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。
自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。
しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。
ユエ×フォラン
(ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる
ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。
そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。
「一緒にコラボ配信、しない?」
顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。
これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。
※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる