【完結】全ての記憶を無くしても君の感触は体が覚えている

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邂逅(ディオ視点)1

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国を出て3年近く経っただろうか。
祖国からはかなり離れた地まできた。

この先に行く当てはない。ただ心が渇いてずっと満たされない思いを抱えたままの3年だった。

自分が何者なのかという答えは出ていないが、今は『愛嬌のある優しいクラウディオ』なんて呼ばれることはない。
別に遊び回っているつもりはなかったが、女も男も取っ替え引っ替えしているため、遊び人と言われるようになった。
ただ、渇きを埋めたかっただけだ。ただ、この満たされない何かを埋めたかっただけだ。楽しく遊び歩いているなら良かったんだが・・・。



新しい街を訪れると、冒険者ギルドに寄ってこの辺りの依頼はどんなものがあるか、どんな魔物が生息しているかを確認するのが癖になっていた。
そしてその時に誰かが声をかけてきたらその夜はそいつの宿に転がり込んだりする。

新しい町に着くと、いつものようにギルドに入ってBランクの依頼掲示板に向かうと、人がいた。
昼過ぎに掲示板を見ているなど珍しいな。と思いながら隣に立った。



「お前、その剣・・・」
「ん?お前、その剣・・・」
「「同じじゃないか?」」

いつどこで買ったのかも分からないこの剣、それと同じものを持っている人物がいたらそれは気になるだろう。
しかも彼もこの剣のことが気になったらしい。


「ふはっ声が揃ったな。」
「ははっ確かに。でもその剣、どこで買った?」
「覚えてないんだよな。いつ買ったのか、どこで買ったのか。」
「そうなのか、奇遇だな。俺もこの剣をいつどこで買ったのか覚えていないんだ。」

「へぇ、面白いこともあるんだな。私に分かるのは、この剣は大切な剣ということだけだ。」
「奇遇だ。俺もこの剣が大切だと思っている。理由は分からないんだが。」
「それ本当に?私と同じだ。何だか気が合いそうな気がする。
私はクラウディオだ。」

「俺はジョルジーノだ。お前もこの掲示板を見ているということはBランクか?」
「そうだ。3年でやっとBランクだ。」
「ほう、俺もちょうど3年でBランクだ。」


「なぁジョル、もしかして私たちは会ったことがあったか?」
「おいディオ、会ったばかりなのにいきなり俺のことをジョル呼ばわりかよ。」
「そういうジョルも私のことをディオと呼んでいるではないか。」
「あぁ、確かに。会ったことは・・・無いと思う。記憶にない。しかしなぜかお前のことはディオと呼ぶのがしっくりくる。」
「私も記憶の中にもジョルはいないが、ジョルと呼ぶのがしっくりくるし、なぜかジョルにディオと呼ばれると擽ったいというか懐かしい感じがする。」
「それ、分かる気がする。飲みに行こうぜ。」
「あぁ。いいぞ。」


私たちはそのまま連れ立って飲みに行った。
宿はまだ取っていないが、最悪ジョルの部屋に泊めて貰えばいいだろう。

抱かれたいとは言われていないが、気が合いそうだし私から誘ってもいいと思った。
そんな風に思うのは初めてだな。というか誰かに興味を惹かれたのは学園を卒業してから初めてかもしれない。不思議な男だ。
 
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