21 / 56
21.よく眠れた朝
あれ? 怖い夢は? 眠くなって寝たと思ったら朝だった。しっかり寝たからか、頭がスッキリとしている。
それなのに、それだからなのか? 私の中心が勃ち上がっていて、収まれ収まれと思っていたら、ヒューゴ様が起きた。
身じろぎしたヒューゴ様の中心も勃ち上がっていて、なんだかホッとした。
ヒューゴ様も同じだった。
同じだと言うと、ヒューゴ様はなぜか「え?」と驚いた。
「え? ってどうかしましたか?」
「いや、ジョシュアはその、夜伽というか閨というか、その行為は知っているのか?」
「子作りですか? 知ってますよ」
「そうか。したことはないんだよな?」
ヒューゴ様は面白いことを聞く。
私は一応体はもう大人なのだから、それくらいのことは知っている。もしかして私はヒューゴ様より小さいから、子どもだと思われていたのか?
「ヒューゴ様は結婚していたのですね。皇后様は亡くなられたのですか?」
久々に頭が冴えていたから、私は思わず聞いてしまった。愛していた人が亡くなったかなど聞くべきではないのに、しまったと思ったが後の祭りだった。
「は? 俺は結婚したことなどない」
「そうなんですね。お子様はたくさんいたのですが、皇后様が見当たらなくて不思議でした」
「ああ、あれらは俺の子だが、あれらの母親はいない」
あれ? 違ったようだ。
皇后様も側妃もいないのが不思議だったが、ヒューゴ様は結婚したことが無いらしい。それは私もなんだが、それでも子どもがたくさんいるんだ。
それがこの国の文化なのかもしれない。
あれだけいれば、この国の未来は明るいな。
子ができて産まれるまでには時間がかかる。効率を考えれば、複数の女性に産ませた方がいいんだろう。ヒューゴ様はよく考えているな。
結婚しない理由は分からないが、子がいるんだから焦る必要もないんだろう。
「湯浴みをして、食事にしよう」
「はい。私は一旦部屋に戻ります」
こんな悠長に話なんかしている場合ではなかった。ヒューゴ様の朝の貴重な時間を奪ってしまった。私はすぐにベッドから降りるとガウンを羽織って部屋を出た。
もし、これからも一緒に寝てくれるのなら、迷惑をかけないよう朝起きたら速やかに退室するようにしよう。
「ジョシュア、キスしよう」
「はい」
いつものようにヒューゴ様の椅子に近づくと、頬に手が触れる前にヒューゴ様は膝に乗れと言った。
「え? そんなことをしたら不敬罪になりませんか?」
「ならない」
本当にいいのか? ヒューゴ様の指示なのだから従わないと言う選択肢は無いが、なんでそんなことをしろと言うのか全然分からない。
私は靴のまま乗るのはダメだと思い、靴を脱いでヒューゴ様の腿の上に立とうとした。
「ちょっと待て、それは違う」
「ごめんなさい」
やはり違ったようだ。私のことを試したのか?
「俺の言い方が悪かった。俺の膝の上に座れ」
「はい」
乗るというのは座るという意味だったらしい。危なかった。それでも膝の上に座るなんて畏れ多くて、浅めに座る。
怒られるかと思ったけど、抱きしめてくれたから、正解だったようでホッとした。間違えなくてよかった。
「ジョシュア、お前からキスしてみろ」
私からキスなんてしたことない。目を閉じたら唇の位置はどうやって確認するんだ? ズレてしまったりしないのか?
私はヒューゴ様の頬を両手で挟むと、親指で唇の位置を確認した。
ヒューゴ様はそんな私をジッと見ていて、なかなか目を閉じてくれない。
「目、閉じて下さい」
言っていいのか分からなかったが言ってみると、ヒューゴ様はその吸い込まれそうな黒曜石のような目を瞼の裏にしまった。
位置を確認しながら唇を重ねて、ズレなかったからホッとして唇を離した。
「ジョシュア、足りない」
「はい」
足りないということは、ヒューゴ様は舌をヌルヌルするキスを求めているということだ。何度もしているから覚えているけど、自分からするのは勇気が要る。上手くできなくて怒られたりしないだろうか?
少し開いたヒューゴ様の唇の隙間から舌を滑り込ませて、口の中をなぞっていく。これでいいのか分からない。舌を合わせると、ヌルヌルと絡め合わせて、大丈夫かな? と不安になりながら離れた。
「ジョシュア、よかったよ」
「そうですか。ヒューゴ様を喜ばせられるようもっと頑張ります」
よかった。間違えなくてよかった。
本当は練習したいけど、他の人とはしてはいけないと言われているから、イメージトレーニングで練習するしかない。要望に応えられるよう頑張ろう。
「なあ、ジョシュアは普段俺とキスしたいとか思うのか?」
「思いません」
「は? なんでだよ」
「なんでと言われても、ヒューゴ様にそんな思いを持つなど畏れ多いですし」
ヒューゴ様に触れたいとかキスしたいなんて、思っても決して悟られてはいけない。
私は人質で、ヒューゴ様のものなのだから、ヒューゴ様に従うべきで、そんなこと考えてはいけないんだ。私はヒューゴ様に言いながら、自分自身にもしっかりと言い聞かせた。
またヒューゴ様はムッとしたから、もしかしたら私の思いが透けて見えてしまったのかもしれない。もうキスしたいとか、そんなことは考えないようにしますから、どうか許してください。
その後、ヒューゴ様にキスされた。
正しくはこうやるのだと教えてくれたんだと思う。
「ああ……」
しっかり寝て冴えていたはずの頭がぼんやりする。ヒューゴ様の熱と香りとヌルリと撫でる舌の感触が気持ちいい。ふわふわと幸せな気分に浸りながら、快感に抗えなくなりそうで怖いとも思った。
「ジョシュア、俺とのキスは好きか?」
「はい」
「気持ちよかったか?」
「はい」
そんなの当たり前です。わざわざそんなこと聞かなくても誰もがヒューゴ様のキスは好きだと思います。
あなたにおすすめの小説
兄様の親友と恋人期間0日で結婚した僕の物語
サトー
BL
スローン王国の第五王子ユリアーネスは内気で自分に自信が持てず第一王子の兄、シリウスからは叱られてばかり。結婚して新しい家庭を築き、城を離れることが唯一の希望であるユリアーネスは兄の親友のミオに自覚のないまま恋をしていた。
ユリアーネスの結婚への思いを知ったミオはプロポーズをするが、それを知った兄シリウスは激昂する。
兄に縛られ続けた受けが結婚し、攻めとゆっくり絆を深めていくお話。
受け ユリアーネス(19)スローン王国第五王子。内気で自分に自信がない。
攻め ミオ(27)産まれてすぐゲンジツという世界からやってきた異世界人。を一途に思っていた。
※本番行為はないですが実兄→→→→受けへの描写があります。
※この作品はムーンライトノベルズにも掲載しています。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!
モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。
その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。
魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。
その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?!
ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。
ぼくの婚約者を『運命の番』だと言うひとが現れたのですが、婚約者は変わらずぼくを溺愛しています。
夏笆(なつは)
BL
公爵令息のウォルターは、第一王子アリスターの婚約者。
ふたりの婚約は、ウォルターが生まれた際、3歳だったアリスターが『うぉるがぼくのはんりょだ』と望んだことに起因している。
そうして生まれてすぐアリスターの婚約者となったウォルターも、やがて18歳。
初めての発情期を迎えようかという年齢になった。
これまで、大切にウォルターを慈しみ、その身体を拓いて来たアリスターは、やがて来るその日を心待ちにしている。
しかし、そんな幸せな日々に一石を投じるかのように、アリスターの運命の番を名乗る男爵令息が現れる。
男性しか存在しない、オメガバースの世界です。
改定前のものが、小説家になろうに掲載してあります。
※蔑視する内容を含みます。
処刑エンドの悪役公爵、隠居したいのに溺愛されてます
ひなた翠
BL
目が覚めたら、やり込んだBLゲームの悪役公爵になっていた。
しかも手には鞭。目の前には涙を浮かべた美少年。
——このままじゃ、王太子に処刑される。
前世は冴えない社畜サラリーマン。今世は冷徹な美貌を持つ高位貴族のアルファ。
中身と外見の落差に戸惑う暇もなく、エリオットは処刑回避のための「隠居計画」を立てる。
囚われのオメガ・レオンを王太子カイルに引き渡し、爵位も領地も全部手放して、ひっそり消える——はずだった。
ところが動くほど状況は悪化していく。
レオンを自由にしようとすれば「傍にいたい」と縋りつかれ、
カイルに会えば「お前の匂いは甘い」と迫られ、
隠居を申し出れば「逃げるな」と退路を塞がれる。
しかもなぜか、子供の頃から飲んでいた「ビタミン剤」を忘れるたび、身体がおかしくなる。
周囲のアルファたちの視線が絡みつき、カイルの目の色が変わり——
自分でも知らなかった秘密が暴かれたとき、逃げ場はもう、どこにもなかった。
誰にも愛されなかった男が、異世界で「本当の自分」を知り、運命の番と出会う——
ギャップ萌え×じれったさ×匂いフェチ全開の、オメガバース転生BL。
恋人に捨てられた僕を拾ってくれたのは、憧れの騎士様でした
水瀬かずか
BL
仕事をクビになった。住んでいるところも追い出された。そしたら恋人に捨てられた。最後のお給料も全部奪われた。「役立たず」と蹴られて。
好きって言ってくれたのに。かわいいって言ってくれたのに。やっぱり、僕は駄目な子なんだ。
行き場をなくした僕を見つけてくれたのは、優しい騎士様だった。
強面騎士×不憫美青年
【完結】悪妻オメガの俺、離縁されたいんだけど旦那様が溺愛してくる
古井重箱
BL
【あらすじ】劣等感が強いオメガ、レムートは父から南域に嫁ぐよう命じられる。結婚相手はヴァイゼンなる偉丈夫。見知らぬ土地で、見知らぬ男と結婚するなんて嫌だ。悪妻になろう。そして離縁されて、修道士として生きていこう。そう決意したレムートは、悪妻になるべくワガママを口にするのだが、ヴァイゼンにかえって可愛らがれる事態に。「どうすれば悪妻になれるんだ!?」レムートの試練が始まる。【注記】海のように心が広い攻(25)×気難しい美人受(18)。ラブシーンありの回には*をつけます。オメガバースの一般的な解釈から外れたところがあったらごめんなさい。更新は気まぐれです。アルファポリスとムーンライトノベルズ、pixivに投稿。