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テオの変化
「・・・キース、僕は人を好きになるってことがどういうことなのか分からない。」
「そうか。」
「だから、キースの気持ちには答えられないと思う。」
「いいんだ。それでもいいから、俺と一緒にいてほしい。」
「なんで?僕が男に抱かれてるの見たよね。それでもいいの?」
「俺はテオに救われたから、テオには幸せになってほしい。
テオが他の奴に抱かれるのは嫌だけど、俺は恋人じゃないからそんなことを言う権利はない。」
「お試しで恋人になってみる?」
「やめておく。恋人になるなら、テオに好きになってもらってからがいい。」
「ふふふ、何それキースってロマンチストなの?」
「・・・そう、なんだろうか。」
俺、格好悪いな。
「でも、キースの気持ちは嬉しい。」
「迷惑でないならよかった。」
テオはやはりろくな食事をしていなかったのか、美味しいと言ってどんどん食事を平らげていった。
「宿、変えてもいいか?」
「あ、そっか、あんな部屋で寝れないよね。」
「ごめん。」
「僕の方こそごめん。キースが借りた部屋なのに、男なんか連れ込んで。もう部屋に連れ込んだりしない。」
「ねぇキース、僕のこと抱かないの?」
「まだ抱けない。」
「まだ?」
「・・・勇気がない。」
「どういうこと?初めてだからってこと?」
「俺はテオの特別になりたい。名前も覚えてもらえないその他大勢の中の1人にはなりたくない。」
「もう名前覚えてるし、キースはもう特別だよ。色んな意味で。」
「そうか・・・。でもまだいい。今日はテオのこと抱きしめて寝たい。」
「うん。いいよ。」
「いくらだ?」
「お金なんか取らないよ。」
「何でだ?」
「だって抱かないんでしょ?」
「それでもテオの時間をもらうんだから。」
「宿代もご飯も出してもらったから、それでいい。」
「そうか。」
俺はテオを抱きしめてベッドに横になった。
幸せだ。またこうしてテオが俺の腕の中にいるのかと思うと、少し泣きそうになった。
「次の週末に家を一緒に見にいこう。俺たちが一緒に住む家。」
「え?家?本気なの?」
「本気だ。」
「そうなんだ。そっか、分かった。じゃあ僕も普通の仕事、探してみる。」
「急いで探すことはない。生活は俺が何とかするから。」
「キースって男前だよね。なんで?僕なんかよりもっと素敵な人がいるんじゃない?」
「テオがいい。テオがいいんだ。」
「そうなんだ。分かった。僕もちゃんと考えてみる。キースとのこと。」
週末にはテオと一緒に家を探しに行った。
「そんなに大きい家じゃなくていいよ。これくらいの家でいいんじゃない?」
「そんなに小さくていいのか?」
「キース、もしかして色んな男娼を囲うつもり?」
「いや、俺とテオの2人だけで住むつもりだ。」
「それならそんなにたくさん部屋数あっても使わないでしょ?」
「そうか。じゃあこの家を見せてもらおうか。」
見栄を張って大きな家を選んでみたが、テオの方がよっぽど現実的で、テオの言う通り使わない部屋など無駄なだけだと思い、小さな家を買うことになった。
手狭だと感じたらまた引っ越せばいいんだ。
家を決めると、その日のうちに家具なども見に行き、家具の搬入を考えても3日後には家に住めることになった。
ベッドは一応2つ買った。
まだ恋人でもない俺たちだ。テオが俺を嫌になっても、この家に暮らし続けられるようにしなければならないと思ってそうしたけど、テオは複雑そうな顔をしていた。
「キース、まだ僕のこと抱かないの?」
「抱きたい気持ちはあるんだ。好きだし。でもまだ怖いんだ。テオは俺に気持ちがないのに抱いていいのか迷う気持ちもある。」
「そっか。でも抱きしめて寝たいんだ。」
「・・・ごめん。嫌ならやめる。」
「嫌じゃないよ。」
「ありがとう。」
テオの嫌じゃないという言葉に甘えて、俺は毎日テオを抱きしめて寝た。
テオは、この家には男を連れ込んだりはしていないようだった。
「キース、僕ね食堂で雇ってもらえることになったんだ。」
「そうなのか。それはよかったな。おめでとう。」
以前、普通の仕事を探してみると言っていた。
男娼の仕事しか知らないとも言っていたが、テオはちゃんと仕事を見つけてきた。
テオが前に進もうと、一歩踏み出したのだから、俺も一皮剥けてもいいのか?
でももうテオは男娼じゃない。尚更テオに気持ちがないのに抱けないと思った。
家に帰ると、テオは楽しそうに今日はどんな仕事をしてどんな客がいたなど、仕事の話をしてくれた。
元々人当たりのいいテオなんだから、接客の仕事には向いているんだろうな。
いい仕事が見つかってよかった。
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