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14.キス(メレディス視点)
しおりを挟む彼は仕事をして稼いでここを出ていくと言った。
それなら私がこの家でできる仕事を与えればいいのではないかと思った。
そうすれば、彼はずっとここにいてくれる。
簡単に出ていくと言わないように、私は面倒で時間のかかる仕事を彼に与えた。
今はもうほとんど倉庫のようになっている書斎の書類整理だ。
もう済んでいる案件ばかりだから、急ぐ必要はない。
なんなら整理などしなくてもいい。10年も経てば捨ててもいい書類だって山のようにある。
自然災害などは、統計をとって傾向を調査するのに役立つかもしれないが、そんなことをやる時間は私にはない。
書斎の鍵を渡し、レスターにそれを頼むと、彼は頑張るぞという感じで拳を握って気合を入れたようだった。
「レスターは本当に可愛いな」
こんな仕事でも喜んでくれるなら、もっと早くお願いすればよかった。
そう思ってレスターの髪を撫でた。
すると、レスターが私の顔を何か言いたげな、物欲しそうな顔にも見える表情でボーッと見ているのが気になった。
「そんな物欲しそうな顔をしてどうした?」
「キス、してほしいなって……」
「…………」
さっき、大人は危険だと言ったのに、分かっていなかったのか?それとも分かっていてやっているのか? どっちだ?
「あ、ごめんなさい。その、あの、何でもないです。ごめんなさい」
「レスター、先ほど気をつけろと言ったのに、分かっていなかったんだな。そんなことを言ったらどれほど危険か分からせてあげよう」
「え?」
私は戸惑うレスターの腕を掴んでソファーに押し倒して、唇を奪った。
昨夜は触れるだけのキスだったが、それだけでは危険さが分からないらしい。
レスターの唇の間から舌を捩じ込むと、口内を犯すように激しくなぞり、舌を絡めた。
「ん、は……ぁ……んん……」
それ、無意識なのか?
レスターは私の袖をギュッと掴んでいるし、開いた口からは甘い吐息が漏れた。
ダメだ。このままでは私の理性が持たなくなってしまう。
ぷはっ、はぁ、はぁ、はぁ……
私が唇を離すと、レスターと私の間に糸が伝って、レスターは息を荒げていた。
もしかして息を止めていたのか?
「どうだ? 危険だと分かったか?
って……レスター、そんな顔をして。可愛いな本当に。このまま私のものにしてしまいたくなる」
レスターを見ると頬を染めてふにゃりと蕩けた顔になっていた。
やりすぎたか。それとも方法が間違っていたか……
これではただレスターを気持ちよくして、私もまた気持ちよくなっただけではないか。
「他の者の前では、そんな顔をしたらダメだよ。簡単に襲われてしまう。心配だな。本当に」
「ごめんなさい」
謝らせたいわけじゃない。今のは私も悪かったのだし。
閨事の教育というのは難しいものなんだな。
それとも私の私的な感情が入っているからいけないのか?
それにしても、ヤバかった。レスターが可愛すぎる。
彼は、あと半年もすれば17歳の成人を迎えると言っていた。
それまでに、なんとしてでも彼の家の名誉を回復させたい。
それから私は、彼の家の名誉回復のための仕込みを急いだ。
通常業務と並行して行っているせいで、帰宅はいつも夜中になり、なかなかレスターと顔を合わせることができなかった。
家に帰ると、こっそり彼の部屋に忍び込んで、彼の寝顔を見てから眠りにつくのが日課になった。
やはり起きている時に顔を見たいな。
明日はようやく取れた休みだ。かなり久しぶりだな。
帰宅する頃には夜中だったが、どうしてもレスターと一緒に寝たいと思い、寝ている彼のベッドに潜り込んで抱きしめて寝た。
これ、夜這いじゃないよな?抱きしめて寝るだけだ。他は何もしない。
「はぁ、可愛い」
思わず口からそんな呟きが漏れてしまった。それくらい久々だったのだから仕方ないだろう。
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