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40.秘密のラブレター

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朝起きると、またメレディス様はいなかった。
お仕事に行っちゃったんだな・・・寂しい。
回復の魔法陣を貼ってあったからか、夜中に起きた時より腰の痛みは和らいでた。

もう少し寝ようかな。
少し寝て、そして起きて使用人のみんながいるところに行った。


「レスター様、おはようございます。
体調はいかがですか?旦那様からはゆっくり休ませるようにと言われていますが、いかがいたしますか?」
「うん、体調は大丈夫。今日は特に予定はないけど、どうしようかな。」

いくら昨日寝るのが遅かったといっても、それはメレディス様も同じなんだし、朝起きれないようではダメだな。
僕がオルロー王国に帰ったりしている間、メレディス様は何日も休んだりしてたから、そのせいで忙しいのかもしれない。この前も国境まで迎えにきてくれたし。そんな時に僕がいれば足手纏いになってしまうんだろう。僕の仕事への復帰はまだだとしても、せめてメレディス様が起きる時に一緒に起きたいし、仕事に行く時にお見送りとかしたい。

メレディス様に起こしてもらうのも申し訳ないし、自分で起きなきゃ。
みんながいるところで軽く朝食をとると、見頃のお花があるということで庭師のおじいちゃんにお花を見せてもらった。


「綺麗。このお花、僕好きだよ。甘くていい香りがするし、花びらがヒラヒラしていてすごく綺麗。」
「そう言っていただけると頑張って育てた甲斐があります。」
「このお花、メレディス様にも見せたいから、1輪もらってお部屋に飾ってもいい?」
「勿論です。1輪と言わず、何輪でも切りましょう。」
「うん。ありがとう。」

メイドの人に花瓶を用意してもらって、メレディス様のお部屋に飾ってもらった。
お花を飾ると、部屋の中も甘くて優しいいい香りになった。帰ってきてこの香りがしたら癒されると思う。


あ、そうだ。ソファーに回復の魔法陣貼ろうと思ってたんだった。
僕が借りてる部屋に戻って魔法陣を取ってくると、メレディス様の部屋のソファーの裏側に貼った。

ん?何か書いてある。
魔法陣を貼った横に何かペンで書いてあるのが見えた。
何だろう?魔法で小さなライトを出して見てみると、そこに書いてあるのはただの落書きという感じではなくて、手紙のような文章だった。
掠れている部分もあるし、読みにくいな。
僕は仰向けに寝転がると、ライトを当てながら読んでみた。


拙い文字で書かれたそれは、ラブレターに見えた。
大好きだと、ずっとあなただけ愛することをここに誓うと。例え叶わなくても愛し続けると書かれていた。
素敵だ。でも何でこんなところに?
書かれた名前はエイミー?って読むのかな?ちょっと歪んでて読みにくいけど、誰かがエイミーさんに向けて書いたラブレターみたい。
そして、最後に書かれた文字を見て僕は息が止まった。
メレディス。
これは、確かに掠れてるし、歪んでるけど、メレディスとしか読めない。

あなただけを愛することを誓う・・・。
叶わなくても愛し続ける。今でもメレディス様の中にはエイミーさんがいて、僕は2番目なのかもしれない。
2番目でもいい。メレディス様は僕を愛していると大好きだと言ってくれるから。
それは、嘘じゃないよね?

急に怖くなった。
貴族ではなくても好きだと言ってくれたけど、その時にはもうメレディス様は僕の父や兄が無罪だと気付いてた。
僕が貴族に戻れることを確証していたのだとしたら。僕が貴族だから、僕の国と何らかの繋がりが欲しいから結婚しようとしたのだとしたら・・・。
ベリッシモ家を再興して、侯爵まで上げることも初めからメレディス様の計画なのだとしたら。
何が目的?
愛なんて無かったら・・・

あなただけを愛する・・・

それは、1番も2番も無くて唯一だとしたら、僕は2番でもなく何番でもない、愛してないかもしれない。

欲望だけで抱けるのだと言っていたし、学園長だって僕に愛なんて無かったけど抱こうとした。街の端で仮眠をとっている時に声をかけてきた男も、ニコラスだって、愛なんて無いのに僕を抱こうとした。
メレディス様も同じだったら・・・
そんなわけないと思う気持ちもある。信じたい。でもこれは?
信じることを阻むものがここにある。

聞きたいけど聞きたくない。
知りたいけど知りたくない。
家令のゼストさんに聞く?何て聞くの?メレディス様には他に愛する人がいるのかなんて聞けない。もしそうなら、きっと僕に本当のことなんて教えてくれないだろうし。
そうですって言われるのは怖い。でも、いませんよって言われたとして信じられる?分からない。無理かもしれない。

こんな気持ちのまま僕は結婚できるの?
できなくはないか。だって僕はメレディス様の側にいたい。何の希望もなくて、このまま死ぬかもしれないって思ってた僕を拾ってくれた。そして父と兄の名誉を回復して、家も再興してくれた。結婚することで恩が返せるなら、僕は喜んでメレディス様のものになる。駒でもいい。メレディス様の役に立てるのなら、それだけで幸せなことだ。

なんだ。じゃあ大丈夫だ。
僕はずっとメレディス様を支えていこう。大好きなままでいよう。
見なかったことにしよう。知らないことにしよう。でも、今日だけは、1人にさせて。

僕は部屋に戻って鍵をかけた。
 
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